JPH0318223Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はボールチヤツクを用いたチヤツクセツ
トの改良に関する。

ボールチヤツクには芯の引出しが数ｇ程度の弱
い力で出来、又筆圧に対しては充分な芯の固定力
を発揮するような機能が要求される。従つてチヤ
ツクの開動時のバネ力を弱く設定する必要があ
り、そのために従来はチヤツクの全長を長くする
と共にチヤツクバネのバネ力を弱くする手段が採
られている。然しながら芯固定チヤツクの全長を
長くすると加工上の困難性が増大し軸長も長くな
る等の欠点がある他、軸筒から取り外した状態で
チヤツクセツトを誤つて落下させた場合、又は軸
筒に内装された状態（特に芯を固定していない状
態）でも水平に落下させた場合等にはチヤツクケ
ース内で芯固定チヤツクの細径部が両端を支点に
して大きな撓みを生じその撓みが弾性域を越えて
しまうと予めチヤツクに付与されていた開きが閉
じてしまい芯の自由落下を妨げてしまうという事
故が生ずる欠点があつた。

また、芯固定チヤツクは芯固定時において芯振
れが防止されなければならず、そのため従来はボ
ールが転動するチヤツクケースの内面に溝を設け
るなどの手段が講じられているが、構造が複雑で
加工が困難化する等の欠点があつた。

そこで本考案は、落下衝撃等を受けた場合の芯
固定チヤツクの撓みを抑えることができ、且つ芯
固定時における芯固定チヤツクの芯振れも抑える
ことができ、然も簡単な構造でコストを安価に抑
えることができるシヤープペンシルのチヤツクセ
ツトの提供を目的とする。

上記目的を達成するために、本考案のシヤープ
ペンシルのチヤツクセツトは、先端から後端近傍
に至るスリ割りを有しスリ割りに対し垂直方向の
外面にボール受座を設けた先端大径部の後方に細
径部が延設された芯固定チヤツクを装入するチヤ
ツクケースに於て、その内孔部で芯固定チヤツク
の略中央部にあたる個所に芯固定チヤツクの開動
の妨げとならない程度に細径部の外面に近接する
内径が小さな内面突起体を設けると共に、該内面
突起体より前方内孔部の内径を芯固定時における
芯固定チヤツクの先端大径部の後端外径より僅か
に大きく設定したことを特徴とするものである。

以下本考案の実施例を図面に従い説明する。

第１図は第１実施例を示し触指繰出式シヤープ
ペンシルに使用されているチヤツクセツトを示
す。芯固定チヤツク１は先端から後端近傍まで図
面に対し垂直方面に位置するスリ割り２を有し、
その先端部は大径部３となりその外面でスリ割り
２に対し垂直方向に位置する個所には凹状のボー
ル受座４が形成され大径部３の後方には細径部５
が延設され後端には再び大径部６が形成されてい
る。

チヤツクケース７は、その内孔部における前端
にテーパ面８を有すると共に略中央部に内面突起
体として段部９を有し更に後端近傍には突起１０
を有し、又、外面部における前端近傍に外周溝１
１を有すると共に該外周溝１１の後端に鍔部１２
を有し更に後端部には小径部１３を有している。
そして、このチヤツクケース７の内孔部における
テーパ面８より後方で内面突起体としての段部９
より前方位置には、芯固定状態の芯固定チヤツク
１の先端大径部３の後端が挿入するようになつて
いて、同位置の内径は芯固定チヤツク１の先端大
径部３の後端の外径より僅かに大きく設定され、
これにより芯固定チヤツク１の芯振れを抑えられ
るようになつている。

芯固定チヤツク１はその外周部の後端大径部６
の前方にチヤツクバネ１４が装着されチヤツクケ
ース７の後端口より挿入されてチヤツクバネ１４
の前端をチヤツクケース７の段部９に衝止しその
先端をチヤツクケース７の先端口より突出させて
ボール受座４にボール１５を嵌入した後チヤツク
バネ１４により引き込んで組み付けられるもので
ある。尚、チヤツクケース７の突起１０は芯固定
チヤツク１の後端大径部６の前端に突設された鍔
部１６を衝止してチヤツクセツトの分解を防止す
る。ここでチヤツクケース７内に芯固定チヤツク
１を組み付けた状態で芯固定チヤツク１の細径部
５の略中央部にあたる位置にチヤツクケース７の
段部９が位置している。この段部９は芯固定チヤ
ツク１の開動を妨げず又芯固定チヤツク１を挿入
する場合に先端大径部３が通過可能な内径を有し
且つ芯固定チヤツク１の細径部５の外面に出来る
だけ近接するような内径に設定されチヤツクケー
ス内孔部の他の個所よりも小径となつている。

尚、チヤツクケース７の外周溝１１にはコイル
バネ１７が装着されその先端は先軸１８に螺着さ
れた軸継手１９の後端に衝合しその後端は鍔部１
２に衝合して同鍔部１２の後端が先軸後端内径段
部２０に衝止するまでチヤツクケース７を後方に
押圧している。先軸１８と軸継手１９の螺着を解
除すればチヤツクセツトは外部に取り出すことが
できる。チヤツクセツトが落下等により衝撃を受
けて撓んだ場合にも芯固定チヤツク１の細径部５
の略中央部がチヤツクケース内の内径が小さい段
部９に当接してその撓み量を抑えるためその撓み
には弾性域を越えることが無くよつて芯固定チヤ
ツク１の開きが閉じられる虞れも消失する。

尚、芯固定チヤツク１の芯誘導孔２１にはパイ
プ２２が遊嵌又は固着状態に挿入され耐衝撃性を
より一層高めている。

第２図は第２実施例を示し、同様に触指繰出式
シヤープペンシルに使用されている状態を示すも
のである。第１実施例と異なる所はチヤツクケー
ス７内に内面突起体として内径が小さい段部９が
形成される代わりに第３図及び第４図に示すよう
なＣ形リング２３が２枚重ねで設置されたことで
ある。Ｃ形リング２３は内径を任意に選択するこ
とが出来るので第１実施例の如く段部９を加工す
るよりも有利であるといえる。

本考案は叙上の如く構成され、チヤツクケース
の内孔部における芯固定チヤツクの略中央部にあ
たる個所に芯固定チヤツクの細径部の外面に近接
する内面突起体を設けたので、チヤツクセツトが
落下等による衝撃を受けた場合に芯固定チヤツク
の撓みが弾性域を越えない小さな値に抑えられる
ので芯固定チヤツクの開きが閉じられず芯の自由
落下が妨げられるような事故の発生を防止できる
効果があると共に、チヤツクケースの内孔部にお
ける内面突起体より前方位置の内径を芯固定時に
おける芯固定チヤツクの先端大径部の後端外径よ
り僅かに大きく設定したので、芯固定チヤツクの
芯振れを防止できる効果があり、然もチヤツクケ
ースの構造が複雑にならないので安価で製造でき
る有利がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１実施例の縦断面図、第２図は第２
実施例の縦断面図、第３図は第２実施例に使用さ
れるＣ形リングの正面図、第４図は第３図Ｃ形リ
ングの側面図である。 １……芯固定チヤツク、２……スリ割り、３…
…先端大径部、４……ボール受座、５……細径
部、６……後端大径部、７……チヤツクケース、
８……テーパ面、９……段部、１０……突起、１
１……外周溝、１２……鍔部、１３……小径部、
１４……チヤツクバネ、１５……ボール、１６…
…鍔部、１７……コイルバネ、１８……先軸、１
９……軸継手、２０……先軸後端内径段部、２１
……芯誘導孔、２２……パイプ、２３……Ｃ形リ
ング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端から後端近傍に至るスリ割りを有しスリ割
   りに対し垂直方向の外面にボール受座を設けた先
   端大径部の後方に細径部が延設された芯固定チヤ
   ツクを装入するチヤツクケースに於て、その内孔
   部で芯固定チヤツクの略中央部にあたる個所に芯
   固定チヤツクの開動の妨げとならない程度に細径
   部の外面に近接する内径が小さな内面突起体を設
   けると共に、該内面突起体より前方内孔部の内径
   を芯固定時における芯固定チヤツクの先端大径部
   の後端外径より僅かに大きく設定したことを特徴
   とするシヤープペンシルのチヤツクセツト。