JPH0329613B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は車両用摺動式屋根構造に関する。

（従来の技術） 車両用摺動式屋根構造の一つとして知られる例
えば外部スライド式スライデイングルーフ装置
は、周知のようにルーフ開口部からスライデイン
グルーフ後部を持ち上げ、次いで種々のガイドを
介し後部ルーフの上方へスライデイングルーフを
滑動させ、ルーフ開口部を開放するものであり、
外部スライド式スライデイングルーフ装置にはス
ライデイングルーフ後部を持ち上げるチルトアツ
プ装置が装備される。

（発明が解決しようとする課題） しかしチルトアツプ装置は、一般に、ルーフ開
口部付近で且つスライデイングルーフ或いは固定
ルーフとルーフライニングとの限られたスペース
内に配設しなければならず、チルトアツプ装置の
機構或いはその配置等の良否如何は、ルーフ開放
面積、車室内スペース等に大きな影響を及ぼす。

従来この種のチルトアツプ装置として、特開昭
56−57516号公報が知られている。特開昭56−
57516号公報においては、スライデイングルーフ
下面で且つルーフ開口部両側に上下伸縮動自在な
スクリユーテレスコープを立設し、該スクリユー
テレスコープを伸縮動してスライデイングルーフ
後部のチルトアツプを行なうものであるが、ルー
フ開口部内にスクリユーテレスコープを配設する
ものであるため、スライデイングルーフ開放時に
おけるルーフ開放幅を小とせざるを得ず、またス
クリユーテレスコープの基部が車室内に突出し、
車室内スペースを小とする等の難点があつた。

（課題を解決するための手段） 本発明は、前記不具合を解消すべく案出された
ものであつて、車体ルーフに形成した開口と、前
記開口の開閉を自在とした開閉体と、前記開口の
両側に配設され、前記開閉体のルーフ上への開閉
動を案内するフレーム側ガイドレールと、前記フ
レーム側ガイドレール後部をチルトアツプするチ
ルトアツプ機構とを備え、前記開閉体は後部をチ
ルトアツプした状態で後方へ案内されて前記開口
を開放する車両用摺動式屋根構造であつて、前記
チルトアツプ機構は前記フレーム側ガイドレール
の後方、且つ前記車体ルーフ下方に固設されると
ともに、車体側に取付けられる枠部材、この枠部
材に上下揺動自在に支持されるチルトアツプレバ
ー及び駆動部材の水平動を上下動に変換して前記
チルトアツプレバーに伝達する中間リンクを備
え、前記チルトアツプレバーは先端を前記開口内
に臨ませるとともに当該先端を前記フレーム側ガ
イドレールの後端に枢着し、前記中間リンクは枠
部材に対しピン及び長孔を介して支持され、この
中間リンクの一端には駆動部材の先端が取付けら
れ、他端にはピン及び長孔を介して前記チルトア
ツプレバーを連結せしめた。

（実施例） 本発明の好適一実施例を添付図面に従つて説明
する。

第１図は本発明に係るチルトアツプ装置を備え
たスライデイングルーフ装置の要部切欠き平面
図、第２図は同側面図、第３図は同・スライデイ
ングルーフ後部チルトアツプ状態における側面
図、第４図は同・スライデイングルーフ開放時に
おける側面図、第５図はチルトアツプ装置の配置
を示す平面図、第６図はチルトアツプ装置の要部
断面平面図、第７図ａ，ｂ，ｃは同作動状態を示
す側面図、第８図は内枠部材の側面図である。

１はルーフ、２はスライデイングルーフで、ス
ライデイングルーフ２はルーフ開口部３の閉塞を
自在とし、第３図に示すようにスライデイングル
ーフ後部４をチルトアツプし、次いで第４図に示
すように後部ルーフ５上へ移動した時、ルーフ開
口部３及びルーフライニング６に設けた開口部７
を介し車室内を大気に開放するように形成してあ
る。

前記スライデイングルーフ２の下面前端部両側
には、一対のフロントスライドステー１１，１１
を垂設してあり、スライデイングルーフ２の下面
両側で中間部から後部に亘つては、一対のルーフ
側サブガイドレール１２，１２を延設してある。

前記開口部７周辺のルーフライニング６上には
薄板状のフレーム部材１３を配設してあり、開口
部７両側における前記フレーム部材１３上には一
対のメインガイドレール１４，１４を延設してあ
り、前記フロントスライドステー１１，１１下端
は前記メインガイドレール１４，１４に滑動自在
に嵌装してある。

前記メインガイドレール１４の内方でルーフ開
口部３両側の略中間部から後部に亘つては、前端
部をそれぞれヒンジ１５に枢支して一対のフレー
ム側サブガイドレール１６，１６を設けてある。

前記ルーフ側サブガイドレール１２，１２とフ
レーム側サブガイドレール１６，１６間には、そ
れぞれ後部上端をルーフ側サブガイドレール１２
に、前部下端をフレーム側ガイドレール１６に滑
動自在に嵌装して一対のリヤスライドステー１
７，１７を設けてあり、スライデイングルーフ後
部４をチルトアツプ状態とした時、端部をフロン
トスライドステー１１に接続した駆動ケーブルの
前後移動によりスライデイングルーフ２は、前記
フロントスライドステー１１及びリヤスライドス
テー１７を介し後部ルーフ５上への移動及びルー
フ開口部３への復帰動を自在としてある。

前記ルーフ開口部３両側寄りで後部ルーフ５の
下方に位置する前記フレーム部材１３上には、第
１図及び第５図で示すように、フレーム側サブガ
イドレール１６の軸線と軸線を合致させ、該ガイ
ドレール１６の後方に左右一対のチルトアツプ装
置２１，２１を配設してある。

前記チルトアツプ装置２１は、第６図び第７図
で示すようにフレーム部材１３の固定される外枠
部材２２と、該外枠部材２２の内側に固設される
内枠部材２３と、適宜駆動手段により前後動され
る駆動レバー２４と、該駆動レバー２４の前後動
により上下揺動するチルトアツプレバー２５等か
らなる。

前記外枠部材２２は、フレーム部材１３にボル
ト３１，３１を介して取付ける基板部３２，３
２，３２と、該基板部３２，３２，３２内端を上
方に起立し平面視コ字状を呈するよう形成した左
右の側板部３３，３３及び後側板部３４とからな
り、開放部３５をルーフ開口部３に向け且つ左右
の側板部３３，３３の前縁を後部ルーフ５前縁下
方に位置するよう設けてある。

前記左右の側板部３３，３３には、フレーム部
材１３に略平行する所定長さの長孔３６，３６を
それぞれ左右軸心に合致させて形成してあり、側
板部３３，３３の後部上端間には支軸３７を固設
してある。

前記外枠部材２２の内側には内枠部材２３を固
設してある。

前記内枠部材２３は平面視コ字状を呈する左右
の側板部４１，４１と後側板部４２とからなり、
左右の側板部４１，４１を前記外枠部材２２の側
板部３３，３３の内方へそれぞれ間隔をおいて固
設したもので、開放部４３をルーフ開口部３に向
け且つ側板部４１，４１の前縁を後部ルーフ５前
縁下方に位置するよう設けてある。

前記左右の側板部４１，４１には、第８図で示
すように外枠部材２２に形成した長孔３６，３６
と合致するよう長孔４４，４４を形成してあり、
該長孔４４，４４の前部には前方斜め上方へ開口
する傾斜溝４５，４５をそれぞれ形成してある。

前記外枠部材２２の後側板部３４と内枠部材２
３の後側板部４２には、それぞれ窓４６，４７が
欠設され、該窓４６，４７を挿通して前記駆動レ
バー２４を設けてある。

前記駆動レバー２４の前端部には、回転自在に
ガイドピン５１を設けてあり、該ガイドピン５１
の両側部をそれぞれ外枠部材２２の長孔３６，３
６び内枠部材２３の長孔４４，４４に摺動自在に
嵌装してある。

また前記内枠部材２３の左右側板部４１，４１
の内側には、側面視略三角形状を呈する中間リン
ク５２を設けてある。

前記中間リンク５２は脚部５３，５３をガイド
ピン５１の両側部に枢支してあり、ガイドピン５
１の前方位置には回転自在にサブガイドピン５４
を設け、該サブガイドピン５４の両側部を内枠部
材２３の長孔４４，４４に摺動自在に嵌装し、サ
ブガイドピン５４の上方にはチルトピン５５を回
転自在に設けてある。

前記支軸３７には、基部を数着してチルトアツ
プレバー２５を設けてある。

前記チルトアツプレバー２５の平面視コ字状を
呈し、ルーフ開口部３側へ延出する腕部６１，６
１を中間リンク５２の外方で且つ側板部４１，４
１の内方へ位置せしめ、腕部６１，６１の前部を
後部ルーフ５下方からルーフ開口部３側へ露出さ
せ、先端部と前記フレーム側サブガイドレール１
６後端とを支軸６２を介して枢着してあり、従つ
て実施例ではチルトアツプレバー２５はチルトア
ツプ装置２１とガイドレール１６間の連動手段を
構成し、腕部６１，６１の中間部には前記長孔３
６と所定角度をなし所定長さの長孔６３，６３を
形成してあり、該長孔６３，６３には前記チルト
ピン５５の両側部を摺動自在に嵌装してある。

かかるチルトアツプ装置２１は、駆動レバー２
４の後限位置では、第７図ａに示すようにガイド
ピン５１は長孔３６の後端寄りに、サブガイドピ
ン５４は長孔４４の中間部に位置して中間リンク
５２の前後動及び回動を規制し、チルトピン５５
は長孔６３の後端に臨みチルトアツプレバー２５
先端部を下方に揺動して、フレーム側サブガイド
レール１６、リヤスライドステー１７を介してス
ライデイングルーフ２でルーフ開口部３を閉塞す
るよう形成してある。

駆動レバー２４を前記後限位置から前進させる
とガイドピン５１は長孔３６に、サブガイドピン
５４は長孔４４にそれぞれ摺動案内されて中間リ
ンク５２は回転することなく前進し、中間リンク
５２の前進と一体に前進するチルトピン５５は長
孔６３を摺動しつつチルトアツプレバー２５を
徐々に上方へ揺動せしめ、フレーム側サブガイド
レール１６後端を上昇させリヤスライドステー１
７を介しスライデイングルーフ後部４を上方へ揺
動するよう形成してある。

次いで、さらに駆動レバー２４を前進させる
と、第７図ｂに示すようにガイドピン５１は長孔
３６の中間部に、サブガイドピン５４は傾斜溝４
５の下部に、チルトピン５５は長孔６３の前端に
臨み、この状態から駆動レバー２４を前進させる
と、チルトピン５５を長孔６３の前端に位置させ
つつ中間リンク５２はガイドピン５１を中心とし
て上方へ回動しサブガイドピン５４は傾斜溝４５
の上方へと移動していき、中間リンク５２の上方
回動に伴うチルトピン５５の上方移動によりチル
トアツプレバー２５を上方へ揺動し、やがて駆動
レバー２４の前限位置では、第７図ｃに示すよう
にガイドピン５１は長孔３６の前端に、サブガイ
ドピン５４は傾斜溝４５の上方に、チルトピン５
５は長孔６３の前端にそれぞれ臨み、チルトアツ
プレバー２５を上限位置とし、フレーム側サブガ
イドレール１６後端を上方へ揺動し、リヤスライ
ドステー１７を介してスライデイングルーフ後部
４を上方へ揺動し、スライデイングルーフのチル
トアツプ状態を形成する。

スライデイングルーフチルトアツプ状態におい
ては第７図ｃに示すようにチルトピン５５とガイ
ドピン５１とは長孔３６の軸線に対して僅かに鋭
角θをなし、スライデイングルーフ２の自重等チ
ルトアツプレバー２５の受ける外力をチルトピン
５５と長孔６３の前縁部、ガイドピン５１と長孔
３６の前縁部で吸収するよう形成してある。

また駆動レバー２４の前限位置から後限位置へ
の移動時にも中間リンク５２は前記と逆の態様で
作動し、チルトアツプレバー２５へ下方へ揺動せ
しめる。

本実施例は前記のように構成し、ガイドレール
１４，１６の後方にずらしてチルトアツプ装置２
１を設けたので、チルトアツプ装置２１は各種ガ
イドレール１２，１４，１６、各種ステー１１，
１７の占める上下スペース内に収容し得、チルト
アツプ装置２１を備えるにも拘らずスライデイン
グルーフ装置全体の高さを小とし、車室内スペー
スを大きく確保することができる。

また、チルトアツプ装置２１の本体部分が後部
ルーフ５下方に位置し、スライデイングルーフ開
放時に該機構２１が外部に露出しない構成となつ
ているため、チルトアツプ装置２１を雨水の影響
等から有効に保護でき、耐久性、作動確実性を向
上させるとともに、スペースをより一層有効に利
用することができる。

更に、実施例においては、ルーフ開口部２内部
に、上下動するチルトアツプレバー２５，２５の
前部を位置させるようにしたのでかかる上下運動
量を大きくすることも可能であり、また、チルト
アツプ装置２１，２１の配設によりルーフ開口部
３内に設けられる複数対のガイドレール１２，１
２，１６、各種ステー１１，１７の総幅W₁以上
のスペースを必要とすることもなく、従つて開口
部幅W₂、開口部長さW₃を大とし得、スライデイ
ングルーフ開放時におけるルーフ開口面積を大な
らしめることができる。

（発明の効果） 以上の説明で明らかなように本発明によれば、
車両用摺動式屋根構造において、車体側ガイドレ
ールとチルトアツプ機構とを前後に配設するとと
もに、チルトアツプ機構を車体ルーフ下方に設け
たため、摺動式屋根構造全体の幅を小とすること
ができ、従つて開口の面積を車幅方向に大きくす
ることができ、更にチルトアツプ機構を雨水の影
響等から有効に保護して該機構の耐久性及び作動
確実性を向上させることができる。

また前記チルトアツプ機構を、車体側に取付け
られる枠部材、この枠部材に上下揺動自在に支持
されるチルトアツプレバー及び駆動部材の水平動
を上下動に変換して前記チルトアツプレバーに伝
達する中間リンクにて構成し、前記チルトアツプ
レバーは先端を前記開口内に臨ませるとともに当
該先端を前記フレーム側ガイドレールの後端に枢
着し、また前記中間リンクの枠部材に対しピン及
び長孔を介して支持し、この中間リンクの一端に
は駆動部材の先端を取付け、他端にはピン及び長
孔を介して前記チルトアツプレバーを連結せしめ
たので、簡単な機構で且つ確実に駆動部材の水平
動を上下動に変換してチルトアツプレバーに伝達
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
は本発明に係るチルトアツプ装置を備えたスライ
デイングルーフ装置の要部切欠き平面図、第２図
は同側面図、第３図は同・スライデイングルーフ
後部チルトアツプ状態における側面図、第４図は
同・スライデイングルーフ開放時における側面
図、第５図はチルトアツプ装置の配置を示す平面
図、第６図はチルトアツプ装置の要部断面平面
図、第７図ａ，ｂ，ｃは同作動状態を示す側面
図、第８図は内枠部材の側面図である。 尚図面中２はスライデイングルーフ、３はルー
フ開口部、５は後部ルーフ、１２はルーフ側ガイ
ドレール、１４はメインガイドレール、１６はフ
レーム側サブガイドレール、１７はリヤスライド
ステー、２１はチルトアツプ装置である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車体ルーフ１に形成した開口３と、 前記開口の開閉を自在とした開閉体２と、 前記開口の両側に配設され、前記開閉体のルー
   フ上への開閉動を案内するフレーム側ガイドレー
   ル１６と、 前記フレーム側ガイドレール後部をチルトアツ
   プするチルトアツプ機構２１とを備え、 前記開閉体は後部をチルトアツプした状態で後
   方へ案内されて前記開口を開放する車両用摺動式
   屋根構造であつて、 前記チルトアツプ機構は前記フレーム側ガイド
   レール１６の後方、且つ前記車体ルーフ１下方に
   固設されるとともに、車体側に取付けられる枠部
   材２２，２３、この枠部材に上下揺動自在に支持
   されるチルトアツプレバー２５及び駆動部材２４
   の水平動を上下動に変換して前記チルトアツプレ
   バーに伝達する中間リンク５２を備え、 前記チルトアツプレバー２５は先端を前記開口
   ３内に臨ませるとともに当該先端を前記フレーム
   側ガイドレール１６の後端に枢着し、 前記中間リンク５２は枠部材に対しピン５４及
   び長孔３６を介して支持され、この中間リンクの
   一端には駆動部材２４の先端が取付けられ、他端
   にはピン５５及び長孔６３を介して前記チルトア
   ツプレバー２５が連結していることを特徴とする
   車両用摺動式屋根構造。