JPH033794Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、廃棄物の焼却施設における廃棄物を
焼却炉へ供給するスクリユーコンベヤ式給じん機
の定量供給性能を向上させるための給じん機のご
み押し込み機構に関するものである。

〔従来技術〕

近年、廃棄物、特に都市ごみ焼却施設におい
て、流動床炉が発達してきている。流動床炉は焼
却物残渣が少なく極めて衛生的な焼却炉である。
また、運転停止・運転再開が短時間にできる等の
メリツトもあり中小規模、特に間欠運転をする都
市ごみ焼却場において流動床炉が採用される例
が、年間建設件数の半数以上を占めるに到つてい
る。流動床の欠点は流動層の砂を風力で流動化さ
せるための動力、或いはごみを焼却する前の前処
理に用いる破砕機の動力というように運転動力を
多く必要とするということである。しかしながら
最近破砕機を必要としない無破砕流動床炉も普及
してきている。

流動床炉は流動層の砂を流動させるために、一
定空気量を吹き込んでいる。この流動層でのごみ
の燃焼を一次燃焼とすると、砂中でごみがガス化
し、燃焼しながらフリーホード部で２次燃焼をす
る。一次燃焼は一定空気量を吹き込んでいるの
で、ごみ量が大きく変動すると砂中より出てくる
燃焼ガス中の組成が変動する。即ち、燃焼未完結
の一酸化炭素、シアン、アンモニア等の未燃焼ガ
ス量の変動が起こる。これら未燃ガスの煙突より
の排出対策としては、予め排出酸素濃度がどれだ
けあれば未燃ガスの発生を抑えられるかを測定し
ておき排ガスの酸素濃度コントロールをしてい
る。しかし、あまりにも変動がしばしばおこる
と、フイードバツクコントロールのため追従する
までの間は未燃ガスが排出されることになる。従
つて、ごみの供給量の変動を少なくするために、
給じん機の定量性能向上は安定燃焼をする上で重
要なポイントである。

従来給じん機の定量性を妨げているのは、給じ
ん機に付属する投入ホツパーのブリツジである。
このため投入ホツパーの形状をいろいろ変えてブ
リツジが起こりにくいように追求してきた。さら
に、スクリユーコンベヤ式給じん機においては、
スクリユー径、スクリユー回転数とブリツジの関
係も追求してきた。

また、最近ではスクリユー式給じん装置におい
ては、排出量が大きく変動するのを防ぐため、第
６図に示すように投入ホツパーの下部に制限壁１
０を設けたものがある。しかしながらこのように
投入ホツパーの下部に制限壁１０を設けたものに
おいては、該制限壁１０の内面にごみが圧密さ
れ、へばりつく傾向がある。そしてこのへばりつ
いたごみはブリツジを形成し、排出量の変動或い
は極端な場合には排出不能となるという問題があ
る。この制限壁１０にへばりつくごみを落すため
のプツシヤーを取り付けたもの（例えば、特開昭
54−81516号公報）、或いはごみ落とし用のスクリ
ユーを設けたもの（例えば、特開昭57−166233号
公報）等がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記制限壁にへばりつくごみを
落下させるためのプツシヤーやスクリユーを設け
た給じん機においても、給じん量の安定化に限界
があり、排ガス量Ｑ、排ガス酸素濃度O₂は第４
図ａに示すように大きく変動していた。

また、ごみを破砕して給じんするとごみが細か
いだけ給じん機の呑み込みもよく、排ガスの酸素
濃度を８％にコントロールしておけば給じん量が
変動してもその変動量が少ない内は未燃ガスがほ
とんど排出しないが、しかし変動量が大きくなる
と酸素濃度10％以上にしておかないと未燃ガスが
排出してしまうという問題点があつた。また、通
常運転で給じん量の変動を想定して酸素濃度を高
く運転することは、排ガス量を必要以上に増加さ
せて運転していることになり、排ガス系の機器が
大きくなり、設備費の高いものとなるし、排ガス
誘引フアンの馬力、二次空気フアンの馬力も大き
くなり、運転経費が高価なものとなり、経済的に
不利となるという欠点があつた。

本考案は上述の点に鑑みてなされたもので、公
害対策、設備費、運転コストの低減のため、ごみ
の定量供給が可能な給じん機のごみ押し込み機構
を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決するため本考案は、廃棄物を
焼却炉へ供給するスクリユーコンベアを具備し、
該スクリユーコンベアの所定の位置の上部に位置
し、該スクリユーコンベアの中心軸に対し所定の
角度で傾斜させ廃棄物の供給量を制限する制限壁
を有する廃棄物供給路を配置した給じん機のごみ
押し込み機構において、給じん量を制限する制限
壁の一部を移動可能な移動壁とし、該移動壁と前
記スクリユーコンベアの中心軸との距離を所定タ
イミングで可変させる移動壁移動機構を設けた。

〔作用〕

上記の如く給じん量を制限する制限壁の一部を
移動可能な移動壁とし、該移動壁と前記スクリユ
ーコンベアの中心軸との距離を所定タイミングで
可変させる移動壁移動機構を設けたので、制限壁
の内面に圧密され、へばりついたごみは前記移動
壁を移動壁移動機構により押し出すことにより押
し出され、ほぐされ又はスクリユーコンベヤのス
クリユー翼に押し込まれるから、給じん機の供給
量の定量性が保たれることになる。

〔実施例〕

以下、考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は本考案に係る給じん機のごみ押し込み
機構の構造を示す図で、第２図は第１図のＡ−Ａ
線上断面図である。図示するように、ごみ投入ホ
ツパーの下部の給じん量制限壁１０の一部を移動
可能な移動壁１０−１としている。移動可能な移
動壁１０−１はシリンダー軸１３の下端に固定さ
れており、該シリンダー軸１３はケーシング１５
内を上下できるようになつている。また、ケーシ
ング１５はごみの臭いが移動壁１０−１の周辺よ
り外部にもれないようにするためのものである。
シリンダー軸１３の貫通部にはグランドパツキン
が設けられている。移動壁１０−１の巾はスクリ
ユーコンベヤ１１のスクリユー１２の径の半分よ
り大きくする。

移動壁１０−１は常時、給じん量制限壁１０と
同一面上に位置し、所定のタイミングでスクリユ
ーコンベヤ１１のごみ進行方向（矢印Ｂ方向）に
対して略垂直に降下させる。さらに、移動壁１０
−１の降下による移動量はその一部がスクリユー
コンベヤ１１のスクリユー１２の翼に翼からスク
リユー径の寸法以内まで近づける。これにより移
動壁１０−１の壁面全体に直角に働く分力F₁は
ごみをスクリユー１２に押し込もうとする分力
F₂とへばりつこうとするごみを送り方向とは逆
に戻す分力F₃とに分けられる。さらに、分力F₂
がスクリユー１２の径の半分より大きい幅の全面
にわたつて動き、一定時間スクリユー１２と側壁
との間にごみを押し込み続け、その押し込み程度
も移動壁又はその一部をスクリユーコンベヤの翼
に対してスクリユー径の寸法以内に近づけている
ことから、ごみはスクリユー翼と側壁との間に効
果的に呑み込ませることができるようになる。逆
に戻す分力F₃がスクリユー１２の径の半分より
大きい幅で移動壁１０−１の全面にわたつて働く
ことから、移動壁と移動壁近傍の壁面にごみがへ
ばりつくことなく、仮にへばりついたとしても次
のタイミングに払い落される。

上記のようにスクリユー径の半分以上の幅をも
つた移動壁１０−１を所定のタイミングで上下動
させることにより、投入ホツパーからのごみは制
限壁にへばりつくまもなくスクリユー１２に効果
的に呑み込まれると共に、仮に移動壁１０−１の
壁面にへばりついても、次のタイミングでは払い
落とされすみやかにスクリユーコンベヤの翼に、
翼からスクリユー径寸法以内の距離まで押し付け
られるから、投入ホツパーからのごみは間断なく
スクリユーコンベヤ１１に供給されることにな
り、図示しない流動床炉へのごみの供給は結果と
して、定量的に供給されることになる。

なお、上記実施例ではスクリユー１２が一本の
スクリユーコンベヤ１１を例にしめしたが、スク
リユーコンベヤ１１のスクリユーの本数は第３図
に示すように、２本のスクリユー１２−１，１２
−２を具備するものを用いても良く、またそれ以
上の本数のスクリユーを有するスクリユーコンベ
ヤを用いてもよいことは当然である。移動壁１０
−１の巾寸法は外側のスクリユーの中心と中心と
の間隔（第３図の場合はスクリユー１２−１の中
心とスクリユー１２−２の中心の間隔）以上とす
る。

上記構成のごみ押し込み機構を具備する給じん
機から供給されるごみを流動床炉で焼却した場合
の酸素濃度O₂の変化と排ガス量Ｑの変化の測定
例を第４図ｂに示す。同図ａの従来例に比較し、
本実施例のごみ押し込み機構を用いた場合は、ス
クリユーコンベヤの定量供給性が高まることか
ら、燃焼割合の変動が少なくなり、酸素濃度O₂
及び排ガス量Ｑの変化が小さくなつていることが
確認できる。

第５図は本考案に係る給じん機のごみ押し込み
機構の構造を示す図である。図示するように本実
施例では、給じん量制限壁１０の一部の移動壁１
０−２が水平方向の一辺を回転軸１６としてスク
リユーコンベヤ１１のごみ進行方向（矢印Ｅ方
向）と逆方向に回転するように構成されている。

第５図において、１７は前記移動壁１０−２を
回動させるためのシリンダーであり、該シリンダ
ー１７に出入自在のピストン２０の先端が移動壁
１０−２の背面に固定されたブラケツト１９に回
動自在に枢支され、シリンダー１７の端部は給じ
ん量制限壁１０の外面に固定されたブラケツト１
８に枢支される。ピストン２０を矢印Ｃ方向に伸
縮させることにより、移動壁１０−２が回転軸１
６を中心に給じん量制限壁１０の内側、即ちスク
リユー１２によるごみの進行方向（矢印Ｅ方向）
と逆方向に回動する。

上記構造の押し込み機構において、スクリユー
翼の径の半分以上の幅をもつ移動壁１０−２を回
転軸１６を中心に所定のタイミングで回転させス
クリユーコンベヤの翼に翼からスクリユー径寸法
以内の距離まで押し付けることにより、移動壁１
０−２の壁面にへばりつこうとするごみはスクリ
ユー１２のスクリユー翼に呑み込まされると共
に、ごみを送り方向とは逆に戻す力により移動壁
１０−２の壁面にへばりつこうとするごみが払い
落とされるから、第１図及び第２図に示す押し込
み機構と同様の作用効果を奏する。

上記実施例では給じん量制限壁１０の一部を移
動壁１０−１，１０−２とし、所定のタイミング
で作動することによつて、ごみをスクリユー翼に
喰い込ませる作用を有するから、給じん機の供給
量の定量性が得られる。また、第４図に示す如
く、従来のものに比較し、燃焼排ガス量Ｑ及び酸
素濃度O₂のバラツキが明らかに小さくなる。

また、給じん装置が破砕機を具備しない無破砕
給じん方式の流動床炉でも、上記実施例のごみ押
し込み機構を採用することにより、都市ごみのよ
うにその性質の千差万別と異なるものが混入して
なるものを定量供給することが可能となるから、
焼却施設の建設費及び経費の軽減化が図れる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば下記のよう
な優れた効果が得られる。

移動壁を移動壁移動機構により所定のタイミ
ングで移動させるので、制限壁の内面に圧密さ
れへばりついたごみは押し出されほぐされ又は
スクリユーコンベヤのスクリユー翼に押し込ま
れるから、給じん機の供給量の定量性が得られ
る。

上記の効果によりスクリユーコンベヤによ
り無破砕給じん方式の流動床炉においても排ガ
ス量及び酸素濃度の変化を小さく抑えることが
できるから、公害対策等に優れた焼却設備を安
価に提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る給じん機のごみ押し込み
機構の構造を示す図、第２図は第１図のＡ−Ａ線
上断面図、第３図は他のスクリユーコンベヤ部分
を示す図（第１図のＡ−Ａ線上断面図に相当）、
第４図は本考案に係るごみ押し込み機構及び従来
のごみ押し込み機構を具備する給じん機を用いた
流動床炉の排ガス量Ｑ及び排ガス酸素濃度O₂の
変化状態を示す図、第５図は本考案に係る他の給
じん機のごみ押し込み機構の構造を示す図、第６
図は従来の給じん機のごみ押し込み機構の構造を
示す図である。 図中、１０……給じん量制限壁、１０−１，１
０−２……移動壁、１１……スクリユーコンベ
ヤ、１２……スクリユー、１３……シリンダー
軸、１４……グランドパツキン、１５……ケーシ
ング、１６……回転軸、１７……シリンダー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 廃棄物を焼却炉へ供給するスクリユーコンベ
   アを具備し、該スクリユーコンベアの所定の位
   置の上部に位置し、該スクリユーコンベアの中
   心軸に対し所定の角度で傾斜させ廃棄物の供給
   量を制限する制限壁を有する廃棄物供給路を配
   置した給じん機のごみ押し込み機構において、 前記給じん量を制限する制限壁の一部を移動
   可能な移動壁とし、該移動壁と前記スクリユー
   コンベアの中心軸との距離を所定タイミングで
   可変される移動壁移動機構を具備することを特
   徴とする給じん機のごみ押し込み機構。 (2) 前記移動壁移動機構は前記移動壁を前記スク
   リユーコンベアの中心軸に対して略直角に上下
   動させる移動機構であることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第(1)項記載の給じん機のご
   み押し込み機構。 (3) 前記移動壁移動機構は前記移動壁をその水平
   の一辺を回転軸としてスクリユーコンベアのご
   み進行方向と逆方向に回転するように構成した
   移動機構であることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第(1)項記載の給じん機のごみ押し込
   み機構。 (4) 前記移動壁の少なくとも水平方向の一辺の幅
   寸法は前記スクリユーコンベアのスクリユー径
   の半分以上の長さであることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第(1)項記載の給じん機のご
   み押し込み機構。 (5) 前記移動壁又はその一部を前記スクリユーコ
   ンベアの翼に該翼から前記スクリユー径の寸法
   以内に近づけたことを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第(1)項記載の給じん機のごみ押し込
   み機構。