JPS6224673Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はコンクリートの型枠の組み立てに際し
て用いられる新規な構成の締着部材に関する。

最近は、都市の建物密集地区でもコンクリート
製の建築物が作られることが多く、特に土地の有
効利用のために、木造の低層の建物を高層のコン
クリートビルに建て替えることが多くなつてい
る。

しかしながら、市街地での建て替えなどに際し
ては、敷地に余裕がないため、新しく作られる建
物は、隣接する古い建物との間に数十糎位の間較
しか取れないことも多く、それ故に、コンクリー
ト型枠の組み立て、取外しに際しては、通常の型
枠押え具や、足場材を用いることができなく、さ
らに、作業員が直接に建物間で作業することがで
きないなどの多くの制約があり、これらの悪条件
を克服するために種々の技術開発が行われて来て
いる。

本考案は、型枠の組み立て、取外しに際して、
作業員は隣接する既存建物とのわづかな隙間に入
つて作業することを全く必要とせず、作業は専ら
新築する建物の内側からだけで行い得るようにし
ているのである。

従来、コンクリート構築物の築造に当つてセパ
レータをコンクリート内部から抜取るものにあつ
ては、セパレータの外周に嵌挿する間隔保持パイ
プの端部から直接型枠面に当接して構築後のコン
クリート表面に露出する孔を閉塞しても間隔保持
パイプから水の侵入を許すことによつてコンクリ
ート構築物の表面を汚し、その品質を低下させた
り、或いは、間隔保持パイプの直接使用によつ
て、型枠面に当接する端部では正確な間隔保持が
できないばかりか表面の後処理作業も適確でな
く、かつ作業能率も低下するための解決手段とし
て、セパレータを間隔保持パイプ内に嵌挿し、こ
の間隔保持パイプの両端部と型枠面に当接する
夫々の面に筒状の型枠受具を用いたコンクリート
型枠保持装置の例えば実開昭50−6122号のような
ものがある。

しかしながら、このような従来公知のようなも
のにあつては、円筒状の型枠受具の構成は、その
両端部をセパレータ或いは閉塞栓に適合すべく形
成した大径孔に、その内部に前記した間隔保持パ
イプに適合すべく形成した小径孔を有するもので
ある。

ために、コンクリート打設中にコンクリート構
築物の表面に洩出する水は、打設が終り、型枠の
解体後に充填する閉塞栓の打込み迄、外部洩水の
防止は完全に出来得なかつたのである。

そこで、本考案は、コンクリート打設中の外部
洩水の完全防止を図るとともに、型枠の組み立
て、及び取外し作業はすべて建物の内側から行い
得ることを目的としてなされたコンクリート型枠
の締着部材に関する。

即ち、本考案においては、隣接する既存建物側
の型枠、すなわち、外側の型枠には１実施例とし
て略円錐形状の型枠締付け用の当て金を所定間隔
で固定しておく。

この当て金の頂部にはナツトなどのねじ孔が設
けてあり、型枠にもセパレータ貫通用の孔が対応
して設けてある。

内側の型枠と、外側の型枠はセパレータで連結
されるが、両型枠の間にはセパレータを包囲する
如くに塩ビパイプと、本考案の締着部材を連接し
て介在させ、両型枠をその内側から押えるように
している。

本考案においては、セパレータは内側の型枠を
取外した後に、外側の型枠からも外して抜き取る
のであるが、塩ビパイプは抜かず、前述の締着部
材を塩ビパイプの両端又は、外部側に装着して埋
め込んだまゝにしておき、締着部材を充填モルタ
ルの止め部材として用い、塩ビパイプの止水も図
るのである。

なお、塩ビパイプは内側枠方向に抜き取ること
も可能である。

締着部材は、外周壁に鍔状の突出部を有し、該
突出部を介してコンクリート中に固定するように
しており、また、内壁面には膜状の閉塞部が設け
られ、これに放射状に切れ目を入れておくことに
より、セパレータを抜き去つた後に孔の閉塞を完
全に行い得るとともに、孔の充填時には注入した
モルタルの止め部材としても作用するものであ
る。

また、型枠の組み立て及び取外し作業は、すべ
てが建物の内側から行うことができ、型枠パネル
は建物の内側に組み合わせて設けられるパイプ製
などの端太材により支持されることとなる。

外側の型枠は、その外側からは略円錐形状の当
て金を介してセパレータで支持され、内側からは
締着部材と塩ビパイプを連接した間隔保持部材に
より支持されているが、コンクリートの固化後に
セパレータを抜き去つてからは、外側の型枠は上
方に引き上げられ、上方でのコンクリート壁型枠
として再び使用されるのである。

なお、本考案に於ては外側の型枠に当接して、
セパレータを止着螺合するものとして略円錐形状
の当て金を用いたものを実施例として示したが、
要はセパレータと螺合される止め部材が用いられ
れば良い。

以下、図面に従つて、本考案を説明すると、外
側の型枠１の外側には、浅い略円錐形状の当て金
２が釘等で固定されていて、該頂部にはナツトま
たはねじ孔部３が設けられる。

内側の型枠４の外側には、パイプ製の端太材５
が縦横に組み合わせて置かれ、それらを締付座
金、ナツト及び締付具６よりなる型枠固定部材に
より固定する。

セパレータ８は、その両端にねじ部を有し、一
方のねじを外側の型枠１に釘等で固定した円錐形
状の当て金２のねじ孔部３で螺合した後、一方の
ねじを内側の型枠４の孔４′を貫通し、その外側
から締付具６のねじ孔に螺合して固定するように
している。

内、外の型枠１，４間には塩ビパイプ９と、締
着部材１０を連接した間隔保持部材がセパレータ
８を包囲する如くに設けられる。そして、塩ビパ
イプ９の一端部は、内側の型枠４の内側に当接
し、締着部材１０の端部は外側の型枠１の内側に
当接するように設けられる。

該締着部材１０は、比較的硬質の合成樹脂で一
体成形してなるもので塩ビパイプ９に内嵌又は外
嵌する内側円筒部１１と、型枠に当接する外側筒
部１３よりなり、その外周壁には環状に突出する
係止部１２を形成している。また前記鍔状部１２
の内壁面には、その中心から放射状に切れ目を入
れた閉塞部１４を成形してなるもので、該閉塞部
１４は中心に行く程、薄くなつてをり、一層のみ
ならず多層に設けてもよい。

また、前記係止部１２の外側にはプチルゴムや
軟質の合成樹脂等を環状に接着した環状体１５を
設け、コンクリート７が固化した際に、締着部材
１０の外側に空間部が生じても、係止部１２と軟
質の環状体１５によつて閉止され、漏水などを完
全に防止できるようになつている。

つぎに、内側円筒部１１は、小径の塩ビパイプ
９を用いる際には第３図のように塩ビパイプ９に
外嵌するように径の大きいものとするが、通常は
塩ビパイプ９の内側に嵌入するようにした第２図
に示される形式のものが良い。

また、塩ビパイプの規格が内径で定められてい
ることより内側円筒部１１と密着させるには第２
図の内嵌方式が良いのである。

閉塞部１４は放射状に切れ目を入れた膜状に作
られているために、第５図に示されるようにセパ
レータの挿入時イ、及び引き抜き時ロには、その
ねじ山に従つて動き、引き抜いた後は孔を完全に
閉塞ハするようになつており、モルタル等で充填
する際には止め部材として働き、モルタルが内側
円筒部内流出することを防止するようになつてい
るもので、１層で充分でない時には多層に設ける
がいずれにしても、その孔の径はセパレータの径
に数糎加えた程度の大きさであることより、普通
の硬さのモルタルの注入には１層のみで足りるこ
とが多いのである。

また、係止部１２の大きさは、コンクリート壁
からの脱落を防ぐものであれば良いが、漏水の廻
り込みを防ぐためには大径にする方がより効果は
ある。

なお、締着部材１０は、型枠に当接する外側筒
部１３の径よりも、反対端の係止部１２寄りの径
を大に形成しても脱落防止の効果を奏するもので
ある。

外側筒部１３の外面はコンクリート打込時には
型枠に当接して、モルタルやセメントミルクの筒
内えの流れ込みを阻止する役目を負うため、平坦
であることが望ましく、型枠の取外し後はコンク
リート壁面に露出するために美観を損うことがな
く、耐候性も要求され、さらに塗装を施すことも
考虜に入れて、筒部の材質を選定することが必要
ではある。

以上述べた如く、本考案に於ては、セパレータ
により外側の型枠の固定、解除が容易にでき、止
水も完全に行い得るほか、作業は建物の内側から
のみ行うだけでよく、狭い場所でのコンクリート
建造物の建設を容易、確実に、しかも安全に実施
し得るという多大の利点を有するものであり、建
設作業工程、工期を短くできるという大きい経済
的な利点をも有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面はいづれも本考案の実施例を示すもので、
第１図は型枠の組み立て状況を示す概略図、第２
図ないし第５図は締着部材を示し、第２図は内嵌
型のものを、第３図は外嵌型のものを示す概略
図、第４図イは正面図、ロはその斜視図、第５図
イ、ロ、ハはセパレータに対するイは挿入時、ロ
は引き抜き時、ハは引き抜き後の閉塞状態を示す
閉塞部の動きを示す概略説明図である。 図中、１……外側の型枠、２……略円錐形状の
当て金、３……当て金のねじ部、４……内側の型
枠、５……端太材、６……締付具、７……コンク
リート、８……セパレータ、９……塩ビパイプ、
１０……締着部材、１１……内側円筒部、１２…
…係止部、１３……外側筒部、１４……閉塞部、
１５……環状体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. セパレータのロツドを包囲し、パイプに嵌合す
   る内側円筒部と、型枠パネルに接する外側筒部と
   よりなる筒状の締着部材において、該締着部材の
   外側筒部の外周壁に環状に突出する係止部と、締
   着部材の内壁面に放射状の切れ目を設けた膜状の
   閉塞部を形成してなり、コンクリート型枠間で、
   パイプの端部に係合し、建物の外側の型枠に前記
   外側筒部を係合させるようにして設けられるコン
   クリート型枠の締着部材。