JPH0322321B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は自動二輪車用タイヤ、特に高速走行に
適した自動二輪車用ラジアルタイヤに関する。 最近、道路の舗装整備化に伴ない車両の高速化
がすすめられ、自動二輪車用タイヤも高速走行に
おける諸特性が要求されている。 一般に自動二輪車はカーカスにクロスプライ構
造、即ちカーカスプライのコード角度を周方向に
対して約30゜〜60゜の角度で傾斜させプライ間で相
互に交差する配置が広く採用されている。これは
自動二輪用タイヤは乗用車等の四輪車用タイヤと
較べて、特に旋回走行時の運動機能が根本的に相
違することによるものであり、自動二輪車は旋回
時、路面と垂直な面に対して大きく傾斜させ（大
きなキヤンバー角を与え）、そのときタイヤには
キヤンバー角を与えた方向に路面と水平に力（キ
ヤンバースラスト）が生じ車体に働く遠心力に対
抗し安定な走行を維持するという特性が要求され
る。したがつて自動二輪車用タイヤは前述のクロ
スプライ構造のカーカスを用いることにより横方
向剛性を高め、前記キヤンバースラストの維持を
図つており、横剛性の劣るラジアル構造は上記観
点からほとんど採用されていない。しかしクロス
プライ構造のタイヤは高速走行時、タイヤに横振
れの振動（WEAVE現象）が発生するとともに耐
久性の点で難点があり、そのためカーカスのコー
ド角度を周方向に対して低くしたり、カーカスプ
ライの枚数を増加させるなど、タイヤ剛性を高め
て対策を施してきたが、クロスプライ構造を採用
する限りその構造に起因する欠点は完全に解消で
きない。 本発明は自動二輪車用タイヤに従来ほとんど試
みられなかつたラジアル構造についてカーカス、
ブレーカー及びコード補強層等について、構造、
配置関係、及び材料について種々検討を重ねた結
果、キヤンバースラストをクロスプライ構造のタ
イヤと同程度まで改善し、しかもラジアルタイヤ
の利点である高速走行性能を発現しうる事が判明
し本発明に到達したのである。 本発明はトレツド部と、その両端からラジアル
方向内方に向けて延びるサイドウオール部と、該
サイドウオール部のラジアル方向内側端部に位置
するビード部を有し、一方のビード部から他方の
ビード部に至りタイヤのラジアル方向に対してほ
ぼ平行に延びるコードよりなるトロイド状カーカ
スと、このカーカスのラジアル方向外側に配置さ
れるブレーカーと、前記ビード部からサイドウオ
ール方向に延び、その上端が前記ブレーカー端部
と重合するコード補強層を備えたことを基本とす
る自動二輪車用タイヤである。 以下本発明の一実施例を図面にしたがつて説明
する。第１図は本発明の自動二輪車用タイヤの部
分断面図を示す。図において本発明のタイヤ１は
トレツド部２と、その両端からラジアル方向内方
に向けて延びるサイドウオール部３と、該サイド
ウオール部のラジアル方向内側端部に位置するビ
ード部４を有している。ここでトレツド部２はカ
ーカスのクラウン上にその輪郭とほぼ平行にクラ
ウン中央から両端方向へ延び、その幅（Wt）は
通常サイドウオール部最大幅（Ws）を越える断
面形状で構成され、これによつてタイヤが傾斜し
たときのキヤンバースラストが維持される。 次に本発明のタイヤのカーカス５は２枚のプラ
イで構成され、その両端はいずれもビードコア６
のまわりを内側から外側方向に折り返されビード
部４またはサイドウオール部３に終端する。ここ
で折り返しによりビード部外側となるプライの折
り返し部５ａはビード部内側に位置する折り返し
部５ｂの上端よりも高い位置まで延長し、前記内
側の折り返し端を完全に被覆し、該端部での応力
集中を緩和する。更にサイドウオール部を補強す
るため前記内側の折り返し部５ｂ及び外側の折り
返し部５ａのビードベース部からのそれぞれの高
さHb，Haはサイドウオール部最大幅位置のビー
ドベース部からの高さＨの55〜65％及び70〜100
％の範囲に設定されることが望ましい。これによ
り、厚さが小であつて曲げが作用するサイドウオ
ール部最大巾位置付近において各折り返し部５
ａ，５ｂの上端がともに位置することを防止で
き、コードの端部によつて生じがちな応力集中を
防ぎ、耐久性を高めうる。又外側の折り返し11部
５ａを高くすることによつて、折り返し部５ｂの
上端を覆い保護することにより、発熱の大きいビ
ード部における折り返し部５ｂ上端における損傷
を防ぐ。次に前記カーカスのコードはタイヤのラ
ジアル方向に平行またはほぼ平行に配列される。
又カーカス５のコードはラジアル方向に20゜以内
の角度で傾斜している。20゜を越えた構成を採用
するとラジアルタイヤの特徴である優れた高速走
行特性は得られない。またカーカスのコードに用
いられる繊維はナイロン、ポリエステル、レーヨ
ンあるいは芳香族ポリアミド繊維等の有機繊維が
用いられる。 次に本発明のタイヤにおけるブレーカー７はト
レツド部の全幅に亘る幅で配置され、トレツド部
のたが効果を高める。ここでブレーカーのコード
はタイヤ周方向に対して10゜〜40゜の角度、特に望
ましくは20゜〜25゜の角度で配置される。コード角
度が余り小さすぎるとトレツド剛性を高め路面に
散乱する石又は路面の凹凸に対して衝撃が大きく
走行安定性、乗心地を阻害し、一方のコード角度
が大きすぎると高速走行時の操縦安定性を阻害す
る。又周方向に比較的浅いコード角度で配置され
るブレーカーと周方向にほぼ90゜のコード角度で
配置されるカーカスは比較的大きな角度で交差す
ることとなり重合部分で歪が大きくなりプライ間
剥離の原因となる。前記ブレーカーに用いられる
繊維は前記カーカスに用いられる有機繊維コード
のほかスチールコード、ガラス繊維も使用でき
る。 次に本発明のタイヤでは前記カーカスの折り返
し部と、カーカス５の本体部との間で、ビードコ
ア６から半径方向サイドウオール３の外向きに最
大巾近傍までのびるビードエーペツクス９が配置
される。これにより最大巾の下方域を補強し剛性
を高めるとともに、上方域での可撓性を保持し、
乗心地性を維持する。 前記折り返し部５ａ，５ｂの内側に隣接しかつ
前記ビードエーペツクス９との間においてビード
補強層８が配置される。このように、折り返し部
５ａ，５ｂとビードエーペツクス９との間に介在
することにより、ビード補強層８の下端部が強固
に保持されかつ折曲がりが急なビード部のタイヤ
外側を補強する。又ビード補強層８は、ビード部
から前記ビードエーペツクス８の上端をこえて前
記ブレーカ７の端部と重合する位置まで延びる。
コード補強層８の上端部はカーカス５とブレーカ
ー７の間に介在するように配置することによりコ
ード補強層８の上端部を固定する。更にコード補
強層８の上端はトレツド表面輪郭に沿つたトレツ
ド幅のほぼ1/4の位置まで延在せしめブレーカー
との重合部分をトレツド側部に構成することによ
り該側部でのトレツド剛性を一層高め旋回時のキ
ヤンバースラストを向上することができる。また
コード補強層の上端は屈曲変形の激しいサイドウ
オール部を越えトレツド部相当位置まで延在せし
めることにより、前記上端での応力集中を緩和で
きる。次にコード補強層のコードはタイヤ周方向
に対して30゜〜60゜特に好ましくは40゜〜50゜の角度
で配置される。このコード補強層はおもにラジア
ル構造のサイドウオール部の縦バネ定数を高める
ことなく横剛性を高める機能有すするものである
が、更にはカーカスの折り返し部５ａ，５ｂ及び
ブレーカー７の端部と重り合うため、この重なり
合う部分での歪を考慮する必要があり、そのため
コード補強層のコード角度を前述の範囲に設定す
ることが前記要件の総合的バランスの観点から好
ましいといえる。なお、２プライのコード補強層
を用いることもできる。コード補強層に用いられ
る繊維は前記カーカスに用いられる有機繊維が同
様に使用できるが、特に芳香族ポリアミド繊維で
強度10ｇ／ｄ以上でモジユラスが500Kg／cm²以上
のものが好適である。 更に本発明ではカーカス及びその折り返し端
部、あるいはコード補強層に囲まれる部分には、
前記のように、ビードコア６からサイドウオール
方向に厚さを漸減して延びる硬質ゴムよりなるビ
ードエーペツクス９を配置することにより、ビー
ド部からサイドウオール方向へ至る間の横剛性を
強化することができる。このビードエーペツクス
９はサイドウオール部での屈曲性を維持し乗心地
を向上するべく、前記のように上端がサイドウオ
ールの最大幅近傍まで延び、そのJIS硬度は65゜〜
95゜の範囲である。 しかして本発明の自動二輪車用タイヤはカーカ
スにラジアル構造を採用するとともにブレーカー
を配置したため、高速耐久性、即ちスタンデイン
グウエーブの発生限界速度が高くなるとともに転
動抵抗が小さくなる。更にブレーカー、カーカス
の折り返し部及びコード補強層を特定の構造で配
置したためラジアル構造のタイヤ特有の欠点であ
る横剛性が強化されキヤンバースラストが高くな
り安定な旋回走行を可能とし、更にいわゆる腰く
だけ現象も有効に防止しうる。 実施例 本発明の実施例として第１図に示す構造のも
の、及びこの構造を一部変更したものについてタ
イヤサイズ120／90−18の後輪用タイヤを試作し
た。また比較例としてクロスプライ構造、従来の
ラジアル構造のものを用いた。これらの詳細な仕
様を第１表に示す。第１表においてキヤンバース
ラストはクロスプライ構造のタイヤ（比較例２）
を100として相対値で示す。数値が大きい程優れ
ている。またスタンデイングウエーブの発生速度
は150Km／ｈから10Km／h10分間の間隔で速度を
上げていきスタンデイングウエーブの発生速度が
目視で観察した。 高速度の振動自然発生速度は高速路面で速度を
増加し振動の発生の時の速度をフイーリングで評
価した。 なお下記実車走行の性能評価はいずれも車種と
してヤマハXJ1750を用い、その前輪に100／
90V19のクロスプライタイヤを、

【表】 後輪に第１表のタイヤをそれぞれ装着して測定し
たものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の自動二輪車用タイヤの一部断
面図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トレツド部と、その両端からラジアル方向内
   方に向けて延びるサイドウオール部と、該サイド
   ウオール部のラジアル方向内側端部に位置するビ
   ード部とを有し、一方のビード部から他方のビー
   ド部に亘りタイヤのラジアル方向に対して20゜以
   下の角度でのびるコードを用いた２枚のプライか
   らなりかつ前記ビード部のビードコアのまわりを
   内側から外側方向に折り返すとともに折り返しに
   よりビード部外側に位置するプライの折り返し部
   の上端を内側のプライの折り返し部の上端よりも
   高い位置まで延長したトロイド状カーカスと、前
   記トレツド部の内方かつ前記カーカスのラジアル
   方向外側に配置されるとともにタイヤ周方向に対
   して10゜〜40゜の角度で傾くコードを用いるブレー
   カと、前記ビードコアから前記カーカスとその折
   り返し部との間で半径方向外向きにサイドウオー
   ル部の最大巾位置近傍までのびるゴムからなるビ
   ードエーペツクスと、前記ビード部からサイドウ
   オール方向に前記折り返し部とビードエーペツク
   スの間をのびかつビードエーペツクスの上端をこ
   えて上端が前記ブレーカ端部と重合する位置で終
   端ししかもタイヤ周方向に対して30゜〜60゜の角度
   で傾くコードを用いたコード補強層とを備えてな
   る自動二輪車用タイヤ。 ２ コード補強層は芳香族ポリアミド繊維コード
   よりなる特許請求の範囲第１項記載のタイヤ。