JP2007255149A - 緊張材定着具及び緊張材定着方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造体にプレストレスを導入するための緊張材を、構造体に定着する緊張材定着具において、構造体の支圧面から定着具及び緊張材の先端部が突出する長さを短縮するとともに、緊張材の中心を所定の位置に正確に設定して定着する。
【解決手段】 内周面及び外周面にネジ山を有する長ナット12の内側に、緊張材1の端部に設けられたネジ部を、長ナット2の長さの約半分までねじ込む。この長ナット2の外周面のネジ山は、定着ナット13に螺合し、定着ナットを支圧板3に係止する。定着ナットの外周面は、先端に近くなるほど断面が縮小された楔状となっており、内周面が対応する傾斜角となった貫通孔内に嵌め入れて係止される。
【選択図】図1

Description

本願発明は、コンクリート等で形成された構造体にプレストレスを導入するための緊張材を、引張力が導入された状態で構造体に定着する緊張材定着具及び構造体に緊張材を定着する方法に関する。
プレストレスを導入するための緊張材を構造体に定着する際に用いられる緊張材定着具としては、端部にねじ切りが施された緊張材にナットを螺合して定着するものと、緊張材に圧接されるくさびによって定着するものとが一般に知られている。このうち、ナットによって定着する緊張材定着具は、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているようにいくつかの提案がなされているが、基本的な構成は、図20に示すようにナット102と支圧板103とを有するものである。つまり、緊張材101の端部に施されたねじ切り部101aに螺合されるナット102と、緊張材101が挿通される貫通孔を有する支圧板103を備えており、緊張材101に螺合されたナット102が支圧板103に係止されるものとなっている。
このような定着具を用い、引張力が導入された状態で緊張材101をコンクリート構造体100に定着すると、緊張材101の引張力がナット102を介して支圧板103に作用し、この支圧板103からコンクリート構造体100内に圧縮力として伝達される。
上記定着具を用いるときの緊張作業及び定着作業は次のように行われる。
緊張材101の先端には、図21に示すように緊張ロッド104を接続し、この緊張ロッド104にラムチェアー105とセンターホールジャッキ106を装着する。そして、センターホールジャッキ106の後端部に緊張ロッド104を係止する。緊張ロッド104をセンターホールジャッキ106に係止する構造は、緊張ロッド104の後端部に螺合されたナット107と支圧板108とを用い、緊張材101をコンクリート構造体100に定着するのと同じ構造を採用することができる。なお、上記緊張ロッド104に代えて、緊張材101の先端部にカプラーを介して延長鋼棒を接続し、この延長鋼棒の後端部をセンターホールジャッキの後部に係止するものであってもよい。
緊張材101に接続された緊張ロッド104がセンターホールジャッキ106の後端部に係止されると、センターホールジャッキ106を駆動し、支圧板103を介してコンクリート構造体100に反力を負荷することにより緊張材101をコンクリート構造体から引き出すように引張力を付与する。そして、緊張材101がコンクリート構造体100から引き出されるのにしたがって、ラムチェアー105の側方からナット102を回転させて締め込む。このようにナット102が締め込まれると、センターホールジャッキ106の駆動を停止し、緊張ロッド104の牽引を解除してナット102を支圧板103に係止する。これにより、緊張材101は引張力が導入された状態で定着され、緊張材101の反力がコンクリート構造体100に作用してコンクリート構造体にプレストレス(圧縮力)が導入される。
特開昭48−91830号公報 特開平3−208965号公報
しかしながら、上記のような従来から広く知られている緊張材定着具では、次のような問題点がある。
緊張力が導入された緊張材の定着端部は、図22に示すようにコンクリート構造体100の表面から支圧板103の厚さ、座金の厚さ、ナット102の厚さ及び緊張材101の先端部が突き出した状態となる。緊張材101の先端部は、緊張作業の終了時には緊張ロッド104を接続するための接続余長及び引張力の導入によって緊張材が伸びた分が、ナットの後端から突き出している。この突き出し長は、ナット102を確実に係止するために必要な余長を残して、定着後に切断することができるが、支圧板103の厚さとナット102の厚さとを加えた突き出し長は大きくなる。このため、防錆のためにこれらをコンクリートで被覆保護しようとすると、保護コンクリートの層厚を大きくしなければならない。
このような問題を解消するために、いわゆる箱抜きと称される切り欠き部設けて、この切り欠き部内で緊張材を定着することが行われるが、型枠、鉄筋の加工等に多くの工数が必要となり、経済的ではない。また、2方向の緊張材を定着しなければならない隅角部において、緊張材の定着具が互いに干渉し、配置が難しくなる。
一方、従来の緊張材定着具では、他に次のような問題点がある。
緊張材の径はコンクリート構造体100内に設けられたシース孔径に比べ小さくなっており、緊張前においては緊張材が設計等において定められた本来配置すべき位置(計画中心線)から偏っていることがある。特に緊張材を水平又は水平に近い方向に配置したときには、緊張材が自重によりシース内の下面に内接して、偏心量が大きくなっている。従って緊張時には、緊張材等の中心線を調整する必要があり、この作業は緊張材、ラムチェアー105及びジャッキ等を所定の位置に人力で支えながらジャッキを駆動し、緊張材に引張力を導入することになる。このような作業は、一般に効率が悪くなるだけでなく、危険を伴う。また、緊張材及び定着具の中心線を厳密に調整することは難しく、薄い板状の部材では緊張材の位置が所定の計画中心に配置されていないと、コンクリート構造体に導入される応力分布が偏り、ひび割れ等の原因となることもある。
また、次のような問題点もある。
緊張材に引張力を導入した後は、緊張材とコンクリート構造体100を一体化するために、図23に示すように支圧板に設けられた注入孔103aよりシース内にグラウトを注入する。しかし、図23に示すように従来の緊張材定着具では、支圧板103の貫通孔内で緊張材101との間には空隙が生じており、グラウトの注入時に空気が残留してグラウトが充填されにくくなる。特に緊張材が鉛直方向又はこれに近い方向に配置されたときには、上端側の定着具内でグラウトが充填されにくい。このため、グラウトが充填されずに残留空間となることがあり、水分が浸透して緊張材が劣化する原因となる。
本願に係る発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、緊張材が定着される構造体の面から定着具等が突出する長さを短縮し、緊張材定着具の配置及び被覆を容易にするとともに、緊張材及び定着具の中心を所定の位置に正確に設定することを可能とすることである。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明は、 緊張材の端部に装着され、該緊張材に導入される引張力の反力が構造体に伝達されるように該緊張材を定着する緊張材定着具であって、 前記緊張材が挿通される貫通孔を有し、前記構造体に当接して配置される支圧板と、 前記緊張材の端部に形成されたねじ部が内側に螺合され、外周面にもねじ山が形成された長ナットと、 前記長ナットの外周面に螺合され、前記支圧板に係止されて緊張材の引張力を前記支圧板に伝達する定着ナットとを有し、 前記支圧板に設けられた貫通孔の内周面は、前記緊張材の定着される端部側から該緊張材が伸びた方向に向かって断面が縮小するように、該緊張材の軸線に対して傾斜しており、 前記定着ナットは、外周面が前記貫通孔の内周面の傾斜に対応して傾斜し、前記貫通孔内で楔状に係止されるものである緊張材定着具を提供する。
このような定着具では、長ナットの内側に緊張材の端部がねじ込んで接続され、この長ナットの外周面に定着ナットが螺合される。そして、この定着ナットが支圧板に設けられた貫通孔内に嵌め入れられ、定着ナットの外周面が貫通孔の傾斜する内周面に密接して楔のように係止される。したがって、緊張材の引張力は長ナット、定着ナットを介して支圧板に作用し、支圧板の背面(支圧面)から構造体に伝達される。
このように緊張材が定着された状態で、上記定着ナットは支圧板に設けられた貫通孔内に楔状に嵌め入れられているので、支圧板の表面から定着ナットが突出する量は小さく抑えることができる。また、緊張材は長ナット内にねじ込まれ、長ナットはこの定着ナット内に螺合されているので、長ナットや緊張材を定着ナットより突出させることなく定着することができる。したがって、平坦な端面を有するナットを平坦な支圧板の表面に当接して定着する従来の定着具より、構造体の表面から定着具及び緊張材端部が突出する量を大幅に低減することが可能となる。
また、緊張材、長ナット及び定着ナットは互いに螺合され、定着ナットは支圧板の貫通孔に楔状に嵌め合わされるので、それぞれの中心線は正確に一致しており、支圧板が予め正確な位置に配置されていれば、緊張材及び定着具は支圧板の貫通孔の中心に正確に一致した状態で定着される。
一方、ジャッキによって緊張材に引張力を導入するときには、長ナットに緊張材をねじ込んだ端面と反対側の端面から延長鋼材をねじ込み、この延長鋼材にジャッキを装着して、この延長鋼材及び長ナットを介して緊張材に引張力を導入することができる。つまり、長ナットを緊張材と延長鋼材との接続具として用いることができる。そして、緊張材に伸びが生じ、緊張材が構造体の端面から引き出されるのにともなって、定着ナットを支圧板の貫通孔にねじ込み、所定の引張力が導入された状態で定着ナットを支圧板に係止することができる。所定の緊張力が導入された後には、ジャッキを除去し、延長鋼材を長ナットから抜き取ることができるので、緊張材が長ナットから突出することもない。
なお、上記緊張材をコンクリート構造体に定着し、延長鋼材を抜き取った後の長ナットには、その後に増設される構造体にプレストレスを導入するための緊張材をねじ込んで接続することができる。この緊張材には、他方の端部において同様に緊張力を導入することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の緊張材定着具において、 前記定着ナットは、前記緊張材の端部側の外周部に、軸線周りに回転させるための工具係合部が形成され、 該定着ナットを前記支圧板の貫通孔に装着したときに、前記工具係合部は、該支圧板の表面より前記緊張材の端部側に突出し、 外周面が傾斜した楔状部は、前記支圧板の前記構造体に当接される支圧面と先端がほぼ同一平面上に位置するか又は支圧面からわずかに先端が突出もしくは後退するものとする。
上記工具係合部が形成されていることにより、延長鋼材及び長ナットを介して緊張材に引張力を導入した状態で、定着ナットを容易に回転させることができる。そして、工具係合部が支圧板の表面より突き出していることにより、定着ナットを支圧板の貫通孔内に強く押し入れた状態とすることができる。その後、延長鋼材から緊張材に作用する引張力を解除すると、緊張材にほとんど緩みを生じることなく定着ナットは支圧板に係止され、引張力の反力が構造体に作用する。
また、楔状部の先端は支圧板の背面とほぼ同じであることにより、楔状部の周面を貫通孔の内周面の広い範囲に当接させることができる。また、定着ナットの外周面の径及び支圧板の貫通孔の径を小さくすることができ、支圧板の十分な強度を確保し、広い面積で構造体に当接させることができる。
なお、上記発明において、楔状部の先端が支圧板の背面よりわずかに突出している状態とは、先端が支圧板の背面より突出することによって定着ナットとシースとの間でグラウトの充填が困難にならない程度に突出量が抑えられているものである。また、楔状部の先端が支圧板の背面よりわずかに後退している状態とは、貫通孔内に生じた凹部へのグラウトの充填が困難に成らない程度とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の緊張材定着具において、 前記長ナットには、前記緊張材がねじ込まれた側と反対側から保護ボルトがねじ込まれ、該保護ボルトは、後端面が前記長ナットの端面と同一又は該長ナットの端面より奥までねじ込まれているものとする。
緊張材が定着された状態で、長ナットの緊張材がねじ込まれた側と反対側の端面では、内側の中空部分が開口している。この部分は、引張力の導入時に延長鋼材をねじ込むことができるものであるが、延長鋼材が撤去された後に、異物等が入ると再利用が難しくなる。
しかし、上記保護ボルトがねじ込まれていることにより、長ナットの内側に異物が入ったりネジ山が損傷するのが防止される。特に、緊張材に引張力を導入し、緊張材定着具をコンクリート等で被覆して構造物を完成した後、構造物の増設等によってさらに緊張材を延長配置するときには、上記保護ボルトを抜き取り、長ナットの内側に他の緊張材を接続することができる。そして、他端で引張力を導入して増設した構造物にプレスストレスを導入することができる。
請求項4に係る発明は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の緊張材定着具において、 前記支圧板の貫通孔の周辺部に、表面から支圧面となる背面側に貫通する複数のグラウト孔を有し、 前記背面側の開口部は、該支圧板に接合され緊張材が挿通されるシースの内側に設けられているものとする。
上記のようなグラウト孔は、簡単な加工で支圧板に形成することができる。そして、グラウト孔の長さを短くすることができ、円滑にグラウトを注入することができる。また、貫通孔の周辺に複数のグラウト孔が設けられていることにより、支圧板が配置された方向にかかわらず、グラウト注入時の空気の排出口を確保することができる。
請求項5に記載の発明は、 緊張材に導入される引張力の反力が支圧板を介して構造体に伝達されるように、該緊張材を構造体に定着する方法であって、 前記構造体の所定の位置に前記緊張材と前記支圧板とを配置する工程と、 内周面と外周面との双方にネジ山が形成された長ナットの内側に、前記緊張材の端部に形成されたネジ部を螺合する工程と、 前記支圧板に設けられた貫通孔に延長鋼材を挿通し、該延長鋼材の端部に形成されたネジ部を前記緊張材と反対側から前記長ナットの内側に螺合して、前記緊張材と前記延長鋼材とを連結する工程と、 外周面が楔状に傾斜し、前記支圧板の貫通孔内に嵌合される定着ナットを、前記長ナットの外周部のネジ山と螺合する工程と、 前記延長鋼材にセンターホールジャッキを装着し、前記支圧板に反力を作用させて前記延長鋼材を牽引して緊張材に張力を導入する工程と、 前記緊張材に所定の引張力を導入するともに、前記定着ナットを回転して前記支圧板の貫通孔内に締め込み、前記定着ナットの傾斜した外周面を、対応するように傾斜した貫通孔の内周面に当接させる工程と、 前記センターホールジャッキによる牽引力を解除し、該センターホールジャッキ及び延長鋼材を撤去する工程とを含む緊張材定着方法を提供する。
この方法では、緊張材が所定の引張力を導入したときの伸び量を考慮して切断され、端面が構造体の定着面より構造体側に入り込んだ状態に配置されていても、長ナットで接合された延長鋼材を用いて引張力を導入することができる。そして、引張力の導入によって緊張材に伸びが生じたときに、長ナットに螺合した定着ナットを用い、この定着ナットより長ナット及び緊張材が緊張端側に突出されることなく、緊張材を定着することができる。また、定着ナットは、支圧板の貫通孔内には嵌め入れられ、楔状に係止されるので、支圧板からナットが突出する量を低減することができる。
また、緊張材が定着された状態では、緊張材、長ナット、定着ナット及び支圧板の貫通孔の中心が一致するので、支圧板を構造体の所定の位置に正確に配置することにより、緊張材がシース内で偏心することなく、正確に配置することができる。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の緊張材定着方法において、 前記定着ナットを前記長ナットに螺合する工程は、 外側に前記定着ナットが螺合可能なガイドナットを、前記延長鋼材のネジ部に螺合しておき、このガイドナットの外周面に形成されたネジ山に前記定着ナット螺合し、 該定着ナット又はガイドナットを回転させて、前記支圧板に形成された貫通孔に前記定着ナットを嵌め入れ、 その後に、緊張材に引張力を導入した状態で前記定着ナットを長ナットに螺合するものである。
延長鋼材にジャッキを装着し、構造体に反力を作用させて緊張材に引張力を導入すると、ジャッキは構造体に強く押し付けられ、その位置及び緊張材の中心位置は動かせなくなる。しかし、上記のように緊張材に引張力が導入される前に、緊張材に螺合されたガイドナットの外側に定着ナットが螺合され、この定着ナットが支圧板の貫通孔に嵌め入れられた状態とすることにより、緊張材、長ナット、定着ナット及び支圧板に設けられてた貫通孔の中心が一致する。したがって、この状態でジャッキを作動し、緊張力を導入することによって、緊張材は正確な位置で引張力が導入され、定着される。
請求項7に係る発明は、 緊張材の端部に装着され、該緊張材に導入される引張力の反力が構造体に伝達されるように該緊張材を定着する緊張材定着具であって、 前記緊張材が挿通される貫通孔を有し、前記構造体に当接して配置される支圧板と、 前記緊張材の端部に形成されたネジ部と螺合され、前記支圧板に係止されて緊張材の引張力を前記支圧板に伝達するナットとを有し、 前記支圧板に設けられた貫通孔の内周面は、前記緊張材の端部側から該緊張材が伸びた方向に向かって断面が縮小するように、該緊張材の軸線に対して傾斜しており、 前記ナットは、外周面が前記貫通孔の内周面に対応して傾斜し、前記貫通孔内でくさび状に係止されるものである緊張材定着具を提供するものである。
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の緊張材定着具において、 前記ナットは、前記緊張材の端部側に、軸線周りに回転させるための工具係合部が形成され、 該ナットを前記支圧板の貫通孔に装着したときに、前記工具係止部が前記支圧板の表面より突出するものとする。
この緊張材定着具では、緊張材に螺合されたナットが支圧板に設けられた貫通孔内に嵌め入れられ、楔状に係止される。したがって、緊張材に所定の引張力を導入して定着したときナットが支圧面の表面より突出する量を小さく抑えることができる。
また、緊張材に螺合したナットを支圧板の貫通孔内に嵌め入れることによって、緊張材の中心と支圧板に設けられた貫通孔の中心を正確に一致させることができる。したがって、支圧板が所定の位置に正確に配置されていると、緊張材に引張力を導入する前に、緊張材を正確な位置に配置し、この状態で引張力を導入して定着することができる。
また、ナットに工具係合部が形成され、支圧板の表面より突出していることにより、ナットを回転させて支圧板の貫通孔内に強く嵌め入れることができる。したがって、定着時に緊張材の緩みを生じることなく、所定の引張力が導入された状態で緊張材を定着することができる。
以上説明したように、本願発明の緊張材定着具では、構造体の支圧面から定着具等が突出する長さを短縮することができ、緊張材定着具の配置が容易になるとともに、定着具を被覆する保護層の厚さを小さくすることができる。また、緊張材の中心と支圧板に設けられた貫通孔の中心とを正確に一致させて定着することができ、支圧板を所定の位置に配置しておくことにより、緊張材を所定の正確な位置で定着することができる。
以下、本願発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願に係る発明の一実施形態である緊張材定着具を示す概略断面図である。
この緊張材定着具は、緊張材11を用いてコンクリート構造体10にプレストレスを導入するものであり、内周面及び外周面にネジ山が形成された長ナット12と、内周面にネジ山が形成され、外周面は軸線方向に断面が縮小されて円錐楔状となった定着ナット13と、中心部に貫通孔14aが設けられ、貫通孔の内周面が定着ナット13の外周面に対応して傾斜した支圧板14とを備えている。そして、緊張材端部のネジ部11aが長ナット12にねじ込まれ、長ナット12の外周面に設けられたネジ山12aが定着ナット13内にねじ込まれ、この定着ナット13の外周面が前記支圧板14に設けられた貫通孔内に嵌め入れられ、楔状に係止されている。緊張材11の引張力は、長ナット12および定着ナット13を介して支圧板14に伝達され、さらにコンクリート構造体10と支圧板14との接触面からコンクリート構造体10に作用して、プレストレスが導入されるものとなっている。
緊張材11は、PC鋼棒が一般的に用いられ、端部にネジ部11aが形成されており、長ナット12の内側に、該長ナット12の約半分の長さまでねじ込むことができるようになっている。この緊張材11は、コンクリート構造体10に埋め込まれたシース15内に挿通して配置され、シース15はコンクリート構造体10の表面近くで断面が拡張されている。
緊張材11は、PC鋼棒の他に、PC鋼線、PC鋼より線、アラミド繊維等を樹脂で棒状に固めたロッド等を用いることもできるが、端部にねじ切りが可能となるように鋼からなる円筒状の部材を、圧着又はくさびで連結したり、接着剤、モルタル又は溶融金属等によって円筒状の部材を緊張材に固着して用いられる。
長ナット12は、図2に示すように、内周面及び外周面にネジ山が精密に形成された金属性の円筒状の部材である。そして、緊張材11の端部のネジ部11aが長ナット12の一方の端部からねじ込まれ、反対側からは緊張力導入用の延長鋼材16(図5に示す)がねじ込まれるものとなっている。このとき、引張力がこの延長鋼材16から緊張材11に伝達されるように、長ナットは軸線方向に充分な長さを有するものとする。また、長ナット12の外周面に設けられたネジ山12aは、定着ナット13と螺合されるものであり、緊張材11に導入される引張力が伝達されるのに十分な範囲に設けられている。
この長ナット12の軸線方向の中央部には、軸線と直角方向に小さな貫通孔が設けられ、ピン12bが挿入して固定されている。双方の端部からねじ込まれた緊張材11及び延長鋼材16をそれぞれの先端が上記ピン12bに突き当たるまでねじ込むことによって、延長鋼材16から長ナット12さらに緊張材11へと引張力が確実に伝達されるのに充分なねじ込み長が確保される。
定着ナット13は、図3に示すように、金属性の円筒状の部材であり、内周面にネジ山が形成されている。そして、長ナット12の外周面に設けられたネジ山12aと螺合するものとなっている。
この定着ナットの外周部は、楔状部13aと工具係合部13bから構成される。楔状部13aの外周面の断面形状は円形となっているが、先端側つまり緊張材が構造体内に伸びた方向に断面が縮小されている。これにより、支圧板14の貫通孔内に嵌め入れられて、楔状に係止されるものとなっている。この、楔状部13aの軸線方向の長さは、下記支圧板14の厚さとほぼ同じに設定されている。つまり、支圧板14の貫通孔内に嵌め入れられたときに、貫通孔14aの内周面の全域に圧接され、応力の集中を生じることなく係止されるものとなっている。また、外周面の径は、十分な強度及び剛性を有する範囲で、できるだけ小さく寸法が設定され、貫通孔14aの内径が過大とならないように設定されている。
一方、工具係合部13bは、楔状部13aの後方に連続して設けられ、定着ナット13を回転させる工具が係合できるように、例えば断面が多角形、円形の一部を切り欠いて平坦とした断面形状等となっており、軸線方向には係合に必要な長さを有するものとする。この工具係合部13bは、支圧板14の平坦な表面とは係合しないように、楔状部13aを形成する円錐曲面の延長面より内側に形成されている。
支圧板14は、図4に示すように、円形もしくは多角形の金属性のプレートで、中央部に貫通孔14aを有している。貫通孔14aの内周面は、前記緊張材11が伸びた方向に向かって断面が縮小するように、該緊張材の軸線に対して傾斜しており、この傾斜角は定着ナット13の楔状部13aの外周面と対応している。したがって、定着ナット13は、貫通孔14aに嵌め入れられた状態で、外周面と貫通孔14aの内周面が密接し、楔状に係止することができるものである。
支圧板14の貫通孔の周辺部には、グラウト注入孔14bが複数設けられている。この
グラウト注入孔14bは支圧板14の表面から支圧板14の背面つまりコンクリート構造体10に接触する支圧面に貫通するものとし、支圧面側でシース15の拡径部15bに開口している。
コンクリート構造体10には、上記緊張材11を配置するシース15が埋め込まれている。シース15の端部は、長ナット2が収容できるように内径が拡大されている。このシース拡径部15aの長さは、緊張材11の端部に螺合された長ナット12が引張力の導入によって引き出される量つまり緊張材の伸び量によって決定される。すなわち、長ナット12は予めシース拡径部15a内の奥まった位置に配置され、所定の引張力が導入されたときに、定着ナット13を介して支圧板14に係止される位置までの伸びが生じるように緊張材11及び長ナット12が配置されるものである。
次に、上記緊張材定着具を用いて緊張材11に引張力を導入し、定着する方法について説明する。
まず、図5に示すように、緊張材11および支圧板14をコンクリート構造体10の所定の位置に設置する。支圧板14は予めコンクリート構造体10に埋め込んでおいてもよいし、コンクリート構造体10の表面に当接して支持してもよい。支圧板14は、貫通孔14aの中心が緊張材11を配置すべき中心線と正確に一致するように配置する。緊張材11は、所定の引張力を導入したときの伸び量を考慮した長さに切断されており、端面は支圧板14より構造体側のシース15内に位置している。この緊張材11の端部に設けられたネジ部11aに長ナット12を螺合し、緊張材11を長ナット12の軸線方向における長さの約半分までねじ込む。そして、長ナット12の反対側には、延長鋼材16をねじ込んで、緊張材11と延長鋼材16とを連結する。その際、あらかじめ延長鋼材16には、ガイドナット18を螺合し、さらにこのガイドナット18の外側に定着ナット13を螺合しておく。ガイドナット18は、長ナット12と内径及び外径が同じものであり、長ナット12と同様に内周面と外周面との双方にネジ切りがなされている。
上記のように緊張材11に螺合されたガイドナット18又は定着ナット13を回転し、図6に示すように、定着ナット13とガイドナット18とが螺合された状態を維持しながら定着ナット13を支圧板14の貫通孔14a内に嵌め入れる。これにより、緊張材11の中心線は支圧板14に設けられた貫通孔14aの中心と正確に一致する。
次に、図6に示すように、上記延長鋼材16にはセンターホールジャッキ17を装着し、センターホールジャッキ17の後部に延長鋼材16を係止する。この延長鋼材16のセンターホールジャッキ17への係止は、例えば延長鋼材16の後端部に形成されたねじ切り部にナット19を螺合して行うことができる。上記センターホールジャッキ17とコンクリート構造体10との間には、ラムチェアー20を介挿するものとし、このラムチェアー20は支圧板14に当接される。
その後、センターホールジャッキ17を油圧により作動し、延長鋼材16を後方へ押し出す。これにより長ナット12を介して緊張材11に引張力が導入され、その反力はセンターホールジャッキ17からラムチェアー20を介してコンクリート構造体10に作用する。この反力が作用することにより、ラムチェアー20及びセンターホールジャッキ17の位置は固定され、緊張材11の中心位置も固定される。
緊張材11に引張力が導入されると、図7に示すように緊張材11に伸びが生じて長ナット12は徐々に支圧板14の貫通孔14a内まで引き出される。その状態において、定着ナット13を回転させて長ナット12の外周面のネジ山12aと螺合させる。このとき、ガイドナット18は延長鋼材16に螺合された状態のまま定着ナット13のみを回転させるため、ガイドナット18と定着ナット13との螺合は解除される。
なお、定着ナット13と長ナット12とは中心線が一致しているため、両者の螺合は容易におこなうことができる。
なお、上記ガイドナット18を用いないと、図11に示すように緊張材11及び延長鋼材16の位置が定まらず、ジャッキを作動して引張力を導入したときに、偏心した状態で位置が固定されることがある。このように偏心した状態で緊張材及び延長鋼材の位置が固定されると、長ナット12と支圧板14とが干渉して緊張材11に引張力が導入できなくなったり、定着ナット13と長ナット12との螺合が難しくなる。ただし、緊張材11の長さが短く、伸び量が小さいときには、長ナット12の一部が支圧板14の貫通孔内に突き入れられた状態で配置されることがあり、この場合には緊張材11に引張力を導入する前に定着ナット13を長ナット12に螺合することができる。これにより緊張材11の中心位置が貫通孔14aの中心と一致するのでガイドナット18を用いる必要はない。
緊張材11の引張作業が開始され、緊張材11の位置が固定された後、さらにセンターホールジャッキ17を作動して引張力を増大しながら定着ナット13を回転させ、定着ナット13を長ナット12に深く螺合させる。定着ナット12の回転は、ラムチェアー20の側方から定着ナット13の工具係合部13bに工具を係合して行なうことができる。緊張材11に所定の引張力が導入されたとき、図8に示すように定着ナット13を支圧板の貫通孔14a内に嵌め入れ、定着ナット13の外周面に形成された楔状部13aが貫通孔14aの内周面に強く押圧されるまで定着ナット13を強く締め付ける。
その後、センターホールジャッキ17による延長鋼材16の引張力を開放すると、緊張材11の引張力は、長ナット12から定着ナット13を経て支圧板14に作用し、支圧板14はコンクリート構造体10の支圧面に圧接される。これにより、コンクリート構造体10には圧縮力が作用し、プレストレスが導入される。
緊張材の定着後、センターホールジャッキ17、ラムチェアー20、ガイドナット18及び延長鋼材16を撤去し、図9に示すように、長ナット12の延長鋼材16が螺合されていた中空部に、保護ボルト21をねじ込む。また、グラウト注入孔14bに接続した注入管22からグラウトを圧入し、シース15内の空間に充填する。その際、定着ナット13は支圧板の貫通孔14bに密着して係止され、先端は支圧板の背面とほぼ同一平面上にあるため、グラウトが入りにくい空間は存在せず、グラウトが完全に注入される。
そして、図10に示すように、支圧板14及び緊張材定着具を覆うように保護コンクリート23を打設する。
上記のように緊張材11が定着されることにより、緊張材11又は緊張材定着具がコンクリート構造体10の支圧面から突出する長さは、定着ナット13の工具係合部13bのみとなり、従来に比べて突出長を短縮できる。したがって、緊張材11及びその定着具の配置が容易になるとともに、定着具を被覆する保護コンクリート23の厚さを小さくすることができる。
また、この緊張材定着具を用いたコンクリート構造体10では、一旦コンクリート構造体の構築を完了した後、コンクリート構造体の増設が必要となった場合には、図10に示す保護コンクリート23を撤去した後、保護ボルト21を抜き取ることによって長ナット12内に延長する緊張材をねじ込むことができる。したがって、増設部分に配置する緊張材の定着具を新たに配置する必要がなくなり、さらに、既設のコンクリート構造体10との境界部にも圧縮力が作用するようにプレストレスを導入することが可能となる。
図12は、本願に係る発明の他の実施形態である緊張材定着具を示す概略断面図である。
この緊張材定着具は、外周面が円錐曲面となった楔状のナット32と、中心部に貫通孔が設けられ、その内周面が上記ナット32の外周面に対応して傾斜している支圧板33とを有するものである。そして、緊張材31の端部のネジ部31aがナット32にねじ込まれ、このナット32の外周面が前記支圧板33の貫通孔内で楔状に係止される。緊張材31の引張力は、ナット32を介して支圧板33に伝達され、さらにコンクリート構造体10の支圧面に伝達されてプレストレスを導入するものとなっている。
この緊張材定着具によって定着される緊張材31は、図1から図4までに示す定着具と同様に、PC鋼棒が一般的に用いられるが、端部にネジ部が形成され、ナットによって係止される緊張材であれば用いることができる。
上記ナット32は、図13に示すように、金属からなり、内周面に緊張材31と螺合するネジ山が精密に形成されている。そして、外周部は、楔状に傾斜した外周面を有する楔状部32aと、このナットを軸線周りに回転させるための工具係合部32bから構成される。
楔状部32aは外周面の断面形状が円形となっており、定着する緊張材の先端側から緊張材が構造体内に伸びた方向に向かって断面が縮小するものである。これにより、支圧板33の貫通孔内に嵌め入れられて、楔状に係止されるものとなっている。この、楔状部32aの軸線方向の長さは、下記支圧板33の厚さより大きく、支圧板33の貫通孔内に嵌め入れられたときに、楔状部32aの後方端つまり緊張材の端面側が支圧板33の表面とほぼ一致し、先端は支圧板33の背面つまり構造体に当接される支圧面より構造体側に突き出すようになっている。
一方、工具係合部32bは、楔状部32aの後方に連続して設けられ、ナット32を回転させる工具が係合できるように、例えば断面が多角形又は円形の一部を切り欠いて平坦とした断面形状となっており、軸線方向には係合に必要な長さを有するものとする。この
工具係合部32bは、楔状部32aを形成する円錐曲面の延長面より内側に形成され、支圧板33の平坦な表面とは係合しないようになっている。
支圧板33は、図14に示すように、円形もしくは多角形の金属性のプレートで、中央部に貫通孔33aを有している。貫通孔33aの内周面は、前記緊張材31が伸びた方向に向かって断面が縮小され、該緊張材31の軸線に対して傾斜している。この傾斜角は、ナット32の楔状部32aにおける外周面の傾斜角と対応しており、ナット32を貫通孔33aに嵌め入れたときに、楔状部32aの外周面がこの貫通孔33aの内周面に密接し、楔状に係止されるものとなっている。
また、この支圧板33には、グラウト注入孔33bが複数設けられている。グラウト注入孔33bは、支圧板33の表面における貫通孔33aの周辺から、支圧板33の背面側における貫通孔の周辺へ貫通し、シース34内に連通するものとなっている。
次に、上記緊張材定着具を用いて緊張材1に引張力を導入し、定着する方法について説明する。
まず、緊張材31および支圧板33をコンクリート構造体10の所定の位置に配置する。支圧板33は、コンクリート構造体10の表面に当接するものであってもよいし、図15に示すように、コンクリート構造体10に埋め込んでおいてもよい。この支圧板33は、貫通孔33aの中心を緊張材31が配置されるべき中心線に一致させ、正確に配置する。
緊張材31は、コンクリート構造体10に埋め込まれたシース34内に挿通し、定着する端部31aがコンクリート構造体10内から支圧板33の貫通孔に挿通されて、端部31aがコンクリート構造体から突出するように長さが設定されている。そして、支圧板33の貫通孔33aから突出した端部31aには、ネジ部が設けられており、このネジ部にナット32を螺合する。このナット32は、支圧板33の貫通孔内に嵌め合わされる位置までねじ込み、緊張材31の位置を固定する。これにより、ナット32は貫通孔33aの内周面に沿って所定の位置に係止され、ナット32の中心線つまり緊張材31の中心線が貫通孔33aの中心と一致し、緊張材31は所定の計画中心線上に位置するものとなる。
さらに、緊張材31の端部には、一端に雌ネジ部が形成された緊張ロッド35をねじ込んで連結し、この緊張ロッド35にラムチェアー36及びセンターホールジャッキ37を装着する。そして、ナット38によってセンターホールジャッキ8の後部に緊張ロッド35を係止する。
その後、図16に示すように、センターホールジャッキ37を油圧により作動し、緊張ロッド35を後方へ押し出す。これにより緊張材31に引張力が導入され、緊張材31に伸びが生じてナット32も徐々にジャッキ側に引き出される。このナット32を回転して支圧板33側にねじ込んでゆき、緊張材31に所定の緊張力が導入された時に、ラムチェアー36の側方からナット32の工具係合部32bに工具を係合し、ナット32を回転させて支圧板33の貫通孔33a内に強く締め込む。
その後、センターホールジャッキ37による緊張ロッド35の引張力を開放すると、緊張材31の引張力はナット32から支圧板33に作用し、支圧板33はコンクリート構造体10の支圧面に圧接されてコンクリート構造体10にプレストレスが導入される。
緊張材31の定着後、図17に示すように、センターホールジャッキ37、ラムチェアー36及び緊張ロッド35を撤去し、緊張材31は切断余長を残して切断する。また、図18に示すように、グラウト注入孔33bに接続した注入管39からグラウトを圧入し、図19に示すようにシース34内の空間に充填する。その際、ナット32は支圧板33の貫通孔33b内で密着しており、さらに支圧板33よりシース34内に突出しているため、グラウトの充填されにくい空間は存在せず、グラウトの充填されていない残留空間は生じ難くなっている。
上記のように緊張材31が定着されることにより、緊張材31の定着部がコンクリート構造体10の支圧面10aから突出する長さは、ナット32の工具係合部32bおよび緊張材31の切断余長の合計長のみとなる。したがって、従来の緊張材定着具に比べて突出長を短縮することができ、保護コンクリート40の層厚を薄くすることができる。
本願発明の一実施形態である緊張材定着具を示す概略断面図である。 図1に示す緊張材定着具で用いられる長ナットの平面図、側面図及び断面図である。 図1に示す緊張材定着具で用いられる定着ナットの平面図、側面図、断面図及び底面図である。 図1に示す緊張材定着具で用いられる支圧板の平面図及び断面図である。 図1に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略図である。 図1に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面図である。 図1に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面図である。 図1に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面図である。 図1に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面図である。 図1に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面である。 図1に示す緊張材定着具におけるガイドナットの機能を説明するための参考断面図である。 本願発明の他の実施形態である緊張材定着具を示す概略断面図である。 図12に示す緊張材定着具で用いられるナットの平面図、側面図、断面図及び底面図である。 図12に示す緊張材定着具で用いられる支圧板の平面図及び断面図である。 図12に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面図である。 図12に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面図である。 図12に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面図である。 図12に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面図である。 図12に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う手順を示す概略断面図である。 従来の緊張材定着具を示す概略断面図である。 図20に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行う状態を示す概略断面図である。 図20に示す緊張材定着具を用いて緊張作業及び定着作業を行った後の処理を示す概略図である。 従来の緊張材定着具における問題点の一つを示す概略断面図である。
符号の説明
10:コンクリート構造体、 11:緊張材、 12:長ナット、 12a:長ナットの外周面に設けられたネジ山、 12b:ピン、 13:定着ナット、 13a:楔状部、 13b:工具係合部、 14:支圧板、 14a:貫通孔、 14b:グラウト注入孔、 15:シース、 15a:シースの拡径部、 16:延長鋼材、 17:センターホールジャッキ、 18:ガイドナット、 19:ナット、 20:ラムチェアー、 21:保護ナット、 22:グラウトの注入管、 23:保護コンクリート、
31:緊張材、 32:ナット、 32a:楔状部、 32b:工具係合部、 33:支圧板、 33a:貫通孔、 33b:グラウト注入孔、 34:シース、 35:緊張ロッド、 36:ラムチェアー、 37:センターホールジャッキ、 38:ナット、 39:グラウトの注入管、 40:保護コンクリート
100:コンクリート構造体、 101:緊張材、 102:ナット、 103:支圧板、 104:緊張ロッド、 105:ラムチェアー、 106:センターホールジャッキ、 107:ナット、

Claims (8)

  1. 緊張材の端部に装着され、該緊張材に導入される引張力の反力が構造体に伝達されるように該緊張材を定着する緊張材定着具であって、
    前記緊張材が挿通される貫通孔を有し、前記構造体に当接して配置される支圧板と、
    前記緊張材の端部に形成されたねじ部が内側に螺合され、外周面にもねじ山が形成された長ナットと、
    前記長ナットの外周面に螺合され、前記支圧板に係止されて緊張材の引張力を前記支圧板に伝達する定着ナットとを有し、
    前記支圧板に設けられた貫通孔の内周面は、前記緊張材の定着される端部側から該緊張材が伸びた方向に向かって断面が縮小するように、該緊張材の軸線に対して傾斜しており、
    前記定着ナットは、外周面が前記貫通孔の内周面の傾斜に対応して傾斜し、前記貫通孔内でくさび状に係止されるものであることを特徴とする緊張材定着具。
  2. 前記定着ナットは、前記緊張材の端部側の外周部に、軸線周りに回転させるための工具係合部が形成され、
    該定着ナットを前記支圧板の貫通孔に装着したときに、前記工具係合部は、該支圧板の表面より前記緊張材の端部側に突出し、
    外周面が傾斜した楔状部は、前記支圧板の前記構造体に当接される支圧面と先端がほぼ同一平面上に位置するか又は支圧面からわずかに先端が突出もしくは後退するものであることを特徴とする請求項1に記載の緊張材定着具。
  3. 前記長ナットには、前記緊張材がねじ込まれた側と反対側から保護ボルトがねじ込まれ、該保護ボルトは、後端面が前記長ナットの端面と同一又は該長ナットの端面より奥までねじ込まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の緊張材定着具。
  4. 前記支圧板の貫通孔の周辺部に、表面から支圧面となる背面側に貫通する複数のグラウト孔を有し、
    前記背面側の開口部は、該支圧板に接合され緊張材が挿通されるシースの内側に設けられていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の緊張材定着具。
  5. 緊張材に導入される引張力の反力が支圧板を介して構造体に伝達されるように、該緊張材を構造体に定着する方法であって、
    前記構造体の所定の位置に前記緊張材と前記支圧板とを配置する工程と、
    内周面と外周面との双方にネジ山が形成された長ナットの内側に、前記緊張材の端部に形成されたネジ部を螺合する工程と、
    前記支圧板に設けられた貫通孔に延長鋼材を挿通し、該延長鋼材の端部に形成されたネジ部を前記緊張材と反対側から前記長ナットの内側に螺合して、前記緊張材と前記延長鋼材とを連結する工程と、
    外周面が楔状に傾斜し、前記支圧板の貫通孔内に嵌合される定着ナットを、前記長ナットの外周部のネジ山と螺合する工程と、
    前記延長鋼材にセンターホールジャッキを装着し、前記支圧板に反力を作用させて前記延長鋼材を牽引して緊張材に張力を導入する工程と、
    前記緊張材に所定の引張力を導入するともに、前記定着ナットを回転して前記支圧板の貫通孔内に締め込み、前記定着ナットの傾斜した外周面を、対応するように傾斜した貫通孔の内周面に当接させる工程と、
    前記センターホールジャッキによる牽引力を解除し、該センターホールジャッキ及び延長鋼材を撤去する工程とを含むことを特徴とする緊張材定着方法。
  6. 前記定着ナットを前記長ナットに螺合する工程は、
    外側に前記定着ナットが螺合可能なガイドナットを、前記延長鋼材のネジ部に螺合しておき、このガイドナットの外周面に形成されたネジ山に前記定着ナット螺合し、
    該定着ナット又はガイドナットを回転させて、前記支圧板に形成された貫通孔に前記定着ナットを嵌め入れ、
    その後に、緊張材に引張力を導入した状態で前記定着ナットを長ナットに螺合することを特徴とする請求項5に記載の緊張材定着方法。
  7. 緊張材の端部に装着され、該緊張材に導入される引張力の反力が構造体に伝達されるように該緊張材を定着する緊張材定着具であって、
    前記緊張材が挿通される貫通孔を有し、前記構造体に当接して配置される支圧板と、
    前記緊張材の端部に形成されたネジ部と螺合され、前記支圧板に係止されて緊張材の引張力を前記支圧板に伝達するナットとを有し、
    前記支圧板に設けられた貫通孔の内周面は、前記緊張材の端部側から該緊張材が伸びた方向に向かって断面が縮小するように、該緊張材の軸線に対して傾斜しており、
    前記ナットは、外周面が前記貫通孔の内周面に対応して傾斜し、前記貫通孔内でくさび状に係止されるものであることを特徴とする緊張材定着具。
  8. 前記ナットは、前記緊張材の端部側に、軸線周りに回転させるための工具係合部が形成され、
    該ナットを前記支圧板の貫通孔に装着したときに、前記工具係止部が前記支圧板の表面より突出するものであることを特徴とする請求項7に記載の緊張材定着具。

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