JPH0331851B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、建造物の外壁を補修するためのアン
カーに関するものである。

（従来の技術） 建造物の多くはコンクリート躯体の表面にモル
タルあるいはタイルなどによる外壁を貼着してい
るが、長年の使用によつてコンクリート躯体と外
壁部との間に隙間が生じ、このため外装部分が剥
れて落下し、思わぬ事故を招くことがあつた。

従来、上記事態を解決するための手段として
は、外壁部からコンクリート躯体に向つて穴をあ
け、この穴に接着剤液を充填した後、ボルトを挿
入して両者を結合していたが、外壁部を加圧する
機構をもたなかつたので、充分な接着固定ができ
ないでいた。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は、外壁部をコンクリート躯体に向つて
加圧する機構を備え、外壁部とコンクリート躯体
との間に注入した接着剤液を加圧養生できる機能
をもつたアンカーを提供することである。

（課題を解決するための手段） 本発明において課題を解決するための手段は、
中空管であつて中央部が小径部に形成され先端部
に軸方向に沿うスリツトを形成した拡張部が設け
られたアンカー主体、前記拡張部の内側にアンカ
ー主体の内径よりも小径に形成した段部、前記拡
張部内に挿入した拡張栓、前記アンカー主体の小
径部の胴部に軸線を横切る方向に形成した複数本
の切溝、前記アンカー主体の小径部の胴部に形成
した接着剤液の注出口、前記アンカー主体に嵌め
たゴムあるいは樹脂による栓体、前記アンカー主
体の基端部に設けた止め金、前記栓体と前記止め
金との間に座金を介して装着した弾性体とを具備
するものである。

（実施例） 図において、アンカー主体１は中空管であつ
て、中央部が小径部２に形成され、先端部に軸方
向に沿うスリツト４を形成した拡張部３を設け、
基端部にネジ管５を設けている。前記拡張部３の
内側には内径を小さくした段部６が形成されてい
て、前記アンカー主体１内には前記ネジ管５の開
口部方向から第２図に示す拡張栓７が挿入され
る。

８，８は前記アンカー主体１の小径部２の外周
に軸線を横切る方向に形成した複数本の切溝で、
当該部分からアンカー主体を切断するためのもの
である。９は前記小径部２に設けた接着剤液の注
出口である。１０はアンカー主体１内に挿入した
拡張栓７を叩打する打込棒である。１１はコンク
リート躯体、１２はモルタル等による外壁部、１
３は前記外壁部１２を貫通しコンクリート躯体１
１に達する穴であつて、補修工事を行う施工面に
縦、横方向にそれぞれ50cm間隔程度で穿穴する。

補修作業は、まず、外壁部１２からコンクリー
ト躯体１１に向つて穿けられた穴１３にアンカー
主体１の拡張部３を穴底に向けて挿入し、ネジ管
５の開口部から打込棒１０を差し込んで予めアン
カー内に収容されている拡張栓７を叩打し、拡張
部３の先端をコンクリート躯体１１内で拡張して
アンカー主体を固定する。前記穴１３の開口部は
開口側が大径な円錐形状に削り取つておき、当該
部分はゴムあるいは樹脂等による円錐状の栓体１
４を嵌め込み、さらに栓体１４に座金１５を当接
し、スプリング１６を介してネジ管５にナツト１
７をねじ結合する。

次いで、ネジ管５の開口部から接着剤液を注入
してアンカー主体１の胴部に設けた注出口９から
コンクリート躯体１１および外壁部１２の隙間な
らびに穴１３とアンカーとの間に接着剤液を充填
する。前述したように穴１３は隣接して多数穿設
するから、隣接された次の穴でまだアンカーを挿
し込んでいない穴から接着剤液が排出し始める程
度に達すると、当該穴の周囲の隙間に接着剤液が
充填されたことが検知できる。この状態で接着剤
液を注入を中断し、ネジ管５に結合したナツト１
７を締め付け、スプリング１６の弾力を利用して
外壁部１２をコンクリート躯体１１に向つて圧着
し、接着剤液硬化の養生を行う。

接着剤液が硬化した後は、アンカー主体１から
ナツト１７および円錐栓１４を外し、外壁部１２
から突出しているアンカー主体を切溝８から切断
する。アンカー主体１は穴内にしつかりと固着さ
れているので、アンカーの突出部をハンマー等で
叩けば、アンカー主体は前記の切溝８から簡単に
切断される。

第３図は外壁部１２が薄い場合であり、第４図
は外壁部が厚い場合である。そしてさらに、外壁
部１２の穴１３の開口部分には仕上用のモルタル
等を充填する。

第３図、第４図では接着剤液注入後の外壁部の
圧着をスプリングを使用したが、第５図ではスプ
リングに代えてゴム２０を使用しゴムの弾力によ
つてナツト２１を固定する場合であり、第６図で
はスプリング３０を脚付座金３１で固定し、第７
図では椀状のスプリング座金４０で穴の開口部に
装着したゴムあるいは樹脂栓４１を固定してい
る。特に第６図、第７図の場合はネジ管５に相当
する部分にネジを刻設しないでよい。

（発明の効果） 本発明のアンカーは、外壁部とコンクリート躯
体との間に充填した接着剤液を加圧養生して接着
するものであるから、確実にかつ堅固に接着する
ことが出来る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はアンカーを一部破断した側面図、第２
図は拡張栓と打込棒の側面図、第３図、第４図は
アンカーの施工状態を示す断面図、第５図、第６
図、第７図は外壁部の圧着機構を示す他の実施例
図であり、何れもＡは一部断面の側面図、Ｂは正
面図である。 １……アンカー主体、２……小径部、３……拡
張部、４……スリツト、５……ネジ管、６……段
部、７……拡張栓、８……切溝、９……注出口、
１０……打込棒、１１……コンクリート躯体、１
２……外壁部、１３……穴、１４……栓体、１５
……座金、１６……スプリング（弾性体）、１７
……ナツト（止金）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中空管であつて中央部が小径部に形成され先
   端部に軸方向に沿うスリツトを形成した拡張部が
   設けられたアンカー主体、前記拡張部の内側にア
   ンカー主体の内径よりも小径に形成した段部、前
   記拡張部内に挿入した拡張栓、前記アンカー主体
   の小径部の胴部に軸線を横切る方向に形成した複
   数本の切溝、前記アンカー主体の小径部の胴部に
   形成した接着剤液の注出口、前記アンカー主体に
   嵌めたゴムあるいは樹脂による栓体、前記アンカ
   ー主体の基端部に設けた止め金、前記栓体と前記
   止め金との間に座金を介して装着した弾性体とを
   具備する外壁補修用アンカー。