JP5777003B2 - 間隔保持部材、及びそれを用いた壁体構造 - Google Patents
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一方で、特許文献2のように、「抜き取り」を目的とした型枠保持具も提案されているが、連結材4内にセパレータ9を介在させることで抜き取りは可能であるものの、型枠の構築時に手間のかかるものである。
例えば、型枠3に対してフォームタイ10、セパレータ9、連結材4を取り付けるが、連結材4とセパレータ9とは螺合していないので、反対側のナット12を取り付けるまでの間、連結材4が脱落する恐れがある。
また、施工時の手間を省くために、当該保持具を工場等で組み付けても、フォームタイ10とセパレータ9は締着によって組み付け可能ではあるものの、連結材は常に脱落する恐れがあり、予めナットを装着すると型枠との組み付け時にナットを取り外さなければならず施工性が低下すると共に外したナットが落下する恐れもあり、部材の持ち運びや取付時に注意が必要になるものであった。
そして、コンクリートの硬化後に棒状部材を抜き取りすることにより、使用する部材を繰り返し利用でき、冷熱の伝わり(冷熱橋)が遮断されるため、断熱性能にも優れたコンクリート壁とすることができる。
そして、型枠間に配され、その端部が直接もしくは間接的に当接する筒状部材と、前記筒状部材の内部に位置し、その端部が型枠から突出すると共に、少なくとも突出部分に雄ねじ加工を施した棒状部材とからなり、前記筒状部材より大径で筒状部材の端部に挿着される着座部材が、前記棒状部材の少なくとも一方の雄ねじ部に係止されていることを特徴とする。
この筒状部材は、棒状部材を包囲し、コンクリートとの接触を防止すると共にコンクリートの硬化後も基本的にはコンクリート内に(少なくともその大部分を)残存させる部材を指す。なお、この筒状部材は、棒状部材を包囲しているものの、螺合していないので、容易に棒状部材に嵌め付けることができる反面、端部を型枠に強固に当接(圧接)する必要があり、また型枠の配設以前には着座部材がなければ棒状部材から抜け落ち(脱落)してしまうものである。
また、この筒状部材は、少なくとも一部を大径部とし、その大径部内に、前記棒状部材より大径な雌ねじ部を有するようにしてもよい。この場合、後述する図示実施例のように外側へ膨出する大径部の内面にナットを保持して雌ねじ部を形成すればよく、コンクリート壁の硬化後に取り付けるアンカーボルトをその雌ねじ部(図示実施例ではナットの螺合溝)に安定に且つ強固に螺合して固定することができる。
なお、図示実施例の棒状部材は、直棒材の端部に断面視台形状(錐状)の台座を介在させて筒状部材と型枠との接触(フォームタイとの挟み込み)を安定性を高め、その内部に短い短棒材を配したものである。
この棒状部材は、コンクリート打設空間内に位置する部分(図示実施例では直棒材)が前記筒状部材で包囲され、コンクリートに接触することなく配され、コンクリートの打設、硬化後に容易に抜き出すことができる。
この着座部材は、例えば後述する図示実施例のように型枠内面に接触する基部と、短筒状の挿着部とからなり、挿着部内側に例えば略爪状の係止部を形成した場合、挿着部の係止部(爪)がその内側に位置する棒状部材の雄ねじ部に外側から係止するため、筒状部材が棒状部材から抜け落ち(脱落)することがない。
より具体的には、この回転防止機構としては、コンクリート打設空間内に位置して打設するコンクリートと接触する部分(接触部分)に突状部を形成したり、前記接触部分を非円形状に形成する構成などがあり、適宜に組み合わせて適用してもよい。
まず、第1の工程として、型枠間に前記構成の間隔保持部材を取り付けてコンクリート打設空間を形成する。
この工程では、一方側の型枠に予め前記間隔保持部材の一方側の端部が貫通して取り付けられ、該間隔保持部材の他方側の端部には着座部材が取り付けられている。この状態では、間隔保持部材を構成する筒状部材の端部は、直接もしくは間接的に当接しており、棒状部材の端部は型枠から突出している。
なお、前述のように施工時の手間を省くために、一方の型枠に形成した貫通孔に、着座部材を組み付けた状態の間隔保持部材を次々と所定位置に配設するようにしてもよい。
その後は定法に準じて所定位置に他方側の型枠を着座部材が当接するように配すると共に間隔保持部材の各端部をフォームタイ(R)等の押さえ部材(ボルト材)と連結し、各型枠の外側には縦バタ、横バタ等を配し、前記押さえ部材にて締め付け固定すると共にしてコンクリート打設空間を形成する。
次に、第2の工程として、前記コンクリート打設空間にコンクリートを打設する。
この工程にてコンクリートは、前記間隔保持部材の周囲を埋め尽くすように充填されるが、前述のように棒状部材は筒状部材にて包囲されているため、直接的に接触しない。
そして、第3の工程として、コンクリートの硬化後に、棒状部材を抜き出す。
前記第2の工程にて説明したように、棒状部材はコンクリートと直接的に接触していないので、特別な治具や特に強い力を必要とすることなく一方側の型枠の外側から押さえ部材の締め付けを解除して容易に抜き出すことができる。より具体的には、各型枠の外側に配したバタ(縦、横)等の押さえ具を取り外し、型枠を撤去した後、他方側の端部に取り付けた着座部材を外し、一方側から棒状部材を抜き出す。筒状部材は、棒状部材を抜き出した後もそのままコンクリート内に埋設される。
そして、コンクリートの硬化後に棒状部材を抜き取りすることにより、使用する部材を繰り返し利用でき、施工されるコンクリート壁は、冷熱の伝わり(冷熱橋)が遮断されるため、断熱性能に優れたものとなる。
図示実施例の筒状部材2は、その端部(右側端部)が断面視台形状(錐状)の台座3Bを介して型枠5Aに間接的に当接するものであって、樹脂製の管材からなる複数部材2A〜2Cを組み合わせたものである。より詳しくは長さ方向に略同一径の直管材2Aと、図2(f)に示す大径部21を含む異径管材2Cと、その両者を連結する図2(d)に示す連結管材2Bとからなり、前記大径部21内には、棒状部材3(直棒材3A)より大径な雌ねじ部22として図2(c)に示すナット2dが保持されている。この雌ねじ部22であるナット2dは、予めその螺合溝が、後述するアンカーボルト8と螺合するものを用いている。
なお、前記連結管材2Bには、直管材2Aの端縁(左側端縁)が嵌め込まれる直管嵌合部23が一方側(右側)に形成され、異径管材2Cの端縁(右側端縁)25が嵌め込まれる異径管嵌合部24が他方側(左側)に形成される構成であるが、図2(e)に示す連結管材2B'のように前記異径管嵌合部24に代えて異径管材2Cの端縁(右側端縁)25の内側に嵌め込む挿着部26を形成した構成でもよい。
図示実施例の棒状部材3は、長さ方向に略同一径の直棒材3Aと、断面視台形状(錐状)の台座3Bと、短棒材3Cとをそれぞれ螺合手段により直列状に連結した構成であり、そのうち直棒材3Aのみが前記筒状部材2にて包囲される部材である。
この棒状部材3は、コンクリート7の硬化後には一方側(右側)の型枠5Aと共に一方側から一連に抜き取りするものであり、前記突出部分31,31とは、短棒材3Cの端部が一方側の型枠5Aから突出する部分と、直棒材3Aが他方側(左側)の型枠5Bから突出する部分とを指す。
図示実施例の着座部材4は、挿着部42の内側に略爪状の係止部421が形成される構成であり、該挿着部42の係止部(爪)421がその内側に位置する棒状部材3の雄ねじ部31に外側から係止するため、筒状部材2が棒状部材3から抜け落ち(脱落)することがない。
なお、図2(b)に示す別の態様の着座部材4'のように基部41の内側に略爪状の係止部411を設けるようにしてもよい。
この工程では、予め着座部材4を組み付けた間隔保持部材1の一方側(右側)の端部を、前記図1(b)に示すように、工場等にて貫通孔を形成した一方側の型枠5A(同図では点線で示した)に次々に取り付けるようにした。この状態では、筒状部材2は棒状部材3を包囲した状態で他方側(左側)へスライドするが、その端部(雄ねじ部31)に着座部材4が取り付けられているので、他方側の型枠5Bを配設する以前に抜け落ち(脱落)すること無くコンクリート打設空間70を形成することができる。
そして、この間隔保持部材1の端部、即ち棒状部材2の各端部31は、それぞれ型枠5A,5Bから突出しているので、各端部31をそれぞれフォームタイ(R)等の押さえ部材(ボルト材)9と連結し、各型枠5A,5Bの外側には縦バタ6A、横バタ6B等を配し、前記押さえ部材9にて締め付け固定すると共にしてコンクリート打設空間70を形成する。
この工程にてコンクリート7は、前記間隔保持部材1の周囲を埋め尽くすように充填されるが、前述のように棒状部材3の大部分(直棒材3A)は筒状部材2にて包囲されているため、この直棒材3Aは直接的にコンクリート7と接触することがない。
なお、同図は、既にコンクリート7の硬化後に型枠5A,5Bと共に押さえ部材9、縦バタ6A、横バタ6Bを取り外した状態を示している。
前記第2の工程にて説明したように、棒状部材3の直棒材3A及び短棒材3Cはコンクリート7と直接的に接触しておらず、棒状部材3の台座3Bは側面が他方側(左側)が縮径するテーパ状であるため、特別な治具や特に強い力を必要とすることなく容易に抜き出すことができる。
なお、棒状部材3の抜き出しに際し、図示するように他方側の端部31に取り付けた着座部材4を外しておく。
そして、コンクリート7の硬化後に棒状部材3を抜き取りすることにより、使用する部材を繰り返し利用でき、冷熱の伝わり(冷熱橋)が遮断されるため、断熱性能にも優れたコンクリート壁7とすることができる。
また、図示実施例の着座部材4は、型枠5B内面に接触する基部41と、短筒状の挿着部42とからなり、挿着部42内側に係止部421を形成したので、挿着部42の係止部421がその内側に位置する棒状部材3の雄ねじ部31に外側から係止するため、筒状部材2が棒状部材3から抜け落ち(脱落)することがない。
2 筒状部材
2A 直管材
2B 連結管材
2C 短管材
2d ナット
21 大径部
22 雌ねじ部
3 棒状部材
3A 直棒材
3B 台座
3C 短棒材
31 端部(雄ねじ部)
4 着座部材
41 基部
42 挿着部
421 係止部
5A (一方側の)型枠
5B (他方側の)型枠
6A 縦バタ
6B 横バタ
70 コンクリート打設空間
7 コンクリート
8 アンカーボルト
9 押さえ部材
Claims (4)
- 対向する型枠間に配することで型枠の間隔を一定に保持する間隔保持部材において、
型枠間に配され、その端部が型枠に直接もしくは間接的に当接する筒状部材と、
前記筒状部材の内部に位置し、その端部が型枠から突出すると共に、少なくとも突出部分に雄ねじ加工を施した棒状部材とからなり、
前記筒状部材より大径で型枠内面に接触する基部と筒状部材の端部に挿着される短筒状の挿着部とからなる着座部材が、前記棒状部材の少なくとも一方の雄ねじ部に係止され、コンクリートの硬化後には、前記着座部材を外して前記棒状部材を抜き取ることを特徴とする間隔保持部材。 - 筒状部材は、少なくとも一部を大径部とし、その大径部内に、前記棒状部材より大径な雌ねじ部を有することを特徴とする請求項1に記載の間隔保持部材。
- 着座部材は、挿着部内側に係止部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の間隔保持部材。
- 対向する型枠間に請求項2に記載の間隔保持部材を配して施工した壁体構造であって、
前記型枠間に、間隔保持部材を配してコンクリートを打設し、該コンクリートに埋設された前記筒状部材の雌ねじ部にアンカーボルトを螺合させて取り付けてなるとを特徴とする壁体構造。
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