JPH0323422Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、トラクタ等の前輪駆動車輌における
最大操向角度規制装置に関する。

（従来の技術） 周知の如く、前輪駆動タイプのトラクタでは、
前車軸ケースの端部に、キングピンを内有する固
定ベベルギヤケースがフランジ結合され、該固定
ベベルギヤケースに可動ベベルギヤケースがキン
グピン回りに回動自在に取付けられている。そし
て、この可動ベベルギヤケースに前輪が支持され
ている。

前記可動ベベルギヤケースにはストツパがボル
ト止めされ、該ストツパの先端面が固定ベベルギ
ヤケースのフランジ結合部に接当することによ
り、前輪の最大操向角度が規制されていた。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来のものにおいては、ストツパの先端面
とフランジ結合部とが接当したとき、その接当面
は取付ボルトに対して傾斜した状態となつてい
た。従つて、最大操向角度規制時において取付ボ
ルトに曲げモーメント及び剪断力が作用し、ボル
トが折損するおそれがあつた。

そこで、本考案は、取付ボルトに大きな曲げモ
ーメント及び大きな剪断力が作用しないようにし
た前輪駆動車輌における最大操向角度規制装置を
提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案の特徴とす
る処は、前車軸ケースの端部フランジ７に固定ベ
ベルギヤケースのフランジが結合され、該固定ベ
ベルギヤケースに可動ベベルギヤケースがキング
ピン回りに回動自在に設けられ、該可動ベベルギ
ヤケースに前輪が支持されると共に、該可動ベベ
ルギヤケースにストツパが取付けられ、固定ベベ
ルギヤケースにストツパ接当部が設けられ、該ス
トツパ接当部とストツパとが接当することにより
前輪の最大操向角度を規制する装置において、 前記ストツパは円筒状に成形され、その軸心部
に挿通されたボルトにより可動ベベルギヤケース
に取付けられ、該ストツパの先端がボルトの軸心
にほぼ直交するストツパ面に成形され前記ストツ
パ接当部は前記ストツパ面に面接当するよう傾斜
面に形成されている。

（作用） 本考案によれば、ストツパをボルトにより取付
け、ストツパの先端を取付ボルトの軸心にほぼ直
交するストツパ面に成形し、かつ、接当部をスト
ツパ面に面接当する傾斜面に成形しているので、
ストツパ面と接当部とが接当して前輪の最大操向
角度が規制される場合、取付ボルトには軸方向の
力が作用することになり、大きな曲げモーメント
及び剪断力は作用しない。

（実施例） 以下、本考案をトラクタに適用した一実施例を
図面に基き説明すれば、第２図及び第３図におい
て、２はエンジンから前方に突設された前車軸フ
レームで、左右一対の側板３を有する。

４は前車軸フレーム２下方に配置された前輪デ
フケースで、前車軸フレーム２に前後一対の取付
装置５を介して前後方向の軸心廻りに回動自在に
支持されている。デフケース４内には、ミツシヨ
ンケース側から動力が伝達される前輪デフ装置が
備えられ、該装置からは前車軸が両側方に派出さ
れている。

６は左右一対の前車軸ケースで、デフケース４
から両側方に延出され、前車軸を内有する。前車
軸ケース６の外側端部には、略方形状のフランジ
７が一体に形成されている。

８は固定ベベルギヤケースで、内側端部に、略
方形状のフランジ９を一体に有し、該フランジ９
が前車軸ケース６のフランジ７にボルト１０によ
り着脱自在に結合されている。

１１は可動ベベルギヤケースで、ケース本体１
２と、蓋体１３とから成る。ケース本体１２は、
固定ベベルギヤケース８の外側方側に位置する椀
状部１４と、椀状部１４下部から固定ベベルギヤ
ケース８下方側に張出された張出部１５とを備え
ている。椀状部１４は外側方に開口し、該開口部
を蓋体１３が着脱自在に施蓋している。

椀状部１４及び蓋体１３には、前輪ハブ軸１６
が回転自在に支承され、前輪ハブ軸１６にデイス
ク１７を介して前輪１８のタイヤ１９が備えられ
ている。

固定ベベルギヤケース８及び可動ベベルギヤケ
ース１１内には、前車軸から前輪ハブ軸１６に動
力を伝達するベベル伝動機構が備えられ、該伝動
機構のキングピンが固定ベベルギヤケース８及び
張出部１５に縦設されている。

２１は操向アームで、外側端部が椀状部１４上
面に固設され、中途部が固定ケース８上面側に回
動自在に支持され、内側端部が、ドラツグリンク
２２等を介してステアリングハンドルに連動連結
され、該ハンドルの回動操作により、前輪１８が
可動ベベルギヤケース１１と共にキングピンの軸
心２３廻りに操向自在とされている。

２４は左右両側の可動ベベルギヤケース１１を
連動させるタイロツドで、張出部１５から後方に
突設されたブラケツト２５に側端部が連結されて
いる。

２７は有底円筒状ストツパで、第１図に示すよ
うに、その基部側底部２８が、椀状部の内側外面
における後部上部から内側方側に突設された取付
座２９に、ストツパ２７と同心の単一のボルト３
０により、軸心廻りに回動調整自在として着脱自
在に取付けられている。ボルト３０の頭部３０ａ
はストツパ２７に内有状とされ、又、３１はバネ
座金である。ストツパ２７の先端面は、ボルト軸
心に対してほぼ直交するストツパ面３２とされ、
該ストツパ面３２が、固定ベベルギヤケース８の
フランジ９後面に面接触することで、前輪１８の
最大操向角度が規制される。

すなわち、固定ベベルギヤケース８のフランジ
９後面部にストツパ接当部３３が設けられ、この
ストツパ接当部３３は、前記ストツパ面３２に面
接当するよう傾斜面に成形されている。この接当
部３３の傾斜面は前車軸ケース６の軸心及びキン
グピンの軸心２３の各々に対して傾斜するよう形
成されている。

尚、ストツパ２７のストツパ面３２を直径線上
で２分割し、一方はボルト３０の軸心に直交する
垂直面３２ａとし、他方は、わずかに傾斜する傾
斜面３２ｂに形成することにより、このいずれか
のストツパ面３２を使用することにより操向規制
角度を変更することができる。

尚、ストツパ２７を固定ベベルギヤケース８に
設け、接当部３３を可動ベベルギヤケース１１に
設けても同じである。

（考案の効果） 本考案によれば、ストツパ取付ボルトに曲げモ
ーメント及び剪断力が作用することがなくなるの
で、ボルトの折損のおそれがなくなり、実用に供
して多大の効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は要部
の平面一部断面図、第２図は背面図、第３図は平
面図である。 ６……前車軸ケース、７，９……フランジ、
８，１１……固定・可動ベベルギヤケース、１８
……前輪、２７……ストツパ、３０……ボルト、
３２……ストツパ面、３３……接当部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 前車軸ケース６の端部フランジ７に固定ベベル
   ギヤケース８のフランジ９が結合され、該固定ベ
   ベルギヤケース８に可動ベベルギヤケース１１が
   キングピン回りに回動自在に設けられ、該可動ベ
   ベルギヤケース１１に前輪１８が支持されると共
   に、該可動ベベルギヤケース１１にストツパ２７
   が取付けられ、固定ベベルギヤケース８にストツ
   パ接当部３３が設けられ、該ストツパ接当部３３
   とストツパ２７とが接当することにより前輪１８
   の最大操向角度を規制する装置において、 前記ストツパ２７は円筒状に成形され、その軸
   心部に挿通されたボルト３０により可動ベベルギ
   ヤケース１１に取付けられ、該ストツパ２７の先
   端がボルト３０の軸心にほぼ直交するストツパ面
   ３２に成形され前記ストツパ接当部３３は前記ス
   トツパ面３２に面接当するよう傾斜面に形成され
   ていることを特徴とする前輪駆動車輌における最
   大操向角度規制装置。