JPH0318566Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、建物の上部外壁と下部外壁の境界で
ある見切部から内外壁間の壁空間内に外気を導入
して、壁空間内及び屋根裏の換気を促進する換気
カバーに関する。

従来、建物の見切部には、上部外壁と下部外壁
間の継目の防水のための水切を取付けている。

一方、建物の内外壁間や屋根裏には熱気や湿気
が溜りやすく、居住性を悪化させたり、建物の寿
命を縮める原因となつている。

従来、この内外壁間の壁空間及び屋根裏の換気
を図るために、外壁にガラリを取付けたり、軒下
面に多孔板を取付ける等の手段が採られている。
しかし、これらだけではとても十分な換気を図る
だけの外気の取り入れができず、その効果も不十
分なものとなつている。また、ガラリや多孔板の
取付面積を増大させると、建物の外観を損わせて
しまつたり、雨じまいが悪化する等の問題を生
む。

本出願人は、上記の如き現状に鑑み、建物見切
部の水切として機能し、かつ壁空間内に外気を取
り入れることのできる換気装置を実開昭58−
184126号として先に提供した。本考案は、この換
気装置の改良に係るもので、この換気装置に用い
る更に防水性に優れた換気カバーを提供すること
を目的とする。

本考案の構成上の特徴は、下端が後方へ折り返
されて受部が形成されている前面部の上端を後方
へ屈曲させて水切部とし、水切部の後端を上方へ
略垂直に立ち上げて上部取付片とした前面カバー
と、前端が下方へ屈曲されて前面カバーの受部内
に嵌挿される嵌合片とされた底面部に多数の換気
孔を形成し、この底面部の後端を上方へ屈曲させ
て背面部とし、背面部の上端を後方に屈曲させた
後その後端を上方に屈曲させて更に前面カバーの
水切部内面より下方で折り返して突片とし、この
突片の下端を前記底面部より下方に延出した下部
取付片とした背面カバーと、後端に背面カバーの
突片が嵌入される逆Ｕ字形の掴持部を有し、前端
が前面カバー前面部内面に当接され、かつ多数の
通孔を有する仕切板とから建物見切部の換気カバ
ーを構成している点にある。

上記本考案に係る換気カバーによれば、建物の
全周に亘る箇所から壁空間内に外気を取り入れる
ことができ多量の外気を壁空間から屋根裏へと送
つて良好な換気作用を得ることができる。また、
本換気カバーは、水切としての機能を有し、本来
水切を設ける箇所に設けられるので、単なる水切
より多少大型ではあるが建物の外観を損う心配が
ないばかりか、上下外壁間を仕切るアクセントと
して外観を向上させるものであるとさえ言える。
特に本換気カバーは、底面部と仕切板で二重に雨
水の浸入防止が図られているので、防水性に極め
て優れるものである。そして、前面カバーと背面
カバーとに分割されているので、各部材を組付け
ながら施工することができ、施工が容易であると
いう利点も有するものである。

以下、本考案の一実施例を図面を参照しつつ詳
細に説明する。

第１図は本考案に係る換気カバーを取付けた建
物の正面図である。図示される建物の上部外壁１
はモルタル仕上、下部外壁２は板張で、その見切
部に本換気カバー３が取付けられている。

第２図は本換気カバー３の各構成部材を分解し
た状態の断面図である。

図中４は前面カバーで、その前面部５の下端は
後方へ折り返された受部６となつている。また前
面部５の上端は、後方やや上方に屈曲されて水切
部７となつており、水切部７の後端は上方へ略垂
直に屈曲されて上部取付片８となつている。

９は背面カバーで、その底面部１０の前端は下
方に屈曲されて、前記前面カバー４の受部６内に
嵌合される嵌合片１１となつている。底面部１０
には、外気を取り入れるための多数の換気孔１２
が形成されている。また、底面部１０の後端は上
方へ屈曲されて背面部１３となつており、この背
面部１３の上端は、後方へ屈曲させた後その後端
を上方に屈曲させて、更に組み上げたときに前面
カバー４の水切部７内面より下方となる位置で折
り返えして突片１４が形成されており、この突片
１４の下端が底面部１０より下方に延出した下部
取付片１５となつている。

１６は仕切板で、その後端には背面カバー９の
突片１４が嵌入される逆Ｕ字形の掴持部１７が形
成されている。仕切板１６の前端は、本換気カバ
ー３を組上げたときに前面カバー４前面部５の内
面に当接されるもので、下方にＬ字形に屈曲され
ている。また、この仕切板１６は、換気孔１２か
ら風によつて吹き上げられた雨水が更に奥へと浸
入するのを防止するためのもので、換気孔１２と
は垂直位置をずらせて多数の通孔１８が形成され
ている。

本換気カバーは、上述の前面カバー４と背面カ
バー９を受部６と嵌合片１１の嵌合によつて互に
組付けると共に、背面カバー９の突片１４に仕切
板１６の掴持部１７を嵌合させて組上げ、上部及
び下部取付片を釘打ち等によつて建物に固定する
ことによつて建物に取付けられるものである。

次に第３図により、本換気カバー３を建物に取
付けた状態をその施工手順と共に説明する。

まず、背面カバー９の突片１４に仕切板１６の
掴持部１７を嵌合させて背面カバー９に仕切板１
６を取付ける。掴持部１７と突片１４は、必要に
応じて嵌合後かしめ付けたり、リベツト等で締結
するようにしてもよい。

次いで、仕切板１６を取付けた背面カバー９
を、その下部取付片１５を釘打ち等で下地材１９
に固定ることによつて建物に取付ける。必要に応
じて掴持部１７と突片１４の嵌合部を下地材へ釘
打ちすることもできる。

そして、上述のようにして背面カバー９を取付
けた後、背面カバー９の嵌合片１１を前面カバー
４の受部６に嵌合させて背面カバー９と前面カバ
ー４を互いに組付けると共に、前面カバー４の上
部取付片８を釘打ち等によつて下地材１９に固定
して組立て及び取付けを完了する。

上部及び下部外壁１，２は、この本換気カバー
３の施工完了後に取付けられるもので、上部外壁
１は本換気カバー３の上部取付片８を覆うように
して取付けられ、下部外壁２は、その上部を本換
気カバー３の背面部１３と下部取付片１５間に挿
入するようにして取付けられている。また、少な
くとも本換気カバー３の仕切板１６の掴持部１７
頂部と、前面カバー４の水切部７内面との間に形
成される隙間に相応する隙間が下地材１９にも形
成されており、換気孔１２及び通孔１８を介して
壁空間２０内に外気を導入できるようになつてい
る。尚、２１は内壁である。

本換気カバーは、以上のようなものであつて、
建物の見切部から壁空間内に外気を取り入れるこ
とができ、これを建物の全周に亘つて成し得るの
で、壁空間及び屋根裏の換気が著しく向上され
る。特に本考案に係る換気カバーは、仕切板によ
つても雨水の浸入が防止されるので、すこぶる防
水性に優れるものである。また、上部外壁から伝
わつて落下して来る雨水は、水切部から前面部に
沿つて下方へと流過され、更に下部外壁の上部は
背面部の後方に挿入された形となるので、上部外
壁と下部外壁間の継目の防水を図る水切としても
高い効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る換気カバーを取付けた建
物の正面図、第２図は本換気カバーの各構成部材
を分解した状態の断面図、第３図は本換気カバー
を取付けた建物の見切部付近の断面図である。 １……上部外壁、２……下部外壁、３……本換
気カバー、４……前面カバー、５……前面部、６
……受部、７……水切部、８……上部取付片、９
……背面カバー、１０……底面部、１１……嵌合
片、１２……換気孔、１３……背面部、１４……
突片、１５……下部取付片、１６……仕切板、１
７……掴持部、１８……通孔、１９……下地材、
２０……壁空間、２１……内壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下端が後方へ下り返されて受部が形成されてい
   る前面部の上端を後方へ屈曲させて水切部とし、
   水切部の後端を上方へ略垂直に立ち上げて上部取
   付片とした前面カバーと、前端が下方に屈曲され
   て前面カバーの受部内に嵌挿される嵌合片とされ
   た底面部に多数の換気孔を形成し、この底面部の
   後端を上方へ屈曲させて背面部とし、背面部の上
   端を後方に屈曲させた後その後端を上方に屈曲さ
   せて更に前面カバーの水切部内面より下方で折り
   返して突片とし、この突片の下端を前記底面部よ
   り下方に延出した下部取付片とした背面カバー
   と、後端に背面カバーの突片が嵌入される逆Ｕ字
   形の掴持部を有し、前端が前面カバー前面部内面
   に当接され、かつ多数の通孔を有する仕切板とか
   らなることを特徴とする建物見切部の換気カバ
   ー。