JP5817889B2 - 配線ボックスの配設構造、配線ボックスを埋設したコンクリート壁体、及びその構築方法 - Google Patents
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また、コンクリートの打設時には、打設したコンクリートが鉄筋やボックスに作用してボックスがズレたり、打設したコンクリートの隙間を除くために、バイブレータ(振動機)による振動等を与えるが、その際に鉄筋が動かされるため、この鉄筋に連結した配線ボックスも動かされ、ボックスが斜めになった場合には、ボックス内へのコンクリートの流入は勿論のこと、後から取り付けるカバー等の取付が困難になる恐れもあった。この場合、型枠撤去後に配線ボックスの空間内からコンクリートを取り除く作業が必要となり、その流入量が多いとボックスとしての機能を果たさなくなる虞もあった。
そこで、本発明は、前述のような問題を全く生ずることなく、コンクリート型枠工法を利用し、容易に各種の配線ボックスを埋設することができる配線ボックス埋設方法、及び配線ボックス埋設構造を提供することを目的とする。
また、配線ボックスの固定作業は、間隔保持部材の固定に伴って行われるので、実質的に間隔保持部材の一方側の端部に配線ボックスを貫通させて臨ませるだけの簡単な操作でよく、コンクリート壁の施工と同時に配線ボックスを埋設することができ、任意の位置に配線ボックスを埋設することができる。
さらに、本発明では、各種の配線ボックスに予め貫通孔を設けるだけで適用でき、面倒な取付を不要とするという利点がある。
本発明に適用される間隔保持部材としては、その長さ範囲全てで筒状部材で包囲されている構成でもよいし、後述する図示実施例のように分離可能な複数部材で形成され、螺合手段で接続され、一方側に配された一部のみが筒状部材で包囲されている構成でもよい。
即ち図示実施例の間隔保持部材は、一方側に配された棒状部材(他方側の棒状部材と区別するため「(一)」を付記する)が筒状部材で包囲され、他方側の断熱材を兼ねる型枠内に一体的に棒状部材(「他」を付記する)が配され、棒状部材(一)と棒状部材(他)とは螺合手段で接続されている。
なお、後述する図示実施例では、間隔保持部材1つに対して1つの配線ボックスを固定する態様を示しているが、この配線ボックスが大きい場合には、1つの配線ボックスが複数の間隔保持部材に跨るものでもよい。この場合、後述する回転防止手段(図示実施例では図2及び図3に示す)が不要となるという利点がある。
そして、棒状部材を型枠外側に配置される押さえ部材と締着することで、配線ボックスの裏面側が筒状部材と、表面側が型枠表面とを、挟着状に当接させるということは、筒状部材と配線ボックスと型枠が挟着によって接続された(三つの部材が押しつけられた)状態となることを意味しており、配線ボックスの表面(開放端面)を型枠表面に押し付けることになるため、コンクリート打設時の圧力やバイブレータの振動などに際しても配線ボックスのズレが防止されてコンクリートの流入を生じない。
なお、上記説明は、間隔保持部材を構成する筒状部材と、配線ボックス、型枠がそれぞれ独立した部材として説明したが、例えば筒状部材と配線ボックス(の底面)とは、予め接着等にて一体化しておいてもよい。
それ以外の構成、例えば他方側の型枠やコンクリート壁の構築後に壁体内に埋設される電気配線類は、特に施工手順を限定することなく、適宜に配してコンクリート打設空間を形成すればよい。
さらに、本発明では、各種の配線ボックスに予め貫通孔を設けるだけで適用でき、複雑な取付を不要とするという利点がある。
コンクリートの打設、硬化後には、型枠外側に配置される押さえ部材と共に棒状部材(一)を抜き出すため、伝熱が寸断され、断熱性能が高いコンクリート壁体を構築することができる。また、他方側の棒状部材(他)が型枠兼用パネルを保持するため、コンクリートが打設、硬化(養生)した時点で外壁が構築されるものとなる。この他方の棒状部材(他)がそのまま外装材等を保持するので作業性がよい。
この場合、配線ボックスに延出状の鍔片等を設けて該鍔片から連結具を結線する方法と、一方が開放する溝状枠体を配線ボックスの裏面側に嵌め付けてこの溝状枠体から連結具を結線する方法とがある。
前者の方法では、前述のように配線ボックスに延出状の鍔片等を設けることが可能であれば適宜に鍔片等を設ければよいし、前記従来のバーを備える配線ボックスに前記間隔保持部材が貫通する貫通孔を形成して流用してもよい。
後者の方法では、例えば金属製の溝状枠体に孔等を付帯構成として適宜に設けて連結具を取り付ければよい。この場合、金属板を配線ボックスの横幅より僅かに広いコ字状に折曲し、適宜に連結具を取り付ける孔などを設ければよく、各種形状の配線ボックスに対して容易に対応でき、実用的価値が高いものである。
前記第2の工程では、前記第1の工程にて説明したように間隔保持部材にて配線ボックスを固定しているため、コンクリートの打設圧力などにより、ズレ動くことがなく、所定の位置に保持されるものとなる。
そして、第3の工程では、前記構成の間隔保持部材がコンクリートに埋設されるが、そのうちの棒状部材(一)は、筒状部材に包囲されてコンクリートと接触することなく配されているため、これを抜き出す工程には特別な治具や特に強い力を必要とすることなく容易に抜き出すことができる。具体的には、型枠の外面側に配したバタ(縦、横)、型枠をそれぞれ取り外す(撤去する)と共に、押さえ部材及び棒状部材(一)を抜き出す。他方側の棒状部材(他)は、同様の構成を採用してもよいし、断熱材を兼ねる型枠を保持した状態で、そのままコンクリート内に埋設するようにしてもよい。
前記間隔保持部材2は、コンクリート打設空間5内に位置する棒状部材の少なくとも一部(2B)が筒状部材(2C)で包囲され、コンクリート(5")打設後に棒状部材(2B)を抜き取り可能にした構成である。
そして、前記配線ボックス1は、前記間隔保持部材2の棒状部材(−)2Bを型枠3A外側に配置される押さえ部材7と締着することで、配線ボックス1の裏面(13)側が筒状部材2Cと、表面側が型枠3A表面とを、挟着状に当接させて固定されている。
前記棒状部材(他)2Aの一方側の端部には異径ナット2Dが固定され、該異径ナット2Dの一方側の端部に、筒状部材2Cで包囲され棒状部材(一)2Bを螺合して接続し、間隔保持部材2が形成されている。
なお、前記筒状部材2Cで包囲された棒状部材(一)2Bの一方側の端部を、前記配線ボックス1の貫通孔に貫通させ、更に一方側の型枠3Aの外側に配された押さえ具7と連結して締め付けることにより、筒状部材2Cが配線ボックス1の他方側の枠面13に圧接し、配線ボックス1を一方側の型枠3Aに圧接させた状態でコンクリート打設空間5が形成される。
このコンクリート打設空間5には、厚み方向のほぼ中間に、縦(垂直)方向及び横(水平)方向に適宜間隔にて鉄筋6が配されている。
なお、図示しないが、電気配線類は、適宜にコンクリート打設空間5内に導入管12を介して配線ボックス1に連結する。
また、配線ボックス1の固定作業は、間隔保持部材2の固定に伴って行われるので、実質的に間隔保持部材2の一方側の端部に配線ボックス1を貫通させて臨ませるだけの簡単な操作でよく、コンクリート壁5"の施工と同時に配線ボックス1を埋設することができ、任意の位置に配線ボックス1を埋設することができる。しかも、従来技術のようにコンクリート壁内に配設される鉄筋6等にバー材を線材にて結束するなどの面倒な操作を全く必要とせず、その配設箇所を限定されることもない。
また、一方側に配される棒状部材(一)2Bは、筒状部材2Cで包囲したので、コンクリート5"と接触することなく配され、コンクリート5"の打設、硬化後に容易に抜き出すことができる。
さらに、得られた配線ボックス埋設構造は、一方側に配された棒状部材(一)2Bを抜き出すため、他方側の間隔保持部材2Aをつたって冷熱が他方側へ伝熱されても、それ以上の冷熱の伝わり(冷熱橋)が遮断されて断熱性能が高い。
そして、配線ボックス1は、予め貫通孔131を設けるだけで適用できるため、各種の構成のものを、複雑な取付を不要として用いることができる。
この参考例における配線ボックス1'は、空間11を塞ぐ蓋材を取り付けるための取付孔を備える取付片14,14が上下に設けられている。なお、図2(a),(b)では、導入管12を省略して示した。
そして、前記規制具4は、帯状の金属板をL字状に折曲して容易に作成できるので、各種形状の配線ボックス1'に対して容易に対応でき、実用的価値が高いものである。
この実施例における配線ボックス1'は、前記第2参考例と同様であり、図3(a),(b)では導入管12を省略して示した。
図3(c)は、前記溝状枠体8の正面図及び折曲加工前の展開図を示した。また、より広幅の配線ボックスに対応する溝状枠体8'の正面図及び折曲加工前の展開図を併せて示した。底面81,81'の略中央には、配線ボックス1'の貫通孔131と連通する孔811,811'が形成され、底面81,81'の四隅には、連結具9を取り付ける孔812
,812'が設けられている。
そして、前記溝状枠体8は、図3(c)に示すように金属板を断面コ字状に折曲して容易に作成できるので、各種形状の配線ボックス1'に対して容易に対応でき、実用的価値が高いものである。
11 空間
12 導入管
13 底面(他方側の枠面)
131 貫通孔
2 間隔保持部材
2A 棒状部材(他)
2B 棒状部材(一)
2C 筒状部材
2D 異径ナット
2E ナット
3A (一方側の)型枠
3B (他方側の)型枠
4 規制具
41 連結部
42 支持部
5 コンクリート打設空間
5" コンクリート
6 鉄筋
7 押さえ具
8 溝状枠体
9 連結具
Claims (3)
- 対向する型枠の間隔を保持する間隔保持部材を用いたコンクリート壁体の表面に配線ボックスを埋設する配線ボックスの配設構造であって、
前記間隔保持部材は、コンクリート打設空間内に位置する棒状部材の少なくとも一部が筒状部材で包囲され、コンクリート打設後に棒状部材を抜き取り可能であり、
前記配線ボックスは、少なくとも開放状の表面と、前記間隔保持部材が貫通する貫通孔を形成した底面を有する箱状体からなり、略中央に連通孔が、四隅に取付孔が設けられた底面の左右の側面を立ち上げて形成した一方が開放する溝状枠体を、前記配線ボックスの裏面側に、前記貫通孔と前記連通孔が連通するように嵌め付け、
前記棒状部材を型枠外側に配置される押さえ部材と締着することで、配線ボックスの裏面側に嵌め付けた溝状枠体が前記筒状部材と、配線ボックスの表面側が型枠表面とを、挟着状に当接させてコンクリート打設空間を形成すると共に、前記溝状枠体の取付孔から連結具で鉄筋又は隣接する間隔保持部材に取り付けて固定することを特徴とする配線ボックスの配設構造。 - 請求項1に記載の配設構造を形成する第1の工程と、形成されたコンクリート打設空間にコンクリートを打設する第2の工程と、型枠を取り外すと共に前記間隔保持部材の棒状部材を抜き出す第3の工程と、を含むことを特徴とする配線ボックスを埋設したコンクリート壁体の構築方法。
- 請求項2に記載の構築方法により構築されたコンクリート壁体であって、配線ボックスの底面の裏面にコンクリート打設時に用いた間隔保持部材の筒状部材の端部が当接して埋設されていることを特徴とする配線ボックスを埋設したコンクリート壁体。
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