JPH0339159B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (a) 発明の技術分野 本発明はシールド工法により、断面が楕円形状
のトンネル等を掘削する場合に使用するに好適
な、楕円シールド掘削機に関する。

(b) 技術の背景 通常、シールド掘削機で掘削されるトンネルの
断面は円形のものがほとんどであつたが、最近で
は、断面が楕円のトンネルに対する要望も強く、
こうした楕円形状のトンネルをシールド工法で掘
削するシールド掘削機の開発が望まれている。

また、トンネルを楕円形状に掘削するために、
円盤状のカツタの掘削面をトンネル掘削方向に対
して斜め下方に傾斜した形で設け、カツタのトン
ネル掘削方向に対する投影成分が楕円となること
を利用して掘削を行なう提案も、特開昭47−
40828などにある。しかし、カツタを斜めに設け
ると、掘削時にカツタの掘削面に対して直角方向
に作用する掘削反力がトンネル掘削方向と一致し
なくなるので、シールド掘削機の姿勢制御が極め
て難しくなる不都合があつた。

更に、泥水シールド工法等の加工式シールド工
法のように、軟弱地盤に対する掘削を行なう場
合、同一の切羽部分が長時間泥水等に晒される
と、落盤などの重大事故につながる危険性が高い
ので、こうした場所の掘削に用いられる、切羽部
分とトンネル内部が隔壁などにより仕切られたシ
ールド機においては、掘削中、長時間に亙に同一
の切羽が露出しないようなカツタ構造が望まれ
る。

(c) 発明の目的 姿勢制御が容易で、しかも掘削中、同一の切羽
が長時間露出しないカツタ構造を有する楕円シー
ルド掘削機を提供することを目的とするものであ
る。

(d) 発明の構成 即ち、本発明は、ケーシングを有するシールド
掘削機において、前記ケーシングのトンネル掘削
方向に垂直な方向の断面を楕円形状に形成すると
共に、ケーシング内部と掘削する切羽との間に仕
切手段を設け、前記ケーシングのトンネル掘削方
向に対向する掘削正面に楕円駆動機構を設け、該
楕円駆動機構に、円盤状に形成された１個以上の
カツタをその掘削面をトンネル掘削方向に対して
直角となるように前記楕円駆動機構によりケーシ
ング外周に沿つて移動駆動自在に設け、更に前記
カツタの掘削面を、前記楕円駆動機構により前記
カツタがケーシング外周に沿つて一周する際に、
前記掘削面の軌跡が前記シールドの全断面を被覆
し得るように形成して構成される。

(e) 発明の実施例 以下、図面に基づき、本発明の実施例を、具体
的に説明する。

第１図は本発明による楕円シールド掘削機の一
実施例を示す正面図、第２図は第１図の側面図、
第３図は本発明の別の実施例を示す正面図であ
る。

楕円シールド掘削機１は、第１図及び第２図に
示すように、断面が楕円形のケーシング２を有し
ており、ケーシング２の第２図右端面、即ちケー
シング２の内部に対して隔壁により仕切られた掘
削正面２ｃには楕円駆動機構１１が設けられてい
る。楕円駆動機構１１には円盤状に形成されたカ
ツタ３が、カツタ３の中心３ｄに対して回転駆動
自在、かつカツタ３の外周部がケーシング２の外
周２ｂに沿つて楕円状に移動し得るように移動駆
動自在に設けられている。カツタ３はその掘削面
３ｅが掘削機１の掘削方向、即ち矢印Ａ方向に対
して直角になるように装着されており、カツタ３
のの表面には複数のスリツト３ａが穿設され、ス
リツト３ａの周囲には、多数のビツト３ｂが形成
されている。

楕円シールド掘削機１は、以上のような構成を
有するので、楕円シールド掘削機１により断面が
楕円形のトンネル６を掘削する場合には、トンネ
ル６の掘削方向にケーシング２の掘削正面２ｃを
向けて、楕円運動機構１１を駆動して、カツタ３
をカツタ３の中心３ｄを中心に回転させる（自転
させる）と共に、ケーシング２の外周２ｂに沿つ
て楕円状に移動（公転）駆動させる。この際、ケ
ーシング２に、図示しない油圧ジヤツキ等により
トンネル６の掘削方向である矢印Ａ方向に所定の
掘削圧力をかけると、トンネル６の切羽６ａが、
自転し、かつ公転するカツタ３により掘削され、
トンネル６はその断面が楕円形状に掘削される。

なお、カツタ３の掘削面３ｅの移動軌跡は、第
１図に示すように、カツタ３がケーシング２の外
周２ｂに沿つて１回公転することにより、ケーシ
ング２の掘削方向に直角な方向の全断面を被覆す
るように構成されいるので、カツタ３が１回公転
すると、ケーシング２の掘削方向正面と対向する
全切羽部分はカツタ３により所定量掘削され、新
たな切羽面が生成されるので、長時間同一の切羽
が露出するようなことは無く、安全である。

こうして、カツタ３により、ケーシング２をＡ
方向に進行させつつ掘削を継続してゆくと、あと
には断面楕円形のトンネル６が形成される。

なお、上述の実施例は、公転するカツタ３を１
個のカツタ３から構成した場合について説明した
が、公転するカツタ３は１個に限らず、第３図に
示すように、複数のカツタ３から構成するように
してもよいことは勿論である（第３図の場合は４
個のカツタ３から構成される）。なお、この場合、
各カツタ３は、各カツタ３の中心を中心にして回
転する。

(f) 発明の効果 以上、説明したように、本発明によれば、ケー
シング２を有するシールド掘削機１において、前
記ケーシング２の矢印Ａ方向などのトンネル掘削
方向に垂直な方向の断面を楕円形状に形成すると
共に、ケーシング内部と掘削する切羽との間に仕
切手段を設け、前記ケーシングのトンネル掘削方
向に対向する掘削正面２ｃに楕円駆動機構１１を
設け、該楕円駆動機構に、円盤状に形成された１
個以上のカツタ３をその掘削面３ｅをトンネル掘
削方向に対して直角となるように前記楕円駆動機
構によりケーシング外周に沿つて移動駆動自在に
設け、更に前記カツタの掘削面を、前記楕円駆動
機構により前記カツタがケーシング外周に沿つて
一周する際に、前記掘削面の軌跡が前記シールド
の全断面を被覆し得るように形成して構成したの
で、断面が楕円のトンネルをシールド工法により
容易に掘削することが出来、最近の楕円断面のト
ンネルの掘削の要請に答え得る楕円シールド掘削
機１の提供が可能となる。

また、カツタ３の掘削面３ｅがトンネル掘削方
向に対して直角となるように設けられているの
で、切羽６ａからの掘削反力は、矢印Ａ方向とは
逆の方向、即ちケーシング２の軸心方向に、トン
ネル掘削方向と一致した形で作用する。従つて、
断面が楕円のトンネルを掘削するために円形のカ
ツタを斜めに装着した場合のように、掘削機に作
用する掘削反力とトンネル掘削方向の不一致から
生じる困難な姿勢制御上の問題を容易に解決する
ことが出来る。

また、カツタの掘削面を、前記楕円駆動機構に
より前記カツタがケーシング外周に沿つて一周す
る際に、前記掘削面の軌跡が前記シールドの全断
面を被覆し得るように形成したので、カツタ３が
ケーシング外周に沿つて一周すると、ケーシング
２の掘削方向正面と対向する全切羽部分はカツタ
３により所定量掘削され、新たな切羽面が生成さ
れるので、長時間同一の切羽が露出するようなこ
とは無く、安全である。特にこの点は、都市部の
軟弱地盤を掘削することの多い泥水シールド工法
などに適用する場合に、地盤沈下などの問題の発
生を未然に防止することが出来、事故防止及び工
事公害の発生防止上、極めて効果的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による楕円シールド掘削機の一
実施例を示す正面図、第２図は第１図の側断面
図、第３図は本発明の別の実施例を示す正面図で
ある。 １……楕円シールド掘削機、２……ケーシン
グ、２ｂ……外周、３……カツタ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケーシングを有するシールド掘削機におい
   て、 前記ケーシングのトンネル掘削方向に垂直な方
   向の断面を楕円形状に形成すると共に、ケーシン
   グ内部と掘削する切羽との間に仕切手段を設け、 前記ケーシングのトンネル掘削方向に対向する
   掘削正面に楕円駆動機構を設け、 該楕円駆動機構に、円盤状に形成された１個以
   上のカツタをその掘削面をトンネル掘削方向に対
   して直角となるように前記楕円駆動機構によりケ
   ーシング外周に沿つて移動駆動自在に設け、 更に前記カツタの掘削面を、前記楕円駆動機構
   により前記カツタがケーシング外周に沿つて一周
   する際に、前記掘削面の軌跡が前記シールドの全
   断面を被覆し得るように形成して構成した楕円シ
   ールド掘削機。