JPH0336782B2 - - Google Patents
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- JPH0336782B2 JPH0336782B2 JP60040754A JP4075485A JPH0336782B2 JP H0336782 B2 JPH0336782 B2 JP H0336782B2 JP 60040754 A JP60040754 A JP 60040754A JP 4075485 A JP4075485 A JP 4075485A JP H0336782 B2 JPH0336782 B2 JP H0336782B2
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Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
Description
産業上の利用分野
本発明は、窒化アルミニウムを主成分とする熱
伝導性の優れた焼結体と、その製造方法に関す
る。 更に詳細には本発明は熱伝導率が120W/m・
K以上であり、IC基板、ヒートシンク、レーザ
ーデイスクおよびマイカ代替絶縁性薄板等の材料
として好適な新規な焼結体とその製造方法に関す
る。 従来の技術 最近のLSI技術の進歩は目覚ましく、集積度の
向上が著しい。これには、ICチツプサイズの向
上も寄与しており、ICチツプサイズの拡大に伴
つてパツケージ当りの発熱量は増大している。こ
のため基板材料の熱伝導性が重要視されるように
なつてきた。 一方、IC基板には従来アルミナが用いられて
きたが、アルミナ焼結体は熱伝導率が低くいので
放熱性が不十分ではない。従つて、ICチツプの
発熱量の増大に対応できなくなりつつある。そこ
で、アルミナ基板に代わる材料として、極めて熱
伝導性の高いベリリア基板を使用することが試み
られているが、ベリリアは毒性が強いので取扱い
が難しいという欠点があり、用途は限定されてい
る。以上のような技術的背景から、熱伝導性の優
れた新規な基板材料の開発が切望されている。 発明が解決しようとする問題点 上述のような用途に使用することができる熱伝
導性に優れた基板材料として、アルミナよりも遥
かに高い熱伝導性を有する窒化アルミニウムの焼
結体が知られている。即ち、窒化アルミニウム単
結晶は、理論的には300W/m・K程度の熱伝導
率を有している。 ところが、実際に基板材料として使用される窒
化アルミニウム焼結体の熱伝導率は、せいぜい
50W/m・K程度である。そこで、焼結体として
の窒化アルミニウムの熱伝導性を改善するため
に、原料粉末に各種の化合物を添加して焼結し、
焼結体の熱伝導度の向上を図る試みが種々提案さ
れている。しかしながら、いまのところ達成され
ている窒化アルミニウムの熱伝導率は100W/
m・K程度である。 従つて、本発明の目的は、放熱性の高いIC基
板、ヒートシンクマイカ代替絶縁性薄板の材料と
して使用することが可能な120W/m・K以上の
熱伝導率を有する、窒化アルミニウムを主成分と
した新規な焼結体とその製造方法を提供すること
にある。 問題点を解決するための手段 即ち、本発明に従うと、窒化アルミニウムを主
成分とする焼結体の製造方法であつて、原料とな
る窒化アルミニウム粉末を、非酸化性雰囲気中で
1600℃以上の温度領域まで加熱して、該窒化アル
ミニウム粉末中の酸素含有量を低減せしめる熱処
理工程と、該熱処理後に得られた粉末を焼結して
焼結体を形成する焼結工程とを含むこと特徴とす
る熱伝導性の高い焼結体の製造方法が提供され
る。 また、本発明により、窒化アルミニウムを主成
分とする焼結体であつて、該焼結体に含まれる窒
化アルミニウム結晶粒子内部の酸素含有量が0.5
重量%以下であることを特徴とする熱伝導性の高
い焼結体が提供される。 作 用 本発明者らは、窒化アルミニウムを主成分とす
る焼結体の熱伝導率が、焼結体に含まれる窒化ア
ルミニウム結晶粒子中の酸素の含有率に強く依存
することを見出し、原料となる窒化アルミニウム
粉末中の酸素含有量を低減することにより、最終
的に得られる焼結体の熱伝導率の著しい改善を達
成した。 本発明に係る窒化アルミニウムを主成分とする
焼結体は、その原料粉末としての窒化アルミニウ
ムの酸素含有量を低減されていることをその主要
な特徴としている。 即ち、焼結体材料として市販されている窒化ア
ルミニウム粉末を使用する場合、原料粉末には、
通常1重量%以上の不純物酸素が含まれている。
この不純物酸素は、調製後の窒化アルミニウム粉
末が大気に触れた際に、粉末粒の表面が酸化され
て取り込まれたものと考えられ、大半の不純物酸
素が粉末の表面に存在していると考えられる。こ
のような、表面に不純物酸素を含む窒化アルミニ
ウム粉末を焼結すると、焼結処理中に、粉末粒表
面にあつた不純物酸素が窒化アルミニウム格子中
に拡散してAI原子位置に空孔が生じ、この空孔
によりフオノンが散乱されて焼結体の熱伝導率げ
劣化すると考えられる。 これに対して、本発明によれば、窒化アルミニ
ウム原料粉末中に含まれている不純物酸素量を焼
結処理以前に低減し、高純度化された窒化アルミ
ニウム粉末により焼結体を作製することにより、
窒化アルミニウムを主成分とする焼結体の熱伝導
性を著しく改善することができる。換言すれば、
酸素含有率の低い窒化アルミニウムを主として含
む焼結体は高い熱伝導性を有している。 本発明者の研究によれば、非酸化性雰囲気中で
1600℃以上の温度で熱処理することにより、窒化
アルミニウム粉末に含有される不純物酸素を効果
的に除去することができる。この熱処理により窒
化アルミニウム粉末に含まれる酸素量が減少する
機構については、窒化アルミニウム原料粉末粒の
表面に存在している、アルミナよりも不安定な形
態のアルミニウム酸化物の分解蒸発によるものと
考えられるが、現在更に研究を進めている。 本発明に係る方法において、窒化アルミニウム
粉末に対する熱処理工程の雰囲気は、非酸化性雰
囲気であることが必須である。ここで、非酸化性
の雰囲気とは、真空、窒素ガス、水素ガス、一酸
化炭素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスより成
る群から選ばれる1種または2種以上の雰囲気で
ある。これらの雰囲気はいずれも窒化アルミニウ
ム原料粉末中の不純物酸素量を減少させるのに有
効であるが、真空中あるいは窒素ガス雰囲気で熱
処理することが特に好ましい。 また、熱処理温度は、1600℃未満では不純物酸
素量を減少させる効果が小さく、1600℃以上の温
度が必要である。一方、処理温度が2300℃を越え
ると窒化アルミニウムの分解反応が発生し、最終
的に得られる焼結体の実質重量が減少すると共に
強度が低下するので好ましくない。 更に、本発明の好ましい一実施態様に従えば、
熱処理後の窒化アルミニウム粉末は、最終的な焼
結工程が終了するまで大気を含む酸化性雰囲気に
触れないようにすることが有利である。従つて、
熱処理工程後の窒化アルミニウム粉末を、例えば
窒素を充填したグローボツクス等に収容して取り
扱い、空気に触れさせることなく焼結工程を完了
させることが望ましい。 以上のような本発明に係る独自の製造方法によ
り、焼結体中の窒化アルミニウム結晶粒子内に含
まれる酸素が0.5重量%以下であるような、窒化
アルミニウムを主成分とする焼結体が提供され
る。この焼結体は、窒化アルミニウム結晶粒子内
の酸素含有量の減少につれて熱伝導率が向上し、
120W/m・K以上の優れた熱伝導率が実現可能
である。尚、結晶粒子内の酸素含有量は、透過型
電子顕微鏡を使用して、試料に電子ビームを照射
した際に発生する特性X線を検出するEDS分析
により測定することができる。 本発明に係る方法は、不可避的不純物を除いて
窒化アルミニウム粉末だけで形成された焼結体の
みならず、窒化アルミニウムを主成分として他の
元素または化合物を添加した焼結体の熱伝導性の
改善にも有効である。 即ち、本発明の一実施態様に従うと、周期率表
a族系列元素およびa族系列元素の酸化物、
窒化物およびフツ化物からなる群から選択された
少なくとも1種の化合物を0.1重量%以上、20重
量%未満添加され、残部を、酸素の含有量が0.5
重量%以下の窒化アルミニウムにより形成された
高熱伝導性の焼結体が提供される。 ここで、焼結体中の窒化アルミニウムの含有量
が80重量%よりも低くなると、窒化アルミニウム
結晶粒子相互の間に他の元素または化合物が多く
介在することになり、窒化アルミニウム自体の熱
伝導率の改善の効果が焼結体全体に及ばなくな
る。また、焼結体に添加された窒化アルミニウム
以外の元素または化合物の、窒化アルミニウム結
晶粒内への拡散の影響が顕著になる。殊に、添加
化合物が酸化物であるような場合は、添加化合物
から窒化アルミニウム結晶粒内への酸素の拡散が
無視し得ぬものとなり、窒化アルミニウム結晶粒
内の酸素含有量を0.5重量%以下に維持すること
が困難になる。従つて、焼結体の良好な熱伝導率
を維持するためには、添加化合物の添加量を20重
量%未満とすることが必須である。一方、周期率
表a族系列元素およびa族系列元素の酸化
物、窒化物およびフツ化物などの添加化合物は、
その含有量が0.1重量%未満になると、添加剤と
しての効果が実質的に得られなくなる。従つて、
最終的に緻密な焼結体が得られ難くなるので、添
加化合物の添加量は、上記範囲以上とする必要が
ある。 尚、上記焼結体において、添加化合物は、一般
に結晶粒界に粒界相として存在するものであり、
結晶粒子内に拡散するものではない。従つて、添
加化合物を添加したことにより、主成分たる窒化
アルミニウム粒子の酸素含有量が劣化することは
ない。 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説
明するが、以下の開示は本発明の一実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲を何ら限定するものでは
ない。 実施例 1 1.3重量%の酸素を含有する市販の窒化アルミ
ニウム粉末を1.5×10-3torrの真空、1気圧の窒素
ガス雰囲気、1気圧のヘリウムガス雰囲気の3種
の雰囲気中で、それぞれ1600℃で20時間保持して
熱処理を施した。熱処理後の窒化アルミニウム粉
末の酸素含有量を第1表に示す。尚、酸素の含有
量は、透過型電子顕微鏡を使用したEDS分析に
よつて行つた。 上述のような熱処理後の各窒化アルミニウム粉
末を、それぞれ1気圧の窒素ガス雰囲気中で、50
Kg/cm2の加圧下で1800℃に1時間保持してホツト
プレスすることにより焼結を行つた。得られた各
焼結体の熱伝導率の測定結果を第1表に併せて示
す。 また、同じ出発原料を用いて、同じ3種類の雰
囲気中で、それぞれ1500℃に20時間保持して熱処
理を施した後、同一のホツトプレス条件で焼結し
て比較例の試料を作製した。各比較例の熱処理後
の窒化アルミニウム粉末の酸素含有量と、焼結処
理後の焼結体の熱伝導率の測定結果を第1表に併
せて示す。
伝導性の優れた焼結体と、その製造方法に関す
る。 更に詳細には本発明は熱伝導率が120W/m・
K以上であり、IC基板、ヒートシンク、レーザ
ーデイスクおよびマイカ代替絶縁性薄板等の材料
として好適な新規な焼結体とその製造方法に関す
る。 従来の技術 最近のLSI技術の進歩は目覚ましく、集積度の
向上が著しい。これには、ICチツプサイズの向
上も寄与しており、ICチツプサイズの拡大に伴
つてパツケージ当りの発熱量は増大している。こ
のため基板材料の熱伝導性が重要視されるように
なつてきた。 一方、IC基板には従来アルミナが用いられて
きたが、アルミナ焼結体は熱伝導率が低くいので
放熱性が不十分ではない。従つて、ICチツプの
発熱量の増大に対応できなくなりつつある。そこ
で、アルミナ基板に代わる材料として、極めて熱
伝導性の高いベリリア基板を使用することが試み
られているが、ベリリアは毒性が強いので取扱い
が難しいという欠点があり、用途は限定されてい
る。以上のような技術的背景から、熱伝導性の優
れた新規な基板材料の開発が切望されている。 発明が解決しようとする問題点 上述のような用途に使用することができる熱伝
導性に優れた基板材料として、アルミナよりも遥
かに高い熱伝導性を有する窒化アルミニウムの焼
結体が知られている。即ち、窒化アルミニウム単
結晶は、理論的には300W/m・K程度の熱伝導
率を有している。 ところが、実際に基板材料として使用される窒
化アルミニウム焼結体の熱伝導率は、せいぜい
50W/m・K程度である。そこで、焼結体として
の窒化アルミニウムの熱伝導性を改善するため
に、原料粉末に各種の化合物を添加して焼結し、
焼結体の熱伝導度の向上を図る試みが種々提案さ
れている。しかしながら、いまのところ達成され
ている窒化アルミニウムの熱伝導率は100W/
m・K程度である。 従つて、本発明の目的は、放熱性の高いIC基
板、ヒートシンクマイカ代替絶縁性薄板の材料と
して使用することが可能な120W/m・K以上の
熱伝導率を有する、窒化アルミニウムを主成分と
した新規な焼結体とその製造方法を提供すること
にある。 問題点を解決するための手段 即ち、本発明に従うと、窒化アルミニウムを主
成分とする焼結体の製造方法であつて、原料とな
る窒化アルミニウム粉末を、非酸化性雰囲気中で
1600℃以上の温度領域まで加熱して、該窒化アル
ミニウム粉末中の酸素含有量を低減せしめる熱処
理工程と、該熱処理後に得られた粉末を焼結して
焼結体を形成する焼結工程とを含むこと特徴とす
る熱伝導性の高い焼結体の製造方法が提供され
る。 また、本発明により、窒化アルミニウムを主成
分とする焼結体であつて、該焼結体に含まれる窒
化アルミニウム結晶粒子内部の酸素含有量が0.5
重量%以下であることを特徴とする熱伝導性の高
い焼結体が提供される。 作 用 本発明者らは、窒化アルミニウムを主成分とす
る焼結体の熱伝導率が、焼結体に含まれる窒化ア
ルミニウム結晶粒子中の酸素の含有率に強く依存
することを見出し、原料となる窒化アルミニウム
粉末中の酸素含有量を低減することにより、最終
的に得られる焼結体の熱伝導率の著しい改善を達
成した。 本発明に係る窒化アルミニウムを主成分とする
焼結体は、その原料粉末としての窒化アルミニウ
ムの酸素含有量を低減されていることをその主要
な特徴としている。 即ち、焼結体材料として市販されている窒化ア
ルミニウム粉末を使用する場合、原料粉末には、
通常1重量%以上の不純物酸素が含まれている。
この不純物酸素は、調製後の窒化アルミニウム粉
末が大気に触れた際に、粉末粒の表面が酸化され
て取り込まれたものと考えられ、大半の不純物酸
素が粉末の表面に存在していると考えられる。こ
のような、表面に不純物酸素を含む窒化アルミニ
ウム粉末を焼結すると、焼結処理中に、粉末粒表
面にあつた不純物酸素が窒化アルミニウム格子中
に拡散してAI原子位置に空孔が生じ、この空孔
によりフオノンが散乱されて焼結体の熱伝導率げ
劣化すると考えられる。 これに対して、本発明によれば、窒化アルミニ
ウム原料粉末中に含まれている不純物酸素量を焼
結処理以前に低減し、高純度化された窒化アルミ
ニウム粉末により焼結体を作製することにより、
窒化アルミニウムを主成分とする焼結体の熱伝導
性を著しく改善することができる。換言すれば、
酸素含有率の低い窒化アルミニウムを主として含
む焼結体は高い熱伝導性を有している。 本発明者の研究によれば、非酸化性雰囲気中で
1600℃以上の温度で熱処理することにより、窒化
アルミニウム粉末に含有される不純物酸素を効果
的に除去することができる。この熱処理により窒
化アルミニウム粉末に含まれる酸素量が減少する
機構については、窒化アルミニウム原料粉末粒の
表面に存在している、アルミナよりも不安定な形
態のアルミニウム酸化物の分解蒸発によるものと
考えられるが、現在更に研究を進めている。 本発明に係る方法において、窒化アルミニウム
粉末に対する熱処理工程の雰囲気は、非酸化性雰
囲気であることが必須である。ここで、非酸化性
の雰囲気とは、真空、窒素ガス、水素ガス、一酸
化炭素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスより成
る群から選ばれる1種または2種以上の雰囲気で
ある。これらの雰囲気はいずれも窒化アルミニウ
ム原料粉末中の不純物酸素量を減少させるのに有
効であるが、真空中あるいは窒素ガス雰囲気で熱
処理することが特に好ましい。 また、熱処理温度は、1600℃未満では不純物酸
素量を減少させる効果が小さく、1600℃以上の温
度が必要である。一方、処理温度が2300℃を越え
ると窒化アルミニウムの分解反応が発生し、最終
的に得られる焼結体の実質重量が減少すると共に
強度が低下するので好ましくない。 更に、本発明の好ましい一実施態様に従えば、
熱処理後の窒化アルミニウム粉末は、最終的な焼
結工程が終了するまで大気を含む酸化性雰囲気に
触れないようにすることが有利である。従つて、
熱処理工程後の窒化アルミニウム粉末を、例えば
窒素を充填したグローボツクス等に収容して取り
扱い、空気に触れさせることなく焼結工程を完了
させることが望ましい。 以上のような本発明に係る独自の製造方法によ
り、焼結体中の窒化アルミニウム結晶粒子内に含
まれる酸素が0.5重量%以下であるような、窒化
アルミニウムを主成分とする焼結体が提供され
る。この焼結体は、窒化アルミニウム結晶粒子内
の酸素含有量の減少につれて熱伝導率が向上し、
120W/m・K以上の優れた熱伝導率が実現可能
である。尚、結晶粒子内の酸素含有量は、透過型
電子顕微鏡を使用して、試料に電子ビームを照射
した際に発生する特性X線を検出するEDS分析
により測定することができる。 本発明に係る方法は、不可避的不純物を除いて
窒化アルミニウム粉末だけで形成された焼結体の
みならず、窒化アルミニウムを主成分として他の
元素または化合物を添加した焼結体の熱伝導性の
改善にも有効である。 即ち、本発明の一実施態様に従うと、周期率表
a族系列元素およびa族系列元素の酸化物、
窒化物およびフツ化物からなる群から選択された
少なくとも1種の化合物を0.1重量%以上、20重
量%未満添加され、残部を、酸素の含有量が0.5
重量%以下の窒化アルミニウムにより形成された
高熱伝導性の焼結体が提供される。 ここで、焼結体中の窒化アルミニウムの含有量
が80重量%よりも低くなると、窒化アルミニウム
結晶粒子相互の間に他の元素または化合物が多く
介在することになり、窒化アルミニウム自体の熱
伝導率の改善の効果が焼結体全体に及ばなくな
る。また、焼結体に添加された窒化アルミニウム
以外の元素または化合物の、窒化アルミニウム結
晶粒内への拡散の影響が顕著になる。殊に、添加
化合物が酸化物であるような場合は、添加化合物
から窒化アルミニウム結晶粒内への酸素の拡散が
無視し得ぬものとなり、窒化アルミニウム結晶粒
内の酸素含有量を0.5重量%以下に維持すること
が困難になる。従つて、焼結体の良好な熱伝導率
を維持するためには、添加化合物の添加量を20重
量%未満とすることが必須である。一方、周期率
表a族系列元素およびa族系列元素の酸化
物、窒化物およびフツ化物などの添加化合物は、
その含有量が0.1重量%未満になると、添加剤と
しての効果が実質的に得られなくなる。従つて、
最終的に緻密な焼結体が得られ難くなるので、添
加化合物の添加量は、上記範囲以上とする必要が
ある。 尚、上記焼結体において、添加化合物は、一般
に結晶粒界に粒界相として存在するものであり、
結晶粒子内に拡散するものではない。従つて、添
加化合物を添加したことにより、主成分たる窒化
アルミニウム粒子の酸素含有量が劣化することは
ない。 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説
明するが、以下の開示は本発明の一実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲を何ら限定するものでは
ない。 実施例 1 1.3重量%の酸素を含有する市販の窒化アルミ
ニウム粉末を1.5×10-3torrの真空、1気圧の窒素
ガス雰囲気、1気圧のヘリウムガス雰囲気の3種
の雰囲気中で、それぞれ1600℃で20時間保持して
熱処理を施した。熱処理後の窒化アルミニウム粉
末の酸素含有量を第1表に示す。尚、酸素の含有
量は、透過型電子顕微鏡を使用したEDS分析に
よつて行つた。 上述のような熱処理後の各窒化アルミニウム粉
末を、それぞれ1気圧の窒素ガス雰囲気中で、50
Kg/cm2の加圧下で1800℃に1時間保持してホツト
プレスすることにより焼結を行つた。得られた各
焼結体の熱伝導率の測定結果を第1表に併せて示
す。 また、同じ出発原料を用いて、同じ3種類の雰
囲気中で、それぞれ1500℃に20時間保持して熱処
理を施した後、同一のホツトプレス条件で焼結し
て比較例の試料を作製した。各比較例の熱処理後
の窒化アルミニウム粉末の酸素含有量と、焼結処
理後の焼結体の熱伝導率の測定結果を第1表に併
せて示す。
【表】
上記の第1表から判るように、本発明に係る方
法に従つて製造された窒化アルミニウム焼結体
は、全て120W/m・K以上の熱伝導率を示して
いる。これらに対して、本発明の範囲よりも低い
1500℃で熱処理した比較例では、いずれも熱伝導
率が著しく低い。このように、本発明に従う熱処
理工程が窒化アルミニウムの脱酸素処理に有効で
あり、脱酸素処理された窒化アルミニウム粉末に
より形成された焼結体の熱伝導率が優れているこ
とが確認できる。 実施例 2 1.7重量%の酸素を含有する市販窒化アルミニ
ウム粉末を1.8×10-3torrの真空、0.9気圧の酸素
ガスと0.1気圧の水素ガスの混合雰囲気、1気圧
の窒素ガス雰囲気の3種の雰囲気中で、それぞれ
1800℃に10時間保持して熱処理を施した後、1気
圧の窒素ガス雰囲気中で、20Kg/cm2の加圧下で
2000℃に2時間保持してホツトプレスすることに
より焼結を行つた。 こうして得られた試料について、各試料の熱処
理後の窒化アルミニウム粉末中の酸素含有量と、
焼結体の熱伝導率とを測定した。測定結果を第2
表に示す。
法に従つて製造された窒化アルミニウム焼結体
は、全て120W/m・K以上の熱伝導率を示して
いる。これらに対して、本発明の範囲よりも低い
1500℃で熱処理した比較例では、いずれも熱伝導
率が著しく低い。このように、本発明に従う熱処
理工程が窒化アルミニウムの脱酸素処理に有効で
あり、脱酸素処理された窒化アルミニウム粉末に
より形成された焼結体の熱伝導率が優れているこ
とが確認できる。 実施例 2 1.7重量%の酸素を含有する市販窒化アルミニ
ウム粉末を1.8×10-3torrの真空、0.9気圧の酸素
ガスと0.1気圧の水素ガスの混合雰囲気、1気圧
の窒素ガス雰囲気の3種の雰囲気中で、それぞれ
1800℃に10時間保持して熱処理を施した後、1気
圧の窒素ガス雰囲気中で、20Kg/cm2の加圧下で
2000℃に2時間保持してホツトプレスすることに
より焼結を行つた。 こうして得られた試料について、各試料の熱処
理後の窒化アルミニウム粉末中の酸素含有量と、
焼結体の熱伝導率とを測定した。測定結果を第2
表に示す。
【表】
第2表に示した本実施例の測定結果と、第1表
に示した実施例1の測定結果とを比較すると、真
空雰囲気下で処理した試料は、真空度を高くする
ことにより、最終的に得られる焼結体の熱伝導率
が上昇していることが判る。また、他の試料にお
いても、熱処理温度が高くなる程、焼結体の熱伝
導率が向上していることが判る。 実施例 3 1.4重量%の酸素を含有する市販の窒化アルミ
ニウム粉末を、2気圧の窒素ガス雰囲気と、0.9
気圧の窒素ガスおよび0.1気圧の一酸化炭素ガス
の混合雰囲気との2種の雰囲気中でそれぞれ1900
℃に5時間保持して熱処理を施した。熱処理後の
各窒化アルミニウム粉末の酸素含有量を測定し、
測定結果を第3表に示す。 上述のような熱処理を施した窒化アルミニウム
粉末を、1気圧の窒素ガス雰囲気中、100Kg/cm2
の加圧下で2000℃に2時間保持してホツトプレス
することにより焼結した。得られた各焼結体の熱
伝導率を測定した。測定結果を第3表に併せて示
す。
に示した実施例1の測定結果とを比較すると、真
空雰囲気下で処理した試料は、真空度を高くする
ことにより、最終的に得られる焼結体の熱伝導率
が上昇していることが判る。また、他の試料にお
いても、熱処理温度が高くなる程、焼結体の熱伝
導率が向上していることが判る。 実施例 3 1.4重量%の酸素を含有する市販の窒化アルミ
ニウム粉末を、2気圧の窒素ガス雰囲気と、0.9
気圧の窒素ガスおよび0.1気圧の一酸化炭素ガス
の混合雰囲気との2種の雰囲気中でそれぞれ1900
℃に5時間保持して熱処理を施した。熱処理後の
各窒化アルミニウム粉末の酸素含有量を測定し、
測定結果を第3表に示す。 上述のような熱処理を施した窒化アルミニウム
粉末を、1気圧の窒素ガス雰囲気中、100Kg/cm2
の加圧下で2000℃に2時間保持してホツトプレス
することにより焼結した。得られた各焼結体の熱
伝導率を測定した。測定結果を第3表に併せて示
す。
【表】
第3表に示す測定結果から判るように、何れの
場合も、雰囲気圧力を高くすることにより、ま
た、ホツトプレス時の加圧圧力を大きくすること
により、最終的に得られる焼結体の熱伝導率が向
上することが確認された。 実施例 4 1.4重量%の酸素を含有する市販窒化アルミニ
ウム粉末を、5気圧の窒素ガス雰囲気と、4.8気
圧の窒素ガスおよび0.2気圧のCOガスの混合雰囲
気と、1気圧のアルゴン雰囲気との3種の雰囲気
中で、それぞれ2100℃に3時間保持して熱処理を
施した。続いて、上記各窒化アルミニウム粉末
を、2気圧の窒素ガス雰囲気中で、150Kg/cm2の
加圧下で2300℃に時間保持してホツトプレスする
ことにより焼結した。 本実施例では、熱処理後、熱処理炉からの粉末
の取出し、ホツトプレスモールドへの粉末の充
填、ホツトプレスへのモールドの装填を全て窒素
ガスを充填したグローボツクス中で行い、熱処理
後の全工程を通じて、窒化アルミニウム粉末を空
気に触れさせることなく焼結処理を完了した。 上記熱処理後の各窒化アルミニウム粉末の酸素
含有量と、最終的に得られた焼結体の熱伝導率と
の測定結果を第4表に併せて示す。
場合も、雰囲気圧力を高くすることにより、ま
た、ホツトプレス時の加圧圧力を大きくすること
により、最終的に得られる焼結体の熱伝導率が向
上することが確認された。 実施例 4 1.4重量%の酸素を含有する市販窒化アルミニ
ウム粉末を、5気圧の窒素ガス雰囲気と、4.8気
圧の窒素ガスおよび0.2気圧のCOガスの混合雰囲
気と、1気圧のアルゴン雰囲気との3種の雰囲気
中で、それぞれ2100℃に3時間保持して熱処理を
施した。続いて、上記各窒化アルミニウム粉末
を、2気圧の窒素ガス雰囲気中で、150Kg/cm2の
加圧下で2300℃に時間保持してホツトプレスする
ことにより焼結した。 本実施例では、熱処理後、熱処理炉からの粉末
の取出し、ホツトプレスモールドへの粉末の充
填、ホツトプレスへのモールドの装填を全て窒素
ガスを充填したグローボツクス中で行い、熱処理
後の全工程を通じて、窒化アルミニウム粉末を空
気に触れさせることなく焼結処理を完了した。 上記熱処理後の各窒化アルミニウム粉末の酸素
含有量と、最終的に得られた焼結体の熱伝導率と
の測定結果を第4表に併せて示す。
【表】
第4表に示す測定結果を第3表に示す測定結果
と比較することによつて判るように、何れの試料
においても、熱処理時の雰囲気圧力を高くし、且
つ、熱処理した窒化アルミニウム粉末を空気に触
れさせることなくホツトプレスすることにより、
最終的に得られる焼結体の熱伝導率が更に向上し
ていることが確認された。 実施例 5 2.1重量%の酸素を含有する市販の窒化アルミ
ニウム粉末を、10気圧の窒素ガス雰囲気中で2200
℃に2時間保持して熱処理を施した。続いて、熱
処理した粉末を2気圧の窒素ガス雰囲気中で、
150Kg/cm2の加圧下で2300℃に2時間保持してホ
ツトプレスすることにより焼結した。 本実施例においても、熱処理後、熱処理炉から
の粉末の取出し、ホツトプレスモールドへの粉末
の充填、ホツトプレスへのモールドの装填を全て
窒素ガスを充填したグローボツクス中で行い、熱
処理以降の全工程において窒化アルミニウム粉末
を空気に触れさせることなく焼結を完了した。こ
こで、熱処理後の窒化アルミニウム粉末の酸素含
有量は0.11重量%であり、最終的に得られた焼結
体の熱伝導率は158W/m・Kであつた。 すなわち、本実施例においては、2.1重量%も
の多量の酸素を含有する窒化アルミニウム粉末を
出発原料としても、熱処理中の雰囲気圧力、熱処
理温度を何れも高くし、更に、熱処理した窒化ア
ルミニウム粉末を空気に触れさせることなくホツ
トプレスすることにより、最終的に、高い熱伝導
率を有する窒化アルミニウム焼結体を製造し得る
ことが確認された。 実施例 6 熱処理を施すことによつて酸素含有量を0.47重
量%に調整した窒化アルミニウム粉末を原料粉末
とし、下記の第5表に示すように、カルシウムお
よびイツトリウムの酸化物、窒化物およびフツ化
物の各化合物を添加して焼結体を作製した。 焼結処理は、各化合物粉末と窒化アルミニウム
粉末をよく混合した後、2ton/cm2のプレス圧で成
形し、窒素ガス雰囲気中で1800℃で処理した。 作製した各試料について熱伝導率を測定した。
測定結果を第5表に示す。
と比較することによつて判るように、何れの試料
においても、熱処理時の雰囲気圧力を高くし、且
つ、熱処理した窒化アルミニウム粉末を空気に触
れさせることなくホツトプレスすることにより、
最終的に得られる焼結体の熱伝導率が更に向上し
ていることが確認された。 実施例 5 2.1重量%の酸素を含有する市販の窒化アルミ
ニウム粉末を、10気圧の窒素ガス雰囲気中で2200
℃に2時間保持して熱処理を施した。続いて、熱
処理した粉末を2気圧の窒素ガス雰囲気中で、
150Kg/cm2の加圧下で2300℃に2時間保持してホ
ツトプレスすることにより焼結した。 本実施例においても、熱処理後、熱処理炉から
の粉末の取出し、ホツトプレスモールドへの粉末
の充填、ホツトプレスへのモールドの装填を全て
窒素ガスを充填したグローボツクス中で行い、熱
処理以降の全工程において窒化アルミニウム粉末
を空気に触れさせることなく焼結を完了した。こ
こで、熱処理後の窒化アルミニウム粉末の酸素含
有量は0.11重量%であり、最終的に得られた焼結
体の熱伝導率は158W/m・Kであつた。 すなわち、本実施例においては、2.1重量%も
の多量の酸素を含有する窒化アルミニウム粉末を
出発原料としても、熱処理中の雰囲気圧力、熱処
理温度を何れも高くし、更に、熱処理した窒化ア
ルミニウム粉末を空気に触れさせることなくホツ
トプレスすることにより、最終的に、高い熱伝導
率を有する窒化アルミニウム焼結体を製造し得る
ことが確認された。 実施例 6 熱処理を施すことによつて酸素含有量を0.47重
量%に調整した窒化アルミニウム粉末を原料粉末
とし、下記の第5表に示すように、カルシウムお
よびイツトリウムの酸化物、窒化物およびフツ化
物の各化合物を添加して焼結体を作製した。 焼結処理は、各化合物粉末と窒化アルミニウム
粉末をよく混合した後、2ton/cm2のプレス圧で成
形し、窒素ガス雰囲気中で1800℃で処理した。 作製した各試料について熱伝導率を測定した。
測定結果を第5表に示す。
【表】
【表】
発明の効果
以上詳細に説明したように、本発明によれば、
窒化アルミニウムを主成分とする焼結体におい
て、窒化アルミニウム結晶粒子内の酸素含有量を
低減することにより、焼結体の熱伝導特性を著し
く改善することができる。即ち、焼結工程に先立
つて原料粉末を所定の条件で熱処理することによ
り、窒化アルミニウムの不純物酸素含有量を低減
することができる。この酸素含有量の少ない窒化
アルミニウム粉末を主成分として作製された焼結
体は、120W/m・K以上の熱伝導率を有し、極
めて優れた熱伝導特性を有している。 従つて、この焼結体は、集積度が高い集積回路
用の基板、例えば、サーデイツプ用またはサーパ
ツク用の集積回路基板の他、ハイブリツドIC用
基板、更に、パワートランジスタ、パワーダイオ
ード、レーザーダイオード用のヒートシンク、レ
ーザーデイスクおよびマイカ代替絶縁性薄板等の
材料として極めて好適である。
窒化アルミニウムを主成分とする焼結体におい
て、窒化アルミニウム結晶粒子内の酸素含有量を
低減することにより、焼結体の熱伝導特性を著し
く改善することができる。即ち、焼結工程に先立
つて原料粉末を所定の条件で熱処理することによ
り、窒化アルミニウムの不純物酸素含有量を低減
することができる。この酸素含有量の少ない窒化
アルミニウム粉末を主成分として作製された焼結
体は、120W/m・K以上の熱伝導率を有し、極
めて優れた熱伝導特性を有している。 従つて、この焼結体は、集積度が高い集積回路
用の基板、例えば、サーデイツプ用またはサーパ
ツク用の集積回路基板の他、ハイブリツドIC用
基板、更に、パワートランジスタ、パワーダイオ
ード、レーザーダイオード用のヒートシンク、レ
ーザーデイスクおよびマイカ代替絶縁性薄板等の
材料として極めて好適である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 窒化アルミニウムを主成分とする焼結体の製
造方法であつて、 原料となる窒化アルミニウム粉末を、非酸化性
雰囲気中で1600℃以上の温度領域まで加熱して、
該窒化アルミニウム粉末中の酸素含有量を0.5重
量%以下まで低減せしめる熱処理工程と、該熱処
理後に得られた粉末を焼結して焼結体を形成する
焼結工程とを含むことを特徴とする熱伝導性の高
い焼結体の製造方法。 2 前記非酸化性雰囲気が、真空、窒素ガス、水
素ガス、一酸化炭素ガス、アルゴンガス、ヘリウ
ムガスより成る群から選ばれた1種または2種以
上の雰囲気であることを特徴とする特許請求の範
囲第1項に記載された熱伝導性の高い焼結体の製
造方法。 3 前記焼結工程が、前記熱処理後の窒化アルミ
ニウム粉末を、1800℃以上2300℃以下の温度領域
で、非酸化性雰囲気中、20Kg/cm2以上の圧力下で
実施されるホツトプレスにより行われることを特
徴とする特許請求の範囲第1項または第2項のい
ずれか1項に記載された熱伝導性の高い焼結体の
製造方法。 4 前記熱処理工程から前記焼結工程の終了ま
で、前記窒化アルミニウム粉末が空気に触れるこ
となく処理されることを特徴とする特許請求の範
囲第1項から第3項までのいずれか1項に記載さ
れた熱伝導性の高い焼結体の製造方法。 5 窒化アルミニウムを主成分とする焼結体であ
つて、該焼結体に含まれる窒化アルミニウム結晶
粒子内部の酸素含有量が0.5重量%以下であるこ
とを特徴とする熱伝導性の高い焼結体。 6 窒化アルミニウムを主成分とする焼結体であ
つて、周期率表a族系列元素およびa族系列
元素の酸化物、窒化物およびフツ化物からなる群
から選択された少なくとも1種を、0.1重量%以
上、20重量%未満の範囲で含有することを特徴と
する特許請求の範囲第5項に記載された熱伝導性
の高い焼結体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60040754A JPS61201668A (ja) | 1985-03-01 | 1985-03-01 | 高熱伝導窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60040754A JPS61201668A (ja) | 1985-03-01 | 1985-03-01 | 高熱伝導窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61201668A JPS61201668A (ja) | 1986-09-06 |
JPH0336782B2 true JPH0336782B2 (ja) | 1991-06-03 |
Family
ID=12589413
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60040754A Granted JPS61201668A (ja) | 1985-03-01 | 1985-03-01 | 高熱伝導窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61201668A (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61205670A (ja) * | 1985-03-07 | 1986-09-11 | 住友電気工業株式会社 | 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法 |
JPS6217074A (ja) * | 1985-07-12 | 1987-01-26 | 電気化学工業株式会社 | 焼結用窒化アルミニウム混合粉末の製造法 |
JP2565305B2 (ja) * | 1985-10-31 | 1996-12-18 | 京セラ株式会社 | 高熱伝導性窒化アルミニウム質焼結体及びその製造法 |
JPS63190761A (ja) * | 1987-01-30 | 1988-08-08 | 京セラ株式会社 | 窒化アルミニウム質焼結体 |
JPH0717457B2 (ja) * | 1988-09-12 | 1995-03-01 | 京セラ株式会社 | 窒化アルミニウム質焼結体 |
EP0393524A3 (en) * | 1989-04-17 | 1993-02-10 | Kawasaki Steel Corporation | Method of making a sintered body of aluminium nitride |
JP4753851B2 (ja) * | 2005-12-19 | 2011-08-24 | 日本碍子株式会社 | 窒化アルミニウム粉末、窒化アルミニウム質セラミックス焼結体、半導体製造装置用部材、窒化アルミニウム発光材料、及び窒化アルミニウム粉末の製造方法 |
JP4664229B2 (ja) * | 2006-04-19 | 2011-04-06 | 電気化学工業株式会社 | 窒化アルミニウム粉末および樹脂組成物 |
-
1985
- 1985-03-01 JP JP60040754A patent/JPS61201668A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61201668A (ja) | 1986-09-06 |
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