JP4925643B2 - オートテンショナ - Google Patents

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Description

この発明は、主として、カム軸を駆動するチェーンや歯付きベルトの張力を一定に保持するオートテンショナに関するものである。
一般に、クランク軸の端部に取付けられたスプロケットとカム軸の端部に取付けられたスプロケット間にチェーンをかけ渡したカム軸駆動用のチェーン伝動装置においては、チェーンの弛み側に揺動可能なチェーンガイドを接触し、そのチェーンガイドにオートテンショナの調整力を負荷してチェーンの張力を一定に保つようにしている。
上記チェーン伝動装置に採用されるオートテンショナとして、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。このオートテンショナにおいては、ボディ内に、ロッドを先端に有するナット部材をスライド自在に挿入し、そのナット部材の内周に形成された鋸歯状の雌ねじにボルト部材の外周に形成された鋸歯状の雄ねじをねじ係合し、上記ナット部材をボディの内部に組込まれたリターンスプリングによって外方への突出性を付与すると共に、ナット部材の内部に、そのナット部材とボルト部材が伸張する方向に両部材を付勢するコイルスプリングを組込み、チェーンからチェーンガイドを介してナット部材のロッドに負荷される押込み力を鋸歯状ねじの圧力側フランクで受けてナット部材の後退動を阻止し、上記押込み力がリターンスプリングの押圧力より大きい場合に、その押込み力とリターンスプリングのばね力とが釣り合う位置までナット部材を回転させつつ後退動させてチェーンの張力を一定に保つようにしている。
また、チェーンに弛みが生じた場合に、リターンスプリングの押圧力により、ナット部材を回転させつつ前進動させてチェーンの弛みを吸収するようにしている。
実開平1−41755号公報
ところで、上記従来のオートテンショナにおいては、揺動可能に支持されたチェーンガイドにナット部材に設けられたロッドの先端を当接させる組付けであり、その組付け誤差等により、上記当接部にずれが生じると、チェーンガイドの揺動によってナット部材に軸心を中心としての回転力が負荷される。
また、チェーンガイドは揺動自在の支持であり、そのチェーンガイドの揺動によってチェーンの振動を吸収するため、チェーンガイドに先端のロッドが当接されたナット部材に傾動させようとする回転モーメントが負荷され、その回転モーメントはナット部材とボルト部材のねじ係合部に直接作用することになる。
ここで、ナット部材に回転力が負荷されると、ナット部材は回転しつつ軸方向に移動することになり、チェーンの緊張時には、チェーンの振動を抑制する抵抗力が減少し、鋸歯状ねじの作動特性を有効に発揮させることができず、チェーンの張力を一定に保持することができなくなる。
また、ナット部材に負荷される回転モーメントが鋸歯状ねじに直接作用すると、鋸歯状ねじ部に噛み込みが生じてナット部材が動かなくなるという不都合を発生する可能性がある。
さらに、ナット部材が押込まれた際に、コイルスプリングが長さ方向と直向する方向に湾曲してナット部材に形成されたスプリング収容孔の内周に接触し、その接触によってナット部材の回転が阻害されると共に、接触部に摩耗が生じ、耐久性を低下させるという不都合がある。
この発明の課題は、鋸歯状ねじによってチェーンの張力を一定に保つようにしたオートテンショナにおいて、揺動可能なチェーンガイドとの当接によって回転力や回転モーメントが負荷されても、その回転力や回転モーメントが鋸歯状ねじ部に作用されないようにして常に安定した動作が得られるようにすること、およびコイルスプリングが長さ方向と直向する方向に湾曲してスプリング収容孔の内周に接触するの防止することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、一端が開口するシリンダ室が形成されたハウジングと、そのハウジングのシリンダ室内に組込まれたナット部材と、そのナット部材の内周の雌ねじにねじ係合される雄ねじを後端部の外周に有するロッド部材と、そのロッド部材に外方向への突出性を付与するリターンスプリングとから成り、前記ロッド部材を、前記リターンスプリングの押圧力が負荷される軸方向に移動可能なプッシュロッドと、そのプッシュロッドと同軸上の配置とされて雄ねじを外周に有するアジャストスクリュとに分割し、前記プッシュロッドを、その後端部に設けられてシリンダ室の内径面に沿ってスライド可能なスライド部材とシリンダ室の嵌合面およびシリンダ室の開口部内に圧入されてプッシュロッドをスライド自在に支持するウェアリングとプッシュロッドの嵌合面の2箇所においてスライド自在に支持し、前記スライド部材に前記リターンスプリングの押圧力を負荷し、前記アジャストスクリュにはナット部材内に位置する後端面から軸方向に延びるスプリング収容孔を設け、そのスプリング収容孔内に頭部表面が球面とされたピン状のスプリングシートと、そのスプリングシートの球面をスプリング収容孔の閉塞端面に押付けると共に、アジャストスクリュをプッシュロッドに向けて付勢するコイルスプリングとを組込み、前記ナット部材の雌ねじとアジャストスクリュの雄ねじを、アジャストスクリュに負荷される押込み力を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状ねじとし、前記シリンダ室の閉塞端壁にはコイルスプリングの外径より大径のねじ孔を設け、そのねじ孔にねじ係合したプラグの先端面に嵌合部を設け、前記コイルスプリングの一端部内に前記スプリングシートを挿入し、コイルスプリングの他端部を前記プラグに設けられた嵌合部に嵌合した構成を採用している。
上記の構成から成るオートテンショナにおいては、プッシュロッドがチェーンに接触するチェーンガイドをチェーンに向けて押圧する組付けとする。その組付け状態において、チェーンに弛みが生じると、リターンスプリングの押圧によりプッシュロッドが前進し、チェーンガイドをチェーンに押し付けてチェーンの弛みを吸収する。
また、チェーンが緊張し、そのチェーンからチェーンガイドを介してプッシュロッドに押込み力が負荷されると、その押込み力は鋸歯状ねじの圧力側フランクで支持され、プッシュロッドは後退動しない。上記押込み力がリターンスプリングのばね力より大きい場合、その押込み力とばね力とが釣り合う位置までアジャストスクリュは回転しつつ後退動してチェーンの張力を一定に保つ。
アジャストスクリュが後退動する時、コイルスプリングは圧縮変形する。このとき、コイルスプリングの一端部内にはスプリングシートが挿入され、そのコイルスプリングの他端部はプラグに設けられた嵌合部に嵌合されているため、コイルスプリングは軸方向にスムーズに収縮して長さ方向と直向する方向に湾曲することはない。
このため、コイルスプリングがスプリング収容孔の内周に接触してアジャストスクリュの回転を阻害するという不都合の発生はなく、また、接触摩耗するという不都合の発生もないため、耐久性を低下させることもない。
プラグに設けられる嵌合部は、コイルスプリングの他端部内に挿入されるピン状の突起であってもよくあるいは、コイルスプリングの他端部が挿入される凹部であってもよい。
上記のようなチェーンの張力調整時、チェーンガイドが揺動すると、そのチェーンガイドとプッシュロッドの接触部にずれ動きが生じてプッシュロッドに傾動させようとする回転モーメントが負荷される。このとき、プッシュロッドとアジャストスクリュは、対向端面が衝合し、分離されたものであるため、アジャストスクリュには回転モーメントが負荷されることはない。このため、雌ねじと雄ねじのねじ係合部が噛み込むという不都合の発生はない。
この発明においては、プッシュロッドの後端部にシリンダ室の内径面に沿って摺動可能なスライド部材を設けると共に、前記シリンダ室の開口部にプッシュロッドをスライド自在に支持するウェアリングを設けているため、プッシュロッドに負荷される回転モーメントは、スライド部材とシリンダ室の嵌合面、およびプッシュロッドとウェアリングの嵌合面の2箇所で支持されることにな、アジャストスクリュに回転モーメントが負荷されるのをより確実に防止することができる。
オートテンショナの組付け時、組付け誤差等により、プッシュロッドの先端面中心に対する偏心位置がチェーンガイドと接触する場合がある。このとき、チェーンガイドの揺動によってプッシュロッドに回転力が負荷されるが、プッシュロッドとアジャストスクリュは分離されて同軸上に配置されているため、アジャストスクリュに回転力が負荷されることはない。
このため、アジャストスクリュが回転して軸方向に移動するという不都合の発生はなく、チェーンの緊張時に、チェーンの振動を抑制する抵抗力の減少を防止し、鋸歯状ねじの作動特性を有効に発揮させることができる。
ここで、プッシュロッドの後端面とアジャストスクリュの先端面における少なくとも一方を球面とすると、プッシュロッドからアジャストスクリュへの回転力の伝達をより確実に防止することができる。
上記のように、チェーンガイドに調整力を負荷するロッド部材をプッシュロッドとアジャストスクリュとに分割したことにより、上記チェーンガイドからプッシュロッドに回転力や回転モーメントが負荷されても、これらの回転力や回転モーメントがアジャストスクリュに伝達されることはなく、チェーンの緊張時に、チェーンの振動を抑制する抵抗力が減少したり、鋸歯状ねじ部に噛み込みが生じる等の不都合の発生を防止し、チェーンの張力を常に一定に保持することができる。
また、コイルスプリングの一端部内にピン状のスプリングシートを挿入し、コイルスプリングの他端部をプラグに設けた嵌合部に嵌合したことにより、アジャストスクリュが後退動するコイルスプリングの圧縮変形時に、コイルスプリングが長さ方向と直交する方向に湾曲するのを防止することができる。
このため、コイルスプリングがスプリング収容孔の内周と接触することがないので、アジャストスクリュの回転を阻害するという不都合の発生はなく、また、接触摩耗することもないので、耐久性の低下も抑制することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、カム軸駆動用チェーンの張力調整装置を示す。図示のように、クランク軸1の端部に取付けられたスプロケット2と、カム軸3の端部に取付けられたスプロケット4間にはチェーン5がかけ渡され、そのチェーン5の弛み側にチェーンガイド6が設けられている。
チェーンガイド6は、その下端部に設けられた軸7を中心として揺動可能とされている。チェーンガイド6の一側方には、そのチェーンガイド6をチェーン5に向けて押圧するオートテンショナ10が設けられている。
図2に示すように、オートテンショナ10は円筒状のハウジング11を有し、そのハウジング11にはエンジンブロックにボルト止めされる複数の取付片12が設けられている。
また、ハウジング11にはチェーンガイド6と対向する一端面で開口するシリンダ室13が形成され、そのシリンダ室13の開口端部内に組み込まれたシール部材14は、シリンダ室13内に封入された潤滑油の外部への漏洩を防止している。
さらに、シリンダ室13内にはナット部材15が組込まれ、そのナット部材15の内周に雌ねじ16が形成されている。また、シリンダ室13内には、ロッド部材17と、そのロッド部材17に外方向への突出性を付与するリターンスプリング18とが組込まれている。
ロッド部材17は、プッシュロッド17aと、アジャストスクリュ17bとに分割されている。プッシュロッド17aはシール部材14をスライド自在に貫通し、シリンダ室13内に位置する後端部には、シリンダ室13の内径面に沿って摺動可能なスライド部材19が設けられ、そのスライド部材19にリターンスプリング18の押圧力が負荷されている。
一方、シリンダ室13の開口部には、シール部材14の外端側に上記プッシュロッド17aをスライド自在に支持するウェアリング20が圧入されている。
図2および図3に示すように、アジャストスクリュ17bは、雄ねじ21を外周に有し、その雄ねじ21がナット部材15の雌ねじ16にねじ係合している。雄ねじ21と雌ねじ16のねじ係合部およびスライド部材19とシリンダ室13の摺動面間は、シリンダ室13内に封入された潤滑油によって潤滑される。
アジャストスクリュ17bには、その後端面で開口するスプリング収容孔22が形成され、そのスプリング収容孔22の開口端部の内周に雌ねじ23が形成されている。一方、ハウジング11には、シリンダ室13の閉塞端壁にねじ孔24が設けられ、そのねじ孔24はプラグ25のねじ込みによって閉塞されている。
プラグ25とスプリング収容孔22の閉塞端面間には、ピンから成るスプリングシート26と、そのスプリングシート26の外側に一端部が嵌合されたコイルスプリング27とが組込まれている。スプリングシート26は、コイルスプリング27のばね力が負荷される頭部26aを有している。この頭部26aは、その表面に形成された球面26bがスプリング収容孔22の閉塞端面に押し付けられて点接触している。
コイルスプリング27は、プラグ25の先端面に形成されたピンからなる突起25aの外側に嵌合されている。このコイルスプリング27はスプリングシート26を介してアジャストスクリュ17bをプッシュロッド17aに向けて付勢し、その付勢によってアジャストスクリュ17bの先端面に設けられた突軸部28の先端の球面28aがプッシュロッド17aの後端面に押し付けられている。
図3に示すように、ナット部材15の内周に形成された雌ねじ16とアジャストスクリュ17bの外周に形成された雄ねじ21のねじ山は、アジャストスクリュ17bが押し込まれた際の押込み力を受ける圧力側フランク29のフランク角が遊び側フランク30のフランク角より大きい鋸歯状とされ、その鋸歯状ねじ山にコイルスプリング27の押圧力によってアジャストスクリュ17bが回転しつつ軸方向に移動するリード角が設けられている。
実施の形態で示すチェーンの張力調整装置は上記の構造から成り、図2は、オートテンショナ10のプッシュロッド17aがチェーンガイド6を押圧してチェーン5に張力を負荷するチェーン5の張力調整状態を示す。
上記のようなチェーン5の張力調整状態において、カム軸3の回転によるトルク変動等によりチェーン5が振動し、そのチェーン5の弛み側チェーンに弛みが生じると、リターンスプリング18の押圧力によりプッシュロッド17aが外方に移動してチェーンガイド6を押圧し、その押圧によってチェーン5の弛みが吸収される。
プッシュロッド17aが外方向に移動するとき、コイルスプリング27の押圧力によりアジャストスクリュ17bが回転しつつプッシュロッド17aに向けて移動して、突軸部28の先端の球面28aがプッシュロッド17aの後端面に当接する。
一方、チェーン5の弛み側チェーンの張力が増大し、そのチェーン5からチェーンガイド6を介してプッシュロッド17aに押込み力が負荷されると、上記押込み力はアジャストスクリュ17bにも負荷される。このため、ナット部材15の雌ねじ16とアジャストスクリュ17bの雄ねじ21の圧力側フランク29が互に密着し、その密着する圧力側フランク29によって上記押込み力が受けられる。
上記押込み力がリターンスプリング18の押圧力より強い場合、互に密着する圧力側フランク29の接触面で滑りが生じ、アジャストスクリュ17bは上記押込み力とリターンスプリング18の押圧力とが釣り合う位置までゆっくりと回転しつつ後退してチェーン5の張力を一定に保持する。
このとき、アジャストスクリュ17bとスプリングシート26、およびアジャストスクリュ17bとプッシュロッド17aとは点接触であるため、アジャストスクリュ17bの回転抵抗は小さく、アジャストスクリュ17bはスムーズに回転し、チェーン5の張力変化にスムーズに追従する。
また、アジャストスクリュ17bが後退動するとき、コイルスプリング27が圧縮変形する。このとき、コイルスプリング27の一端部内にはスプリングシート26が挿入され、他端部はプラグ25の先端面に設けられた突起25aに嵌合されているため、コイルスプリング27は長さ方向と直向する方向に湾曲することなく軸方向にスムーズに収縮する。
このため、コイルスプリング27はスプリング収容孔22の内周に接触することがないので、アジャストスクリュ17bの回転が阻害されるという不都合の発生はなく、アジャストスクリュ17bはスムーズに回転しつつ後退動する。また、コイルスプリング27の外周とスプリング収容孔22の内周とが接触摩耗することがなく、耐久性の低下を抑制することができる。
ここで、オートテンショナ10の調整力が負荷されるチェーンガイド6は軸7を中心として揺動自在に支持されているため、チェーンガイド6からプッシュロッド17aに押込み力が負荷されるとき、プッシュロッド17aに傾動させようとする回転モーメントが負荷される。
このとき、プッシュロッド17aの後端部に設けられたスライド部材19はシリンダ室13の内径面に沿って摺動自在とされ、また、シリンダ室13の開口部に設けられたウェアリング20はプッシュロッド17aをスライド自在に支持しているため、プッシュロッド17aに負荷される回転モーメントは、シリンダ室13とスライド部材19の嵌合面、およびプッシュロッド17aとウェアリング20の嵌合面の2箇所で支持されることになる。
このため、アジャストスクリュ17bに回転モーメントが負荷されることはなく、雌ねじ16と雄ねじ21のねじ係合部に噛み込みが生じるという不都合の発生はない。
オートテンショナ10の組付け時、その取付け誤差等により、プッシュロッド17aの先端面中心に対する偏心位置がチェーンガイド6に当接する組付けとされる場合がある。このとき、チェーンガイド6の揺動によってプッシュロッド17aに回転力が負荷されることになるが、そのプッシュロッド17aとアジャストスクリュ17bは同軸上の配置であって、アジャストスクリュ17bの突軸部28の先端の球面28aがプッシュロッド17aの後端面に点接触しているため、アジャストスクリュ17bに上記回転力が負荷されることはない。
このため、アジャストスクリュ17bが回転して軸方向に移動するという不都合の発生はなく、チェーン5の緊張時に、チェーン5の振動を抑制する鋸歯状ねじ部での摩擦抵抗力の減少を防止し、鋸歯状ねじの作動特性を有効に発揮させることができる。
エンジン周りのメンテナンスにおいて、チェーン5やオートテンショナ10が取り除かれると、リターンスプリング18の押圧によってプッシュロッド17aが外方に移動し、また、コイルスプリング27の押圧によりアジャストスクリュ17bが回転しつつプッシュロッド17aに向けて移動して、オートテンショナ10は伸長状態となる。
このため、メンテナンス後のオートテンショナ10の再組付けに際しては、オートテンショナ10を収縮状態にして組付けを行なう必要がある。
オートテンショナ10の収縮に際しては、プラグ25を取外し、コイルスプリング27およびスプリングシート26をねじ孔24から外部に取り出したのち、ねじ孔24にボルトを挿入してスプリング収容孔22の内周の雌ねじ23にねじ係合し、そのボルトに回転力を負荷してアジャストスクリュ17bをナット部材15の内側に納まる位置まで後退させる。
アジャストスクリュ17bの後退後、プッシュロッド17aを押し込み、オートテンショナ10の収縮状態において再組み付けを行う。
なお、図3に示す例においては、プッシュロッド17aの後端面を平面とし、その後端面にアジャストスクリュ17bの突軸部28の球面28aを接触させるようにしたが、図4に示すように、突軸部28の先端面を平面とし、プッシュロッド17aの後端に球面31を設けるようにしてもよい。
また、図3では、コイルスプリング27の他端部に嵌合される嵌合部として突起25aを示したが、嵌合部は突起25aに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、コイルスプリング27の他端部が嵌合される凹部25bを嵌合部としてもよい。
この発明に係るオートテンショナを採用したチェーンの張力調整装置の概略図 この発明に係るオートテンショナの縦断正面図 アジャストスクリュの組込み部を拡大して示す断面図 アジャストスクリュの他の例を示す断面図
符号の説明
11 ハウジング
13 シリンダ室
15 ナット部材
16 雌ねじ
17 ロッド部材
17a プッシュロッド
17b アジャストスクリュ
18 リターンスプリング
19 スライド部材
20 ウェアリング
21 雄ねじ
25 プラグ
25a 突起(嵌合部)
25b 凹部(嵌合部)
26 スプリングシート
26a 頭部
26b 球面
27 コイルスプリング
28a 球面
29 圧力側フランク
30 遊び側フランク
31 球面

Claims (4)

  1. 一端が開口するシリンダ室が形成されたハウジングと、そのハウジングのシリンダ室内に組込まれたナット部材と、そのナット部材の内周の雌ねじにねじ係合される雄ねじを後端部の外周に有するロッド部材と、そのロッド部材に外方向への突出性を付与するリターンスプリングとから成り、前記ロッド部材を、前記リターンスプリングの押圧力が負荷される軸方向に移動可能なプッシュロッドと、そのプッシュロッドと同軸上の配置とされて雄ねじを外周に有するアジャストスクリュとに分割し、前記プッシュロッドを、その後端部に設けられてシリンダ室の内径面に沿ってスライド可能なスライド部材とシリンダ室の嵌合面およびシリンダ室の開口部内に圧入されてプッシュロッドをスライド自在に支持するウェアリングとプッシュロッドの嵌合面の2箇所においてスライド自在に支持し、前記スライド部材に前記リターンスプリングの押圧力を負荷し、前記アジャストスクリュにはナット部材内に位置する後端面から軸方向に延びるスプリング収容孔を設け、そのスプリング収容孔内に頭部表面が球面とされたピン状のスプリングシートと、そのスプリングシートの球面をスプリング収容孔の閉塞端面に押付けると共に、アジャストスクリュをプッシュロッドに向けて付勢するコイルスプリングとを組込み、前記ナット部材の雌ねじとアジャストスクリュの雄ねじを、アジャストスクリュに負荷される押込み力を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状ねじとし、前記シリンダ室の閉塞端壁にはコイルスプリングの外径より大径のねじ孔を設け、そのねじ孔にねじ係合したプラグの先端面に嵌合部を設け、前記コイルスプリングの一端部内に前記スプリングシートを挿入し、コイルスプリングの他端部を前記プラグに設けられた嵌合部に嵌合したオートテンショナ。
  2. 前記プッシュロッドの後端面とアジャストスクリュの先端面における一方を球面とした請求項1に記載のオートテンショナ。
  3. 前記嵌合部が、コイルスプリングの他端部内に嵌合されるピン状の突起から成る請求項1又は2に記載のオートテンショナ。
  4. 前記嵌合部が、コイルスプリングの他端部が嵌合される凹部から成る請求項1又は2に記載のオートテンショナ。
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