JPH0343650Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は走査電子顕微鏡等において、試料上の
水平又は垂直方向の電子線の走査幅の比率を変え
ることにより、像表示手段に水平又は垂直方向の
倍率が異つた試料走査像を表示するようにした装
置に関する。

一般に走査電子顕微鏡等においては、試料面上
に電子線を照射すると共に該試料面上の電子線照
射位置を水平（Ｘ軸）及び垂直（軸）方向に二次
元的に走査し、該走査と同期したブラウン管へ試
料から発生する信号を検出して映像信号として印
加して試料像を拡大表示する装置が提供されてい
る。

ところで、これらの装置は電子線を試料面上で
二次元的に走査させるための電子線偏向手段とし
てＸ軸偏向コイル、Ｙ軸偏向コイルと、該電子線
偏向手段に偏向信号を供給する走査信号発生手段
を具備し、該走査信号発生手段からの出力信号を
倍率制御回路（電流制御回路）を介してＸ軸偏向
コイル、Ｙ軸偏向コイルに供給する。更に、走査
信号発生手段からの出力信号は、映像信号を表示
するブラウン管内の偏向コイルＸ及びＹにも供給
されており、ブラウン管内の電子線走査は試料面
上の電子線走査と同期しているので、試料よりの
検出信号を増幅器を介して輝度変調用グリツドに
印加すればブラウン管面上には試料表面に関する
試料像が拡大表示される。

このようにして得られた試料拡大像は、通常は
水平（Ｘ軸）、垂直（Ｙ軸）の拡大倍率が同じで
あり、たとえば、電子線で試料面上の正方形状の
一定区画を走査して該区画の像をブラウン管画面
に拡大表示すると、正方形状の試料拡大像が観察
できる。

しかしながら、試料がたとえばフイルム状の試料
の断面や、レコードの溝のような幅が狭く、細長
い試料等では該試料を幾度も長手方向に移動させ
ながら観察を行わねばならず、煩わしい操作が必
要とされていた。

本考案は以上の点に鑑みなされたもので、電子
線を細く集束した状態で試料に照射し、試料上の
電子線照射位置を電子線偏向手段により二次元的
に走査し、電子線照射により生ずる試料からの情
報信号を検出し、該検出した信号を試料走査と同
期走査される像表示手段に導入して試料像を表示
する走査電子顕微鏡において、前記像表示手段に
おける水平方向と垂直方向の電子線走査幅の比率
を固定した状態において試料上における水平方向
と垂直方向の電子線走査幅の比率を変化させる手
段を設けたことを特徴とする走査電子顕微鏡を特
徴としている。

以上図面を参照して本考案を詳細に説明する。

第１図は本考案を走査電子顕微鏡に適用した一
実施例装置を示す構成略図である。図中１は試料
２に電子線３を照射するための電子銃であり、該
電子線３は集束レンズ４によつて試料２上に細く
集束される。試料２から発生した例えば二次電子
５は検出器６によつて検出され、その検出信号は
増幅器７で経てブラウン管８の輝度変調用電極に
印加される。又、ブラウン管８の水平偏向コイル
９Ｘと垂直偏向コイル９Ｙには走査信号発生回路
１０から水平方向と垂直方向の鋸歯状走査信号
（電流）が供給されておりその振幅（波高値）の
比率はブラウン管画面の縦横比率と同一に設定さ
れている。１１は水平又は垂直方向の走査信号の
振幅を夫々独立に変えることのできる縦横比設定
回路で図示しない水平方向と垂直方向の比率可変
ツマミを操作すると水平又は垂直方向の走査信号
の波高値が×１、×1/2、×1/3、×1/4、×1/5のよう
に変化し、通常の像観察においては共に×１に設
定されている。１２は基準倍率回路で、該基準倍
率回路１２は入力される水平及び垂直方向の走査
信号に対して共に同じ増幅率で（電流）増幅する
ための回路であり、通常の像倍率はその増幅率を
変えることによつて切り換えられる。

以上の様に構成された装置において、走査信号
発生回路１０よりの水平走査信号と垂直走査信号
を縦横比設定回路１１とブラウン管８の水平偏向
コイル９Ｘと垂直偏向コイル９Ｙに入力する。縦
横比設定回路１１における水平及び垂直方向の走
査信号に対する増幅率が操作ツマミによつて、そ
れぞれ×１倍に設定されている場合には、走査信
号発生回路１０より走査信号は、そのまま基準倍
率回路１２に入力され基準倍率回路１２によつて
試料拡大倍率に対応した走査幅で試料２上を走査
するよう電子線偏向コイル１３Ｘ及び１３Ｙを制
御する。また、ブラウン管８の水平偏向コイル９
Ｘ及び垂直偏向コイル９Ｙには走査信号発生回路
１０よりの走査信号が供給されているので、試料
２からの発生したたとえば二次電子５を検出器６
で検出し、増幅器７を介してブラウン管８の輝度
変調用電極に印加すると、ブラウン管８の画面上
には試料２の二次電子像が表示され、この場合の
水平方向と垂直方向の拡大倍率は同倍率となり、
たとえば第２図の如く表示される。しかしなが
ら、縦横比設定回路１１の操作ツマミが水平方向
の走査信号に対する増幅率が×１倍、垂直方向の
走査信号に対する増幅率が×1/2倍に設定されて
いた場合には、走査信号発生回路１０よりの走査
信号は縦横比設定回路１１で水平（Ｘ軸）方向に
ついてはそのまま基準倍率回路１２に入力され、
垂直（Ｙ軸）方向については振幅が変えられて基
準倍率回路１２に入力される。基準倍率回路１２
は入力された水平方向の走査信号に対しても垂直
方向の走査信号に対しても共に倍率設定操作で指
定される同じ増幅率で増幅して偏向コイル１３
Ｘ、１３Ｙへ供給する。その結果、試料面上の電
子線操作領域の縦横比はブラウン管画面の縦横比
とは異つたものとなる。従つて、この状態で試料
２から発生した２次電子を、前記同様にブラウン
管８に入力すると、ブラウン管８の画面上には試
料２の二次電子像が表示されるが、この場合の水
平方向の試料拡大倍率は基準倍率回路１２で指定
された試料拡大倍率で表示されるのに対して、垂
直方向の試料拡大倍率は、水平方向の試料拡大倍
率の２倍で表示され、たとえば第３図の如く表示
される。そのため、例えば従来装置では低倍率に
するとブラウン管画面内に水平方向に帯状にしか
表示されないような試料の視野が、本考案装置に
よればブラウン管面一杯になるように表示するこ
とが可能となるため１回の観察で、長手方向の広
い範囲に渡つて精密な像を観察することができ、
試料の移動の回数を大幅に少くすることが可能と
なる。

以上のように本考案においては、前記像表示手
段における水平方向と垂直方向の電子線走査幅の
比率を固定した状態において試料上における水平
方向と垂直方向の電子線走査幅の比率を変化させ
る手段を設けるようにしたため、本来なら帯状に
表示されるような試料の観察や測定を迅速且つ容
易に行うことが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例装置の構成概略図で
あり、第２図及び第３図は本考案を説明するため
の図である。 １：電子銃、２：試料、３：電子線、４：集束
レンズ、５：二次電子、６：検出器、７：増幅
器、８：ブラウン管、９Ｘ：水平偏向コイル、９
Ｙ：垂直偏向コイル、１０：走査信号発生回路、
１１：縦横比設定回路、１２：基準倍率回路、１
３Ｘ，１３Ｙ：電子線偏向コイル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電子線を細く集束した状態で試料に照射し、試
   料上の電子線照射位置を電子線偏向手段により二
   次元的に走査し、電子線照射により生ずる試料か
   らの情報信号を検出し、該検出した信号を試料走
   査と同期走査される像表示手段に導入して試料像
   を表示する走査電子顕微鏡において、前記像表示
   手段における水平方向と垂直方向の電子線走査幅
   の比率を固定した状態において試料上における水
   平方向と垂直方向の電子線走査幅の比率を変化さ
   せる手段を設けたことを特徴とする走査電子顕微
   鏡。