JP4917785B2 - オートテンショナ - Google Patents

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Description

この発明は、主として、カム軸を駆動するチェーンや歯付きベルトの張力を一定に保持するオートテンショナに関するものである。
一般に、クランク軸の端部に取付けられたスプロケットとカム軸の端部に取付けられたスプロケット間にチェーンをかけ渡したカム軸駆動用のチェーン伝動装置においては、チェーンの弛み側に揺動可能なチェーンガイドを接触し、そのチェーンガイドにオートテンショナの調整力を負荷してチェーンの張力を一定に保つようにしている。
上記チェーン伝動装置に採用されるオートテンショナとして、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。このオートテンショナにおいては、ボディ内にロッドを先端に有するナット部材をスライド自在に挿入し、そのナット部材の内周に形成された鋸歯状の雌ねじにボルト部材の外周に形成された鋸歯状の雄ねじをねじ係合し、上記ナット部材をボディの内部に組込まれたリターンスプリングによって外方への突出性を付与し、チェーンからチェーンガイドを介してナット部材のロッドに負荷される押し込み力を鋸歯状ねじの圧力側フランクで受けてナット部材の後退動を阻止し、上記押し込み力がリターンスプリングの押圧力より大きい場合に、その押し込み力とリターンスプリングのばね力とが釣り合う位置までナット部材を回転させつつ後退動させてチェーンの張力を一定に保つようにしている。
また、チェーンに弛みが生じた場合に、リターンスプリングの押圧力により、ナット部材を回転させつつ前進動させてチェーンの弛みを吸収するようにしている。
実開平1−41755号公報
ところで、上記従来のオートテンショナにおいては、揺動可能に支持されたチェーンガイドにナット部材に設けられたロッドの先端を当接させる組付けであり、その組付け誤差等により、上記当接部にずれが生じると、ナット部材に回転力が負荷される。
また、チェーンガイドは揺動自在の支持であり、そのチェーンガイドの揺動によってチェーンの振動を吸収するため、チェーンガイドに先端のロッドが当接されたナット部材には回転モーメントが負荷され、その回転モーメントはナット部材とボルト部材のねじ係合部に直接作用することになる。
ここで、ナット部材に回転力が負荷されると、ナット部材は回転しつつ軸方向に移動することになり、チェーンの緊張時には、チェーンの振動を抑制する抵抗力が減少し、鋸歯状ねじの作動特性を有効に発揮させることができず、チェーンの張力を一定に保持することができなくなる。
また、ナット部材に負荷される回転モーメントが鋸歯状ねじに直接作用すると、鋸歯状ねじ部に噛み込みが生じてナット部材が動かなくなるという不都合を発生する可能性がある。
上記のようなオートテンショナにおいては、ナット部材がリターンスプリングにより付勢されてロッドが外部に大きく突出する伸長状態にあり、また、チェーンを取外すエンジン周りのメンテナンス時に、ナット部材はリターンスプリングの押圧により回転しつつ軸方向に移動して伸長状態となるため、エンジンブロックに対するオートテンショナの初期の組付けやメンテナンス後の再組付けには、ナット部材のロッドに回転力を負荷してナット部材をボディ内に後退させ、その後退させた状態を保持して初期組付けや再組付けを行なう必要が生じ、組付けに非常に手間がかかり、その組付けの容易化を図るうえにおいて改善すべき点が残されている。
この発明の課題は、鋸歯状ねじによってチェーンの張力を一定に保つようにしたオートテンショナにおいて、揺動可能なチェーンガイドとの当接によって回転力や回転モーメントが負荷されても、その回転力や回転モーメントが鋸歯状ねじ部に作用されないようにして常に安定した動作が得られるようにすること、および組付けの容易化を図ることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、一端が開口するシリンダ室が形成されたハウジングと、そのハウジングのシリンダ室内に組込まれたナット部材と、そのナット部材の内周の雌ねじにねじ係合される雄ねじを後端部の外周に有するロッド部材と、そのロッド部材に外方向への突出性を付与するリターンスプリングとから成り、前記ロッド部材を前記リターンスプリングのばね力が負荷される軸方向に移動可能なプッシュロッドと、そのプッシュロッドと同軸上の配置とされて雄ねじを外周に有するアジャストスクリュとに分割し、前記プッシュロッドを、その後端部に設けられてシリンダ室の内径面に沿ってスライド可能なスライド部材とシリンダ室の嵌合面、およびシリンダ室の開口端側に設けられてプッシュロッドをスライド自在に支持するガイド部材とプッシュロッドの嵌合面の2箇所においてスライド自在に支持し、前記スライド部材に前記リターンスプリングのばね力を負荷し、前記アジャストスクリュをプッシュロッドに向けて付勢するスプリングを設け、前記ナット部材の雌ねじとアジャストスクリュの雄ねじを、アジャストスクリュに負荷される押し込み力を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状ねじとし、前記シリンダ室の閉塞端壁に前記スプリングの外径より大径とされてプラグのねじ込みによって閉塞されるねじ孔を形成し、アジャストスクリュにはそのねじ孔から挿入されるレンチが係合可能なレンチ係合部を設けた構成を採用している。
上記の構成から成るオートテンショナは、プッシュロッドの先端が揺動可能なチェーンガイドに当接する組付けとする。その組付け状態でチェーンに弛みが生じると、リターンスプリングの押圧によりプッシュロッドが前進し、チェーンガイドをチェーンに押し付けてチェーンの弛みを吸収する。
また、チェーンが緊張し、そのチェーンからチェーンガイドを介してプッシュロッドに押し込み力が負荷されると、その押し込み力は鋸歯状ねじの圧力側フランクで支持され、プッシュロッドは後退動しない。上記押し込み力がリターンスプリングのばね力より大きい場合、その押し込み力とばね力とが釣り合う位置までアジャストスクリュは回転しつつ後退動してチェーンの張力を一定に保つ。
上記のようなチェーンの張力調整時、チェーンガイドが揺動すると、そのチェーンガイドとプッシュロッドの接触部にずれ動きが生じてプッシュロッドに回転モーメントが負荷される。このとき、プッシュロッドとアジャストスクリュは、対向端面が衝合し、分離されたものであるため、アジャストスクリュに回転モーメントが負荷されることはなく、雌ねじと雄ねじのねじ係合部が噛み込むという不都合の発生はない。
さらに、プッシュロッドのシリンダ室内に位置する後端部にシリンダ室の内径面に沿ってスライド可能なスライド部材を設け、前記シリンダ室の開口部にプッシュロッドをスライド自在に支持するガイド部材を設けたことによって、プッシュロッドに負荷される回転モーメントをスライド部材とシリンダ室の嵌合面およびガイド部材とプッシュロッドの嵌合面の2箇所で受けることができるため、チェーンの張力変化に応じてプッシュロッドを軸方向にスムーズに移動させることができ、応答性に優れたオートテンショナを得ることができる。
スライド部材とガイド部材によってプッシュロッドの移動を案内するオートテンショナにおいて、前記ガイド部材を、シリンダ室の開口部に設けられた潤滑油封止用のシール部材よりシリンダ室の開口端側に設けることにより、そのガイド部材によってシール部材を抜け止めすることができるため、シール部材を抜け止めする止め輪等の抜け止め部材の組込みを不要とすることができる。
上記のようなオートテンショナの組付け時、組付け誤差等により、プッシュロッドの先端面中心に対する偏心位置がチェーンガイドと接触する場合がある。このとき、チェーンガイドの揺動によってプッシュロッドに回転力が負荷されるが、プッシュロッドとアジャストスクリュは分離されて同軸上に配置されているため、アジャストスクリュに回転力が負荷されることはない。このため、アジャストスクリュが回転して軸方向に移動するという不都合の発生はなく、チェーンの緊張時に、チェーンの振動を抑制する抵抗力の減少を防止し、鋸歯状ねじの作動特性を有効に発揮させることができる。
ここで、プッシュロッドの後端面とアジャストスクリュの先端面における少なくとも一方を球面とすると、プッシュロッドからアジャストスクリュへの回転力の伝達をより確実に防止することができる。
上記オートテンショナにおいて、エンジン周りのメンテナンスによりチェーンが取り除かれ、あるいは、オートテンショナが取り外しされると、リターンスプリングの押圧によりプッシュロッドが外方に移動し、また、スプリングの押圧によりアジャストスクリュが回転しつつプッシュロッドに向けて移動してオートテンショナは伸長状態となる。そのオートテンショナの再組付けに際しては、プラグを取外し、ねじ孔から内部にレンチを挿入し、そのレンチをレンチ係合部に係合させ、レンチに負荷する回転力によりアジャストスクリュを後退させ、かつプッシュロッドを押し込み、オートテンショナを収縮させた状態でオートテンショナの組付けを行なう。
この場合、前記ハウジングの開口端部に半径方向に貫通するセット孔を形成し、プッシュロッドの先端部には半径方向に貫通するピン孔を設け、前記セット孔からピン孔にセットピンを挿入して、プッシュロッドを押し込み状態に保持することにより、上記セットピンによってオートテンショナを収縮状態に保持することができるため、再組付けを容易に行なうことができると共に、初期の組付けも容易とすることができる。
上記のように、チェーンガイドに調整力を負荷するロッド部材をプッシュロッドとアジャストスクリュとに分割したことにより、上記チェーンガイドからプッシュロッドに回転力や回転モーメントが負荷されても、これらの回転力や回転モーメントがアジャストスクリュに伝達されることはなく、チェーンの緊張時に、チェーンの振動を抑制する抵抗力が減少したり、鋸歯状ねじ部に噛み込みが生じる等の不都合の発生を防止し、チェーンの張力を常に一定に保持することができる。
また、プラグを取外し、ねじ孔から内部にレンチを挿入してレンチ係合部に係合させることにより、そのレンチに負荷する回転によってアジャストスクリュを後退動させることができ、その後退動後に、プッシュロッドを押し込むことによってオートテンショナを収縮状態とすることができるため、オートテンショナを容易に再組付けすることができる。
さらに、ねじ孔の内径をスプリングの外径より大きくしたことにより、ねじ孔からスプリングを引き抜くことができるため、疲労等によって破損したスプリングを新しいものと簡単に交換することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、カム軸駆動用チェーンの張力調整装置を示す。図示のように、クランク軸1の端部に取付けられたスプロケット2と、カム軸3の端部に取付けられたスプロケット4間にはチェーン5がかけ渡され、そのチェーン5の弛み側にチェーンガイド6が設けられている。
チェーンガイド6は、その下端部に設けられた軸7を中心として揺動可能とされている。このチェーンガイド6はオートテンショナ10から負荷される調整力によりチェーン5に押し付けられている。
図2に示すように、オートテンショナ10はハウジング11を有し、そのハウジング11の外周にはエンジンブロックにボルト止めされる複数の取付片12が設けられている。また、ハウジング11には一端が開口するシリンダ室13が形成されている。
シリンダ室13内にはナット部材14が組込まれ、そのナット部材14の内周に雌ねじ15が形成されている。また、シリンダ室13内にはロッド部材16と、そのロッド部材16に外方向への突出性を付与するリターンスプリング17とが組込まれている。
ロッド部材16は、プッシュロッド16aと、アジャストスクリュ16bとに分割され、プッシュロッド16aは、シリンダ室13の開口部を密封するオイルシール等のシール部材18をスライド自在に貫通しており、上記シリンダ室13内に位置する後端部にはシリンダ室13の内径面に沿ってスライド可能なスライド部材19が設けられ、そのスライド部材19にリターンスプリング17の押圧力が負荷されている。
一方、シリンダ室13の開口部には、上記シール部材18からシリンダ室13の開口端側にリング状のガイド部材20が設けられ、そのガイド部材20の内径面によってプッシュロッド16aがスライド自在に支持されている。
アジャストスクリュ16bは、雄ねじ21を外周に有し、その雄ねじ21がナット部材14の雌ねじ15にねじ係合している。その雄ねじ21と雌ねじ15のねじ係合部およびスライド部材19とシリンダ室13の摺動面間は、シリンダ室13内に封入された潤滑油によって潤滑される。
アジャストスクリュ16bには、その後端面で開口するスプリング収容凹部22と、そのスプリング収容凹部22の閉塞端に角孔から成るレンチ係合部23とが形成されている。一方、ハウジング11には、シリンダ室13の閉塞端壁にねじ孔24が設けられ、そのねじ孔24はプラグ25のねじ込みによって閉塞されている。
プラグ25と上記スプリング収容凹部22の閉塞端面間にはスプリング26と、スプリングシート27とが組込まれ、上記スプリングシート27の後端に形成された球面27aがプラグ25の先端面に接触している。
スプリング26は、アジャストスクリュ16bをプッシュロッド16aに向けて付勢し、その付勢によってアジャストスクリュ16bの先端面に設けられた突軸部28の先端の球面28aがプッシュロッド16aの後端面に押し付けられている。
図3に示すように、ナット部材14の内周に形成された雌ねじ15とアジャストスクリュ16bの外周に形成された雄ねじ21のねじ山は、アジャストスクリュ16bが押し込まれた際の押し込み力を受ける圧力側フランク29のフランク角が遊び側フランク30のフランク角より大きい鋸歯状とされ、その鋸歯状ねじ山にスプリング26の押圧力によっ
てアジャストスクリュ16bが回転しつつ軸方向に移動するリード角が設けられている。
図5に示すように、ハウジング11の開口端部には、半径方向に貫通するセット孔31が形成され、一方、プッシュロッド16aの先端部には、そのプッシュロッド16aの押し込み状態において上記セット孔31に一致するピン孔32が設けられている。
プッシュロッド16aおよびアジャストスクリュ16bはセット孔31からピン孔32に挿入されるセットピン33によって押し込み状態に保持される。
実施の形態で示すチェーンの張力調整装置は上記の構造から成り、オートテンショナ10の組付けに際しては、セット孔31およびピン孔32にセットピン33が挿入され、プッシュロッド16aおよびアジャストスクリュ16bが押し込み状態に保持されたオートテンショナ10の収縮状態でハウジング11の取付片12をエンジンブロックにボルト止めする。
このとき、ハウジング11はプッシュロッド16aの先端がチェーンガイド6と対向する取付けとし、そのハウジング11の固定後にセットピン33を引き抜くと、リターンスプリング17の押圧によりプッシュロッド16aが外方に向けて移動してチェーンガイド6を押圧し、また、アジャストスクリュ16bはスプリング26の押圧により回転しつつ前進して突軸部28の先端の球面28aがプッシュロッド16aの後端面に当接し、チェーン5は張力調整状態とされる。
上記のように、セット孔31およびピン孔32にセットピン33を挿入することによってオートテンショナ10を収縮状態に保持することができるため、オートテンショナ10の初期の組付けを容易に行なうことができる。
図2は、オートテンショナ10の組付け状態を示し、その組付け状態において、カム軸3の回転によるトルク変動等によりチェーン5が振動し、そのチェーン5の弛み側チェーンに弛みが生じると、リターンスプリング17の押圧力によりプッシュロッド16aが外方に移動してチェーンガイド6を押圧し、その押圧によってチェーン5の弛みが吸収される。
プッシュロッド16aが外方向に移動するとき、スプリング26の押圧力によりアジャストスクリュ16bが回転しつつプッシュロッド16a側に向けて移動して突軸部28の先端の球面28aがプッシュロッド16aの後端面に当接する。
一方、チェーン5の弛み側チェーンの張力が増大し、そのチェーン5からチェーンガイド6を介してプッシュロッド16aに押し込み力が負荷されると、上記押し込み力はアジャストスクリュ16bにも負荷される。このため、ナット部材14の雌ねじ15とアジャストスクリュ16bの雄ねじ21の圧力側フランク29が互に密着し、その密着する圧力側フランク29によって上記押し込み力が受けられる。
上記押し込み力がリターンスプリング17の押圧力より強い場合、互に密着する圧力側フランク29の接触面で滑りが生じ、アジャストスクリュ16bは上記押し込み力とリターンスプリング17の押圧力とが釣り合う位置までゆっくりと回転しつつ後退してチェーン5の張力を一定に保持する。
ここで、オートテンショナ10の調整力が負荷されるチェーンガイド6は軸7を中心として揺動自在に支持されているため、チェーンガイド6からプッシュロッド16aに押し込み力が負荷されるとき、プッシュロッド16aに回転モーメントが負荷される。
このとき、プッシュロッド16aの後端部に設けられたスライド部材19はシリンダ室13の内径面に沿ってスライド自在とされ、また、シリンダ室13の開口部に設けられたガイド部材20はプッシュロッド16aをスライド自在に支持しているため、プッシュロッド16aに負荷される回転モーメントは、シリンダ室13とスライド部材19の嵌合面およびプッシュロッド16aとガイド部材20の嵌合面の2箇所で支持されることになる。
このため、アジャストスクリュ16bに回転モーメントが負荷されることはなく、雌ねじ15と雄ねじ21のねじ係合部に噛み込みが生じるという不都合の発生はない。
オートテンショナ10の組付け時、その取付け誤差等により、プッシュロッド16aの先端面中心に対する偏心位置がチェーンガイド6に当接する組付けとされる場合がある。このとき、チェーンガイド6の揺動によってプッシュロッド16aに回転力が負荷されることになるが、そのプッシュロッド16aとアジャストスクリュ16bは同軸上の配置であって、アジャストスクリュ16bの突軸部28の先端の球面28aがプッシュロッド16aの後端面に点接触しているため、アジャストスクリュ16bに上記回転力が負荷されることはない。
このため、アジャストスクリュ16bが回転して軸方向に移動するという不都合の発生はなく、チェーン5の緊張時に、チェーン5の振動を抑制する鋸歯状ねじ部での摩擦抵抗力の減少を防止し、鋸歯状ねじの作動特性を有効に発揮させることができる。
エンジン周りのメンテナンスにおいて、チェーン5やオートテンショナ10が取り除かれると、リターンスプリング17の押圧によってプッシュロッド16aが外方に移動し、また、スプリング26の押圧によりアジャストスクリュ16bが回転しつつプッシュロッド16aに向けて移動して、図5に示すように、オートテンショナ10は伸長状態となる。
このため、メンテナンス後のオートテンショナ10の再組付けに際しては、オートテンショナ10を収縮状態にして組付けを行なう必要がある。
オートテンショナ10の収縮に際しては、プラグ25を取外し、スプリングシート27およびスプリング26をねじ孔24から外部に取り出したのち、図5に示すように、ねじ孔24にレンチAを挿入してレンチ係合部23に係合し、そのレンチAに回転力を負荷してアジャストスクリュ16bを同図の鎖線で示すようにナット部材14の内側に納まる位置まで後退させる。
アジャストスクリュ16bの後退後、プッシュロッド16aをリターンスプリング17の弾性に抗して押し込み、ピン孔32がセット孔31に一致するまでプッシュロッド16aを押し込んだのち、セット孔31およびピン孔32にセットピン33を挿入して、オートテンショナ10を収縮状態に保持する。
セットピン33の挿入後、レンチAを引き抜き、ねじ孔24から内部にスプリング26およびスプリングシート27を挿入し、ねじ孔24にプラグ25をねじ係合してねじ孔24を閉塞したのち、オートテンショナ10の再組付けを行なう。
上記のように、ねじ孔24にレンチAを挿入し、そのレンチAをレンチ係合部23に係合して回転させることにより、アジャストスクリュ16bを後退動させることができ、その後退動後にプッシュロッド16aを押し込むことによってオートテンショナ10を収縮状態とすることができるため、オートテンショナ10を簡単に再組付けすることができる。
図3に示す例においては、プッシュロッド16aの後端面を平面とし、その後端面にアジャストスクリュ16bの突軸部28の球面28aを接触させるようにしたが、図4に示すように、突軸部28の先端面を平面とし、プッシュロッド16aの後端に球面34を設けるようにしてもよい。
この発明に係るオートテンショナを採用したチェーンの張力調整装置の概略図 この発明に係るオートテンショナの縦断正面図 アジャストスクリュの組込み部を拡大して示す断面図 アジャストスクリュの他の例を示す断面図 アジャストスクリュのレンチ係合部にレンチを係合させた状態の縦断正面図
符号の説明
11 ハウジング
13 シリンダ室
14 ナット部材
15 雌ねじ
16 ロッド部材
16a プッシュロッド
16b アジャストスクリュ
17 リターンスプリング
19 スライド部材
20 ガイド部材
21 雄ねじ
23 レンチ係合部
28a 球面
29 圧力側フランク
30 遊び側フランク
31 セット孔
32 ピン孔
33 セットピン
34 球面

Claims (4)

  1. 一端が開口するシリンダ室が形成されたハウジングと、そのハウジングのシリンダ室内に組込まれたナット部材と、そのナット部材の内周の雌ねじにねじ係合される雄ねじを後端部の外周に有するロッド部材と、そのロッド部材に外方向への突出性を付与するリターンスプリングとから成り、前記ロッド部材を前記リターンスプリングのばね力が負荷される軸方向に移動可能なプッシュロッドと、そのプッシュロッドと同軸上の配置とされて雄ねじを外周に有するアジャストスクリュとに分割し、前記プッシュロッドを、その後端部に設けられてシリンダ室の内径面に沿ってスライド可能なスライド部材とシリンダ室の嵌合面、およびシリンダ室の開口端側に設けられてプッシュロッドをスライド自在に支持するガイド部材とプッシュロッドの嵌合面の2箇所においてスライド自在に支持し、前記スライド部材に前記リターンスプリングのばね力を負荷し、前記アジャストスクリュをプッシュロッドに向けて付勢するスプリングを設け、前記ナット部材の雌ねじとアジャストスクリュの雄ねじを、アジャストスクリュに負荷される押し込み力を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状ねじとし、前記シリンダ室の閉塞端壁に前記スプリングの外径より大径とされてプラグのねじ込みによって閉塞されるねじ孔を形成し、アジャストスクリュにはそのねじ孔から挿入されるレンチが係合可能なレンチ係合部を設けたオートテンショナ。
  2. 前記ガイド部材を、シリンダ室の開口部に設けられた潤滑油封止用のシール部材よりシリンダ室の開口端側に設けた請求項に記載のオートテンショナ。
  3. 前記プッシュロッドの後端面とアジャストスクリュの先端面におけるいずれか一方を球面とした請求項1又は2に記載のオートテンショナ。
  4. 前記ハウジングの開口端部に半径方向に貫通するセット孔を形成し、プッシュロッドの先端部には半径方向に貫通するピン孔を設け、前記セット孔からピン孔にセットピンを挿入して、プッシュロッドを押し込み状態に保持するようにした請求項1乃至のいずれかに記載のオートテンショナ。
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