JPH0342275Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案は、機関に使用される動力伝達用ベル
トのオートテンシヨナ装置、特に自動車のエンジ
ンクランクシヤフトの動力を伝達する歯付きタイ
ミングベルトの張力を調整するベルトのオートテ
ンシヨナ装置に関する。

【従来技術】

自動車のエンジンにおいて、クランクシヤフト
のプーリとカムシヤフトのプーリとの間は掛け渡
された歯付きタイミングベルトの弛みを防止し張
力を調整するようなオートテンシヨナ装置とし
て、例えば特開昭59−208251号が知られている
（第４図参照） この従来装置においては、エンジン本体Ｅに設
けられたクランクシヤフト１のプーリ２とカムシ
ヤフトのプーリ（図示せず）との間にタミングベ
ルト３を掛け渡し、タイミングベルト３の張力を
調整するためにアイドラプーリ４を備えたオート
テンシヨナ装置Ａが設けられている。このオート
テンシヨナ装置Ａは、油圧式のものであつて、ハ
ウジング５内にシリンダ６を伸縮自在に装着し、
さらにシリンダ６内にプランジヤ７を伸縮自在に
装着して、シリンダ６とプランジヤ７との間に油
圧室８を形成したものである。油圧室８にはチエ
ツク弁９、スプリング１０が装着され、油圧室８
及びプランジヤ７内の油をベローズ１１により密
封する構造となつており、タイミングベルト３の
張力を自動的に調整するものである。

【考案が解決しようとする問題点】

ところが、従来装置においては、オートテンシ
ヨナ装置が、油圧式のものであり、構成部品の点
数が多く、かつ高精度が要求され、コスト高であ
り、またオートテンシヨナ装置の組立作業が煩雑
であるという問題点があつた。

【問題点を解決するための手段】

上記の問題を解決するために、この考案は、有
底円筒形ボデイと、このボデイに内挿され、内周
に雌ねじを形成すると共に、一端にロツドを一体
形成したナツトと、上記雌ねじに螺合する雄ねじ
を形成し、上記ボデイ底部に当接させたボルト
と、上記ボデイ底部とナツトとの間に配され、ベ
ルト張力を一定に保持させるベルト荷重用ばね
と、上記ボルトとナツトとの間に配され、上記ボ
ルトを抜け方向に対し回動させるボルト回動用ば
ねとからなり、上記ボデイ内径と上記ナツトの外
径との間に所定の隙間を形成して当該ナツトを軸
方向に摺動自在となすと共に、上記ロツドに作用
するモーメント荷重をこの嵌合部にて負荷させる
構成とした。

【作用】

ベルトが弛んだ場合、ベルト荷重用ばねが伸長
し、ロツドをベルトの張り側へ突出させ、ベルト
張力とベルト荷重用ばねの付勢力とが釣り合う、
この間同時にボルトとナツトとの間に配されたボ
ルト回動用ばねによりボルトがボデイ底部に当接
するまで回動され、自動的にベルトを所定の張力
に調整する。 一方ベルトが張つた場合には、雌ねじと雄ねじ
とがエンジン等の振動を受け、ねじ間の軸方向隙
間分だけ間欠的に当接、離反を繰り返し、接触す
るねじの２つのフランク面間の相対ねじ運動を瞬
間的にロツクすることなく、ボルトは回動を続
け、ベルト張力とベルト荷重用ばねの付勢力とが
釣り合う位置まで短縮して自動的にベルトの張力
を調整する。

【実施例】

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。 第１図はこの考案の第１の実施例を示す。 有底円筒形ボデイ２０は外周に固定位置調整用
ねじ２１が形成され、閉鎖端には回動工具を係止
させる係止部２２が形成されている。一方内周は
軸方向に延びる円孔２３に形成され、ナツト２４
及びボルト２５等を収容している。ナツト２４は
内孔２３との間に所定の案内隙間を持つて嵌挿さ
れ、内孔２３内を軸方向に摺動自在となつてい
る。内周には鋸歯状雌ねじ２６が形成され、ボル
ト２５の外周に形成した雄ねじ２７と螺合する。
ナツト２４の底部２８とボルト２５の凹所２９と
の間にはボルト回動用ばね３０が配され、ボルト
２５をボデイ２０の底部３１側に付勢している。
なお、ボデイ２０の底部３１には、ボルト２５の
先端３２に当接する受座３３が、又、ボルト２５
の凹所２９にはニツプル３４が夫々装着されてい
る。ボルト２５の回動を容易ならしめるため、ボ
ルト２５の先端３２及びニツプル３４は凸球状に
形成されている。ナツト２４の一端にはロツド３
５が一体形成され、他端にはベルト荷重用ばね３
６が当接している。ボデイ２０の内孔２３には潤
滑油が封入され、ナツト２４とボデイ２０の内孔
２３間、及び雌ねじ２６と雄ねじ２７間の潤滑を
する。３７はボデイ２０の開口部に装着されたオ
イルシールであつて、潤滑油の漏洩を防止すると
共に、外部からボデイ２０の内孔２３内に塵埃等
の侵入を防止する。３８は組み立て時に内孔２３
からナツト２４が抜け出すのを阻止するストツパ
ーリングである。但し、実使用に於いてはナツト
２４はこのストツパーリング３８の位置より押し
込まれた位置、例えばストロークが10mmの場合、
その略半分の５mm程押し込まれた位置にセツトさ
れるため、ナツト２４とストツパーリング３８と
は通常接触しない。 第２図はねじ部の拡大図である。この雄ねじ２
７の形状は、リード角αが高角で、下角フランク
面３９と上角フランク面４０を有する非対称ねじ
形をしている。同様に雌ねじ２６に於いても雄ね
じ２７に対応した下角フランク面４１と上角フラ
ンク面４２を有している。ベルト（図示せず）が
弛んだ場合、ボルト２５はベルト荷重用ばね３６
に押圧され、常にベルト張り側の負荷を受け、且
つナツト２４とボルト２５間に配したボルト回動
用ばね３０の付勢力によりナツト２４の雌ねじ２
６とボルト２５の雄ねじ２７の下角フランク面４
１，３９間が接触する。 従つて、ベルトが弛みテンシヨナ装置内のいず
れかの部分に遊びが存在した場合には、ナツト２
４はベルト張り側に回転前進して、ボルト２５と
の相対運動の中で適正な全長に維持すると共に、
ベルトの張力を所定の値に自動的に調整、保持す
ることができる。 このようにボルト回動用ばね３０がボルト２５
を移動させ得るのは、リード角αが高角で、且つ
ねじ２６，２７の下角フランク面４１，３９の摩
擦抵抗が比較的に小さいためである。 次にベルトが張つた場合、ベルト張力により、
ナツト２４はベルト弛み側に負荷を受けるが、接
触する２つの上角フランク面４０，４２間の相対
ねじ運動を瞬間的にロツクするわけでなく、若干
の相対運動が生じる。 この相対移動運動は更に続き、摩擦抵抗が増加
してボルト２５の回転を阻止するまで移動し続け
る。このようにオートテンシヨナ装置は周期的に
短縮・延長運動を繰り返し、ベルトの張力を所定
の値に自動的に調整することができる。 第３図は本考案の第２の実施例である。なお、
同一部分には同一符号を付してその説明を省略す
る。ボデイ２０の底部３１に装着された受座４３
は中央に貫通孔４４を有し、ボルト２５の先端３
２に当接する受面４５は、先端３２の凸球面に対
応した凹球面に形成されている。従つて、受座４
３はボルト２５の先端３２の外周面側で当接し、
ボルト２５の押し込まれる方向、即ちベルト弛み
側方向に対し摩擦抵抗が働く。この接触円の径を
変更することにより摩擦抵抗を容易に調整がで
き、ベルトからの変動荷重に対するロツド３５の
微少変位が非常に小さくなるように特性を容易に
調整することができる。

【効果】

本考案は以上の構成にしたので次のような効果
を有する。 (イ) 構成部品が少なく、且つ簡単な機械部品から
なつているので組立作業が容易で、量産メリツ
トが大きい。 (ロ) ロツドを一体形成したナツト部材とボルト部
材との間で自動的に相対運動し、適正な全長に
制御されるので、ベルトの張力を所定の値に自
動的に調整・保持することができる。 (ハ) オートテンシヨナ装置の組立段階から自動的
にテンシヨナの長さを継続的に自動調整、種々
様々な条件下において最小限度の保守を行うだ
けで、確実にベルトの張力を一定に保持でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例を示す断面図、
第２図は同上ねじ部の拡大図、第３図は本考案の
第２の実施例を示す断面図、第４図は、従来のベ
ルトのオートテンシヨナ装置を示す要部断面図で
ある。 ２０……ボデイ、２４……ナツト、２５……ボ
ルト、２６……雌ねじ、２７……雄ねじ、３０…
…ボルト回動用ばね、３３，４３……受座、３４
……ニツプル、３５……ロツド、３６……ベルト
荷重用ばね、３７……オイルシール、３８……ス
トツパーリング、３９，４１……下角フランク
面、４０，４２……上角フランク面、４５……受
面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 有底円筒形ボデイと、このボデイに内挿され、
   内周に雌ねじを形成すると共に、一端にロツドを
   一体形成したナツトと、上記雌ねじに螺合する雄
   ねじを形成し、上記ボデイ底部に当接させたボル
   トと、上記ボデイ底部とナツトとの間に配され、
   ベルト張力を一定に保持させるベルト荷重用ばね
   と、上記ボルトとナツトとの間に配され、上記ボ
   ルトを抜け方向に対し回動させるボルト回動用ば
   ねとからなり、上記ボデイ内径と上記ナツトの外
   径との間に所定の隙間を形成して当該ナツトを軸
   方向に摺動自在となすと共に、上記ロツドに作用
   するモーメント荷重をこの嵌合部にて負荷させる
   ようにしたことを特徴とするベルトのオートテン
   シヨナ装置。