JPH0334845Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、接地線引出用熱収縮性チユーブに係
り、特に電力ケーブル接続部に使用する防水型の
接地線引出用熱収縮性チユーブに関するものであ
る。

従来、電力ケーブル接続部の防水性を確保する
ため、既にゴムまたはプラスチツクからなる熱収
縮性チユーブの内面に粘着剤層を設けたものが使
用され、このチユーブの両端部には粘着剤層がな
い粘着剤フロー吸収部分を有するものが防水性能
が高いことが明らかとなつている（例えば実願昭
57−177753号）。

しかして電力ケーブル接続部においては、この
ような熱収縮性チユーブの内部から外部へ長さ方
向に接地線として銅線、銅条等の金属導体を取出
すことが必要な場合がある。

この場合、従来は粘着剤層内に接地線を通して
いた。しかしてこの接地線の引出し方には、粘着
剤層部を通る部分だけ、予め接地線を空隙部がで
きないように粘着剤層を包んでおき、熱収縮性チ
ユーブの内面に設けた粘着剤層や、あるいは別途
接地線の引出し部に設ける粘着剤層（粘着シート
の巻き付け等）と一緒にして防水処理する方法が
とられている。

しかしながら、接地線の粘着剤層内を通す場
合、接地線の可撓性や反撥弾性等のため、充分な
固定処理が必要であつた。さらに又、接地線と粘
着剤層間、予め接地線に付けられた粘着剤層と熱
収縮性チユーブ内面の粘着剤層の重なり部等は、
施工時に空隙部を生じないよう充分注意して施工
する必要があつた。

このため施工には特に熟練を要し、施工技能に
よつては防水性能に大きなバラツキを生じる危険
があつた。

本考案は、以上の欠点を除去しようとするもの
で、その目的は電力ケーブル接続部の接地線引出
し処理方法の簡易化と、防水性能の信頼性の向上
とにある。

本考案は、図面にもみられるように、熱収縮性
チユーブ内面に粘着剤層１を設けた防水型の熱収
縮性チユーブにおいて、該熱収縮性チユーブの両
端部内面には粘着剤層が被着されていない粘着剤
フロー吸収領域２を設けると共に、熱収縮性チユ
ーブの側壁層３内部に少なくとも１本の金属導体
４をチユーブ軸線に略々平行に完全に埋設し、該
金属導体４の両端部５が、熱収縮性チユーブの端
末又はその近傍において熱収縮性チユーブの側壁
層３から外部に離脱するように熱収縮性チユーブ
側壁層３と水密に一体埋込み成形したことを特徴
とする。

本考案の各実施例を、それぞれ第１図〜第３図
に示すが、熱収縮性チユーブの側壁層３内に一体
に埋込まれた前記の金属導体４は、線状でも板状
でもよい。

熱収縮性チユーブ自体の材料としては、高圧法
ポリエチレン、塩化ビニル、飽和ポリエステル、
架橋ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレー
ト共重合体、エチレン−プロピレンゴム、シリコ
ーンゴム、クロロプレンゴム、ふつ素樹脂などが
好ましい材料として用いられ、チユーブ状に成形
拡径された時には周方向の拡径寸法に対して少く
とも20％以上の熱収縮率を持たせることが、水密
性上好ましい。

また熱収縮材料は電気絶縁性でも半導電性でも
良く、半導電性とした場合には熱収縮材層に一体
に埋込まれた金属導体とともに熱収縮チユーブ自
体が導電性となるため、電力ケーブル接続体の構
造によつては、この接地線引出部分の電位分布を
均一化し、微小放電の発生を防止出来る効果があ
る。更に本考案の熱収縮性チユーブ内面に設ける
粘着剤層についても、絶縁性でも半導電性でもよ
いが、半導電性とした場合にはこの局所的な電界
の集中防止に更に効果がある。しかして、これら
の材料は熱収縮性チユーブの製造時に金属導体４
である錫メツキ銅線等と一体にモールド成形され
るため、金属導体４と熱収縮性チユーブの側壁層
３との間は気密に一体埋込み成形される。

又、これらの金属導体４は一本でも複数本でも
よいが、熱収縮チユーブ自体の熱収縮性を阻害し
ない程度の大きさであることが望ましい。金属導
体４の可撓性、反撥弾性をチユーブ自体の収縮力
より小さくする必要があり、できるだけ寸法が小
さいことが望ましい。

なお、本考案の熱収縮性チユーブはいずれもチ
ユーブ内面に、天然ゴム又はブチルゴム、EPゴ
ム等のゴム等のマスチツクタイプの粘着剤層や、
ポリアミド、エチレン−ビニルアセテート系等の
ホツトメルトタイプの粘着剤層等いわゆる粘着剤
層１を設けている。しかし、いずれもチユーブの
端部内面には粘着剤層１のない構造となつてい
る。すなわち粘着剤フロー吸収領域２を構成して
いる。従つて、熱収縮施工時あるいは使用中に、
粘着剤層１がフローしてチユーブ外に流出し、防
水性能が低下するのが有効に防止される。

以上述べたように、本考案の接地線引出用磁熱
収縮性チユーブにおいては、接地用の金属線が熱
収縮材層内、すなわちチユーブの側壁層３内部に
完全に埋設されているため、従来の接地線の引出
部のように、粘着剤層の部分で空隙を生じ、リー
クパスとなることがない。

又、接地線が一体化されているため、接地線引
出部の施工処理が簡易化され、施工に特別の熟練
を要しない。

つまり、本考案の奏する効果は、(イ)電力ケーブ
ルの接地線引出処理の簡易化及び熟練の不要。及
び、(ロ)同じく接地線引出部の防水性能の信頼性の
向上である。

【図面の簡単な説明】

第１ａ図は本考案の一実施例を示す縦断面図、
第１ｂ図は同じく第１ａ図のＡ−A′線で切断し
て示す縦断面図であり、第２ａ図は本考案の他の
実施例を示す縦断面図、第２ｂ図は同じく第２ａ
図のＡ−A′線で切断して示す横断面図であり、
第３ａ図は本考案のさらに他の実施例を示す縦断
面図、第３ｂ図は同じく第３ａ図のＡ−A′線で
切断して示す横断面図である。 １……粘着剤層、２……粘着剤層が被着されて
いない粘着剤フロー吸収領域、３……熱収縮性チ
ユーブの側壁層、４……金属導体、５……金属導
体の端部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 熱収縮性チユーブ内面に粘着剤層１を設けた
   防水型の熱収縮チユーブにおいて、該熱収縮性
   チユーブの両端部内面には粘着剤層が被着され
   ていない粘着剤フロー吸収領域２を設けると共
   に、熱収縮性チユーブの側壁層３内部に少なく
   とも１本の金属導体４をチユーブ軸線に略々平
   行に完全に埋設し、該金属導体４の両端部５
   が、熱収縮性チユーブの端末又はその近傍にお
   いて熱収縮性チユーブの側壁層３から外部に離
   脱するように熱収縮性チユーブ側壁層３と水密
   に一体埋込み成形したことを特徴とする接地線
   引出用熱収縮性チユーブ。 ２ 熱収縮材層が導電性であることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の接地線引
   出用熱収縮性チユーブ。 ３ 粘着剤層が導電性であることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項及び第２項記載の
   接地線引出用熱収縮性チユーブ。