JPH0334800Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電子式オルゴールユニツトの薄形化に
関するものである。

昨今、オルゴールユニツトの利用分野は著しく
拡大されており、宝石箱、小物入等の箱物、ある
いは各種人形等の立体的なもののみに止まらず、
例えば、表紙を開くとメロデイーが鳴り出すアル
バム等の冊子状物にまで利用されている。ここ
で、従来のオルゴールユニツトはある程度の厚さ
を有するものであつたため、冊子状のものに組込
む場合には、アルバムの様に表紙に充分な厚さを
有するものにその利用が偏つていた。また、電子
化によつて比較的薄形化されたオルゴールユニツ
トもいくつか提案されており、その中の若干のも
のは、誕生祝いのプレゼントに添えるメツセージ
を書いたカードあるいはクリスマスカード等の所
謂グリーテイングカード（greetig card）にも利
用されている。しかしながら、これらのオルゴー
ルユニツトの薄形化はまだ充分なものとはいえ
ず、従つて、オルゴールを内蔵したグリーテイン
グカードはその厚さが数ミリメートルを越えるも
のとなつてしまい、体裁の良いものとはいいがた
いものであつた。

本考案はこの点に着目してなされたもので、グ
リーテイングカードの様な薄いものにもその体裁
を損うことなく組込むことができ、取扱いも簡単
な極めて薄形のオルゴールユニツトの提供を目的
とするもので、その要旨は、圧電効果を利用した
薄形の電気・音響変換器と、内蔵したプログラム
に応動してメロデイー信号を発生し、これを前記
電気・音響変換器へ供給する半導体集積回路と、
光を検知してこの半導体集積回路を起動する光電
素子等を結線して構成した回路網をベースシート
上に固定し、このベースシートの少くとも光電素
子固定部分は光電素子が作動するに充分な透光性
を持たせたことに存するものである。

以下図面に示す実施例を参照しながら詳細に説
明する。

第１図は本考案に係るオルゴールユニツトの一
実施例を示す一部切欠平面図である。同図に於
て、１は本考案に係るオルゴールユニツトであ
り、２はベースシートとしての台紙、３は回路網
である。台紙２はケント紙の様な比較的腰が強
く、若干の透光性を有する紙を基材として用い、
その片面に粘着剤を塗布し、この粘着剤層２１の
上をセパレートペーパー２２および２３で覆つた
ものである。また、回路網３は電気・音響変換器
（以下発音体という）３１、半導体集積回路（以
下ICという）３２、光電素子３３、電池３４等
を線材３５によつて結線したものである。

この発音体３１は、例えば圧電効果を使用して
電気的な信号を音響に変換するものであつて、通
常ピエゾスピーカー（Piezo speaker）と呼ばれ
ており、その厚さが0.5mm前後の極めて薄形のも
のが市販されている。本実施例ではこの極めて薄
形のピエゾスピーカーが利用されている。

IC３２は起動されると電気的なメロデイー信
号を発生させて発音体３１に送り出すものであ
る。メロデイー信号の発生は、内蔵メモリーに予
め書き込まれているプログラムに従つて内蔵して
いる発振回路を制御することによつて行つてい
る。即ち、プログラムの指定する周波数で指定す
る時間だけ発振回路を発振させ、これを遂次繰返
すことで一連のメロデイー信号を送出するもので
ある。このIC３２には、通常のパツケージに収
納された厚さ５〜６mmのものではなく、0.5mm程
度の薄手のプリント配線板にチツプを直接取付け
た、全体の厚さが１〜1.5mm程度の極く薄形のも
のが使用されている。

光電素子３３は、例えば光量の変化によつて電
気的導電度が変化する受光素子であつて、光量の
変化を検出してIC３２の起動信号を作成送出し
ている。本実施例に於てはCdSセルが用いられて
いる。この光電素子３３は受光面を台紙２に密着
させて取付けられている。３６はこの光電素子３
３の背面を覆う遮光紙である。電池３４はこの回
路網３で消費される電力を供給する電源であつ
て、本実施例に於ては、厚さが1.5〜２mmのボタ
ン電池が使用されている。

これら各部品は線材３５によつて所定の結線が
なされ回路網３に形成される。この回路網３の台
紙２への取付固定は、台紙２のセパレートペーパ
ー２２を除去して露呈した粘着剤層２１上にこれ
を載置し、裏返されたセパレートペーパー２２を
その上から貼着することによつて行なわれる。

次に、本実施例に係るオルゴールユニツト１の
製作手順を説明する。第２図はその製作手順を示
す工程説明図である。

先ず、同図イの如く台紙２が用意される。この
台紙２の粘着剤層の上を覆うセパレートペーパー
は、通常半抜加工と呼ばれている加工法により、
その中央部に正方形状に入れられた切込線２４に
よつて２つの部分２２および２３に分割されてい
る。

次に、この台紙２より中央部のセパレートペー
パー２２を取除く。これによつてこの部分に粘着
剤層２１が露呈する。第２図ロはその過程を示す
ものである。この粘着剤層２１が露呈した台紙２
の中央部には、別途半田付け等によつて結線され
た回路網３が載置される。この時、光電素子３３
は受光面を粘着剤層２１に密着させ、その背面は
遮光紙３６によつて覆われる。これによつて光電
素子３３は台紙２の基材面からの透過光によつて
のみ作動するようになる。第２図ハはこの状態を
示すものである。尚、セパレートペーパー２３を
遮光性を有する材料で構成すれば、遮光紙３６は
省略できる。

次に、この様にして回路網３が載置された台紙
２の粘着剤層２１の露呈部には、ここから取除か
れたセパレートペーパー２２が貼着さる。この場
合、セパレートペーパー２２は裏返しされて、コ
ーテイングされていない面が粘着剤層２１に接す
る様に被さられる。第３図ニにはそれぞれ過程が
示されている。これによつてセパレートペーパー
２２は基材に貼着されて容易に剥れることなく、
回路網３は粘着剤層２１とこのセパレートペーパ
ー２２とによつて確実に台紙２に固定される。

これによつて本実施例に係るオルゴールユニツ
ト１は完成する。

次に、本実施例に係るオルゴールユニツト１の
グリーテイングカード４への応用を第３図を用い
て説明する。

オルゴールユニツト１は、先ずその台紙２より
周辺のセパレートペーパー２３が除去される。こ
れによつて回路網３を覆つたセパレートペーパー
２２の周囲に粘着剤層２１が露呈する。第３図イ
はその過程を示すものである。次に、このオルゴ
ールユニツト１を取付けるグリーテイングカード
４を開いて、その表紙４１の裏面に前記粘着剤層
２１を利用して貼着する。第３図ロはこの状態を
示している。同図に於て、４２は裏表紙、４３は
メツセージ記入用紙である。

オルゴールユニツト１の貼着が完了したら表紙
を閉じてオルゴール付グリーテイングカードが完
成する。ここで、光電素子３３へ到達する光線
は、表紙が閉じられている場合、裏表紙４２、２
枚のメツセージ記入用紙２３および台紙２の基材
であるケント紙を透過して来た微弱なものである
のに対して、表紙が開かれている場合、ケント紙
のみを透過した比較的強いものとなる。IC３２
はこの光量の差による光電素子の電気的導電度の
変化によつて起動される。

以上詳細に説明した如く、本実施例に係るオル
ゴールユニツトによれば、極めて薄形の部品を用
いて形成した回路網をケント紙を基材とする極め
て薄い台紙に貼着したもので、全体として２mm程
度の極めて薄形のオルゴールユニツトを得ること
ができる。また、この台紙も基材の他面に粘着剤
を塗布して、中央部分が分離可能なセパレートペ
ーパーで覆つたものであるため、オルゴールユニ
ツトの組立が簡単であるばかりか、使用時の取付
も極めて簡単なものとなる。

以上、図示の実施例に従つて詳細に説明した
が、本考案はこれにのみ限定されるものでないこ
とはいうまでもない。例えば、台紙に予め粘着剤
層を設けておくことなく、回路網およびその覆紙
は接着剤を用いて台紙に貼着し、また取付に際し
ても、台紙の周囲に接着剤を塗布してグリーテイ
ングカードの表紙の裏面に貼着するものであつて
もよい。また、ベースシートも前記台紙の様なケ
ント紙等の紙を基材としたもののみに限らず、適
当なプラスチツク材料によるベースシートに適宜
変更可能である。この場合、使用するプラスチツ
ク材料によつては粘着剤の種類に制約を受けるこ
とがある。

また、光電素子としても、CdSセルの如き光導
電素子のみに止まらず、光電池、光トランジスタ
等の種々の素子に代替可能である。時に太陽電池
の様な変換効率の高い大出力の得られる光電池を
用いた場合、電源としての電池は不要となる。さ
らに、この電源としての電池にボタン電池ばかり
でなく、ペーパーバツテリー等を利用し、配線用
線材にフレキシブルプリント配線板等を用いれ
ば、更に薄形化をはかることも可能となる。

以上の如く、本考案に係るオルゴールユニツト
によれば、ICの起動にメカニカルな可動部分を
有するスイツチを用いていないため、回路網部分
を超薄形に形成でき、これを極めて薄いベースシ
ートに取付けたものであるため、グリーテイング
カード、絵本の表紙等、特に厚みのない所に用い
てもその体裁を損うことはなく、製作、組込等の
取扱いも簡単なオルゴールユニツトを得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るオルゴールユニツトの一
実施例を示す一部切欠平面図、第２図はその製作
手順を示す工程説明図、第３図はその使用方法を
説明するための説明図である。 １……オルゴールユニツト、２……台紙、２１
……粘着剤層、２２，２３……セパレートペーパ
ー、２４……切込線、３……回路網、３１……発
音体、３２……IC、３３……光電素子、３４…
…電池、３５……線材、３６……遮光紙、４……
グリーテイングカード、４１……表紙、４２……
裏表紙、４３……メツセージ記入用紙。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 圧電効果を利用した薄形の電気・音響変換器
   と、内蔵したプログラムに応動してメロデイー
   信号を発生し、これを前記電気・音響変換器へ
   供給する半導体集積回路と、光を検知してこの
   半導体集積回路を起動する光電素子と、前記半
   導体集積回路を駆動する電源と、一側面に粘着
   剤の塗布された台紙と、該台紙の粘着剤の塗布
   面を覆う略中央部分が所定の形状に切り欠かれ
   たセパレートペーパーと、切り欠いて除去した
   除去セパレートペーパーと、前記台紙の少なく
   とも光電素子固定部分は光電素子が作動するに
   充分な透光性を有するとともに、前記電気・音
   響変換器と半導体集積回路と光電素子と電源と
   を結線し、前記除去セパレートペーパーの裏面
   と前記台紙との間で固定された回路網とを備え
   たことを特徴とするオルゴールユニツト。 ２ 前記光電素子の背面は、遮光紙により覆われ
   ており、前記光電素子は、台紙の基材面からの
   透過光によつて作動することを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のオルゴールユ
   ニツト。