JPH0341992Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はオートバイ等の自動二輪車用のヒータ
内蔵グリツプに関するものである。

〔従来の技術〕

従来からオートバイにおいては手が風雨に晒さ
れているため、冬場などにおいては著しく冷え、
運転に支障をきたすものである。そのため、最近
ではハンドルのグリツプ内にヒータを組み込み、
必要に応じてグリツプを加熱するようにしてい
る。

第１１図および第１２図は既に出願されている
この種のヒータ内蔵グリツプを示す斜視図および
断面図で、符号１はハンドル２に取付けられたグ
リツプで、このグリツプ１はゴム、合成樹脂等に
よつて筒状に形成され、ハンドル２に回転自在に
嵌合されることによりスロツトルグリツプを構成
している。符号３はグリツプ１に埋設されたフレ
キシブルプリント配線板（以下、単にFPCとい
う）で、このFPC３は、ポリエステルフイルム、
ポリイミドフイルム等からなるベースフイルム４
上に銅、アルミニウム等の導電箔５を形成してヒ
ータ回路とし、その上にオーバーレイフイルム６
を被覆したもので、一側縁にはグリツプ１の外部
に導出される電源接続用導出部３ａが延設されて
いる。この電源接続用導出部３ａは、ハンドル２
に固定されたスイツチボツクス内のスイツチ７を
介して通電用のコードと接続されている。なお符
号８はブレーキレバーである。

〔考案の解決しようとする課題〕

ところで、右手用のグリツプはその回動角度に
よつてエンジンの回転数を制御するものであるた
め、ヒータ回路を形成するFPC（以下、単にFPC
ヒータという）３の電源接続用導出部３ａはグリ
ツプの回動の際に頻繁に屈曲され、断線しやすい
という問題点があつた。

また、電源接続用導出部３ａは外部に露出して
いるため、風雨に当り、しかも不注意に指などを
引掛けると破損するなどの問題点もあつた。

本考案は前記従来技術の問題点に鑑みなされた
もので、その目的は、グリツプ内に埋設されてい
るFPCヒータ、特にグリツプ外に導出される
FPCヒータの電源接続用導出部における断線や
破損の発生しにくい自動二輪車用ヒータ内蔵グリ
ツプを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案に係る自動
二輪車用ヒータ内蔵グリツプにおいては、FPC
ヒータが内蔵されたグリツプのハンドル側の端部
にジヤンクシヨンボツクスを組み付けてグリツプ
と一体化し、前記フレキシブルプリント配線板の
電源接続用導出部をジヤンクシヨンボツクス内に
導出するとともに、ジヤンクシヨンボツクス外か
ら導入された通電用リード線に接続し、この電源
接続用導出部と通電用リード線との接続部をジヤ
ンクシヨンボツクスに機械的に固着するようにし
たものである。

〔作用〕

通電用のリード線が接続されるFPCヒータの
電源接続用導出部はジヤンクシヨンボツクスによ
つて覆われて外部に露出しない。

また、FPCヒータの電源接続用導出部は、グ
リツプに一体化されたジヤンクシヨンボツクスに
固着されているので、グリツプの回動により、通
電用リード線を介しFPCヒータの電源接続用導
出部側に負荷が作用するが、この負荷はジヤンク
ボツクスへの機械的固着部において分散され、電
源接続用導出部を含むFPCヒータに伝達されな
い。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図は本考案に係る自動二輪車用ヒータ内蔵
グリツプの一実施例を示す斜視図、第２図はその
分解斜視図、第３図はその縦断面図、第４図はそ
の横断面図、第５図は組付前のFPCヒータとそ
の電気回路を示す図である。

これらの図において、符号１１はコルク入りの
ゴム製内筒体、符号１２はコルクの入つていない
ゴム製外筒体で、これらの間にFPCヒータ２０
が介在されて右手用のヒータ内蔵グリツプ１０が
構成され、ハンドル２（第４図参照）に回動自在
に嵌合されている。

FPCヒータ２０を構成するFPCの基本的構造
は、第１２図に示されるように、銅箔をベースフ
イルムとオーバーレイフイルムで挟み込んだ従来
公知の積層構造である。そして内筒体１１と外筒
体１２の間にFPCヒータ２０を埋め込んでグリ
ツプとして一体化する方法としては、半加硫状態
の内筒体１１の外周にFPCヒータ２０を巻装し、
この上に半加硫状態の外筒体１２を形成し、硬化
させてグリツプとして一体化させる。このFPC
ヒータ内蔵グリツプの製造方法については、実願
昭62−150228号に詳しく説明されており、その詳
細な説明は省略する。

FPCヒータ２０は、第５図に示されるように、
それぞれ銅箔スツトリツプが蛇行状に形成されて
直列接続された第１および第２のヒータ回路２０
Ａ，２０Ｂとからなる。FPCヒータ２０の一側
縁部にはグリツプ外に導出される電源接続用導出
部２１が形成されている。この導出部２１には、
銅箔が露出する３個のランドR₁，R₂，R₃が形成
されており、ここに電源であるバツテリ２４から
延びる通電用のコード４０が接続される。また、
ランドR₁〜R₃には締結ネジ挿通孔２１ａがあけ
られている。そしてこれら両ヒータ回路２０Ａ，
２０Ｂを切替スイツチ２２によつて選択的に切替
えてバツテリ２４に接続することにより、加熱温
度を二段階に切替えることができる。例えばスイ
ツチ２２を接点Ｈに接続すると、第１および第２
のヒータ回路２０Ａ，２０Ｂがバツテリ２４に対
して直列接続され、一方、接点Ｌに切替接続する
と第１のヒータ回路２０Ａのみがバツテリ２４に
接続され、さらに接点Ｏに切替接続すると、ヒー
タ回路がOFFとなる。

FPCヒータ２０を構成する各ヒータ回路２０
Ａ，２０Ｂの各銅箔ストリツプは、グリツプ軸方
向（第５図左右方向）に延在するような回路パタ
ーンに形成されている。そのためグリツプ円周方
向（第５図上下方向）にFPCヒータ２０を曲げ
易く、ヒータ内蔵グリツプの製造において、前記
した内筒体１１の外周にFPCヒータ２０を巻装
する作業が容易となつている。

またFPCヒータ２０には、第５図に示される
ように、周方向端縁部には丸孔２６が形成され、
また軸線方向端部には周方向に適宜間隔をおいて
複数個の長孔２８が形成されており、これらの孔
２６，２８を介して前記内筒体１１と外筒体１２
とが溶着されている。

また長孔２８は周方向に長く形成されており、
FPCヒータ２０をグリツプ内に埋設する際に、
即ち、FPCヒータ２０を内筒体１１の外周に巻
装する場合に、FPCヒータ２０の変形や浮き上
がなく、巻装作業がスムーズとなる。

またFPCヒータ２０は、第４図に示されるよ
うに、内筒体１１の外周の長さより短かく、した
がつて周方向両端部が重合することはない。

ヒータ内蔵グリツプ１０のハンドル側の端部に
は、硬質プラスチツク製のジヤンクシヨンボツク
ス３０が組み付けられてグリツプ１０と一体化さ
れている。ジヤンクシヨンボツクス３０が組付け
られるグリツプ端部１３は、第２図に示されるよ
うに、蒲鉾形とされ、その外周にはフランジ１４
が形成されている。そして蒲鉾底面領域には浅い
凹部１３ａが形成され、この凹部１３ａとフラン
ジ１４の交わる部分からFPCヒータの電源接続
用導出部２１がグリツプ外に導出されている。

ジヤンクシヨンボツクス３０は、第１図および
第２図に示されるように、半円形状の上枠３２、
カバー３４および下枠３６とから構成されてい
る。

上枠３２は断面Ｕ字形状とされてコード挿通孔
３３に連通する導出部収納用凹部３２ａが形成さ
れている。この凹部３２ａの底面にはグリツプ端
部１３の蒲鉾底面側に係合する切欠部３２ｂが形
成されている。この凹部３２ａの底面には、電源
接続用導出部２１のランドR₁〜R₃のネジ挿通孔
２１ａに対応させて金属製雌ネジ部３２ｃが埋め
込まれている。そしてランドR₁〜R₃は、締結ネ
ジ３８によつて、外部から導かれた通電用コード
４０の接続端子４１と共締めされて凹部３２ａ底
面に固着されている。コード挿通孔３３の外周壁
には、切欠３３ａが形成され、ここにコードクラ
ンプ部材であるインシユロツク３３ｂが巻装され
ている。そのためコード４０はインシユロツク３
３ｂによつてコード挿通孔３３にクランプされ、
コード挿通孔３３でのコード４０の摺動をなくし
て接続端子４１側への負荷の伝達を抑制してい
る。なお符号３４ｆは後述する締結ネジ５０が螺
合するネジ孔である。

カバー３４は上枠３２と同一平面形状とされ、
グリツプ端部１３に組み付けられると同時に、上
枠３２の導出部収納用凹部３２ａを塞ぐようにな
つている。なお符号３４ｄは、カバー下端部裏面
（第２図紙面裏側）に突設され、上枠下端部（グ
リツプへの組み付け側の端部）３２ｄが丁度係合
するフランジ部で、ここには締結ネジ５０を通す
ネジ挿通孔３４ｅが形成されている。符号３４ｂ
は切欠部で、上枠３２の切欠部３２ｂと同一形状
である。符号３４c₁，３４c₂はカバー表裏面に突
出形成されている補強用のリブで、リブ３４c₂は
上枠凹部３２ａ形成側壁面３２ｅと面接触すると
ともに、凹部３２ａの底面に丁度当接する。

下枠３６も前記上枠３２と同様、断面Ｕ字形状
とされ、凹部３６ａが形成されている。凹部３６
ａの底面にはグリツプ端部１３の蒲鉾球面側と係
合する切欠部３６ｂが形成され、この切欠部３６
ｂ周縁部中央位置には尖頭突起３７が突出形成さ
れている。この突起３７は、ジヤンクシヨンボツ
クス３０の一部である下枠３６のグリツプ端部へ
の組み付け時に、端部外周面に圧入し、グリツプ
１０とジヤンクシヨンボツクス３０との一体化を
確保するものである。即ち、グリツプ１０とジヤ
ンクシヨンボツクス３０とは、一対の蒲鉾コーナ
部１３ｂと突起係合部１３ｃとの三点においてグ
リツプ周方向に支持されており、突起３７がない
場合に比べてグリツプ側に作用する荷重は均一に
分散され、従つてFPCヒータ２０に偏つた応力
が作用するという不具合がない。なお符号３６ｄ
は上枠下端部３２ｄに対向する下枠上端部で、締
結ネジ５０のネジ孔３６ｅが形成されている。

次にジヤンクシヨンボツクス３０のグリツプ端
部１３への組み付け手順、および通電用コード４
０とFPCヒータ２０との接続手順を説明する。

まず電源接続用導出部２１の裏側に上枠３２の
凹部３２ａの底面がくるように、上枠３２をグリ
ツプ端部１３に組み付ける。次にコード４０の接
続端子４１およびランドのネジ挿通孔２１ａを締
結ネジ３８によつて上枠凹部底面にネジ締結す
る。ついでカバー３４を上枠３２に係合させると
ともに、これをグリツプ端部外周に組み付け、グ
リツプ端部１３下方より下枠３６を組み付ける。
そして締結ネジ５０によつて上枠３２、カバー３
４、下枠３６を上下方向に締結し、グリツプ端部
１３を上下方向に挟み付けるようにして、ジヤン
クシヨンボツクス３０をグリツプ端部１３に取り
付け固定する。

このように本実施例では、コード４０と電源接
続用導出部２１とがジヤンクシヨンボツクス３０
内において接続されているので、FPC２０が風
雨に晒されることも、引つぱられて破損すること
もない。

またジヤンクシヨンボツクス３０は上下枠３
２，３６、カバー３４をネジ締結してグリツプ端
部１３に組み付けた非常にコンパクトなものであ
り、グリツプ操作上邪魔になることはない。また
通電用コード４０を交換する際には、ネジ締結を
外して簡単に分解できるので、コード４０の交換
も容易である。

さらにグリツプ回転操作時にはコード４０が外
方に引張られるが、この外力はまずコード挿通孔
３３部で受け止められ、さらに締結ネジ３８で受
け止められて分散されるので、FPCヒータ２０
に外力が伝達されず、FPCヒータ２０が断線す
ることはない。

第６図〜第８図はFPCヒータを内蔵するグリ
ツプの構造に改良を加えた他の実施例を示すもの
である。

第６図ａはヒータ内蔵グリツプの横断面図、第
６図ｂはその要部斜視図を示すもので、内筒体１
１の外筒体１２との接合面を、図に示されるよう
な軸方向に延びる凹凸溝形状１１ａとして両者１
１，１２間の接合強度、特にグリツプ円周方向に
対する接合強度を高めるようになつている。

第７図ａ，ｂはさらに他の実施例を示すもの
で、内筒体１１の外筒体１２との接合面に半球状
の凹部１１ｂを形成して両者１１，１２間の接合
強度を高めるようになつている。

また図示しないが、内筒体の外筒体との接合面
にシボ模様を形成するようにして、内外筒体間の
接合強度を高めるようにしてもよい。

第８図は、内筒体１１の外周面を曲率の小さい
横断面波形形状とし、巻装したFPCヒータ２０
をこの波形表面に密着させるようにして、内外筒
体１１，１２間の接合強度を高めるようにしてい
る。

このように第６図〜第８図では、内外筒体間の
接合面をいずれも凹凸面形状として内外筒体間の
接合強度を高め、両者間の剥離を防ぐようになつ
ている。またハンドルとFPCヒータとの間には
コルク入りゴム層である内筒体が介在されている
結果、FPCヒータからハンドル側への放熱を抑
制するという断熱効果が生じている。

第９図および第１０図は本考案のさらに他の実
施例を示すものである。

前記した実施例は、いずれもコルク入りのゴム
製内筒体１１の外周にFPCヒータ２０を巻装し、
この上に外筒体１２を内筒体１１と同一長さに形
成してグリツプとして一体化しているが、本実施
例では、内筒体１１のFPCヒータ２０が巻装さ
れる領域だけをコルク入りゴム層１１１で形成
し、その他の領域はコルクの入らないゴム層１１
２で形成するようにしたものである。

そいてコルク入りゴム層１１１の周方向端部１
１１ａ，１１１ａ間には、第１０図符号１１２ａ
で示されるように、外筒体１２を形成するコルク
の入らないゴム層１１２が入り込んで内筒体１１
の一部を形成しており、この領域１１２ａが内外
筒体１１，１２間の周方向の接合強度を強固なら
しめている。即ち、グリツプの回動操作によつて
内外筒体１１，１２間には周方向のトルクが作用
し、このためFPCヒータ２０の巻装面において
内外筒体１１，１２間に剥離が生ずるおそれがあ
るが、この突出領域１１２ａが内外筒体１１，１
２間の周方向への相対スベリを妨げるストツパー
として機能するので、内外筒体１１，１２間に剥
離が生じない。

またFPCヒータ２０の巻装領域を除いた他の
領域は、コルクの入らないゴム層１１２によつて
形成されているので、グリツプとしての適度な弾
性力が確保されるとともに、コルク入りゴム層１
１１の脆さをカバーできるようになつている。

また高価なコルク入りゴムの使用量が少なくて
すむことから、それだけヒータ内蔵グリツプを安
価に提供することができるという利点もある。

〔考案の効果〕

以上の説明から明かなように、本考案に係る自
動二輪車用ヒータ内蔵グリツプにおいては、
FPCヒータの電源接続用導出部はジヤンクシヨ
ンボツクスによつて覆われて外部に露出しないの
で、FPCヒータの電源接続用導出部が風雨に晒
されることもなく、また引つかかつて破損する不
具合もない。

また電源接続導出部と通電用リード線との接続
部はジヤンクシヨンボツクスに機械的固着されて
おり、グリツプの回動により通電用リード線側か
らFPCヒータの電源接続用導出部に負荷が伝達
されるが、この負荷は、リード線のジヤンクシヨ
ンボツクスへの機械的固着部において分散され、
電源接続用導出部を含むFPCヒータに伝達され
ない。従つてFPCヒータ、特に電源接続用導出
部が断線することがなく、FPCヒータ内蔵グリ
ツプの耐久性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例であるヒータ内蔵グ
リツプの斜視図、第２図はその分解斜視図、第３
図はその縦断面図、第４図はその横断面図、第５
図はグリツプに埋設されるFPCヒータの平面図
および回路構成図、第６図ａは他の実施例の横断
面図、第６図ｂはその要部斜視図、第７図ａはさ
らに他の実施例の横断面図、第７図ｂはその要部
斜視図、第８図はさらに他の実施例の横断面図、
第９図はさらに他の実施例の縦断面図、第１０図
は第９図に示す線Ｘ−Ｘに沿う断面図、第１１図
および第１２図は従来のヒータ内蔵グリツプの斜
視図および横断面図である。 ２……ハンドル、１０……ヒータ内蔵グリツ
プ、１１……内筒体、１２……外筒体、１３……
グリツプ端部、２０……FPCヒータ、２１……
FPCヒータの電源接続用導出部、２０Ａ……第
１のヒータ回路、２０Ｂ……第２のヒータ回路、
３０……ジヤンクシヨンボツクス、３２……上
枠、３４……カバー、３６……下枠、３８……電
源接続用導出部と通電用リード線の機械的固着手
段である締結ネジ、４０……通電用リード線であ
るコード、４１……接続端子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハンドルに回転自在に取付けられた右手用グリ
   ツプ内に、ヒータ回路を形成するフレキシブルプ
   リント配線板が埋設された自動二輪車用ヒータ内
   蔵グリツプであつて、グリツプのハンドル側の端
   部にジヤンクシヨンボツクスが組み付けられてグ
   リツプに一体化され、前記フレキシブルプリント
   配線板の電源接続用導出部がジヤンクシヨンボツ
   クス内に導出されるとともに、ジヤンクシヨンボ
   ツクス外から導入された通電用リード線に接続さ
   れ、この電源接続用導出部と通電用リード線との
   接続部がジヤンクシヨンボツクスに機械的に固着
   されてなることを特徴とする自動二輪車用ヒータ
   内蔵グリツプ。