JP2004197413A - 接着材併用拡張アンカー装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリート構造物の屋上やバルコニーなどの廻りに立ち上げられた壁(パラペット)などの、コンクリート幅が狭い箇所に手すりを取付けるのにアンカー装置を提供する。
【解決手段】アンカー1とコンクリート躯体11との間隙に接着材12を充填すると共にアンカー本体3の先端を拡張して固定するアンカー装置であって、前記アンカー1は、基端部に雄ネジ部2を設けた中空構造であり、アンカー本体3の表面に先端部から該雄ネジ部2までに達する表面に、周方向の溝4を設けるか、分散した凹部および/または凸部を設けると共に、先端部から軸方向に沿ってスリット5を設け、中空部6は先端部近くが先細りの小径部に形成されており、該中空部6には、先端が尖り形状を有するセンターピン7を基端部から挿入し、該雄ネジ部2にナット8が螺合されてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】アンカー1とコンクリート躯体11との間隙に接着材12を充填すると共にアンカー本体3の先端を拡張して固定するアンカー装置であって、前記アンカー1は、基端部に雄ネジ部2を設けた中空構造であり、アンカー本体3の表面に先端部から該雄ネジ部2までに達する表面に、周方向の溝4を設けるか、分散した凹部および/または凸部を設けると共に、先端部から軸方向に沿ってスリット5を設け、中空部6は先端部近くが先細りの小径部に形成されており、該中空部6には、先端が尖り形状を有するセンターピン7を基端部から挿入し、該雄ネジ部2にナット8が螺合されてなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート躯体、特にコンクリート躯体の幅が狭いコンクリート躯体箇所へ手すり等を取付けるのに最適なアンカー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート構造物の屋上やバルコニーなどの廻りに立ち上げられた壁(パラペット)など、コンクリート躯体幅が狭い箇所に手すりを取付け、固定するのには、「あと施工アンカー」が用いられている。「あと施工アンカー」は各種のものが開発され実施されているが、基本的な構造は、金属拡張アンカーと接着アンカーとの二種類がある(非特許文献1参照)。
【0003】
従来の金属拡張アンカーは、予め穿孔された孔内で金属製の拡張部を、打撃あるいは回転・締付等によりくさび状に拡張させ、コンクリート孔壁に拡張部を食い込ませて固着するが、コンクリート構造物の屋上やバルコニーなどの廻りに立ち上げられた壁(パラペット)など、コンクリート躯体の幅が狭い箇所に前記金属拡張アンカーを施工する場合、アンカー先端部の拡張によるコンクリート孔壁への押圧力(ストレス)により、コンクリート躯体にひび割れが生じ易かった。また、このひび割れによって、前記アンカーのコンクリート躯体への固着力が著しく低下すると共に、ひび割れから雨水などが入り込み、既設の鉄筋や施工した金属拡張アンカー自体の腐食が生じてしまう。
【0004】
上記コンクリート躯体のひび割れの発生を防ぐ方法として、アンカー拡張部の拡張時にコンクリート躯体に与える押圧力(ストレス)を軽減するべく、センターピンの全長を短くしたり、アンカー本体の拡張部の肉厚を薄くするなどの加工を加えて、拡張部の拡張幅を減らしたり、コンクリート躯体への穿孔径を若干、大きくするなどの方法が容易に考えられる。
しかし、この場合、アンカーの剛性及び引抜耐力が低下してしまい、手すりを安全に固定するのに充分な固着力が発揮できなくなるケースがあった。
【0005】
次に、接着系アンカーは、コンクリートに予め穿孔された孔と埋込まれるアンカー筋との隙間に接着材が充填され、アンカー筋及びコンクリート孔壁の凹凸部に接着材が食い込み硬化固着するが、設計上、金属拡張アンカーよりもアンカーの埋込み深さを深くしなければならないため、施工に手間と時間が多くかかった。
また、接着系アンカーは施工直後は固着力が発揮できず、接着材が硬化するまでは、ボルトに負荷をかけることができない為、施工直後の手すりの取付けは避けなければならなかった。
【0006】
【非特許文献1】(1990年6月10日 株式会社技術書院発行の「あと施工アンカー・設計と施工」 34頁所載の図2.5金属拡張アンカーのアンカー末端部の拡張方法、35頁所載の図2.6金属拡張アンカーの詳細、52頁所載の図3.11金属拡張アンカーの形状、60頁所載の図3.18接着系アンカーの概念図、図3.19接着系アンカーの形状)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題に鑑み、コンクリート構造物の屋上やバルコニーなどの廻りに立ち上げられた壁(パラペット)など、コンクリート躯体の幅が狭い箇所に手すりを取付け、固定する際に、コンクリート躯体にひび割れを発生させることなく、施工直後に手すりの取り付けが可能であり、施工後は充分に固着力を発揮することができる、接着材併用拡張アンカー装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の接着材併用拡張アンカー装置は、アンカー1とコンクリート躯体11との間隙に接着材12を充填すると共にアンカー本体3の先端を拡張して固定するアンカー装置であって、前記アンカー1は、基端部に雄ネジ部2を設けた中空構造であり、アンカー本体3の先端部から該雄ネジ部2までに達する表面に、周方向の溝4を設けるか、分散した凹部および/または凸部を設けると共に、先端部から軸方向に沿ってスリット5を設け、中空部6は先端部近くが先細りの小径部に形成されており、該中空部6には、先端が尖り形状を有するセンターピン7を基端部から挿入し、該雄ネジ部2にワッシャー付ナット8が螺合されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のアンカー装置の一実施の形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明のアンカーの一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)の縦断面図である。図2は、本発明のアンカー装置を使用して、施工を行う手順を示す作業行程図である。図3は、本発明のアンカー装置を使用してパラペットに手すりを取付けた施工完了の状態を示し、(a)は側方から見た説明図、(b)は正面から見た説明図である。
【0010】
図1において、アンカー1は基端部に雄ネジ部2を設けた中空構造であり、アンカー本体3の先端部から雄ネジ部2までに達する表面に周方向の連続した環状溝4を設けると共に、先端部から軸方向に沿って、全長の約4分の1程度の長さに形成したスリット5を設けたものであり、基端部にワッシャー付ナット8を螺合したものである。また、アンカー本体3の中空部6は、先端部近くが、先細りの小径部9に形成されており、中空部6内には、先端が尖り形状を有するセンターピン7が挿入されている。
【0011】
本発明を構成するアンカー1は、金属拡張アンカーと接着系アンカーの効果を兼ねた、併用型のアンカーである。本アンカー1はコンクリート躯体11にひび割れが生じないようにアンカー拡張部10の拡張時の押圧力(ストレス)を軽減したことにより生じる、金属拡張アンカーとしての固着力低下を補うべく、充填した接着材12による付着力を高めるために、アンカー本体3の表面に先端部から基端部の雄ネジ部2に達する連続した広範囲にわたり、溝、例えば図示例のような環状の溝4を設けている。
【0012】
本発明の接着材併用拡張アンカー装置において、アンカー拡張部10の拡張時にコンクリート躯体11に与える押圧力(ストレス)を軽減する為に、センターピン7の全長を短くしたり、アンカー本体3の拡張部10の肉厚を薄くするなどの加工を加えて、拡張部の拡張幅を減らしたり、コンクリート躯体11への穿孔径を若干、大きくするなどの措置を施すと共に、接着材による固着を併用することにより、充分な固着力を有し、かつアンカー本体3先端の拡張によるコンクリート躯体11のひび割れの発生を防ぐことができる。
上記環状の溝4は、1条ずつ環状に形成しても良いが、ネジ切りの要領で螺旋状の溝に形成しても良い。
また、上記溝に替えて、アンカー本体3の先端部から雄ネジ部2までに達する表面に、分散して凹部または凸部を形成したり、凹部と凸部を組み合わせて形成するようにしてもよい。
上記接着材12は、有機系、無機系のいずれを用いてもよい。
【0013】
図1において、センターピン7を中空部6内に挿入し、アンカー基端部の雄ネジ部2にワッシャー付きナット8を螺合する。穿孔した孔13へ接着材12を充填したあと、アンカー1を孔13へ挿入して、センターピン7の基端部から突出する部分を叩打すると、先端が先細りの小径部9に達して、アンカー本体3の先端部が拡張する。
【0014】
次に、図2により本発明のアンカーを使用して、コンクリート構造物の屋上やバルコニーなどの廻りに立ち上げられた壁(パラペット)等の、コンクリート躯体の幅が狭い箇所にアンカーを施工する手順を説明する。
アンカーの施工は、まずコンクリート躯体11に施工するアンカーのサイズに適応するドリルを選んで穿孔する。穿孔後、孔13内の切粉を吸塵機で吸い取り、その後、孔の壁面13aに付着した切粉をブラシで落とし、再度、孔13内の切粉を吸塵機で吸い取り、孔内に切粉が残らないようにする[図2(a)]。次いで孔13内に接着材12を充填する[図2(b)]。
【0015】
続いて、孔13内にアンカー1を挿入するが、アンカー1はアンカー本体3の中空部6内にセンターピン7を挿入して、雄ネジ部2にワッシャ付ナット8を螺合した状態で、先端部から孔13に差し込む。このとき、アンカー本体3とコンクリート孔壁13aとの空隙がすべて接着材12で満たされていることが好ましい[図2(c)]。
【0016】
そして、アンカー1には、センターピン7が挿入されているから穿孔した孔13に差し込んだアンカー1から、突出しているセンターピン7の頭部をハンマーで叩打すると、センターピン7の先端が中空部6の小径部9に突入してアンカー先端を拡張し、当該アンカー1はコンクリート躯体11に固定される[図2(d)]。
その後、スパナ類を用いて、ワッシャ付ナット8を締付け、取付物にガタがないか確認する。また、必要に応じて接着材の養生時間の経過後、再度スパナ類を用いてワッシャ付ナット8の締付けを行う[図2(e)]。
【0017】
【発明の効果】
(1)本発明は、金属拡張アンカーと接着系アンカーの機能を兼ねた併用型であるので、コンクリートのひび割れ防止のために、アンカー施工時のコンクリート躯体への押圧力(ストレス)を軽減させたことにより生じた、金属拡張アンカーとしての固着力の低下を充分に補うことができ、アンカー施工直後からも初期荷重に対して固着力を発揮できるので、施工直後から器物を取付けることができる。
(2)アンカー本体の表面に先端部から雄ネジ部までに達する表面に、周方向の溝や分散した凹凸部を設けてあり、この溝や凹凸部と接着材との付着力により、アンカー全体に応力を分散させることができ、これにより金属拡張アンカーのみに比べて、引抜き力に対する剛性が高く、引抜き耐力も大きくすることができる。
(3)金属拡張アンカーのみの施工と比較して、穿孔した孔とアンカーとの空隙から雨水が進入して、既設の鉄筋の腐食が生じたり、コンクリートの中性化の進行が早まる等の問題発生を防ぐことができる。
(4)接着系アンカーのみの施工と比較して、穿孔深さを設計上、浅くすることができるので、穿孔作業時の手間と時間が少なくて済み、施工の合理化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンカーを示し、(a)は正面図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図2】本発明のアンカー装置を使用して、施工を行う手順を示す作業行程図である。
【図3】本発明のアンカー装置を使用してパラペットに手すりを取付けた施工完了の状態を示し、(a)は側方から見た説明図、(b)は正面から見た説明図である。
【符号の説明】
1:アンカー
2:雄ネジ部
3:アンカー本体
4:溝
5:スリット
6:中空部
7:センターピン
8:ワッシャー付ナット
9:小径部
10:拡張部
11:コンクリート躯体
12:接着材
13:孔
13a:孔壁
21:手すり
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート躯体、特にコンクリート躯体の幅が狭いコンクリート躯体箇所へ手すり等を取付けるのに最適なアンカー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート構造物の屋上やバルコニーなどの廻りに立ち上げられた壁(パラペット)など、コンクリート躯体幅が狭い箇所に手すりを取付け、固定するのには、「あと施工アンカー」が用いられている。「あと施工アンカー」は各種のものが開発され実施されているが、基本的な構造は、金属拡張アンカーと接着アンカーとの二種類がある(非特許文献1参照)。
【0003】
従来の金属拡張アンカーは、予め穿孔された孔内で金属製の拡張部を、打撃あるいは回転・締付等によりくさび状に拡張させ、コンクリート孔壁に拡張部を食い込ませて固着するが、コンクリート構造物の屋上やバルコニーなどの廻りに立ち上げられた壁(パラペット)など、コンクリート躯体の幅が狭い箇所に前記金属拡張アンカーを施工する場合、アンカー先端部の拡張によるコンクリート孔壁への押圧力(ストレス)により、コンクリート躯体にひび割れが生じ易かった。また、このひび割れによって、前記アンカーのコンクリート躯体への固着力が著しく低下すると共に、ひび割れから雨水などが入り込み、既設の鉄筋や施工した金属拡張アンカー自体の腐食が生じてしまう。
【0004】
上記コンクリート躯体のひび割れの発生を防ぐ方法として、アンカー拡張部の拡張時にコンクリート躯体に与える押圧力(ストレス)を軽減するべく、センターピンの全長を短くしたり、アンカー本体の拡張部の肉厚を薄くするなどの加工を加えて、拡張部の拡張幅を減らしたり、コンクリート躯体への穿孔径を若干、大きくするなどの方法が容易に考えられる。
しかし、この場合、アンカーの剛性及び引抜耐力が低下してしまい、手すりを安全に固定するのに充分な固着力が発揮できなくなるケースがあった。
【0005】
次に、接着系アンカーは、コンクリートに予め穿孔された孔と埋込まれるアンカー筋との隙間に接着材が充填され、アンカー筋及びコンクリート孔壁の凹凸部に接着材が食い込み硬化固着するが、設計上、金属拡張アンカーよりもアンカーの埋込み深さを深くしなければならないため、施工に手間と時間が多くかかった。
また、接着系アンカーは施工直後は固着力が発揮できず、接着材が硬化するまでは、ボルトに負荷をかけることができない為、施工直後の手すりの取付けは避けなければならなかった。
【0006】
【非特許文献1】(1990年6月10日 株式会社技術書院発行の「あと施工アンカー・設計と施工」 34頁所載の図2.5金属拡張アンカーのアンカー末端部の拡張方法、35頁所載の図2.6金属拡張アンカーの詳細、52頁所載の図3.11金属拡張アンカーの形状、60頁所載の図3.18接着系アンカーの概念図、図3.19接着系アンカーの形状)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題に鑑み、コンクリート構造物の屋上やバルコニーなどの廻りに立ち上げられた壁(パラペット)など、コンクリート躯体の幅が狭い箇所に手すりを取付け、固定する際に、コンクリート躯体にひび割れを発生させることなく、施工直後に手すりの取り付けが可能であり、施工後は充分に固着力を発揮することができる、接着材併用拡張アンカー装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の接着材併用拡張アンカー装置は、アンカー1とコンクリート躯体11との間隙に接着材12を充填すると共にアンカー本体3の先端を拡張して固定するアンカー装置であって、前記アンカー1は、基端部に雄ネジ部2を設けた中空構造であり、アンカー本体3の先端部から該雄ネジ部2までに達する表面に、周方向の溝4を設けるか、分散した凹部および/または凸部を設けると共に、先端部から軸方向に沿ってスリット5を設け、中空部6は先端部近くが先細りの小径部に形成されており、該中空部6には、先端が尖り形状を有するセンターピン7を基端部から挿入し、該雄ネジ部2にワッシャー付ナット8が螺合されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のアンカー装置の一実施の形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明のアンカーの一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)の縦断面図である。図2は、本発明のアンカー装置を使用して、施工を行う手順を示す作業行程図である。図3は、本発明のアンカー装置を使用してパラペットに手すりを取付けた施工完了の状態を示し、(a)は側方から見た説明図、(b)は正面から見た説明図である。
【0010】
図1において、アンカー1は基端部に雄ネジ部2を設けた中空構造であり、アンカー本体3の先端部から雄ネジ部2までに達する表面に周方向の連続した環状溝4を設けると共に、先端部から軸方向に沿って、全長の約4分の1程度の長さに形成したスリット5を設けたものであり、基端部にワッシャー付ナット8を螺合したものである。また、アンカー本体3の中空部6は、先端部近くが、先細りの小径部9に形成されており、中空部6内には、先端が尖り形状を有するセンターピン7が挿入されている。
【0011】
本発明を構成するアンカー1は、金属拡張アンカーと接着系アンカーの効果を兼ねた、併用型のアンカーである。本アンカー1はコンクリート躯体11にひび割れが生じないようにアンカー拡張部10の拡張時の押圧力(ストレス)を軽減したことにより生じる、金属拡張アンカーとしての固着力低下を補うべく、充填した接着材12による付着力を高めるために、アンカー本体3の表面に先端部から基端部の雄ネジ部2に達する連続した広範囲にわたり、溝、例えば図示例のような環状の溝4を設けている。
【0012】
本発明の接着材併用拡張アンカー装置において、アンカー拡張部10の拡張時にコンクリート躯体11に与える押圧力(ストレス)を軽減する為に、センターピン7の全長を短くしたり、アンカー本体3の拡張部10の肉厚を薄くするなどの加工を加えて、拡張部の拡張幅を減らしたり、コンクリート躯体11への穿孔径を若干、大きくするなどの措置を施すと共に、接着材による固着を併用することにより、充分な固着力を有し、かつアンカー本体3先端の拡張によるコンクリート躯体11のひび割れの発生を防ぐことができる。
上記環状の溝4は、1条ずつ環状に形成しても良いが、ネジ切りの要領で螺旋状の溝に形成しても良い。
また、上記溝に替えて、アンカー本体3の先端部から雄ネジ部2までに達する表面に、分散して凹部または凸部を形成したり、凹部と凸部を組み合わせて形成するようにしてもよい。
上記接着材12は、有機系、無機系のいずれを用いてもよい。
【0013】
図1において、センターピン7を中空部6内に挿入し、アンカー基端部の雄ネジ部2にワッシャー付きナット8を螺合する。穿孔した孔13へ接着材12を充填したあと、アンカー1を孔13へ挿入して、センターピン7の基端部から突出する部分を叩打すると、先端が先細りの小径部9に達して、アンカー本体3の先端部が拡張する。
【0014】
次に、図2により本発明のアンカーを使用して、コンクリート構造物の屋上やバルコニーなどの廻りに立ち上げられた壁(パラペット)等の、コンクリート躯体の幅が狭い箇所にアンカーを施工する手順を説明する。
アンカーの施工は、まずコンクリート躯体11に施工するアンカーのサイズに適応するドリルを選んで穿孔する。穿孔後、孔13内の切粉を吸塵機で吸い取り、その後、孔の壁面13aに付着した切粉をブラシで落とし、再度、孔13内の切粉を吸塵機で吸い取り、孔内に切粉が残らないようにする[図2(a)]。次いで孔13内に接着材12を充填する[図2(b)]。
【0015】
続いて、孔13内にアンカー1を挿入するが、アンカー1はアンカー本体3の中空部6内にセンターピン7を挿入して、雄ネジ部2にワッシャ付ナット8を螺合した状態で、先端部から孔13に差し込む。このとき、アンカー本体3とコンクリート孔壁13aとの空隙がすべて接着材12で満たされていることが好ましい[図2(c)]。
【0016】
そして、アンカー1には、センターピン7が挿入されているから穿孔した孔13に差し込んだアンカー1から、突出しているセンターピン7の頭部をハンマーで叩打すると、センターピン7の先端が中空部6の小径部9に突入してアンカー先端を拡張し、当該アンカー1はコンクリート躯体11に固定される[図2(d)]。
その後、スパナ類を用いて、ワッシャ付ナット8を締付け、取付物にガタがないか確認する。また、必要に応じて接着材の養生時間の経過後、再度スパナ類を用いてワッシャ付ナット8の締付けを行う[図2(e)]。
【0017】
【発明の効果】
(1)本発明は、金属拡張アンカーと接着系アンカーの機能を兼ねた併用型であるので、コンクリートのひび割れ防止のために、アンカー施工時のコンクリート躯体への押圧力(ストレス)を軽減させたことにより生じた、金属拡張アンカーとしての固着力の低下を充分に補うことができ、アンカー施工直後からも初期荷重に対して固着力を発揮できるので、施工直後から器物を取付けることができる。
(2)アンカー本体の表面に先端部から雄ネジ部までに達する表面に、周方向の溝や分散した凹凸部を設けてあり、この溝や凹凸部と接着材との付着力により、アンカー全体に応力を分散させることができ、これにより金属拡張アンカーのみに比べて、引抜き力に対する剛性が高く、引抜き耐力も大きくすることができる。
(3)金属拡張アンカーのみの施工と比較して、穿孔した孔とアンカーとの空隙から雨水が進入して、既設の鉄筋の腐食が生じたり、コンクリートの中性化の進行が早まる等の問題発生を防ぐことができる。
(4)接着系アンカーのみの施工と比較して、穿孔深さを設計上、浅くすることができるので、穿孔作業時の手間と時間が少なくて済み、施工の合理化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンカーを示し、(a)は正面図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図2】本発明のアンカー装置を使用して、施工を行う手順を示す作業行程図である。
【図3】本発明のアンカー装置を使用してパラペットに手すりを取付けた施工完了の状態を示し、(a)は側方から見た説明図、(b)は正面から見た説明図である。
【符号の説明】
1:アンカー
2:雄ネジ部
3:アンカー本体
4:溝
5:スリット
6:中空部
7:センターピン
8:ワッシャー付ナット
9:小径部
10:拡張部
11:コンクリート躯体
12:接着材
13:孔
13a:孔壁
21:手すり
Claims (2)
- アンカー(1)とコンクリート躯体との間隙に接着材を充填すると共にアンカー本体(3)の先端を拡張して固定するアンカー装置であって、前記アンカー(1)は、基端部に雄ネジ部(2)を設けた中空構造であり、アンカー本体(3)の先端部から該雄ネジ部(2)までに達する表面に周方向の溝(4)を設けると共に、先端部から軸方向に沿ってスリット(5)を設け、中空部(6)は先端部近くが先細りの小径部に形成されており、該中空部(6)には、先端が尖り形状を有すセンターピン(7)を基端部から挿入し、該雄ネジ部(2)にナット(8)が螺合されてなることを特徴とする接着材併用拡張アンカー装置。
- アンカー(1)とコンクリート躯体との間隙に接着材を充填すると共にアンカー本体(3)の先端を拡張して固定するアンカー装置であって、前記アンカー(1)は、基端部に雄ネジ部(2)を設けた中空構造であり、アンカー本体(3)の先端部から該雄ネジ部(2)までに達する表面に分散した凹部および/または凸部を設けると共に、先端部から軸方向に沿ってスリット(5)を設け、中空部(6)は先端部近くが先細りの小径部に形成されており、該中空部(6)には、先端が尖り形状を有すセンターピン(7)を基端部から挿入し、該雄ネジ部(2)にナット(8)が螺合されてなることを特徴とする接着材併用拡張アンカー装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002367214A JP2004197413A (ja) | 2002-12-18 | 2002-12-18 | 接着材併用拡張アンカー装置 |
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JP2002367214A JP2004197413A (ja) | 2002-12-18 | 2002-12-18 | 接着材併用拡張アンカー装置 |
Publications (1)
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JP2004197413A true JP2004197413A (ja) | 2004-07-15 |
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ID=32764185
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JP2002367214A Pending JP2004197413A (ja) | 2002-12-18 | 2002-12-18 | 接着材併用拡張アンカー装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004197413A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101674922B1 (ko) * | 2015-07-24 | 2016-11-22 | 주식회사 영남볼트 | 고정핀 결합형 앙카볼트 |
CN115110649A (zh) * | 2022-08-25 | 2022-09-27 | 中国飞机强度研究所 | 飞机气候环境测试试验围护保温系统及其参数优化方法 |
KR20230076316A (ko) * | 2021-11-24 | 2023-05-31 | 주식회사 포스코 | 앵커 조립체 |
-
2002
- 2002-12-18 JP JP2002367214A patent/JP2004197413A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101674922B1 (ko) * | 2015-07-24 | 2016-11-22 | 주식회사 영남볼트 | 고정핀 결합형 앙카볼트 |
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