JPH0332350Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、身体障害者、患者、老人など介助
者を必要とする入浴者を、入浴用車椅子に乗せた
まま入浴させるための車椅子式入浴装置に関する
ものである。

［従来の技術］ 近年寝たきり老人を作らないということで、老
人ホームなどでは老人を車椅子で生活させる所が
増加している。このような施設では、従来入浴者
を入浴用担架の上に仰臥状態にして入浴させた方
法から、車椅子に腰かけた状態で入浴させる方法
に移行している。

第６図及び第７図は従来の車椅子式入浴装置の
構成を示す一部破断側面図である。

第６図において、１は床面３０にその支持部４
５がアンカボルト３１によつて固定された片持ち
式の台フレーム、３２は浴槽、３３は浴槽３２を
昇降させるテーブルリフタ、３４はテーブルリフ
タ３３に圧油を供給する油圧ユニツト、３５は上
記浴槽３２、テーブルリフタ３３及び油圧ユニツ
ト３４などを収容するため床面下に設けられたピ
ツトである。台フレーム１の上面の高さは床面３
０の高さと同一になつていて、その一部に入浴用
車椅子２１を台フレーム１上に固定するための固
定手段である固定装置３６が設けられている。

次に上記第６図に示した従来の車椅子式入浴装
置の動作について説明する。

先ず浴槽３２に温水を適量注入し、テーブルリ
フタ３３を縮退させて浴槽３２を最下位にしてお
く。この場合、浴槽３２の上縁は床面３０と同一
か、床面３０より低くなつている。

次に、入浴者２０を乗せ固定ベルト４６で固定
した入浴用車椅子２１を床面３０から台フレーム
１上に移動し、固定装置３６によつて台フレーム
１に固定する。さらに次に、油圧ユニツト３４を
作動させ、圧油をテーブルリフタ３３の油圧シリ
ンダに供給してテーブルリフタ３３を伸長させる
と浴槽３２は上昇し、入浴者２０は入浴用車椅子
２１に腰掛けたままで温水に浸ることができる。
入浴が終わつた後、油圧ユニツト３４の制御弁を
開いて油圧を逃がしてテーブルリフタ３３を縮退
可能状態にすると、浴槽３２はその自重によつて
下降し、入浴者２０を乗せた入浴用車椅子２１は
床面３０に移動することができるようになる。

第７図に示した装置は、従来の他の車椅子式入
浴装置である。第６図と同一又は相当する部分は
同一符号を用いて表示してあり、その詳細な説明
は省略する。第７図において、３７は台フレーム
１の中央下部を支承する支柱で、浴槽３２の底部
に設けられたシール部３８を貫通しベースフレー
ム２９に立設されている。３９は上記シール部３
８が浴槽３２の昇降時に心振れを起こしたとき、
その心振れを吸収するためのゴムなどからなる可
撓膜、４０は水圧シリンダ、４１は水圧ユニツ
ト、４２は浴槽３２を支承する上部フレーム、４
３は上部フレーム４２の下部周囲に設けられたガ
イドローラ、４４はベースフレーム２９に立設さ
れたガイドレールである。

水圧ユニツト４１から供給される圧力水によつ
て水圧シリンダ４０が伸長すると、上部フレーム
４２はガイドローラ４３を介してガイドレール４
４に案内されて上昇し、浴槽３２を垂直に上昇さ
せることができる。

浴槽３２に適量の温水を注入し、入浴者２０を
乗せ固定ベルト４６で固定した入浴用車椅子２１
を台フレーム１に移動したのち、固定装置３６に
よつて台フレーム１に固定し、浴槽３２を上昇さ
せると、入浴者２０は入浴用車椅子２１に腰掛け
たまま温水に浸り入浴することができる。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記従来の車椅子式入浴装置は以上のように構
成されているので、温水を満たした浴槽３２を上
昇させなければならない。従つて大きな引上げ力
を必要とし、テーブルリフタ３３や水圧シリンダ
４０などの昇降装置も出力の大きなものが要求と
されるので、大型高価となる。また、浴槽３２及
び昇降装置などを収容するピツト３５も大きなも
のが必要となり設置場所も制限されるという問題
点があつた。

さらに、浴槽３２の下方にその昇降装置を設置
しなければならないので、ピツト３５の横に保守
修理用の出入口を設ける必要があり、設備に要す
る費用が大きくなる。また、浴槽３２及び入浴者
２０の身体を洗浄する場所からピツト３５に水が
流れ込み易く、ピツト３５内が高湿度になつて水
圧ユニツト４１、油圧ユニツト３４の電装品が故
障したり、フレームが腐食し易いなどの問題点が
あつた。

さらに、入浴用車椅子２１を台フレーム１に固
定するための固定装置３６についても、従来では
固定用ピンを抜き戻しするなどの方法が行われて
おり、人手による固定用ピンの着脱の操作がめん
どうでやりにくく、そのために介助者の労力や時
間的ロスが大きいなどの問題点があつた。

この考案はかかる問題点を解決するためになさ
れたもので、浴槽の昇降装置を浴槽の下に設置す
る必要がなく、従つて浴槽を収容するピツトの深
さを浅くできるほか、入浴用車椅子の簡単で確実
な固定装置を備え、使用方法や保守修理も容易で
簡単な構成による小型、かつ安価に製造できる車
椅子式入浴装置を得ることを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ この考案に係る車椅子式入浴装置は、浴槽内に
立設した支柱と、電動機によつて上記支柱に沿つ
て昇降するローラフレームと、このローラフレー
ムに固着し、入浴用車椅子の固定手段を備えた台
フレームとから構成され、さらに上記固定手段
が、上記入浴用車椅子の椅子フレームの下部にピ
ン支持板によつて取り付けられたストツパピン
と、上記ピン支持板が嵌入するための開口部を一
端に有し、かつ上記ストツパピンの幅より狭い幅
の溝を天板中央に設けたストツパ受けと、このス
トツパ受けの側壁内側に回動自在に軸支されたペ
ダルと、このペダルを上方向に付勢する引つ張り
ばねと、上記ストツパピンの後部に下向きに設け
られ、上記ペダルが嵌入し得る切欠き部とから構
成され、上記入浴用車椅子の位置決めと、浮き止
めとするようにしたものである。

［作 用］ この考案に係る車椅子式入浴装置においては、
上記構成によつて浴槽内に入浴者を乗せた入浴用
車椅子を下降又は上昇させるようにしたので、昇
降用の駆動装置を浴槽を収容するピツトの外部に
設置できるようになり、温水の入つた重量の大き
な浴槽を昇降させる必要がない。さらに入浴用車
椅子の固定装置を上記構成としたので、入浴用車
椅子の着脱が簡単で確実になり、介助者の労力が
軽減され、かつ時間的ロスがなくなる。

［実施例］ 第１図はこの考案の一実施例である車椅子式入
浴装置の構成を示す一部破断側面図、第２図は上
記第１図のＡ−Ａ線断面図である。図において、
１は入浴用車椅子２１（第５図参照）を載せる台
フレーム、２は支柱４に沿つて昇降するローラフ
レーム、３はそのローラ、４は浴槽部１６の底部
に設けられたベースフレーム２９の端縁と駆動部
フレーム１４の浴槽部１６側端縁の間に立設され
た２本の支柱、５ａは駆動部フレーム１４の支柱
４の上部位置に設けられたブラケツト１８によつ
て支承される駆動軸１７の両端部に設けられたス
プロケツト、５ｂはベースフレーム２９の端部で
支柱４，４の間に設けられた連結軸１９の両端に
設けられたスプロケツト、６ａは駆動軸１７に設
けた駆動スプロケツト、６ｂはブレーキ付電動機
１１の出力軸に設けた駆動スプロケツト、７は駆
動スプロケツト６ａ及び６ｂに掛けられた駆動チ
エーン、８は上記スプロケツト５ａ及び５ｂに掛
けられ、そのチエーン端部８ａ，８ｂが連結部材
１３に固着された昇降チエーン、１３は２組のロ
ーラフレーム２，２を連結する連結部材、９ａ及
び９ｂは駆動チエーン７の一部に取り付けられた
ドツグ１０によつて作動するように、駆動部カバ
ー１５及び駆動部フレーム１４に設けられたリミ
ツトスイツチ、１２は台フレーム１の一部に設け
られた固定手段であるストツパ受け、１４はその
基部をアンカボルト３１によつて床面３０に固定
され、その一部が浴槽部１６上に張り出してい
て、ブレーキ付き電動機１１及びブラケツト１８
などを支承している駆動部フレーム、１５は駆動
部フレーム１４を覆う駆動部カバー、１６はコン
クリートあるいはステンレス鋼板などで形成さ
れ、床面３０下に埋設された浴槽部である。

次に上記固定手段であるストツパ受け１２に関
し詳細に説明する。第３図及び第４図はストツパ
受け部分の一部破断側面図及び一部破断正面図で
ある。図において、２２は入浴用車椅子２１のホ
イール、２３は入浴用車椅子２１の椅子フレー
ム、２４はその椅子フレーム２３の下部にピン支
持板２４ａによつて取り付けられたストツパピ
ン、２５はストツパ受け１２の側壁内側に回動自
在に軸支されたペダル、２６はそのペダル２５を
第４図において反時計方向に付勢する引つ張りば
ね、２７はストツパ受け１２の天板中央に設けら
れピン支持板２４ａが嵌入する溝、２８はストツ
パピン２４の後部に下向きに設けられた切欠き部
である。なお、ストツパ受け１２の天板中央に設
けられた溝２７はストツパピン２４の幅より狭い
幅の溝であり、またストツパ受け１２には、その
一端にピン支持板２４ａが嵌入するための開口部
が設けられている。

上記ストツパ受け１２は入浴用車椅子２１を入
浴のため、入浴用車椅子２１を上記台フレーム１
に正しく載せた場合、その溝２７に入浴用車椅子
２１のピン支持板２４ａが嵌入するように台フレ
ーム１上に設けられている。入浴用車椅子２１を
台フレーム１上に載せるため移動すると、ピン支
持板２４ａは溝２７に嵌入し、ストツパピン２４
の円錐状になつている先端は引つ張りばね２６に
よる力に抗してペダル２５を押し下げ、ストツパ
ピン２４はペダル２５を摺動して前進する。スト
ツパピン２４の先端がストツパ受け１２の前壁に
当接して停止する直前、ペダル２５はストツパピ
ン２４の切欠き部２８に入り込んで、入浴用車椅
子２１を台フレーム１に固定することになり、入
浴中の入浴用車椅子２１の浮き上りも防止する。

次に上記第１図及び第２図に示すこの考案の一
実施例である車椅子式入浴装置の動作について説
明する。

第５図は上記第１図及び第２図に示す車椅子式
入浴装置の台フレーム１に入浴用車椅子２１を載
せた場合を示す一部破断側面図である。第５図に
示すように、入浴者２０を入浴用車椅子２１に乗
せ固定ベルト４６によつて固定した入浴用車椅子
２１を台フレーム１上に移動し、上記ストツパ受
け１２によつて固定する。

図示しない操作パネル上の下降ボタンを押す
と、ブレーキ付き電動機１１が作動し、駆動スプ
ロケツト６ｂは第５図において時計方向に回動す
る。従つて駆動チエーン７、駆動スプロケツト６
ａ、駆動軸１７を介してスプロケツト５ａは時計
方向に回動し、昇降チエーン８も時計方向に駆動
されるので、昇降チエーン８のチエーン端部８
ａ，８ｂが固着しているローラフレーム２は支柱
４に沿つて下降し、ローラフレーム２に一端が固
着している台フレーム１は下降する。こうして台
フレーム１に固定した入浴用車椅子２１に腰掛け
た入浴者２０は、浴槽部１６中の温水に浸ること
ができる。

台フレーム１が最低位置に下降する直前に、駆
動チエーン７に取り付けられたドツグ１０はリミ
ツトスイツチ９ｂの作動レバーを押圧する。する
とリミツトスイツチ９ｂが作動してブレーキ付き
電動機１１は作動を中止し、台フレーム１の下降
は停止するようになつている。

入浴を終わり台フレーム１を上昇させるには、
操作パネル上の上昇ボタンを押すとブレーキ付き
電動機１１は下降時と逆方向に回動し、駆動チエ
ーン７、駆動軸１７、スプロケツト５ａなどを介
して昇降チエーン８は第５図において反時計方向
に駆動させられるので、ローラフレーム２及び台
フレーム１は上昇する。

台フレーム１が最上位置に到達する直前に、駆
動チエーン７上のドツグ１０は第５図に示す位置
に戻つて来て、リミツトスイツチ９ａの作動レバ
ーを押圧しリミツトスイツチ９ａを作動させブレ
ーキ付き電動機１１を停止させるので、台フレー
ム１の上面が床面３０と一致する位置で停止する
ようになつている。

この後、台フレーム１上のストツパ受け１２の
ペダル２５を下に押し下げストツパピン２４との
掛止を解除し、入浴者２０を乗せた入浴用車椅子
２１を床面３０に移動することができる。

［考案の効果］ この考案は以上説明したとおり、浴槽内に立設
した支柱に案内されて昇降するローラフレームに
固着した台フレームに入浴用車椅子を固定して、
入浴用車椅子を浴槽内に下降又は上昇させるよう
に構成したので、従来の車椅子式入浴装置のよう
に温水を満たした浴槽を昇降させる必要がない。
従つて消費電力を格段に少なくすることができ
る。また、台フレーム昇降用の駆動部を浴槽部ピ
ツトの外に設置することができるので、浴槽部ピ
ツトの深さを小さくすることができるほか、装置
の保守修理が容易となり、簡単な構成で装置全体
が小型で、かつ安価に製造できる。さらに入浴用
車椅子の固定装置を上記構成としたので、入浴用
車椅子の着脱が簡単で確実になり、介助者の労力
が軽減され、かつ時間的ロスがなくなるなどの優
れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例である車椅子式入
浴装置の構成を示す一部破断側面図、第２図は上
記第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図及び第４図は
ストツパ受け部分の一部破断側面図及び一部破断
正面図、第５図は第１図及び第２図に示す車椅子
式入浴装置の台フレームに入浴用車椅子を載せた
場合を示す一部破断側面図、第６図及び第７図は
従来の車椅子式入浴装置の構成を示す一部破断側
面図である。 図において、１……台フレーム、２……ローラ
フレーム、３……ローラ、４……支柱、５ａ，５
ｂ……スプロケツト、６ａ，６ｂ……駆動スプロ
ケツト、７……駆動チエーン、８……昇降チエー
ン、８ａ，８ｂ……チエーン端部、９ａ，９ｂ…
…リミツトスイツチ、１０……ドツグ、１１……
ブレーキ付き電動機、１２……ストツパ受け、１
３……連結部材、１４……駆動部フレーム、１５
……駆動部カバー、１６……浴槽部、１７……駆
動軸、１８……ブラケツト、１９……連結軸、２
０……入浴者、２１……入浴用車椅子、２２……
ホイール、２３……椅子フレーム、２４……スト
ツパピン、２４ａ……ピン支持板、２５……ペダ
ル、２６……引つ張りばね、２７……溝、２８…
…切欠き部、２９……ベースフレーム、３０……
床面、３１……アンカボルト、３２……浴槽、３
３……テーブルリフタ、３４……油圧ユニツト、
３５……ピツト、３６……固定装置、３７……支
柱、３８……シール部、３９……可撓膜、４０…
…水圧シリンダ、４１……水圧ユニツト、４２…
…上部フレーム、４３……ガイドローラ、４４…
…ガイドレール、４５……支持部、４６……固定
ベルトである。なお、各図中、同一符号は同一、
又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 入浴者を入浴用車椅子に乗せたまま入浴させる
   車椅子式入浴装置において、浴槽と、この浴槽内
   に立設した支柱と、チエーンなどを介して電動機
   により上記支柱に沿つて昇降するローラフレーム
   と、このローラフレームに固着し、入浴用車椅子
   を載せその固定手段を備えた台フレームとから構
   成され、さらに上記固定手段が、上記入浴用車椅
   子の椅子フレームの下部にピン支持板によつて取
   り付けられたストツパピンと、上記ピン支持板が
   嵌入するための開口部を一端に有し、かつ上記ス
   トツパピンの幅より狭い幅の溝を天板中央に設け
   たストツパ受けと、このストツパ受けの側壁内側
   に回動自在に軸支されたペダルと、このペダルを
   上方向に付勢する引つ張りばねと、上記ストツパ
   ピンの後部に下向きに設けられ、上記ペダルが嵌
   入し得る切欠き部とから構成され、上記入浴用車
   椅子の位置決めと、浮き止めとすることを特徴と
   する車椅子式入浴装置。