JPH03244610A - 熱可塑性エラストマーの製造法 - Google Patents

熱可塑性エラストマーの製造法

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JPH03244610A
JPH03244610A JP4277590A JP4277590A JPH03244610A JP H03244610 A JPH03244610 A JP H03244610A JP 4277590 A JP4277590 A JP 4277590A JP 4277590 A JP4277590 A JP 4277590A JP H03244610 A JPH03244610 A JP H03244610A
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thermoplastic elastomer
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JP4277590A
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Sadao Kitagawa
北川 貞雄
Mitsushige Baba
馬場 光重
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 〈技術分野〉 本発明は、架橋アクリルゴム成分およびメタクリル酸エ
ステルとマレイミド類との共重合体成分から成る耐熱性
と耐油性に優れ、軟らかく、引張強度の大きな新規な熱
可塑性エラストマーの製造法に関する。
熱可塑性エラストマーは、使用温度範囲内ではゴム伸性
を示すが、いわゆる加硫ゴムとは異なり、高温において
は溶融成形が可能な高分子素材である。すなわち、熱可
塑性エラストマーは、加硫ゴムと熱可塑性樹脂の双方の
性質を備えており、その特徴を生かして近年著しく需要
が増大したため大量に生産されるようになった。
このような熱可塑性エラストマーは、各種のものが市販
されており、一般に、その化学構造もしくは構成成分の
組成に基づいて、オレフィン系、スチレン系、塩化ビニ
ル系、ウレタン系、エステル系、アミド系などに分類さ
れている。
このような熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに比較して
トータルコストが安価なことから、市場にて高温でしか
も油脂類と接触するおそれのある所に使用されてきた加
硫ゴム製品等に代えて使用したいという要請がある。
しかしながら、従来の熱可塑性エラストマーは耐熱性を
ある程度備えているが、耐油性に乏しかったり(例えば
、オレフィン系)、耐油性に優れているが耐熱性に乏し
かったり(例えば、塩化ビニル系、ウレタン系)、ある
いは、硬い領域では耐熱性および耐油性に優れているが
、加硫ゴム的な柔らかさの領域では耐油性や耐熱性が著
しく低下してしまう(例えばエステル系、アミド系)な
どの問題があり、上記要請に応えることができなかった
一方、アクリル酸のアルキルエステルと、加硫工程で架
橋点を提供する少量のモノマー(例えば、クロロエチル
ビニルエーテル、エチリデンノルボルネンなど)との共
重合体はアクリルゴムとして公知であり、これらはロー
ル等を用いて、架橋剤等と混練し、架橋させて実用に供
されている。
また、マレイミド類をメタクリル酸メチルと共重合させ
ることにより得られた共重合体は、メタクリル酸メチル
の単独重合体よりも耐熱性に優れていることも特公昭4
3−9753号公報により公知である。
さらに、メタクリル酸メチルとマレイミド類との共重合
体の耐衝撃性を改良するために、該共重合体にアクリル
ゴムを配合した組成物もまた公知である(例えば、特公
昭43−9753号および特開昭62−132911号
各公報)0しかしながら、これら公知の方法においては
アクリルゴムの含有量が少ないこともあって、軟らかい
領域のものでは耐熱性と耐油性を兼ね備えたものが得ら
れていない。
また、特開昭62−132911+lF公報には、アク
リルゴムの含量が50%を超えると、メタクリル酸メチ
ルとマレイミド類とを共重合させることが困難となり、
しかもそれによって生成した重合体組成物は耐熱性の劣
ったものであることが記載されている。
さらに、特開昭62−209113号公報には、メタク
リル酸メチル、N−置換マレイミド、アクリル酸アルキ
ルエステルおよび二官能性モノマーからなる混合物を重
合させることにより、ポリアクリル酸アルキルエステル
に基づくガラス転移温度と、メタクリル酸メチルとN−
置換マレイミドとの共重合体に基づくガラス転移温度と
を備えたインターポリマーが生成することが開示されて
いる。このインターポリマーのポリアクリル酸エステル
成分に相当する重合体部分は、GPCにより分子量が測
定でき、その値が15〜50万でなければならないと述
べられていることから、このポリアクリル酸エステル成
分は溶媒に可溶であって架橋されていない重合体である
ことが明白である。
さらに本発明者らの追試(後記比較例1参照)によれば
、アクリル酸エステルが50%を超えた領域では該公報
の記載に従って一段階で共重合を実施したところ、第2
図に示すとおり、その粘弾性試験法によるガラス転移温
度はメタクリル酸メチルとN−置換マレイミドとの共重
合体のガラス転移温度(Tg)とポリアクリル酸エステ
ルのTgの中間に唯一つしか観測されず、熱可塑性エラ
ストマーとしての物性を示さないものしか得られなかっ
た。
従って、前記従来技術においては、架橋アクリルゴム成
分及びメタクリル酸エステルとマレイミド類との共重合
体成分とからなる耐熱性および耐油性を兼ね備えた熱可
塑性エラストマーを何ら認識していないし、また、それ
を示唆するものでもなかった。
〈発明が解決しようとする課題〉 かかる状況から、高温でしかも油脂類と接触するおそれ
のある所に使用されてきた加硫ゴム製品の代替品として
、比較的硬い領域は勿論のこと、軟らかい加硫ゴムの領
域においても耐熱性と耐油性とを兼ね備えており、かつ
軟らかく、引張強度が大きい、成形性の良好な新しい熱
可塑性エラストマーの製造法について提供されることが
熱望されていた。
〔発明の概要〕
く要 旨〉 本発明者らは上記課題に鑑みて、アクリルゴムが有する
高い耐熱老化温度と良好な耐油性、およびメタクリル酸
エステルとマレイミド類との共重合体が有する高いガラ
ス転移温度並びに高い耐熱老化温度および優れた耐油性
を生かした新規な熱可塑性エラストマーを得るべく鋭意
検討した結果、特定な重合の態様、重合条件およびその
重合体の生成割合を特定な量比にすることによって、前
記本発明の課題を解決した熱可塑性エラストマーが得ら
れるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の熱可塑性エラストマーの製造法は、
エチレン性不飽和粘合を分子中に2個以上有する多官能
性モノマーの共存下に、水を媒質とする不均一重合法に
より0〜30℃の温度でアクリル酸エステルを重合させ
て、ガラス転移温度が0℃以下の架橋アクリルゴムを最
終重合体組成物100重量部に対して55〜90重量部
の割合で生成させた後、これにメタクリル酸エステルと
マレイミド類を加えて更にJl−重合させて、ガラス転
移温度が110℃以上のメタクリル酸エステルとマレイ
ミド類との共重合体を最終重合体組成物100重量部に
対して45〜10重量部の割合で生成させること、を特
徴とするものである。
く効 果〉 多官能性モノマーの共存下に、水を媒質とする不均一重
合法により、0〜30℃の温度でアクリル酸エステルを
重合させて架橋アクリルゴムを生成させた後、更にメタ
クリル酸エステルとマレイミド類を加えてメタクリル酸
エステル・マレイミド類共重合体を生成させることによ
って製造する本発明の熱可塑性エラストマーの製造法は
、硬い領域から軟らかい領域にわたって耐熱性と耐油性
に優れ、かつ成形性の良好な、しかも軟らかく、引張強
度の大きな熱可塑性エラストマーを製造することができ
る。
具体的には、従来の耐熱・耐油性の熱可塑性エラストマ
ーとして知られるエステル系あるいはアミド系の熱可塑
性エラストマーのJIS−3号油に125℃で72時間
浸漬後の膨潤度が、硬度(J Is−に6301A法)
80以下のものでは160%以上、著しくは240%以
上を示すものであったのに対して、本発明の熱可塑性エ
ラストマーの膨潤度は、硬度が95から40までの広い
範囲にわたったものでも、30%以下のものであり、耐
熱・耐油性に優れた熱可塑性エラストマーである。
更に本発明の熱可塑性エラストマーの製造法は、多官能
性モノマーの共存下に行なうアクリル酸エステルの重合
を、水を媒質とする不均一重合法にて0〜30℃の温度
で行なうことにより、該重合態様および条件を採用しな
い重合法によって製造した熱可塑性エラストマーよりも
、軟らかくても引張強度の大きな、しかも永久歪みの小
さな熱可塑性エラストマーを製造することができる。
〔発明の詳細な説明〕
〔I〕原料 (1〉アクリル酸エステル 本発明の熱可塑性エラストマーの製造法において、架橋
アクリルゴムの製造工程(第1工程)に用いられるアク
リル酸エステルは、アクリル酸と炭素数が1〜15、好
ましくは2〜10、特に好ましくは2〜8のアルコール
成分とのエステルである。
このようなアクリル酸エステルの好ましい具体例として
は、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アク
リル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル
酸i−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸n−
ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸
n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2
−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、ア
クリル酸2−メトキシプロピル、アクリル酸3−メトキ
シプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−クロロエ
チル、アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸グリシ
ジル等を挙げることができる。これらアクリル酸エステ
ルの中で特に好ましいものは、アクリル酸エチル、アク
リル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル
酸n−アミル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリ
ル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−シアノエチル
である。これらは単独でも2種以上併用してもよい。
また、これらアクリル酸エステルとノ(重合可能な単量
体、例えば、2−クロロエチルビニルエーテル、アクリ
ルグリシジルエーテル、エチリデンノルボルネン、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、グリシジルメタク
リレート等を本発明の効果を著しく損なわない範囲、好
適には10重量%以下の量で併用してもよい。
(2)多官能性モノマー ・前記アクリル酸エステルを重合する際に共存させて使
用される多官能性上ツマ−は、分子中にアクリル酸エス
テルと共重合し得るエチレン性不飽和結合を2個以上有
する化合物である。このような多官能性上ツマ−の具体
例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジ
オール類のジアクリル酸あるいはジメタクリル酸エステ
ル(該ジオールの例としては、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、1.
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロ
ピレングリコール、1.4−シクロヘキサンジオール、
1.4−ジメチロールシクロヘキサンなどを挙げること
ができる。)、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル
、ジカルボン酸のジアリルエステル(該ジカルボン酸の
例としては、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、アジピ
ン酸、コハク酸などを挙げることができる。)等の二官
能性上ツマ−1あるいは、トリビニルトルエン、トリオ
ールのトリアクリル酸あるいはトリメタクリル酸エステ
ル(該トリオールの例としては、グリセリン、トリメチ
ロールプロパンなどを挙げることができる。)、ペンタ
エリスリトールトリアクリレート、トリアリルシアヌレ
ート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメ
リテートなどのトリカルボン酸のトリアリルエステル等
の三官能性モノマー、あるいはテトラメチロールメタン
などテトラオールのテトラアクリル酸またはテトラメタ
クリル酸エステル、ピロメリット酸テトラアリル等のテ
トラカルボン酸のテトラアリルエステル等の四官能性モ
ノマー、あるいは、ジペンタエリスリトールへキサアク
リレート等の六官能性モノマー等を挙げることができる
。これら多官能性モノマーの中では三官能性モノマーお
よび四官能性モノマーが好ましく、特に三官能性モノマ
ーが好ましい。これらの多官能性モノマーは単独でも2
種以上併用してもよい。
(3)メタクリル酸エステル 本発明の熱可塑性エラストマーの製造法において、メタ
クリル酸エステルとマレイミド類との共重合体の製造工
程(第2工程)に用いられるメタクリル酸エステルは、
メタクリル酸と炭素数が1〜15、好ましくは2〜10
.のアルコール成分とのエステルから選択される。
このようなメタクリル酸エステルの好ましい具体例とし
ては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、
メタクリル酸フエニチル、メタクリル酸ボルニル、メタ
クリル酸アダマンチル、メタクリル酸メンチルなどを挙
げることができる。
これらの中ではメタクリル酸メチル、メタクリル酸イソ
ボルニルが好ましく、特にメタクリル酸メチルが好まし
い。これらは単独でも2種以上併用してもよい。
(4〉マレイミド類 前記メタアクリル酸と共重合されて用いられるマレイミ
ド類としては、マレイミドおよびそのN−置換体であり
、具体的には、マレイミド、N−メチルマレイミド、N
−フェニルマレイミド、N(2−メチルフェニル)マレ
イミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−
(2,6−シメチルフエニル)マレイミド、N−(2,
6−ジニチルフエニル)マレイミド、N−(4−ヒドロ
キシフェニル)マレイミド、N−(4−カルボキシフェ
ニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を
挙げることができる。これらマレイミド類の中ではN−
フェニルマレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミ
ドが好ましく、特にN−シクロへキシルマレイミドが好
ましい。これらは単独でも2種以上併用してもよい。
メタクリル酸エステルとマレイミド類の他に、これらと
共重合可能な他の単量体、例えばスチレン、メタクリル
酸、アクリロニトリル等を本発明の効果が著しく損なわ
れない範囲、好適には20重量%以内の量で併用しても
よい。
(II)製造 〈1〉概要 前記原料を用いて耐熱性及び耐油性に優れた熱可塑性エ
ラストマーを製造するためには、以下に示す少なくとも
二工程の重合の態様を実施することが重要である。
先ず、第1工程で多官能性モノマーの共存下に、水を媒
質とする不均一重合系にて0〜30℃の温度でアクリル
酸エステルを重合させて、前記アクリル酸エステルと多
官能性モノマーの共重合を行なうと共に、その生成重合
体同志の架橋反応を行なって、架橋アクリルゴムを生成
させる。
次いで、第2工程で、その混合物にメタクリル酸エステ
ルとマレイミド類を添加してメタクリル酸エステルとマ
レイミド類の共重合を行なって熱可塑性エラストマーを
製造する。
(a)第1工程(架橋アクリルゴムの製造)前記アクリ
ル酸エステルの重合は、多官能性モノマーの存在下にア
クリル酸エステルをラジカル重合触媒の存在下に水性媒
体中での懸濁あるいは乳化重合法により重合させること
によって行なわれる。
前記ラジカル重合触媒としては、公知のものが使用でき
、具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムな
どの無機過酸化物;p−メンタンハイドロパーオキシド
、キュメンハイドロパーオキシド、過酸化ベンゾイルな
どの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリルなどの
アゾ化合物;これらの過酸化物、アゾ化合物並びに第二
鉄塩等の過酸化物質とアンモニア、アミン類、ナトリウ
ムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸
等の還元物質とを組み合わせたいわゆるレドックス開始
剤等を挙げることができる。これらの中では本発明に於
いてはレドックス開始剤が好ましい。また、その使用量
はアクリル酸エステル100重量部に対して一般に0.
001〜5部、好ましくは0.005〜1重量部の範囲
内である。
前記多官能性モノマーの使用量は、アクリル酸エステル
100ifit部に対して一般に0.01〜10重量部
、好ましくは0. 1〜7重量部、特に好ましくは0.
2〜5重量部の範囲である。この使用量によって架橋ア
クリルゴムのゲル分率を調節したり、架橋アクリルゴム
のゴム伸性を調節したり、更には熱可塑性エラストマー
自体の成形性に変化を与えることができる。
この量は多官能性モノマーの種類によって最適量が穴な
り、通常重合し得るエチレン性不飽和結合の数が多くな
るほど少量でよい。多官能性モノマーのユが0.01重
量部未満ではゲル分率を70%以上にするのが困難であ
り、また10重量部を越えると生成重合体のゴム弾性が
乏しくなったり、熱可塑性エラストマーの成形性が著し
く低下するなどのため好ましくない。
次に、重合は、前記のとおり懸濁或いは乳化重合l去に
よるが、例えば、乳化重合の条件の例としては、アクリ
ル酸エステル100ffi1部に対して、上記の多官能
性モノマーと水溶性ラジカル重合触媒および水50〜5
00fflflf部、好ましくは100〜300重量部
、高級アルキル硫酸ナトリウムなどの乳化剤を0.1〜
15重量部、好ましくは0.5〜10重量部、硫酸ナト
リウムなどの乳化安定剤を0〜5重量部加えて、通常0
〜30℃、好ましくは0〜20℃の温度、一般にゲージ
圧0〜10 kg/ cd、好ましくは0〜5kg/c
−の圧力下1〜10時間の重合時間にて行なわれる。
アクリル酸エステル、多官能性七ツマ−あるいは開始剤
は一括してチャージしてもよく、分割して、あるいは連
続的にチャージしてもよい。
このような重合によって生成した架橋アクリルゴムは、
ガラス転移温度が0℃以下、好ましくは一10℃以下、
特に好ましくは一20℃以下のものである。
また、このような架橋アクリルゴムはゲル分率が70%
以上、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%〜
100%程度に架橋されている。
このようなゲル分率は次のようにして測定することがで
きる。
アクリルゴム(Aグラム)にメチルエチルケトンを加え
、メチルエチルケトンの沸点で3時間攪拌した後、遠心
分離機を用いて不溶部を分離、乾燥する。この不溶部の
乾燥型ff1(Bグラム)から、ゲル分率は ゲル分率−−xlOO(%) として計算することができる。
該第1工程でのアクリル酸エステルと多官能性モノマー
との共重合は、最終重合体組成物を100重量部とした
場合に、55〜90重量部、好ましくは60〜85重量
部の割合で共重合体を坐威させる。
このようにして生成した架橋アクリルゴム成分は架橋さ
れてはいるがゴム的性質を備えていることから、熱可塑
性エラストマー全体からみるとソフトセグメント部分を
形成して、エラストマー的性質を付与させている。
(b)第2工程(メタクリル酸エステルとマレイミド類
との共重合) 前記第1工程において製造した架橋アクリルゴムに、メ
タアクリル酸エステルとマレイミド類とを添加し、ラジ
カル重合触媒の存在下に共重合させて、メタアクリル酸
エステル・マレイミド類共重合体を生成させるのである
が、該共重合法は公知の方法を採用することができる。
このような共重合法としては、トルエン、キシレンなど
の有機溶媒中で行なう溶液重合法、水媒体中での懸濁あ
るいは乳化重合法、媒体を使用せずに重合を行なう無溶
媒バルク重合法などが挙げられる。しかし、前記第1工
程との関連においては、第1工程で行なわれる水を媒質
とする不均−l法、すなわち悲濁あるいは乳化重合法を
採用することが好ましい。
すなわち、前記のアクリル酸エステルの重合工程(第1
工程)において、未反応モノマーが通常10重量%以下
、好ましくは5重量%以下になった時点で、メタクリル
酸エステルとマレイミド類および必要によりメルカプタ
ン類、α−メチルスチレンダイマー等の分子量調節剤を
メタクリル酸エステルとマレイミド類の和100重量部
に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01
〜5重量部をそれぞれ加えて更に重合を続ける(第2工
程)。
ここで、前記メタクリル酸エステルとマレイミド類との
量比は、生成する共1体のガラス転移温度が110℃以
上、好ましくは130℃以上、特に好ましくは140℃
以上となるように決められる。
すなわち、メタクリル酸エステルを一般に90〜5重量
%、好ましくは80〜20重量%であり、マレイミド類
単位の含hmが、一般に10〜95重量%、好ましくは
20〜80重量%の割合で使用する。
該共重合体中のマレイミド類単位の含有量が増すほどガ
ラス転移温度が上昇する。従ってマレイミド類が上記範
囲未満では共重合体のガラス転移温度および耐熱性の向
上効果が少なく、一方、上記範囲を越えると成形性が著
しく悪化してくるので好ましくない。
この第2工程においては、該共重合体の量が第1工程で
製造した架橋アクリルゴム55〜90重量部に対して4
5〜10重量部、好ましくは架橋アクリルゴム60〜8
5重量部に対して40〜15重量部(両者合わせて10
0重量部)となるように重合する。架橋アクリルゴムが
少なすぎると柔軟性が乏しくなり、−万事すぎると成形
性が悪化して好ましくない。
ここで生成する「メタクリル酸エステル・マレイミド類
共重合体」というのは、メタクリル酸エステルとマレイ
ミド類との共重合体の他に、この重合方法で生成する架
橋アクリルゴムヘゲラフト重合したグラフト共重合体を
も包含するものである。このグラフト共重合体は好適に
は熱可塑性エラストマー全体中の20重量%以下である
なお、このようなグラフト共重合体を含むものの方が良
好な物性値を示す。
この第2工程では、必要に応じて水、乳化剤、ラジカル
開始剤等を追加してもよい。またメタクリル酸エステル
、マレイミド類、乳化剤、ラジカル開始剤、分子量調節
剤ならびに水等は一括チャージしてもよいし、分割ある
いは連続してチャージしてもよい。好ましい方法は、メ
タクリル酸エステルとマレイミド類および分子量調節剤
からなる混合物と、ラジカル開始剤を個別に分割あるい
は連続してチャージする方法である。
この第2工程の重合温度は通常50〜120℃、好まし
くは60〜100℃である。重合時間は通常1〜12時
間、好ましくは3〜10時間程度である。
生成物の回収方法としては、この種型合法で通常使用さ
れる公知の方法を採用することができる。
例えば、第2工程の重合が終了した後、この反応混合物
を攪拌下、食塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウムな
どの析出剤水溶液を投入して生成重合体組成物を主とし
て含有する組成物を凝集させる。そしてこれを濾過、洗
浄後、乾燥して目的の熱可塑性エラストマーを得る。
このようにして得られたメタクリル酸エステル・マレイ
ミド類共重合体成分は熱可塑性エラストマー全体からみ
るとハードセグメント部分を形成して、成形性を付与す
るとともに、耐熱性および耐油性を向上させることがで
きる。
(3)熱可塑性エラストマーの構造 このようにして?4られた本発明の熱可塑性エラストマ
ーは、海−島構造を示すものであることが電子顕微鏡写
真より明らかにされている。
すなわち、島を構成する架橋アクリルゴム粒子と海を構
成するメタクリル酸エステル・マレイミド類共重合体か
ら成り立つ、ている。島を構成する架橋アクリルゴム粒
子の大きさは特に制限がないが、一般に平均粒径が15
μm以下、好ましくは7μm以下、特に好ましくは0.
07〜1μmであり、その形状は球形、不定形などであ
る。また、原料モノマーの配合割合からも島の割合の方
がやや多い程度以上の割合で用いていることから、島構
造が大部分である。
[m]用途 このような本発明の熱可塑性エラストマーは、耐熱性と
耐油性が優れているので、押出成形品、ブロー成形品、
射出成形品などの各種成形品の形で、例えば、ラックア
ンドビニオンブーツなどのブーツ類、シール材、ホース
・チューブ類など自動車の耐熱・耐浦性機能部品、各種
耐熱・耐油性ケーブル被覆材、光ケーブル被覆材等とし
て用いることができる。
前記の如くして製造された本発明の熱可塑性エラストマ
ーを実用に供するに際しては、本発明の効果を著しく損
わない範囲、例えば50重量%未満、好ましくは30重
量%以下の範囲内で、以下に示すような付加的成分を加
えることができる。
このような付加的成分としては、例えば、ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、
ポリオキシメチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
フェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂
、スチレン・マレイミド樹脂等の極性の大きい樹脂、無
機フィラー、具体的にはシリカ、アルミナ、チタニア、
酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、炭酸カ
ルシウム、カオリン、マイカ、タルク、石綿、珪酸カル
シウム、珪酸アルミニウム等の珪酸塩、チタン酸カリウ
ム、炭化ホウ素などの各種ウィスカーカーボンブラック
等の各種顔料ないし着色剤、酸化ないしは劣化防止剤等
を挙げることができる。
〔実験例〕
以下に示す実施例および比較例によって本発明を更に具
体的に説明する。なお、これら実験例中の「部」は重量
部を意味する。
また、ゲル分率および物性の測定方法は次の通りである
ゲル分率 アクリルゴム約1グラム(精秤値をAグラムとする)に
メチルエチルケトン300m1を加え、メチルエチルケ
トンの沸点下で3時間加熱攪拌した後、遠心分離機を用
いて不溶部を分離、乾燥する。
この不溶部の乾燥重量をBグラムとすれば、ゲル分率は ゲル分率−(B/A)xl 00 (%)として計算し
た。
物性測定用テストピースの成形 プレス成形機を用いて、200℃で成形した。
硬度 J Is−に6301−A広に従って測定した。
圧縮永久歪 J Is−に6301に従い、70℃で22時間後の残
留歪を測定した。
引張強度および伸び JIS−に6301に徒って測定した。
耐油性 JIS−に6301に従い、JIS−No、3油に12
5℃で72時間浸漬したときの体積膨潤率(ΔV)を測
定した。
ガラス転移温度 粘弾性測定法により測定した。すなわち、レオメトリッ
クス社製メカニカルスペクトロメーターRMS 605
型機を用い、周波数IHz(2πrad/5ee)、昇
温速度1℃/Minにて測定したtanδのピーク温度
をガラス転移温度とした。
実施例1 第1工程(架橋アクリルゴム粒子の製造)窒素置換した
反応器に、イオン交換水140部、脱酸素剤としてのハ
イドロサルファイドを0.014部、乳化剤としてドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.4部およびナ
フタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物を0.
 7部、乳化安定剤として硫酸ナトリウムを0.21部
、重合促進剤としてのエチレンジアミンテトラ酢酸四ナ
トリウム塩を0.014部、エチレンジアミンテトラ酢
酸ナトリウム第二鉄塩を0.00035部およびラジカ
ル開始剤のうち還元剤としてのナトリウムホルムアルデ
ヒドスルホキシレートを0.014部を加えた。
この系に、更にアクリル酸エチル(EA)70部とトリ
アリルイソシアヌレート(TA I C)0、 7部と
からなる混合液(モノマー混合物)の十分の−の量を攪
拌下に3℃の温度で加えて乳化させた。
次いで、この残りのモノマー混合物にラジカル開始剤の
中の酸化剤としてのp−メンタンハイドロパーオキシド
0.007部を加え、上記乳化させた系中へ連続的に約
2時間かけて供給した。このとき反応系内は攪拌下、冷
却しながら温度を5℃に保った。上記七ツマー混合物の
供給が終了した後も系内の温度を5℃に保って5時間反
応させた。そして、更に30℃に昇温させて2時間反応
させた。
このようにして得られた反応混合物を採取してガスクロ
マトグラフィーにより分析してその転化率を測定したと
ころ、99%であった。
また、反応混合物の少量を抜き出してゲル分率を測定し
たところ94%であった。
さらに、この架橋したアクリルゴムの平均粒径は0.3
μmであった。
第1工程の反応で生成した乳化重合液に、イオン交換水
60部およびラウリル硫酸ナトリウム0、 3部をそれ
ぞれ追加した。そしてこの系を70℃に昇温し、攪拌し
ながらメタクリル酸メチル(MMA)21部、N−シク
ロヘキシルマレイミド(CMI)9部および分子ffi
調節剤としてのα−メチルスチレンダイマー(α−MS
D)0、 6部からなる混合液と、1%過硫酸カリウム
水溶液12部とをそれぞれの供給ラインによって同時に
2時間かけてこれらを供給して、架橋アクリルゴム乳化
液の存在下にMMAとCMIとの共重合を行った。
前記原料混合物の供給終了後、さらに6時間反応を続行
した。その時の重合系の反応温度を70℃に保った。
第2工程のモノマーの反応率は95%であった。
得られた反応d合液を20℃に冷却し、攪拌されている
1、5%塩化カルシウム水溶液に滴下して反応生成物を
塩析させた。凝集した生成物を濾過、水洗し、さらにメ
タノールで洗浄後、75℃で真空乾燥した。
この乾燥生成物に酸化防止剤としてのイルガノックス1
010 (商品名)1部を加えて二軸混練機を用いて1
80℃、50rpfllで5分間混練した後、プレス成
形して物性をApj定した。
その結果を第1表に示す。
実施例2〜3 アクリル酸エステル、多官能性七ツマ−、メタクリル酸
エステル、マレイミド類および分子量調節剤を第1表に
示す種類および割合で使用した以外は実施例1と同様の
方性で実施した。
その結果を第1表および第1図に示す。
第1図は実施例2によって得られた熱可塑性エラストマ
ーを粘弾性測定機によって測定した弾性率(G′)なら
びにtanδの温度数G性を図示したものである。
第1図においては、アクリルゴムのガラス転移温度およ
びMMAとN−フェニルマレイミド(PMI)との共重
合体のガラス転移温度に対応してtanδのピークがそ
れぞれ 一8℃および150℃に観測される。
さらに、常温〜150℃で、は弾性率(G′)の変化が
少い。これらの粘弾性的性質は、実施例2の生成物が熱
iJ塑性エラストマーとしての特性を有していることを
示している。
実施例4 第1工程に於いて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウムをラウリル硫酸ナトリウム1.4部に、EAおよび
TA I Cの量をそれぞれ60部および0.6部に代
え、第2工程に於いて、MMA。
CMIおよびα−MSDのユをそれぞれ28部、12部
および0.8部に代えた以外は実施例1と同様の方性で
反応を行なった。
その結果を第1表に示す。
実施例5 第1工程に於いて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合
物および硫酸ナトリウムをポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩2部に代え
、EAをアクリル酸n−ブチル(BA)70部に代えた
以外は実施例1と同様の方法で反応を行なった。
その結果を第1表に示す。
実施例6 第1工程に於いて、乳化剤としてさらにポリオキシエチ
レンオクチルフェニルエーテル0.7部を加え、EA7
0部をEA50部とアクリル酸2−メトキンエチル(M
EA)20部に代えた以外は実施例1と同様の方性で反
応を行なった。
その結果を第1表に示す。
実施例7 第2工程に於いて、M M AおよびCMIの量をそれ
ぞれ27部および3部に代えた以外は実施例1と同様の
方法で反応を行なった。
その結果を第1表に示す。
実施例8 第2工程に於いて、MMAをメタクリル酸イソボルニル
27部に代え、混線ならびにプレス温度を230℃に代
えた以外は実施例7と同様の方法で反応を行なった。
その結果を第1表に示す。
実施例9 第2工程に於いて、MMAおよびCMIの量をそれぞれ
15部および15部に代えた以外は実施例1と同様の方
法で反応を行なった。
その結果を第1表に示す。
第1表中の略号を以下に示す。
EA ニアクリル酸エチル TAIC:)リアリルイソシアヌレートMMA:メタク
リル酸メチル CMI:N−シクロヘキシルマレイミドα−MSD:α
−メチルスチレンダイマーTDA:テトラエチレングリ
コールジアクリレートPMI:N−フェニルマレイミド TPAニトリメチロールプロパントリアクリレートBA
 ニアクリル酸n−ブチル MEAニアクリル酸2−メ小キシエチルIBM:メタク
リル酸イソボルニル 比較例1 反応を二工程に分けないで、全てのモノマー類を混合し
、反応を一工程で行う特開昭62−209113号公報
の実施例1の方法に準じて実施した。
すなわち、イオン交換水300部にドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム2.6部、2%過硫酸カリウム水溶
液80部、0.1%硫酸水素ナトリウム水溶液2部を加
えた。さらにEA140部、テトラエチレングリコール
ジアクリレート(TDA)0.21部、MMA42部、
PM118部からなる混合液を加えて、63゜5℃で4
時間乳化重合した。
得られた生成物を粘弾性測定機によって弾性率(G′)
ならびにtanδの温度依存性を測定したところ第2図
に示すデータが得られた。
該第2図においては一100℃〜200℃の領域でta
nδのピーク(ガラス転移温度)は35℃に唯一つしか
観測されなく、これに対応して常温〜100℃の弾性率
(G′)の変化が著しい。従って、この生成物はこれら
の粘弾性的性質から熱可塑性エラストマーでないことが
証明されている。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の熱可塑性エラストマーの製造法の実施
例によって製造した熱可塑性エラストマーを粘弾性測定
機によって測定した弾性率(G′)およびtanδの温
度依存性を表わすものであり、第2図は比較例によって
得られた反応生成物の弾性中 (G’ ) およびtanδの温度依存性を表わす ものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. エチレン性不飽和結合を分子中に2個以上有する多官能
    性モノマーの共存下に、水を媒質とする不均一重合法に
    より0〜30℃の温度でアクリル酸エステルを重合させ
    て、ガラス転移温度が0℃以下の架橋アクリルゴムを最
    終重合体組成物100重量部に対して55〜90重量部
    の割合で生成させた後、これにメタクリル酸エステルと
    マレイミド類を加えて更に共重合させて、ガラス転移温
    度が110℃以上のメタクリル酸エステルとマレイミド
    類との共重合体を最終重合体組成物100重量部に対し
    て45〜10重量部の割合で生成させることを特徴とす
    る熱可塑性エラストマーの製造法。
JP4277590A 1990-02-23 1990-02-23 熱可塑性エラストマーの製造法 Pending JPH03244610A (ja)

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US07/659,504 US5183856A (en) 1990-02-23 1991-02-22 Thermoplastic elastomer and a process for its production
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002293846A (ja) * 2001-03-29 2002-10-09 Kuraray Co Ltd 被覆材料及び電線もしくはケーブル

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