JPH0327478Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はシートバツクリクライニング調節やシ
ートクツシヨンバーチカル調節等のシート調節機
構を備えた車両用シートに関する。

［従来の技術］ 車両用シート、殊に自動者の前部シートには、
シートバツクリクライニング調節やシートクツシ
ヨンバーチカル調節等のシート調節機構を備えた
ものが知られている。これら調節機構の調節操作
は、シートから突出したレバー型やダイヤル型の
ハンドルによつてなされる。このうち、ダイヤル
型ハンドルは、調節が無段階で可能な機構に採用
されることが多い。

ところで、ダイヤル型ハンドルによつて操作さ
れる調節機構の場合、このダイヤル型ハンドルが
シートベルト装置の乗員拘束用ウエビングと干渉
する位置に配設されていると、このハンドルと、
機構部分を隠蔽するカバーとの間隙へ前記ウエビ
ングが深く進入すると云う不具合が生じる。

そこで、実開昭59−141847号公報で開示された
技術では、第３図に示されるような車両用リクラ
イニング装置を提案している。即ちこの装置で
は、機構部分を隠蔽するカバー５０には、ハンド
ル５２の周側面を取り囲むようにして立壁５４が
形成されている。

しかしながら、この装置のハンドル５２では、
把持可能な部分が図示の範囲Ａとなるため、ハン
ドル５２の操作性が劣化すると云う弱点がある。
この弱点を解消するため、第３図に１点鎖線で示
されるようにハンドル５２の厚さを増して、範囲
Ｂを把持可能とすると、シートの外方側に位置す
る車両構造物とハンドル５２との間に充分な隙間
を確保することができなくなることが多い。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は上記事実を考慮して、ダイヤル型ハン
ドルとカバー部材との間隙へ乗員拘束用ウエビン
グが深く進入することがなく、かつ厚さを増すこ
となくダイヤル型ハンドルの操作性を向上させる
ことができる調節機構を備えた車両用シートを得
ることが目的である。

［問題点を解決するための手段］ 本考案に係る調節機構を備えた車両用シートで
は、ダイヤル型ハンドルには裏面側に周方向に沿
つて凹溝が形成されるとともに、該ダイヤル型ハ
ンドルの裏面側に対向位置してシートに配設され
てシート調節機構の機構部分を隠蔽するカバー部
材には前記凹溝内に突入する立壁が配置される構
成となつている。

［作用］ 上記構成の調節機構を備えた車両用シートで
は、乗員拘束用ウエビングは立壁に阻止されて、
ダイヤル型ハンドルとカバー部材との間隙へ深く
進入することが防止される。

また、立壁はダイヤル型ハンドルに隠されるよ
うに位置していて、ダイヤル型ハンドル周側面の
把持可能範囲を狭めることがないので、厚さを増
加させずともダイヤル型ハンドルの操作性が向上
される。

［実施例］ 第１図及び第２図には本考案に係る調節機構を
備えた車両用シートの実施例が示されており、こ
の実施例では自動車の前席左側シートに適用され
ている。

第２図に示されるように、シート１０は互いに
分離されたシートクツシヨン１２とシートバツク
１４とを備えており、シートクツシヨン１２の裏
面に配設されたシートトラツク１６を介して、車
体前後方向へ位置調節可能に車体フロアへ取り付
けられる。シートクツシヨン１２とシートバツク
１４とは図示しないヒンジを介して結合されてお
り、図示しない調節機構及びブレーキ機構を備え
たリクライニング装置によつて、シートバツク１
４の角度調節が可能となつている。

リクライニング装置の機構部はシートクツシヨ
ン１２の左側面（車体幅方向外側面）に位置して
いるが、シートクツシヨン１２の左側面に配置さ
れたカバー部材であるシトサイドガーニツシユ１
８で見映え良く隠蔽されていて、視認されないよ
うになつている。

第１図に示されるように、前記シートサイドガ
ーニツシユ１８には透孔２０が形成されており、
この透孔２０を通つて、前記調節機構に連係され
たシヤフト２２と、シートクツシヨン１２の側面
から突出したダイヤル型ハンドル２４とが連結さ
れている。

ダイヤル型ハンドル２４は、ボス部２６にセレ
ーシヨン孔２８が形成されており、シヤフト２２
の先端に形成されたセレーシヨン軸３０と嵌合し
て同軸的に回動可能となつている。また、シヤフ
ト２２にはセレーシヨン軸３０の付根部に周方向
に沿つて凹溝３２が形成されており、この凹溝３
２に嵌り込んだスナツプリング３４を介して、ダ
イヤル型ハンドル２４の抜け出しが阻止されてい
る。ダイヤル型ハンドル２４には、円板部３６の
周縁部全周にシートサイドガーニツシユ１８へ向
つて延出する把手部３８が形成されている。

シートサイドガーニツシユ１８には、前記把手
部３８とボス部２６との間に形成される凹溝４０
に突入する立壁４２が形成されている。立壁４２
は第２図に示されるように円弧状とされていて、
装着状態の乗員拘束用ウエビング４４の中間部近
傍に位置している。

なお、シートベルト装置の乗員拘束用ウエビン
グ４４は、一端部が車体側壁の下部にアンカプレ
ート４６を介して係止され、中間部が車体側壁上
部に配設されたスリツプジヨイント（図示せず）
で折返し支持されて、他端部がアンカプレー４６
とスリツプジヨイントとの高さ方向中間位置で車
体側壁に配設された巻取装置（図示せず）に付勢
力で巻き取られるようになつている。また、アン
カプレート４６とスリツプジヨイントとの中間部
の乗員拘束用ウエビング４４には、乗員拘束用ウ
エビング長手方向に摺動可能にタングプレート
（図示せず）が係合されている。このタングプレ
ートは、シートクツシヨン１２の右側面（車体幅
方向内側面）に隣接して車体フロアに立設された
バツクル装置（図示せず）と係合可能となつてい
る。

次に本実施例の作用を説明する。

シート１０は、乗員の体格に応じて、シートト
ラツク１６によりシートクツシヨン１２が前後方
向に位置調節され、リクライニング装置によりシ
ートバツク１４の傾斜角が調節される。シートバ
ツク１４の傾斜角の調節は、ダイヤル型ハンドル
２４を回動することで調節機構を作動してなされ
る。ダイヤル型ハンドル２４の回動は、乗員が把
手部３８を把持して行なうが、把手部３８の周辺
には一切障害物が配置されていないので、把手部
３８の高さ方向全域が有効に活用される。従つ
て、ダイヤル型ハンドル２４の厚さを増加させる
ことなく良好を操作性を得ることができる。な
お、この時、シートサイドガーニツシユ１８に形
成された立壁４２は、ダイヤル型ハンドル２４と
干渉することはないので、ダイヤル型ハンドル２
４の回動を妨げることはない。

シート１０を調節後に乗員が乗員拘束用ウエビ
ング４４を装着すると、乗員拘束用ウエビング４
４はダイヤル型ハンドル２４と干渉する位置に取
り回されて、ダイヤル型ハンドル２４の裏面側に
進入する。しかしながら、ダイヤル型ハンドル２
４の裏面側には立壁４２が位置しており、この立
壁４２に阻止されて乗員拘束用ウエビング４４は
それ以上ダイヤル型ハンドル２４の中心方向へ向
つて進入することはない。従つて、例えば乗員拘
束用ウエビング４４の装着を解除した際に、乗員
拘束用ウエビング４４がダイヤル型ハンドル２４
に引掛つて、乗員拘束用ウエビング４４が格納位
置に至らないと云つた不具合等が生じることはな
い。

このように本実施例では、ダイヤル型ハンドル
２４には裏面側に凹溝４０が形成され、シートサ
イドガーニツシユ１８には凹溝４０へ突入する立
壁４２が形成されているので、ダイヤル型ハンド
ル２４とシートサイドガーニツシユ１８との間隙
へ乗員拘束用ウエビング４４が深く進入すること
がなく、かつ、ダイヤル型ハンドル２４の厚さを
増加させることなく良好な操作性を得ることがで
き、室内幅方向のスペースを犠性にすることが免
れる。

また、立壁４２はダイヤル型ハンドル２４に隠
蔽されるので、周辺意匠があつさりしたものとな
つて見映が向上され、ダイヤル型ハンドル２４の
直径方向の室内スペースも拡大されて、設計の自
由度が増大される。

また、ダイヤル型ハンドルは従来公知のもので
あつても、材料節減・重量軽減等の目的から裏面
側に凹溝が形成されているものが多く、このよう
なダイヤル型ハンドルを適用すれば新たなダイヤ
ル型ハンドルの生産設備を設ける必要がなく、本
考案を低コストで実施することができる。

なお、上記実施例では、立壁４２は円弧状とし
たが、円周状とする等、乗員拘束用ウエビングの
進入を阻止し、かつダイヤル型ハンドルの回動を
妨げない形状であれば、種々形状が適用可能であ
る。また、立壁はシートサイドカーニツシユと別
体で製作して、シートサイドガーニツシユに後か
ら固着する構造も可能である。

また、上記実施例ではリクライニング装置のダ
イヤル型ハンドル部に適用したが、シートクツシ
ヨンの上下調節をおこなうバーチカルアジヤスタ
等のダイヤル型ハンドル部に適用することも可能
である。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案に係る調節機構を備
えた車両用シートでは、ダイヤル型ハンドルには
裏面側に周方向に沿つて凹溝が形成されるととも
に、該ダイヤル型ハンドルの裏面側に対向位置し
てシートに配設されてシート調節機構の機構部分
を隠蔽するカバー部材には前記凹溝内に突入する
立壁が配置されているので、ダイヤル型ハンドル
とカバー部材との間隙へ乗員拘束用ウエビングが
深く進入することがなく、かつ厚さを増すことな
くダイヤル型ハンドルの操作性を向上させること
ができる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は自動車の前席左側シートに
適用された本考案に係る調節機構を備えた車両用
シートの実施例を示し、第１図は第２図の−
線矢視要部断面図、第２図はシート要部の側面
図、第３図は第１図に対応して示す従来例の要部
断面図である。 １０……シート、１２……シートクツシヨン、
１４……シートバツク、１８……シートサイドガ
ーニツシユ、２４……ダイヤル型ハンドル、３８
……把手部、４０……凹溝、４２……立壁、４４
……乗員拘束用ウエビング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 調節操作がシートから突出したダイヤル型ハン
   ドルを回動することでなされるシート調節機構を
   備えた車両用シートにおいて、前記ダイヤル型ハ
   ンドルには裏面側に周方向に沿つて凹溝が形成さ
   れるとともに、該ダイヤル型ハンドルの裏面側に
   対向位置してシートに配設されて前記シート調節
   機構の機構部分を隠蔽するカバー部材には前記凹
   溝内に突入する立壁が配置されることを特徴とす
   る調節機構を備えた車両用シート。