JPH0327792Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、印刷機における版の天地調整装置
に関するものである。

〔従来の技術〕

第８図に示すように、上下に配置した一対のブ
ランケツト胴８０，８１のそれぞれに版胴８３，
８４を接触し、上段側ブランケツト胴８０に設け
たチエンホイールにかけ渡したチエンデリバリ８
５に枚葉紙のくわえ爪８６を取付け、給紙部８７
から供給される枚葉紙Ｓの先端部を上記くわえ爪
８６で挟持し、その枚葉紙Ｓを一対のブランケツ
ト胴８０，８１間に通して両面に印刷を施すよう
にした両面印刷機は従来から存在する。

上記のような印刷機に限らず、各種の印刷機に
おいて印刷を行なう場合、通常、版胴に版をセツ
トしたのち、その版の位置を調整することがなさ
れている。

上記調整には、天地調整（周方向の調整）、左
右調整およびねじれ調整整の三つの調整があり、
それらの調整のうち、天地調整は、版胴を回転
し、ブランケツト胴に対して位相を変えるように
している。

天地調整装置の従来の技術として、例えば、特
開昭59−123665号公報に示されるように、天地修
正モータによつて版胴駆動装置を作動させるよう
にしたものがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のように、モータを用いる天地調整装置に
おいては、印刷機が大型化し、小型化を図る印刷
機において問題となり、またコストも高くつくと
いう不都合がある。

そこで、この考案は上記の不都合を解消し、ブ
ランケツト胴の回転を利用して版の天地調整が行
なえるようにした小型で経済的な天地調整装置を
提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、この考案は、回転
可能に支持されたブランケツト胴のブランケツト
軸に版胴ギヤと係合する位相調整ギヤを回転可能
に嵌合し、上記ブランケツト軸に嵌合されて一体
に回転するギヤ支持板の筒部の外側に外周の歯の
向きを逆向きとして互に結合した一対のラチエツ
トホイールと、各ラチエツトホイールに対して係
合可能な一対の爪を支持する爪支持板とをそれぞ
れ回転可能に嵌合し、上記爪支持板でラチエツト
ホイールの回転を位相調整ギヤに伝達するギヤ伝
達機構を支持し、前記一対の爪の後端部をその外
側に嵌合した爪偏向板の円形孔の内周に圧接させ
るスプリングを設け、上記爪偏向板の外周一部を
印刷機のサイドフレームで回動可能に支持し、そ
の爪偏向板を二方向に偏向する一対のソレノイド
を設け、前記ブランケツト軸の回転を爪支持板の
設定角度の正逆回転運動に変換する回転変換機構
を設けた構成としたものである。

〔作用〕

上記の構成から成る天地調整装置において、一
対のソレノイドのうち、一方のソレノイドを作動
して爪偏向板を偏向すると、その爪偏向板に設け
た円形孔がブランケツト軸の軸芯に対して偏心す
るため、ブランケツト軸を回転した場合に、上記
円形孔の内面によつて端部のローラが案内される
一対の爪はそれと対応するラチエツトホイールに
対して係合・離脱する。

また、ブランケツト軸を回転すると、そのブラ
ンケツト軸の外側に嵌合支持されている各部品が
ブランケツト軸と共に回転し、その回転中におい
て、回転運動変換機構の作用により爪支持板がブ
ランケツト軸に対して設定角度正逆方向に回転す
る。

このため、爪支持板を一方向に偏向させてブラ
ンケツト軸を回転すると、円形孔の偏心方向にお
いて一対の爪が対応するラチエツトホイールと係
合し、その係合状態において爪支持板が一方向に
設定角度回転する。したがつて、ラチエツトホイ
ールは一方向に回転し、その回転はギヤ伝達機構
を介して位相調整ギヤに伝達されるため、そのギ
ヤと噛合する版胴ギヤが回転し、版胴に支持され
ている版を天地方向に調整することができる。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第１図および第２図に示すように、ブランケツ
ト胴１のブランケツト軸２はサイドフレーム３に
よつて回動可能に支持され、そのブランケツト胴
１の端面にスプロケツトホイール４が固定されて
いる。このスプロケツトホイール４は、図示では
省略したがブランケツト胴１の両端面に固定さ
れ、その各スプロケツトホイール４にかけられる
一対のエンドレスチエン５間には第６図および第
７図に示すように、版のくわえ機構１０が取付け
られ、そのくわえ機構１０は、エンドレスチエン
５の移動によつて、ブランケツト胴１の外周一部
に形成した開口６内に嵌り込むようになつてい
る。

ここで、くわえ機構１０は、一対のエンドレス
チエン５間に渡したアンビル１１の両端部に支持
片１２を設け、その支持片１２間に渡した支持軸
１３にくわえ爪１４の端部を固定してある。この
くわえ爪１４は、ブランケツト胴１の端部に設け
たカム機構２０により支持軸１３を中心に回動し
てアンビル１１から先端部が離反し、上記支持軸
１３の外側に嵌め合わせたスプリング１５よつて
上記の逆方向に回転し、その先端部がアンビル１
１に押し付けられる。

なお、カム機構２０は、第１図および第６図に
示すように、ブランケツト胴１の端板外周部に軸
２１を回転可能に取付け、その軸２１の一端に設
けたアーム２２の端部のローラ２３をサイドフレ
ーム３の内面に取付けた爪開閉カム２４に接触
し、上記軸２１の他端に設けたアーム２５の先端
部と上記支持軸１３の端部に固定したローラアー
ム２６の端部のローラ２７とを互に接触させてあ
る。

前記ブランケツト胴１とサイドフレーム３との
間におけるブランケツト軸２の外側には第１図に
示すように、位相調整ギヤ３０が回転可能に嵌合
され、その位相調整ギヤ３０を回転すると、これ
に噛合する版胴ギヤ３１と共に版胴（第８図の符
号８３で示す）が回転し、その外側にセツトした
版の天地調整を行なうことができる。

また、ブランケツト軸２の外側には、円形のギ
ヤ支持板３２が嵌合されてブランケツト軸２と一
体に回転するようになつており、そのギヤ支持板
３２の筒部３３の外側に一対の互に結合されたラ
チエツトホイール３４，３５と、円形の爪支持板
３６とがそれぞれ回転可能に嵌合されている。

一対のラチエツトホイール３４，３５の外周の
歯３７は、第３図に示すように逆向きとなり、上
記筒部３３に対するラチエツトホイール３４，３
５の回転は、上記ギヤ支持板３２に支持されたギ
ヤ伝達機構４０を介して前記位相調整ギヤ３０に
伝達される。

ここで、ギヤ伝達機構４０は、第１図および第
４図に示すように、ラチエツトホイール３５の背
部に固定したギヤ４１とギヤ支持板３２の外周部
に支持された伝動ギヤ４２とを噛合し、その伝動
ギヤ４２の回転をウオーム４３−ウオームホイー
ル４４を介してギヤ支持板３２の背部に回転可能
に支持された伝動軸４５に伝え、その伝動軸４５
の回転を同軸４５に固定したウオーム４６から位
相調整ギヤ３０に取付けたウオームホイール４７
に伝えるようにしてある。

前記爪支持板３６の背面には、第２図に示すよ
うに上記ラチエツトホイール３４，３５に対して
係脱可能な一対の爪４８，４９の中央部が回動可
能に支持されこれらの各爪４８，４９は図示省略
されたスプリングにより一方向に偏向されて端部
に取付けたローラ５０がその外側に嵌合した爪偏
向板５１の円形孔５２の内周に圧接されている。

爪偏向板５１の下部は、サイドフレーム３から
延びる支持軸５３によつて回動可能に支持され、
その支持軸５３をはさむ両側部に一対のソレノイ
ド５４，５５が取付けられ、各ソレノイド５４，
５５のプランジヤ５６が上記支持軸５３に固定さ
れた支持片５７に連結されている。

また、爪偏向板５１の支持軸５３をはさむ両側
部には一対のピン５８が設けられ、その各ピン５
７にロツド５９，５９の一端部に形成した長孔６
０を嵌合し、各ロツド５９の他端部を上記支持片
５７に回転可能に取付けた突片６１でスライド可
能に支持してある。また、各ロツドド５８，５８
の外側にスプリング６２を嵌合し、そのスプリン
グ６２によつて爪偏向板５１の円形孔５２をブラ
ンケツト軸２の軸芯に対してほぼ同芯に支持し、
各爪４８，４９を対応するラチエツトホイール３
４，３５に対して非係合の位置に保持している。

上記の爪偏向板５１は、ブランケツト軸２が回
転することにより、回転運動変換機構７０の作用
によつて設定角度正逆回転する。この回転運動変
換機構７０は、第１図および第２図に示すよう
に、ブランケツト軸２の端部に駆動アーム７１を
取付け、その駆動アーム７１の端部に中途が連結
されたローラアーム７２の一端部と前記爪支持板
３６の外周一部とをリンク７３で連結し、ローラ
アーム７２の他端部に取付けたローラ７４を上記
ブランケツト軸２の端部側方に配置したカム板７
５の円形カム溝７６に嵌合してある。

ここで、カム板７５は、サイドフレーム３等で
支持して固定の配置とされ、そのカム板７５の円
形カム溝７６は、ブランケツト軸２の軸芯に対し
て偏心している。

実施例で示す版の天地調整装置は上記の構造か
ら成り、版胴にセツトされた版の天地調整に際し
ては、版の天地調整方向に応じてソレノイド５
４，５５のうち一方に通電し、それよりブランケ
ツト軸２を回転させるようにする。

いま、爪偏向板５１に支持された一対のソレノ
イド５４，５５のうち、例えば第２図に示す右側
のソレノイド５５に通電してプランジヤ５６を励
磁すると、固定されたプランジヤ５６に対してソ
レノイド５５が移動するため、第３図に示すよう
に、支持軸５３を中心に爪偏向板５１が回動し、
円形孔５２がブランケツト軸２に対して偏心す
る。

上記円形孔５２の内周面には爪４８，４９のロ
ーラ５０が接触しているため、爪支持板３６が回
転すると、各爪４８，４９がそれと対応するラチ
エツトホイール３４，３５に対して係合および係
合解除する。

また、ブランケツト軸２を回転すると、そのブ
ランケツト軸２の外側に嵌合支持されている各部
品が、ブランケツト軸２と共に回転する。その回
転時、ローラアーム７２のローラ７４は、ブラン
ケツト軸２の軸芯に対して偏心する円形カム溝７
６に沿つて移動するため、ローラアーム７２は、
ブランケツト軸２の軸芯を中心として回転し乍
ら、駆動アーム７１に対する連結部を中心に設定
角度回動し、そのローラアーム７２の回転によつ
て、爪支持板３６がブランケツト軸２と共に回転
しながら、ギヤ支持板３２の筒部３３を中心に設
定角度正逆方向に回転する。

そこで、ソレノイド５４，５５のうち、一方の
ソレノイド５５に通電し、その状態でブランケツ
ト軸２を回転すると、爪４８がそれと対応するラ
チエツトホイール３４に係合するとき、回転変換
機構７０の作用により、爪支持板３６が第３図の
矢印方向に設定角度回転し、ラチエツトホイール
３４が回転する。このラチエツトホイール３４の
回転はギヤ伝達機構４０を介して位相調整ギヤ３
０に伝達されるため、これに噛合する版胴ギヤ３
１が回転し、版胴の外側にセツトされた版の天地
調整を行なうことができる。

なお、ブランケツト軸２の回転時に、ソレノイ
ド５４に通電すると、爪偏向板５１が上記の逆方
向に傾むき、爪４９とラチエツトホイール３５の
係合状態において爪支持板３６が第３図の矢印方
向と逆方向に設定角度回動するため、ラチエツト
ホイール３５が逆転し、版胴の版を上記の逆方向
に天地調整することができる。

第９図に示すように、版胴の外側にセツトする
版Ａの先端部にレジスタマークＢを設け、所定の
基準位置Ｘ−ＸからそのレジスタマークＢまでの
距離ｌを計測し、その計測値と予め設定された設
定値とを比較することによつて、版Ａの天地調整
量をを知ることができる。

そこで、版胴と同期して回転する部分に基準位
置検出機構を設け、その基準位置検出機構からの
検出信号と基準パルス発生器からの信号とを計数
カウンタに入力してパルス数の計数を開始し、一
方版胴の周りにはレジスタマークＢを検出する検
出器を設け、その検出器からの信号を前記計数カ
ウンタに入力して計数をストツプさせる。そし
て、計数カウンタからの信号と、設定器からの設
定信号とを比較・演算部に入力し、その比較・演
算部からの信号によつてソレノイド５４，５４を
制御することにすれば、版の天地調整を自動的に
行なうことができる。

なお、ブランケツト胴の両端部にこの考案に係
る天地調整装置を設けることによつて、第８図に
示す下段の版胴の版も同時に天地調整することが
できる。

〔効果〕

以上のように、この考案によれば、ブランケツ
ト軸の回転を爪支持板の設定角度の正逆回転運動
に変換する回転運動変換機構を設け、その爪支持
板に支持された爪とラチエツトホイールの係合に
より上記ラチエツトホイールを回転し、そのラチ
エツトホイールの回転をギヤ伝動機構をを介して
位相調整ギヤに伝えてこれに噛合する版胴ギヤを
回転させるようにしたので、ブランケツト軸の回
転によつて版の天地調整を行なうことができると
共に、モータによつて天地調整を行なうようにし
たものに比較して全体を小型化することができ、
コストの安い調整装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係る天地調整装置の一実
施例を示す横断平面図、第２図は同上の側面図、
第３図は第２図の作動状態を示す一部切欠側面
図、第４図は同上のギヤ伝動機構を示す側面図、
第５図は第４図の−線に沿つた断面図、第６
図は同上のくわえ爪機構を示す断面図、第７図は
同上のくわえ爪を示す平面図、第８図は両面印刷
機の一実施例を示す概略図、第９図は版の天地調
整を自動的に行なわせる場合の説明図である。 １……ブランケツト胴、２……ブランケツト
軸、３０……位相調整ギヤ、３１……版胴ギヤ、
３２……ギヤ支持板、３３……筒部、３４，３５
……ラチエツトホイール、３６……爪支持板、４
０……ギヤ伝達機構、４８，４９……爪、５１…
…爪偏向板、５２……円形孔、５４，５５……ソ
レノイド、７０……回転運動変換機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 回転可能に支持されたブランケツト胴のブラ
   ンケツト軸に版胴ギヤと係合する位相調整ギヤ
   を回転可能に嵌合し、上記ブランケツト軸に嵌
   合されて一体に回転するギヤ支持板の筒部の外
   側に外周の歯の向きを逆向きとして互に結合し
   た一対のラチエツトホイールと、爪支持板とを
   それぞれ回転可能に嵌合し、この爪支持板で上
   記各ラチエツトホイールに対して係合可能な一
   対の爪の中央部と、ラチエツトホイールの回転
   を前記位相調整ギヤに伝達するギヤ伝達機構と
   をそれぞれ支持し、上記各爪の後端部をその外
   側に嵌合した爪偏向板の円形孔の内周に圧接さ
   せるスプリングを設け、上記爪偏向板の外周一
   部を印刷機のサイドフレームで回動可能に支持
   し、その爪偏向板を二方向に偏向する一対のソ
   レノイドを設け、前記ブランケツト軸の回転を
   爪支持板の設定角度の正逆回転運動に変換する
   回転変換機構を設けた印刷機におる版の天地調
   整装置。 (2) 前記回転変換機構は、ブランケツト軸の端部
   に駆動アームを固定し、その駆動アームの端部
   に中途が連結されたローラアームの一端部と前
   記爪支持板の外周部とをリングで連結し、その
   ローラアームに他端部に設けたローラの移動を
   案内する固定配置の円形カムを前記ブランケツ
   ト軸の軸芯に対して偏心させた実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の印刷機における版の天地
   調整装置。