JPH0326269B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、住居用ビルデイングのバルコニーや
外廊下の手摺、屋上の棚等の支柱を取替える方法
に関するものである。

〔先行技術及びその解決すべき課題〕

前述のような手摺等の支柱として、例えばバル
コニーの外側壁など、建築物のコンクリートの上
方へ突出した突出部に支柱の基端部が埋設されて
固定されたものがあるが、このような支柱を模様
替や腐蝕等のために取替える必要が生ずる。この
場合に、従来、既設支柱をコンクリートの表面か
らある高さだけ残して切断し、この残された部分
に新設支柱を嵌めて両者をボルト、ナツト等の締
結部材で締結固定する方法が一般に用いられてい
る。しかし、この支柱取替方法では、既製支柱よ
りも太い新設支柱を用いなければならず、また支
柱の取付位置が特定されてしまうことから、注文
工事となり、規格品の支柱や支柱以外の手摺部材
等を用いることができず、高価となる。さらに既
設支柱の腐蝕はコンクリート表面部との接触部が
著しいことから、この部分が残された既設支柱に
新設支柱を固定することになり、強度上にも難点
がある。

そこで、一部ではコンクリートを壊わし、既設
支柱の全体を建築物側から取外して、新設支柱の
基端部を埋設、固定することも行われているが、
この取替方法はコンクリートを壊わして既設支柱
を取外す作業が困難であり、工事が高価となり、
また、建築物の他の部分との関係から施工不可能
な場合もある。とくにコンクリートの上方への突
出部の厚さが薄いと既設支柱が埋設された部分の
突出部を厚さ方向の全体にわたつて壊わすことに
なり、既設支柱の取外し作業が著しく困難にな
る。

〔本発明の開示〕

本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもの
で、既設支柱の太さや形状、位置に影響されずに
新規支柱を容易に固定でき、新設支柱を強固に固
定でき、しかも経済的にした、上下方向に段差が
あるコンクリートの突出部に設けられた手摺等の
支柱取替方法を提供することを目的としている。

この目的を達成するために、本発明による手摺
等の支柱取替方法は、上下方向に段差があるコン
クリートの上方への突出部に基端部が埋設、固定
された既設支柱を前記突出部の表面と平坦な位置
から切断し、既設支柱の切断部上をブラケツトの
上下方向に段差がある底板の上段部で覆つて前記
底板を前記コンクリートの表面に支持させ、この
コンクリートの前記突出部および突出部以外の部
分にそれぞれ形成した挿入孔にアンカーボルトを
挿入してこれらの挿入孔周囲のコンクリートに前
記アンカーボルトを固定し、これらのアンカーボ
ルトによつて前記ブラケツトの底板の上段部と下
段部をコンクリート表面上に固定し、この底板上
に固定した突起部に新設支柱を嵌合させて底板上
に支持させ、新設支柱を前記突起部に締結部材で
締結することを特徴としている。

以下、本発明をバルコニーの手摺の支柱に適用
した一実施例につき図面を参照して説明する。

第１図に示すように、既設支柱１は、バルコニ
ー２のコンクリート製の床２ｂから上方へ突出し
た外側壁２ａに埋設固定されているボツクス形の
埋金１ａに基端部が固定されている。

まず、既設支柱１を第１図Ａ−Ａ線に沿つて熔
断、金切鋸による切断等の適宜の方法で前記側壁
２ａの表面と平坦に切断する。

この工程の後に、第２図に示すように、側壁２
ａおよび床２ｂの既設支柱１近くに穿孔機等によ
つてアンカーボルトの挿入孔３ａ，３ｂを穿孔
し、挿入孔３ａ，３ｂを清掃した後、後述するよ
うに接着型アンカーボルト（商品名：ケミカルア
ンカー）８ａ，８ｂを挿入する。なお、挿入孔３
ａ，３ｂばブラケツト４の底板５に穿つた孔５
ａ，５ｂと対応するように配置する。

前記ブラケツト４は、第２図、第３図に示すよ
うに、段差を設けた鋼またはステンレス厚板の曲
げ加工品から構成された底板５の上段部５ｃの中
央部に底板と同材質の厚板からなる２枚の取付板
６ａを対向させて直立させ、取付板６ａの下端部
を底板５に溶接すると共に取付板６ａの上面にこ
れらと同材質で同じ厚さの上板６ｂを溶接して突
起部６を形成したものである。また、底板５は上
段部５ｃに孔５ａを、下段部５ｂに孔５ｂをそれ
ぞれ設けると共に、上段部５ａの反下段部５ｄ側
端部に位置決め用の係合部５ｅを下方に直角に折
曲げて形成し、上段部５ｃを下段部５ｄに対し、
床２ｂから突出する外側壁２ａの高さと対応する
ように、上方に配置したものである。

そして、ブラケツト４の底板５の上段部５ｃを
外側壁２ａ上に、下段部５ｄを床２ｂ上に支持す
ると共に、係合部５ｅを側壁２ａに外側から係合
させて底板５を位置決めする。上方から底板５の
孔５ａ，５ｂに通して接着型アンカーボルト８
ａ，８ｂを挿入孔３ａ，３ｂに挿入すると共に、
前記アンカーボルト８ａ，８ｂの液状の合成樹脂
剤９ａ，９ｂをほぼ筒状のアンカー本体８ｃ，８
ｄ外周面と挿入孔３ａ，３ｂ周囲のコンクリート
の間に流出させ、合成樹脂剤９ａ，９ｂを硬化さ
せることで、アンカー本体８ｃ，８ｄを挿入孔３
ａ，３ｂ周囲のコンクリートに接着固定して、ア
ンカー本体８ｃ，８ｄを側壁２ａ、床２ｂに植設
し、アンカー本体８ｃ，８ｄの上端部をコンクリ
ート上に突出させる。なお、この工程で、合成樹
脂剤９ａ，９ｂの一部を挿入孔３ａ，３ｂの周囲
のコンクリート中に浸込ませることが好ましく、
合成樹脂剤９ａ，９ｂの他の一部を挿入孔３ａ，
３ｂの上端開口から滲出させて側壁２ａ、床２ｂ
の表面と底板５の下面、およびアンカー本体８
ｃ，８ｄと底板５の孔５ａ，５ｂ周囲の少くとも
一方を接着固定するようにしてもよい。

また、この工程中において、底板５の下段部５
ｄを床２ｂ上にライナー７を介して支持すること
により底板５の上段部５ｃを傾斜した外側壁２ａ
表面上に水平に配置し、底板５の上段部５ｃで既
設支柱１の切断部上を覆う。

この工程の後に、アンカー本体８ｃ，８ｄの横
板５から突出した上端部に座金１０を介してナツ
ト１１を締付けることで、ブラケツト４の底板５
を側壁２ａ、床２ｂの表面上に固定する。

さらに、この工程の後に、新設支柱１２の基端
部をブラケツト４の突起部６に嵌めて底板５の上
段部５ｃ上に支持させ、新設支柱１２の一側から
この支柱１２と前記突起部６の取付板６ａを貫通
するボルト１３に座金１４を介してナツト１５を
締付けることで、新設支柱１２をブラケツト４の
突起部６に固定する。なお、新設支柱１２は、１
対のスチール製の断面コ字状部材１２ａを嵌合さ
せて溶接することで断面ほぼ角形の強度部材を構
成し、この部材の外周に断面ほぼ角形のアルミニ
ウム等の押出型材からなる外筒１２ｂを嵌合、固
定させたもので、図示省略したが新設支柱１２の
上端は、適宜の手段で閉塞してある。

本実施例では、前述したように、既設支柱１を
バルコニー２のコンクリート製側壁２ａ表面と平
坦な位置から切断し、既設支柱１の切断部上を覆
つて前記側壁２ａおよび床２ｂにブラケツト４の
底板５の上段部５ａおよび下段部５ｂを固定し、
底板５の上段部５ａ上に設けた突起部６に新設支
柱１２を嵌め、突起部６と新設支柱１２を締結す
るものであるから、突起部６の太さ、断面形状を
新設支柱１２の太さ、断面形状に対応させること
ができ、新設支柱１２の太さ、断面形状は既設支
柱１に影響されることなく、量産した規格品を用
いることができる。

また、本実施例では、ブラケツト４の底板５の
上段部５ｃを接着型アンカーボルト８ａによつて
側壁２ａに固着しただけではなく、底板５の下段
部５ｄを接着型アンカーボルト８ｂによつて床２
ｂに固定しており、前記接着型アンカーボルト８
ａの挿入孔３ａは側壁２ａのコンクリート損壊す
ることがなく、ホールインアンカーのような他の
アンカーを用いると下端部が拡開するためコンク
リートを大きく破損し易いのと異り、取付幅が狭
い側壁２ａにもブラケツト４を固定できると共
に、上下方向に段差がある底板５を用い、下段部
５ｄを床２ｂに固定していることにより、側壁だ
けに底板を固定するものに比べて、底板５を強固
にバルコニーのコンクリートに固定できる。な
お、床２ｂは面積が広いので、この床２ｂに下段
部５ｄを固定するアンカーボルトはホールインア
ンカーを用いてもよい。

さらに、本実施例では、ブラケツト４の底板５
に設けた係合部５ｅを側壁２ａに外側から係合さ
せたので、ブラケツト４をバルコニーの建築物内
外方向に容易にしかも適確に位置決めできる。

そして、新設支柱１２以外の手摺部材に量産し
た規格品を用いるためや、既設支柱１やこれの埋
金１ａ等の位置を避けるために、ブラケツト４の
底板５は既設支柱１の切断部を覆う範囲で位置調
整でき、この場合にアンカーボルト８ａ，８ｂを
通す底板５の孔５ａ，５ｂは長孔にしておくと調
整が行い易い。

前述したことから、本実施例の取替方法を用い
ると、施工が容易で、新設支柱１２等の量産規格
品を使用できるので、従来の方法に比べて安価に
支柱の取替や支柱を含む手摺の取替ができ、しか
もブラケツト４の底板５を側壁２ａと床２ｂの両
方に固定したのでブラケツト４の固定が強固にで
きる。

なお、手摺の取替時には、既設支柱がない部分
に新設支柱を設けることが、既設支柱の切断を除
く、前述した工程を行うことで可能となるので、
既設支柱と大きく離れた位置に新設支柱を配置す
る場合には、既設支柱を切断した後、その中空部
にモルタル等を充填して他の位置に新設支柱を設
けたり、新設支柱を追加して設けたりする場合に
も有利である。

さらに本実施例では、ブラケツト４を接着型ア
ンカーボルト８ａ，８ｂで側壁２ａ、床２ｂに固
定し、前記ブラケツト４に新設支柱１２を固定し
ており、既設支柱１を強度保持のために用いてい
ないため、既設支柱の強度が腐蝕等で十分でない
場合でも、新設支柱１２を強度上に何ら問題なく
側壁２ａに固定できる。

なお、本発明において、既設支柱を切断した
後、既設支柱の残された部分の中空部にモルタル
等を充填してから、既設支柱の切断部上をブラケ
ツトの底板で覆つてもよい。また、本発明におい
て、ブラケツトの底板を支持するコンクリート表
面が水平な場合には、前述した実施例のようなラ
イナーを用いなくてもよい。さらに、本発明にお
いて、ブラケツトの底板周囲とコンクリート表面
の間をモルタルのような化粧材またはコーキング
材で覆つて、外観をよくしたり、コンクリートへ
の水の浸込みを防止するようにしてもよく、ブラ
ケツトの底板の下段部角部は危険防止のためにア
ール部を設けておくことが好ましく、アンカーボ
ルトの上端部およびアンカーボルトに締付けたナ
ツト、とくに下段部のものにはゴムまたは合成樹
脂のキヤツプを被ぶせておくことが危険防止など
のために好ましい。

そして、本発明において、前述した実施例とは
工程の順序を変え、挿入孔に接着型アンカーボル
トの挿入と同時にブラケツトの底板をアンカーに
嵌めてコンクリートの表面に支持するようにして
もよい。

前述した実施例はバルコニーの手摺の支柱につ
いて説明したが、本発明は外廊下や階段の手摺、
屋上の棚、車庫、物干の支柱など、基端部がコン
クリートの突出部に埋設固定された既設支柱とく
に金属製の既設支柱の取替に広く適用できる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明は、既設支柱を、
これの基端部が固定されたコンクリートの上方へ
の突出部表面と平坦に切断し、ブラケツトの底板
を上下方向に段差があるものとし、前記底板の上
段部で既設支柱の切断部を覆い、底板の上段部を
前記コンクリートの突出部に、下段部をコンクリ
ートの床等の突出部以外に部分にアンカーボルト
によつてそれぞれ固定し、前記底板の上段部上に
固定した突起部に新設支柱を嵌めて固定したこと
により、従来の方法に比べ、容易で経済的に支柱
を取替えることができ、しかも、ブラケツトの底
板を突出部と突出部以外の部分の離れた部分に固
定しているために、前記底板を強固で確実に固定
でき、新制支柱に十分な強度をもたせることがで
きる上に、新設支柱の太さ、形状、位置の選択の
自由度を増大させることができるという効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は既設
支柱の固定状態を示す縦断側面図、第２図は本発
明の方法で取替えた新設支柱の固定状態を示す一
部を縦断した側面図、第３図は第２図の−線
断面図である。 １……既設支柱、２……バルコニー、２ａ……
側壁、２ｂ……床、３ａ，３ｂ……挿入孔、４…
…ブラケツト、５……底板、５ａ，５ｂ……孔、
５ｃ……上段部、５ｄ……下段部、６……突起
部、７……ライナー、８ａ，８ｂ……アンカーボ
ルト、９……合成樹脂剤、１１……ナツト、１２
……新設支柱、１３……ボルト、１５……ナツ
ト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上下方向に段差があるコンクリートの上方へ
   の突出部に基端部が埋設、固定された既設支柱を
   前記突出部の表面と平坦な位置から切断し、既設
   支柱の切断部上をブラケツトの上下方向に段差が
   ある底板の上段部で覆つて前記底板を前記コンク
   リートの表面に支持させ、このコンクリートの前
   記突出部および突出部以外の部分にそれぞれ形成
   した挿入孔にアンカーボルトを挿入してこれらの
   挿入孔周囲のコンクリートに前記アンカーボルト
   を固定し、これらのアンカーボルトによつて前記
   ブラケツトの底板の上段部と下段部コンクリート
   表面上に固定し、この底板上に固定した突起部に
   新設支柱を嵌合させて底板上に支持させ、新設支
   柱を前記突起部に締結部材で締結することを特徴
   とする手摺等の取替方法。 ２ コンクリートの突出部の挿入孔に接着型アン
   カーボルトを挿入し、コンクリートの突出部以外
   の部分の挿入孔に接着型アンカーボルトまたはホ
   ールインアンカーを挿入する特許請求の範囲第１
   項に記載の手摺等の支柱取替方法。 ３ 切断した既設支柱の残された部分の中空部に
   モルタルのような充填材を充填して既設支柱の切
   断部上をブラケツトの底板の上段部で覆う特許請
   求の範囲第１項または第２項に記載の手摺等の支
   柱取替方法。 ４ アンカーボルトのブラケツト底板上に突出し
   た部分にナツトを締付け、前記底板の周囲とコン
   クリート表面の間を、モルタルのような化粧材ま
   たはコーキング材で覆つて前記底板を固定する特
   許請求の範囲第１項、第２項または第３項に記載
   の手摺等の支柱取替方法。 ５ ブラケツトの底板のアンカーボルトを挿入す
   る孔を長孔とした特許請求の範囲第１項、第２
   項、第３項または第４項に記載の手摺等の支柱取
   替方法。 ６ コンクリートの表面にライナーを介してブラ
   ケツトの底板を支持し、前記コンクリートの水平
   面に対し傾斜している突出部表面上に前記底板の
   上段部を水平に固定する特許請求の範囲第１項、
   第２項、第３項、第４項または第５項に記載の手
   摺等の支柱取替方法。 ７ ブラケツトの底板は上段部の下段部と反対側
   端部にコンクリートの突起部端面に係合する位置
   決め用の係合部が下方に突出させてある特許請求
   の範囲第１項、第２項、第３項、第４項、第５項
   または第６項記載の手摺等の支柱取替方法。