JPH0327880B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は帯電防止処理を施したＸ線螢光増感紙
に関するものである。 Ｘ線、γ線等放射線による写真撮影において
は、少ない線量の放射線で充分な濃度の写真を得
るため、写真フイルムに放射線増感紙（以下「増
感紙」と記す）を密着させて撮影することが普通
行なわれている。例えば、Ｘ線写真撮影の場合に
は、両面に写真乳剤を塗布したＸ線写真フイルム
の両側に、螢光体を塗布したシート状の増感紙を
それぞれ密着させ、フイルムをこれら２枚の増感
紙間に挾持した状態で撮影するのが普通である。
これによつてＸ線をフイルム表面で可視光に変換
せしめ、Ｘ線写真フイルムの黒化能力を20〜200
倍に高め、少ない曝射量で濃度の高いＸ線写真を
得ている。 この増感紙は、0.2−0.5mm厚の上質の樹脂加工
紙もしくはポリエステル樹脂シート、ポリスチレ
ン樹脂シート等の樹脂シートからなる支持体の上
に螢光体層を設けたもの、あるいはこの上にさら
に耐久性を高めるために10μ厚程度の透明な保護
層を設けたものが通常使用される。 螢光体層には、自己付活タングステン酸カルシ
ウム螢光体（CaWO₄）、銀付活硫化亜鉛螢光体
（ZnS：Ag）、鉛付活硫酸バリウム螢光体
（BaSO₄：Pb）、稀土類付活稀土類酸硫化物螢光
体（例えばGd₂、O₂S：Tb）、稀土類付活稀土類
酸ハロゲン化物螢光体（例えばLaOBr：Tb）等
の螢光体をニトロセルロース、ポリメタアクリル
樹脂等の高分子物質をバインダーに均一に分散さ
せて、均一に塗布したものが使用される。また保
護層には酢酸セルロース、ポリメチルメタアクリ
レートフイルム等が使用される。 放射線撮影を行なう際には、前述のように上記
のような増感紙をフイルムに密着させるが、これ
には通常カセツテと称して放射線写真フイルムを
２枚の増感紙で挾持した状態で保持する枠が使用
される。放射線写真の画質、特に鮮鋭度を高くす
るために、このカセツテには、増感紙をフイルム
に密着させる圧着手段が設けられている。したが
つて、撮影後現像処理のために、カセツテからフ
イルムを取り出す際、しばしば増感紙表面および
フイルム表面に静電気が発生し、放電現象を起こ
す。云うまでもなく、この放電現象は、現像後の
フイルムに写真黒化となつて現われ、放射線写真
の画質を著しく低下させる。（以下「スタチツク
マーク」と記す）。 特に、増感紙の支持体としてポリエステル、ポ
リスチレン等のプラスチツクシートを使用した場
合は静電気が発生しやすく、スタチツクマークが
起こりやすい。また、特にフイルムをカセツテに
装填、取出しをする暗室の環境のように、湿度の
低い場合は、この現象が起こりやすい。 本発明は、このような放射線写真撮影における
帯電現象による問題に対処し、スタチツクマーク
の発生を大幅に低減せしめる増感紙を提供するこ
とを目的とするものである。 本発明の目的は、蛍光体層と支持体とを有する
Ｘ線蛍光増感紙に、Sbを含むSnO₂の導電性微粒
子からなる帯電防止剤がバインダーに分散された
帯電防止層を存在させることにより達成された。
本発明の帯電防止層は、蛍光体層の上層あるいは
下層のように別層として、あるいは蛍光体層と一
体として存在させることができる。後者の場合、
帯電防止剤は、バインダーに分散された状態で蛍
光体層に存在することになる。 すなわち、本発明者は、Ｘ線蛍光増感紙に、
Sbを含むSnO₂の導電性微粒子を導入することに
より、低湿度でも帯電性が低減したＸ線蛍光増感
紙が得られることを見い出し、本発明に到達した
ものである。 特公昭35−6616号には、酸化第二錫を帯電防止
処理剤として用いる技術について記載されている
が、かかる技術は無定形の酸化第二錫コロイドを
用いるものであり、その導電性は湿度依存性があ
り、低湿度下では導電層の機能を十分果さない。 本発明に使用されるSbを含むSnO₂の導電性微
粒子は、その体積比抵抗が10⁷Ω−cm以下、より
好ましくは、10⁵Ω−cm以下である。 本発明におけるSbを含むSnO₂の導電性微粒子
の粒子サイズは0.01〜5.0μ、好ましくは0.02〜
3.0μの粒子である。 本発明に使用する導電性のSb（異種原子）を含
むSnO₂（金属酸化物）の導電性微粒子の微粒子の
製造方法については、特願昭55−47663号明細書
に詳細に記載されているが、第１に金属酸化物微
粒子を焼成により作製し、導電性を向上させる異
種原子の存在下で熱処理する方法、第２に焼成に
より、金属酸化物微粒子を製造するときに導電性
を向上させる為の異種原子を共存させる方法、第
３に焼成により金属微粒子を製造する際に雰囲気
中の酸素濃度を下げて、酸素欠陥を導入する方法
等がある。 異種原子としてのSb添加量は、0.01〜30mol％
の範囲が好ましいが、0.1〜10mol％であれば特
に好ましい。 導電性微粒子をバインダー中に分散して、Ｘ線
螢光増感紙のいずれか一層に設ければよい。 バインダーとしては、酢酸セルロース、ポリメ
チルメタアクリレート等が使用される。 導電性微粒子とバインダーの比は、体積比で、
４／１から１／３が好ましく、更に好ましくは
３／１〜１／２である。しかしこの範囲は、バイ
ンダーの種類、組成、導電性微粒子のサイズによ
つて異なつてくるのはもちろんのことである。 本発明に於て、導電性微粒子を含有する層は、
螢光体層そのものでもよく、支持体と螢光体層の
間、螢光体層と保護層の間でもよく、又は表面保
護層中に導電性微粒子を含有せしめてもよい。 導電性微粒子の塗布量は１平方メートル当り
0.05〜10.0ｇ、好ましくは0.1〜5.0ｇである。 実施例 １ 塩化第二スズ水和物65重量部と三塩化アンチモ
ン1.5重量部をエタノール1000重量部に溶解し均
一溶液を得た。この溶液に1N水酸化ナトリウム
水溶液を前記溶液のPHが３になるまで、滴下して
コロイド状酸化第二スズと酸化アンチモンの共沈
澱を得た。得られた共沈澱を50℃に24時間放置し
赤褐色のコロイド状沈澱を得た。 赤褐色コロイド状沈澱を遠心分離により分離し
た。過剰なイオンを除くため沈澱に水を加え遠心
分離によつて水洗した。この操作を３回繰り返し
過剰イオンを除去した。 過剰イオンを除去したコロイド状沈澱100重量
部を水900重量部に再分散し、600℃に加熱された
焼成炉に噴霧し、青味がかつた平均粒径0.2μの微
粉末を得た。 この混合物１ｇを内径1.6cmの絶縁性シリンダ
ーに入れ、上下より、ステンレス電極で1000Kg／
cm²の圧力で加圧しながら、粉末の体積比抵抗を測
定したら8Ω−cmであつた。 上記粉末を使用し、次の組成の液をボールミル
で分散した。 上記粉末 150部（重量） ポリウレタン樹脂バインダー 30部 メチルエチルケトン 450部 トルエン 550部 上記分散液を0.25mm厚のポリエチレンテレフタ
レートシートの片面に、乾燥後0.01mm厚になるよ
うに、塗布し、溶剤を乾燥させた。 次に、このようにして形成された金属酸化物層
の上に、硝化綿樹脂を酢酸ブチル、酢酸エチル、
アセトンの混合溶剤に溶解した結合剤樹脂中に該
結合剤樹脂１に対して８の割合でテレビウムで付
活したガドリニウムオキシサルフアイド螢光体を
混合分散せしめたものを、乾燥後100mg／cm²にな
るようにロールコーターで塗布し、乾燥した。 さらに、このようにして形成された螢光体層の
上に、酢酸セルロースをアセトンに溶解し、乾燥
後10μ厚になるように塗布し、乾燥した。 このようにして作成した本発明による増感紙を
金属酸化物層を設けない従来の増感紙と比較して
スタチツクマーク発生試験を行なつた結果を下表
に示す。 尚、スタチツクマーク発生試験は、増感紙の面
に未露光Ｘレイフイルムを挾み、ゴムローラーで
こすり、次いで、このレントゲンフイルムを増感
紙より、取り出し現像後、スタチツクマークの発
生を調べた。

【表】 上表のように、得られた螢光増感紙は、すぐれ
た帯電防止性を示した。 実施例 ２ 実施例１の粉末 150部（重量） 酢酸セルロース 25部 アセトン 1000部 前記分散液を、0.25mm厚のポリエチレンテレフ
タレートシートの片面に螢光体層を実施例１と同
様に設けた上に、乾燥後0.005mm厚になるように
塗布し、溶剤を乾燥させた。 このようにして得られた増感紙を実施例１と同
様の試験と表面抵抗率を測定した。

【表】 上表の如く、得られた螢光増感紙は、すぐれた
帯電防止性を示した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 蛍光体層と支持体とを有し、Sbを含むSnO₂
   の導電性微粒子からなる帯電防止剤がバインダー
   に分散された帯電防止層が存在することを特徴と
   するＸ線蛍光増感紙。 ２ SnO₂中に含まれるSbの量が0.01〜30mol％
   の範囲にある特許請求の範囲第１項記載のＸ線蛍
   光増感紙。 ３ Sbを含むSnO₂の導電性微粒子を含有する帯
   電防止層が、蛍光体層と支持体層の間に別層とし
   て設けられている特許請求の範囲第１項記載のＸ
   線蛍光増感紙。