JPS5941088Y2 - 遮水性熱収縮チユ−ブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は遮水性熱収縮チューブの改良に関するもので
ある。

熱収縮チューブは、例えば、ポリエチレン、塩化ビニル
、ポリエステルなどのプラスチックチューブを溶融押出
した後、これを架橋結合を導入し、しかるのちその溶融
温度以下軟化温度以上で延伸加工して得られるものであ
る。

かかる熱収縮性プラスチックチューブは加熱することに
よりこれが収縮して目的物上に緊密な被覆層を形成でき
ることから、近年様々の分野において賞用されつつある
が、本来浸水下での長期間の使用ではわづかではあるが
プラスチック層を通して透湿するので長期間使用中の遮
水効果は万全とは云えない。

ところで近年、ケーブルの接続部に対する保護層として
、かかる熱収縮性ゴムまたはプラスチックチューブを被
せこれを加熱収縮させる工法が標準工法の一つとして採
用されているが、前述の理由でその遮水効果には不充分
な解決すべき問題が残されていた。

前記遮水性向上の一手段として、本来略完全な遮水機能
を具備する金属箔を、前記熱収縮チューブを事実上−周
する如く適宜一体化した金属箔積層による遮水性熱収縮
チューブが提案され一応その成果を得ている。

しかしかかる金属箔は熱収縮チューブの収縮時、プラス
チック層の収縮と追従し微細なしわを発生してしまいケ
ーブル接続部上に緊密に被覆されるとは限らない。

極端な例を示せば、第１図のように該金属箔１がケーブ
ル２上にプラスチック層３の収縮と共に長手方向に粗大
なしわ４を生じて被覆されるようなことになると、該粗
大しわ４に起因してケーブル２の周面にその長手方向に
延びる微小な空隙５を生じ、その結果被覆部両端部或い
は外傷個所などからの浸水或いは長さ方向に水走りを許
すという問題と、収縮チューブの外表面がデコボコとな
り外見上見苦しいという問題がある。

ここに考案者等は、かかる遮水性熱収縮チューブに関し
上記の問題を解決すｋく鋭意検討を重ねた結果、熱収縮
チューブと一体化せしめる金属箔の厚さと金属箔を設け
る位置を特定すると共に該チューブの最内層に粘着剤層
を設けることが有効であることを見出しこの考案を完成
したのである。

即ちこの考案は、熱収縮チューブの全長又は一部区間に
わたって該チューブの周方向全周に延びるように０．０
１〜０．ｌ＃厚の金属箔を熱収縮材層の厚さ方向に金属
箔より内層の厚さが、外層の厚さより小さい位置に配し
、かつチューブの最内層に粘着剤層を設けたことを特徴
とする遮水性熱収縮チューブである。

この考案においては、特にチューブの最内層に粘着剤層
を設けたことにより、仮りに加熱収縮時に金属箔のしわ
が微細化せず粗大なしわを生じ被覆体とケーブル等間に
長手方向に隙間を生じても粘着剤層の流動によりこれを
埋め遮水性を保つこと、又金属貼の厚さを０．０１＝０
．１ｍ＋に特定したことにより上記熱収縮時における金
属箔のしわ発生が著しく小さく粘着剤層による作用を確
実化すること、及び金属箔より内層の熱収縮材層の厚さ
を金属箔より外層の熱収縮材層の厚さより小さくしたこ
とによりチューブの熱収縮力が有効に寄与し金属箔のし
わをチューブ外表面に現われないようにしたことからこ
の考案の作用効果が得られるものと考えられる。

第２図はこの考案の一実施態様の熱収縮チューブを示し
たものであって、１０は内層、１０′は外層の熱収縮チ
ューブであり、１１はこれら内外熱収縮チューブ間に配
された銅、アルミニウム、鉛などの金属箔であり、この
金属箔１１はその縁部が適当幅オーバーランプ１１′し
ていて事実上チューブ周方向全周に延びる構成になって
いる。

上記金属箔１１は第３図の如くチューブの全長に延びる
長さのもの、あるいは第４図の如く遮水効果を向上させ
たい部分だけの部分的なものであっても良い。

また金属箔を設ける位置は熱収縮層の内部のみでなく、
熱収縮層の内表面に設けることも出来る。

そしてこの金属箔１１はその両面にプラスチックを予め
ラミネートしたものを用いることにより上記熱収縮チュ
ーブとの一体化が容易に行われるので好ましい。

この考案における金属箔としては、０．０１〜０．１ｓ
ｎ厚のものを用いるのであり、この厚さが０．０１ｍ以
下では収縮時に破断、若しくは亀裂発生の恐れがあり、
又上限を超えると上述した収縮時の発生しわの大きさが
粗大となり、この考案の効果が減殺されいづれも好まし
くない。

又この金属箔にラミ坏−卜するプラスチックとしては、
低、中及び高密度ポリエチレン、ポリプロビレ／、ポリ
ブテン−１，ポリメチルペンテン。

エチレン−エチルアクリレート共重合体、塩素化ホリエ
チレン、インプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン
−ブタジェンゴム等が挙げられる。

更に本体の内外層熱収縮性チューブとしては、高圧法ポ
リエチレン、塩化ビニル、飽和ポリニスエル、架橋ポリ
エチレン、エチレン−プロピレンゴム、シリコーン、ク
ロロブレンゴム、ふっ素樹脂などからなる少なくとも２
０％以上の熱収縮率をもつものが用いられる。

上記金属箔と熱収縮性チューブとの一体化のためには、
これらを熱融着することが必要であり、前記２ミネート
材料をチューブ本体と同−又は同系材料とすることが好
ましく例えばポリエチレンを用いる場合には、前記金属
箔にポリエチレンをラミネートする等の配慮が望ましい
。

本考案において熱収縮材層の内部に金属管を設ける位置
は、前記のように金属箔より内層の熱収縮材層の厚さが
、金属箔より外層の熱収縮材層の厚さより小さくなる位
置に於ける必要があるが、できるだけ内表面に近い位置
とすることが望ましい。

これはこのようにすることにより、外側の熱収縮材層の
厚さが厚くなり、収縮力が大きくなると共に、金属箔部
に収縮時に生ずるしわが、外側の熱収縮材層の凹凸とし
て外表面にあられれず、金属箔を設けなかった場合と同
様な滑らかな表面となるためである。

当然金属箔より内層の熱収縮材層の金属箔のしわによる
凹凸は大きくなるが、これは本考案の熱収縮チューブの
最内層に粘着材層を設ける構造により吸収され、チュー
ブで被覆されるものとの間に長手方向に微小な間隙部が
発生しない。

また金属箔を熱収縮材層の内表面に設けても同等の効果
が得られる。

この場合、熱収縮材層と金属箔との間に接着剤あるいは
粘着材層を介して設ける構造も当然台まれる。

次に１２はこの考案のチューブの最内側に設けられた粘
着層であるが、この粘着層１２は通常金属箔を一体化さ
せた熱収縮チューブを形成した後に、該チューブの最内
層に積層させて設ける。

粘着層１２の材料としては、天然ゴム、再生ゴム。

ブチルゴム等に粘着付与剤、軟化剤、油、充填剤。

老化防止剤等を混合したコンパウンドが用いられる。

軟化剤としてはアスファルト、充填剤としては炭酸カル
シウムやカーボン等が用いられることが多い。

この粘着層１２の膜厚としては、０．５＃〜２ｆｉの範
囲が好ましく、その理由は、０．５ ａｍ以下では熱収
縮時に生じたしわを粘着層の動きによって吸収すること
が難しく、チューブの長手方向に微小な空隙を生ずるた
めである。

また粘着層の厚さが収縮前に２ｒｒｖｎ以上であると収
縮後には収縮率によって４ｒｒｒｒｎ〜５＃以上になる
こともあり、チューブの外に流れやすいことと、チュー
ブの熱収縮性が悪くなることなどから好ましくない。

この考案は以上の記載及び後記実施例から明らかなよう
に、例えばケーブル接続部等への被覆時の加熱収縮に際
して、仮りに金属箔が熱収縮性チューブ本体の収縮に微
細なしわを形成しつつ適切に追従できずにその長手方向
に部分的に粗大なしわを発生しても、このしわによるケ
ーブルと被覆体間の微小空隙を粘着層材料が好適に埋め
、該熱収縮チューブ端部かもの浸水を完全に遮断し得る
とともに、滑らかなチューブ表面形状とすることが出来
るのであり、特に遮水効果を著しく向上させ得る効果は
まことに大きい。

以下この考案を実施例により具体的に説明する。

実施例 第１表に示す構成により熱収縮チューブを作成し、第５
図に示す試料形態で６０℃温水中に浸漬し、３０日間保
持した後試料を取り出し、試料内部への透湿量を測定し
た結果及び該収縮チューブの収縮後の外観とともに第２
表に示す。

尚第５図において、Ａは一端がシールされた銅パイプで
これにポリエチレンＢが被覆されて居り、その外径は３
５ｒｒｔ！ｎである。

この銅パイプＡと開口側を対向させて２本を配置し、内
部に乾燥剤Ｃ（シリカゲル５１）を設置し、両開口側を
熱収縮性チューブＤに挿入し熱収縮させたものである。

該熱収縮チューブＤの収縮部における寸法１．＝５０ｒ
ｒｒｍ 、 ｔ２＝ ｌ ５０ｒａｎである。

そして上記の透湿量は、温水浸漬後３０日後に試料を温
水から取り出し、測定した乾燥剤の重量から、温水浸漬
前の乾燥剤の重量を差し引いて求めたものである。

第２表の結果に見られるように本考案実施例の遮水性熱
収縮チューブは、遮水金属層の無い同一熱収縮材料によ
る収縮チューブと比較し、その透湿量は約千分の１とな
っている。

これは収縮チューブの層方向のみならず、長手方向の遮
水効果も優れていることを示すものであり、本考案の効
果が確認された。

また外観上も金属箔を設けない場合に近い滑らかな表面
となり、商品価値の高いものとなることが確認された。

遮水能力が金属箔を設けない場合の千倍になるというこ
とは、水分の浸入により長期間の間には絶縁性能が著し
く低下する高電圧架橋ポリエチレン絶縁型カケ−プル等
の場合には、本考案熱収縮チューブにより、接続部等を
防水保護することにより絶縁性能の信頼性が著しく向上
することが期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の熱収縮チューブのケーブル上での収縮時
に長手方向に極端な粗大なしわを生じた場合を示す断面
図、第２図はこの考案による実施態様チューブの断面図
、第３図及び第４図は金属箔をチューブ全長及び部分的
に設けた例の斜面図、第５図は遮水性試験時の試料態様
の説明図である。 １０．１０’・・・・・熱収縮チューブの夫々内層及び
外層、１，１１・・・・・・金属箔、１２・・・・・・
粘着層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱収縮性チューブの全長又は一部区間にわたって該チュ
   ーブの周方向全周に延びるように０．Ｏ１〜０．．１ｍ
   厚の金属箔を熱収縮材層の厚さ方向に金属箔より内層の
   厚さが外層の厚さより小さい位置に配し、かつチューブ
   の最内層に粘着剤層を設けたことを特徴とする遮水性熱
   収縮チューブ。