JPH0314941B2 - - Google Patents

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JPH0314941B2
JPH0314941B2 JP13001982A JP13001982A JPH0314941B2 JP H0314941 B2 JPH0314941 B2 JP H0314941B2 JP 13001982 A JP13001982 A JP 13001982A JP 13001982 A JP13001982 A JP 13001982A JP H0314941 B2 JPH0314941 B2 JP H0314941B2
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JP
Japan
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fiber
grooves
soluble polymer
easily soluble
fibers
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JP13001982A
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JPS5921775A (ja
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Yoshiaki Sato
Akyoshi Takizawa
Masuki Fujimoto
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Publication date
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Publication of JPH0314941B2 publication Critical patent/JPH0314941B2/ja
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  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明はキシミ感、優雅な光沢、発色性に優れ
た高級織編物を構成するのに好適な繊維表面に特
定の断面形状並びに溝を有する繊維およびその製
造方法に関する。 溶解性の異なる2種の熱可塑性ポリマからなる
複合繊維において易溶解性ポリマを繊維表面付近
に配置させ繊維あるいは布帛としてから易溶解性
ポリマを溶解除去し種々の異形断面糸が得られ
る。たとえば本発明者らは特開昭55−93819号公
報にて難溶解性ポリマにより易溶解性ポリマを複
数個に分割した複合糸より易溶解性ポリマを溶解
除去し、異型度の大きい異型断面糸が得られるこ
とを提示した。 しかしながら、ここに示される範囲の技術で得
られる異型断面糸はキシミ感を付与することがで
きるもののギラツイた光沢を生じ易く、発色性が
低下し易い欠点があり、これらの欠点を解消する
必要があつた。 特開昭56−53210号公報にも繊維表面付近の特
定の位置に配置させた易溶解性ポリマを除去する
ことにより異型断面糸が得られることが開示され
ているが、得られる異型断面糸の特長、欠点は前
記した技術と同様である。 特開昭56−112535号公報には繊維軸方向に連続
した幅0.1〜4μ、深さ2〜10μの溝を6本以上有す
る吸水性の優れた繊維が提案されているが、溝が
深いために発色性が不良である欠点及び溝巾が一
定であるために断面形状が外力で変形したりフイ
ブリル化する欠点がある。 一方、熱可塑性ポリマからなる合成繊維の染色
布の発色性を繊維表面の点から改善を試みたもの
として特開昭52−99400号公報に有機合成繊維に
グロー放電プラズマ照射して繊維表面に0.1〜
0.5μの凹凸を付与する方法が開示されているが、
プラズマ放電の設備が高いためコストアツプが大
きくなることおよび顕著な発色性向上が期待でき
ないなどの問題があつた。 また、特開昭54−120728号公報や特開昭56−
91008号公報には特定の無機微粒子を添加したり、
易溶解性ポリマをブレンドしたポリエステル繊維
をアルカリ処理し、微細な凹凸、筋などを表面に
付与する技術が開示されている。これらの技術で
得られる繊維はある程度の発色性向上効果が期待
できるものの、光沢がなくくすんだ色目となる欠
点、着用時に表面状態が変化し色目や光沢が変つ
てしまう欠点、フイブリル化し易い欠点があつ
た。 本発明者はこれら従来技術の欠点改善のため鋭
意検討し、キシミ感、優雅な光沢、発色性に優れ
これらの特性が永続する繊維およびその製造する
方法を見い出したのである。 すなわち、本発明の第一の発明は、熱可塑性ポ
リマからなり繊維軸方向に連続した溝を有する繊
維であつて、溝がない場合を仮想した横断面が偏
平型形状であり、かつ該偏平型横断面の外周にお
ける長軸に沿つた側の両表面に入口幅0.2〜4μ、
深さ0.1〜1.8μで、かつ繊維内部方向に先細り状
の溝を少なくとも1個有することを特徴とする表
面に溝を有する繊維である。 本発明の繊維の最大の特徴は、繊維軸方向に連
続して存在する溝の形状および特定の断面形状に
おける溝の配置にあり、以下図面に基づいて説明
する。 第1図は本発明の繊維に溝がないと仮想した場
合の偏平型横断面形状を説明するための模式図で
ある。溝がないと仮想した横断面形状は円形を押
しつぶしたような略楕円状の偏平型であり、外周
は略直線部分と繊維内部方向よりみて凸状の滑ら
かな曲線部分よりなるか、または全て繊維内部方
向よりみて凸状の滑らかな曲線部分よりなる。繊
維の重心Gを通り外周上の2点を結ぶ線分の中で
もつとも長い線分を長軸X、もつとも短い線分を
短軸Yとする。長軸Xと短軸Yの平均の長さを有
し、繊維の重心Gを通る線分をα1β1、α2β2とした
時に曲線部分(一部直線状を含んでもよい)α1β2
とα2β1が長軸に沿つた側の両表面であり、曲線部
分α1α2とβ1β2が短軸に沿つた側の両表面である。 本発明において短軸Yに対する長軸Xの比X/Y は発色性レベルに重要な因子であり、1.2以上で
効果が認められ1.3以上で明確に効果が認められ、
1.4以上で顕著である。また、比X/Yがあまりに大 きい製糸性、解舒性が不良となるので比X/Yの範 囲は1.2〜4が好ましく、1.3〜3.5がより好まし
く、1.4〜3が一層好ましい。 第2〜4図は本発明の表面に溝を有する繊維の
代表例を示す断面図である。第2図に示す繊維は
表面に溝がないと仮想した場合の横断面が偏平型
であつて、長軸に沿つた側の両表面より2個ずつ
対向させて長軸にほぼ垂直方向に先細り状の溝を
配置させてある。第3図に示す繊維は表面に溝が
ないと仮想した場合の横断面が偏平型であつて、
長軸に沿つた側の両表面より長軸にほぼ垂直方向
に内部方向に交互に先細り状の溝を配置させてあ
る。第4図に示す繊維は表面に溝がないと仮想し
た場合の横断面が偏平型であつて、長軸に沿つた
側の両表面より長軸にほぼ垂直に内部方向に対向
させた4つの先細り状の溝と、長軸に沿つた側の
両表面より長軸にほぼ垂直に内部方向に対向させ
ることなく配置させた2つの先細り状の溝と、さ
らに短軸に沿つた側の両表面より長軸にほぼ沿つ
て内部方向に先細り状の2つの溝を配置させてあ
る。 このように短軸に沿つた側の表面より繊維内部
方向に先細り状の溝を配置させるシヤリ味、キシ
ミ感が向上して好ましい。 本発明の表面に溝を有する繊維は発色性レベル
を向上させるために、前述したようにその溝は長
軸とほぼ垂直方向に内部方向に配置させることが
好ましく、長軸とほぼ垂直に内部方向に長軸に沿
つた側の両表面より対向させて溝を配置させる
か、または長軸に沿つた側の両表面より交互に溝
を配置させることがより好ましく、後者の方が耐
フイブリル性を向上させる点で一層好ましい。 第5図は繊維表面の溝の形状を説明するための
図面である。溝の入口幅とは溝の入口付近の繊維
外周への共通接線PQの長さであり、深さとは共
通接線PQの中心Sと溝表面のもつとも繊維重心
に近い点Rを結ぶ線分SRである。 なお本発明における溝形状は繊維内部方向に先
細り状であることが必要で外力による断面形状の
変形を軽減し、フイブリル化も軽減した形状とな
つている。 ここで本発明では入口幅は0.2〜4μで、かつ深
さは0.1〜1.8μである必要がある。入口幅が0.2μ未
満あるいは4μより大きいと発色性向上効果がな
いか、あつてもごくわずかであり、0.3〜3μの範
囲が好ましく、0.4〜2μの範囲がより好ましい。
深さはより深い程キシミ感が向上するが、0.2μ程
度以上あればキシミ感は得られることおよび0.1μ
未満の浅すぎる場合は発色性向上効果がないか、
あつてもごくわずかであり、1μ付近以上より深
くなる程発色性向上効果は小さくなり、1.8μより
深くなると発色性向上効果はごくわずかかむしろ
低下するので0.2〜1.6μの範囲がより好ましい。 前記した溝は長軸に沿つた側の両表面に少なく
とも1個ずつ配置させる必要がある。溝数の総計
が1個の場合には、繊維を布帛にしたとき布帛表
面に存在する確率が小さすぎて発色性向上効果。
キシミ感向上効果が微少で本発明の効果を発揮で
きない。このため少なくとも2個以上であつて、
長軸に沿つた側の両表面に少なくとも1個ずつの
溝を配置させる必要がある。 しかし、溝の数が多すぎると溝部以外の繊維表
面の光沢が低下するので15個未満とすることが好
ましく、3〜12個の範囲がより好ましい。線分
SRの中心Mを通り、線分SRに直交する直線が溝
部表面と交わる点をT、Uとした場合、線分TU
の長さは線分PQの長さの40〜90%とし繊維内部
方向に先細りの溝形状とすることがギラツイた光
沢を防止し、表面PT,QUでの表面反射を減少
することによる発色性向上を増加させる点から好
ましい。各溝の線分PQの長さの和は溝部以外の
繊維外周長の2〜40%であることが優雅な光沢を
発揮させることができる点から好ましく5〜35%
であることがより好ましい。 なお、溝がないと仮想した横断面とは、溝部表
面PTRUQが存在せずに線分PQが繊維表面であ
ると仮想するものをいう。 溝および溝以外の側面の表面状態には特に制限
はないが、溝以外の側面には通常ポリエステル繊
維をアルカリ水溶液処理することにより形成する
繊維軸方向にタテ長の幅0.1〜1μ、長さ5μ以下の
凹みを繊維軸方向に直角方向に長さ10μ当り5個
以上付与すると発色性が向上するので好ましい。 また、著しく筋状凹部や微細凹凸を形成させる
と光沢が減少するので好ましくない。 ただし、溝部表面のみに筋状凹部や微細凹凸を
形成させることは光沢をほとんど低下させること
なく発色性を向上させることが可能であり好まし
いことである。 次いで前記した本発明に係る表面に溝を有する
繊維の製造方法について述べる。 すなわち、本発明の第二の発明は、溶解性の異
なる2種の熱可塑性ポリマからなり繊維軸方向に
連続した溝を有し、かつ偏平型横断面形状を有す
る複合繊維であつて、その横断面外周における長
軸に沿つた側の両表面に易溶解性ポリマが少なく
とも1個所以上で0.2〜4μの部分を占める複合繊
維から、該易溶解性ポリマの少なくとも一部を溶
解除去し、入口幅0.2〜4μ、深さ0.1〜1.8μ、かつ
繊維内部方向に先細り状の溝を形成することを特
徴とする表面に構を有する繊維の製造方法であ
る。 まず前記した溶解性の異なる2種の熱可塑性ポ
リマからなる偏平型横断面複合繊維の横断面形状
について説明する。第6図に示す2成分複合繊維
は偏平型横断面繊維であつて、易溶解性ポリマB
と難溶解性ポリマAとで形成されている。易溶解
性ポリマBは、長軸に沿つた側の両表面より長軸
とほぼ垂直方向に内部方向に先細りのくさび状に
2個ずつ交互に配置されている。 このような2成分複合繊維において、易溶解性
ポリマは繊維表面に0.2〜4μの長さを占める必要
があり、易溶解性ポリマの少なくとも一部を溶解
除去し、入口幅0.2〜4μ、深さ0.1〜1.8μの溝を形
成させる必要がある。ここで易溶解性ポリマの繊
維表面に占める長さとは一つの易溶解性ポリマの
表面付近に注目した場合に易溶解性ポリマと難ま
たは非溶解性ポリマとの表面での境界点を結ぶ線
分の長さであり、この長さが0.2μ未満あるいは4μ
より大きいと易溶解性ポリマの少なくとも一部を
溶解除去し溝を形成させた場合に発色性向上効果
がないかあつてもごくわずかであり、0.3〜3μの
範囲が好ましく、0.4〜2μの範囲がより好ましい。 また、易溶解性ポリマの繊維表面に占める長さ
の和は易溶解性ポリマ以外の繊維外周長の2〜40
%であることが易溶解性ポリマの少なくとも一部
を溶解除去し、表面に溝のある繊維とした場合に
優雅な光沢を発揮させることができる点から好ま
しく、5〜35%であることがより好ましい。 第6図に示した2成分複合繊維より易溶解性ポ
リマBを溶解除去することにより第3図のように
表面に溝のある繊維を製造することができる。易
溶解性ポリマの複合繊維内部での配置については
特に制限なく第7図の如く易溶解性ポリマを繊維
内部方向に十分深く配置させたものでもよいし、
さらに深く配置させ易溶解性ポリマどうしを結合
させた横断面内で一体化させたものでもかまわな
い。ただし、先に説明したように易溶解性ポリマ
の少なくとも一部を溶解除去し、表面に溝のある
繊維とした際に繊維内部方向に先細りの溝形状と
なるように易溶解性ポリマを配置させる必要があ
り、線分TUの長さを線分PQの長さの40〜90%
とすることが好ましい。 また、複合繊維を安定して製糸する観点からは
繊維重心を通る回転軸に対し対称形であることが
好ましい。 なお、前記した偏平型横断面形状を有する複合
繊維は、先に本発明者らが提案した特願昭56−
10179に具体的に記載した方法などを採用するこ
とによつて製造することができる。 次に易溶解性ポリマおよび表面に溝のある繊維
の全てあるいは大部分を形成する難または非溶解
性ポリマについて説明する。易溶解性ポリマおよ
び難または非溶解性ポリマとしては、公知の熱可
塑性のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフイ
ンなどから溶剤との関係において適宜選択すれば
良いが、両ポリマが非相溶性である組合せとする
と製糸、高次加工などでポリマ間の剥離を生じ毛
羽、糸切れなどを発生し易いので相溶性の良いポ
リマの組合せとすることが好ましい。 なお、相溶性が良いとは延伸した複合繊維にお
いて実質的にポリマ間の剥離が認められないもの
を指す。 難または非溶解性ポリマとしては物理的、化学
的特性に優れており衣料用として広く使用され、
特に発色性についての改善の要求の大きいポリエ
ステルが好ましく使用できる。 易溶解性ポリマを溶解除去する処理方法として
は操業のし易さ、安全性、コストなどの点よりア
ルカリ水溶液処理が好適であり、この観点より易
溶解性ポリマとしてはアルカリ易溶解性ポリマで
あることが好ましい。 アルカリ易溶解性ポリマとしては、ポリエステ
ルとポリアルキレングリコール類の共重合体ある
いはブレンド体、アニオン系界面活性剤を添加し
たポリエステル、金属スルホネート基を含有した
ポリエステルあるいはポリエステルと金属スルホ
ネート基を含有したポリエステルとのブレンド体
などがある。複合繊維より容易にムラなく溶解除
去できる点で易溶解性ポリマとしては金属スルホ
ネート基を含有したポリエステルあるいはポリエ
ステルと金属スルホネート基を含有したポリエス
テルとのブレンド体を好ましく使用でき、特に金
属スルホネート基を含有したポリエステルとして
は5−ソジユームスルホイソフタレート(1〜10
モル%)/エチレンテレフタレート(99〜90モル
%)共重合ポリエステルが好ましい。 難または非溶解性ポリマに対する易溶解性ポリ
マの溶剤処理における溶解速度の比は1より大で
ないと本発明の表面に溝のある繊維は得られな
い。溶解速度の比は1.5倍以上であることが好ま
しく、2倍以上であることがより好ましい。特に
本発明におけるもつとも好適な例である両成分と
もポリエステルポリマである複合繊維から易溶解
性ポリエステルポリマの少なくとも一部をアルカ
リ水溶液処理する場合には、溶解速度の比は1.5
〜6倍とし、難溶解性ポリエステルポリマを6%
以上溶解除去し、表面に溝のある繊維の溝以外の
側面に通常のポリエステル繊維をアルカリ水溶液
処理することにより形成する繊維軸方向に、タテ
長の幅0.1〜1μ、長さ5μ以下の凹みを繊維表面で
繊維軸方向に直角方向に長さ10μ当り5個以上形
成させることが好ましい。 本発明の複合繊維を形成する熱可塑性ポリマに
は本発明の効果を阻害しない範囲で艶消剤、抗酸
化剤、螢光増白剤、紫外線吸収剤などよく知られ
た添加剤を含有せしめることも可能である。 複合繊維の両ポリマの複合比は、重量比で易溶
解性ポリマ:難または非溶解性ポリマは2:98〜
20:80の範囲とし、易溶解性ポリマの全てを除去
して表面に溝のある繊維とすることが染色布とし
た場合の染色均一性が得られ易いので好ましい。 本発明で得られる表面に溝を有する繊維は、フ
イラメント状あるいは綿状のいずれでもよいが、
フイラメントの場合特に効果が顕著である。繊度
通常衣料用として使用されている0.5〜10デニー
ルの範囲が好ましく繊度ミツクス、熱収縮差ミツ
クス、断面形状ミツクスとすること、あるいは他
の繊維と混合して用いることもできる。 複合繊維より易溶解性ポリマの少なくとも一部
を溶解除去する処理は複合繊維を直接処理するこ
とも可能であるが、複合繊維を織編物とした後で
処理する方が処理効率が大きく、処理した後に繊
維間の空間を形成させ、織編物での嵩高性、ソフ
ト感を向させることもできるので好ましい。後者
の場合には製編織後織編物にしぼを発生せしめる
ことのない条件で精練および形態固定処理を行な
い、次いで溶解除去処理により易溶解性ポリマの
少なくとも一部を溶解除去処理することが好まし
い。 易溶解性ポリマの溶解除去処理としては先に説
明したようにアルカリ水溶液処理が好ましく、ア
ルカリ水溶液処理としてはアルカリ金属の水酸化
物の加熱水溶液によるバツチ式、ジツカー、ウイ
ンス、ビーム、吊り槽などの処方により、繊維あ
るいは織編物を処理するのが一般的で公知のいか
なる方法を用いてもよい。 易溶解性ポリマの溶出速度を早くするためにア
ルカリ水溶液にフエノール系物質、アミン系物
質、第4級アンモニウム、高沸点の多価アルコー
ルなどを添加して用いることもできる。 アルカリ金属の水酸化物のなかでもコストが安
く、溶出する能力が大きい点で水酸化ナトリウム
を使用することが好ましく、この場合水酸化ナト
リウム水溶液の濃度0.5〜20重量%、温度70〜120
℃として処理することが好ましい。 本発明で規定した偏平型断面の複合繊維を用い
て織編物を形成し、その易溶解性ポリマの少なく
とも一部を溶解除去して表面に溝を有する繊維で
構成される織編物とした後染色した場合または前
記複合繊維の易溶解性ポリマの少なくとも一部を
溶解除去して表面に溝を有する繊維とし、これを
織編物とした後染色した場合、驚くべきことにす
ばらしい発色性が発揮され、特に織物においてこ
の効果が顕著である。織物において、それを構成
する各繊維の配列を見ると繊維の長軸に沿つた側
の表面が織物表面に並んだ配列となり、織物表面
に入射する光のうち繊維の長軸に沿つた側に配置
されている溝の部分に入射した光はほとんど反射
することなく繊維に吸収され、このことが発色性
を向上させている理由であると推定される。 以上説明したように、本発明の表面に溝を有す
る繊維は良好な発色性を示すばかりでなく、キシ
ミ感、シヤリ味、優雅な光沢を有する高級織編
物、特に織物を構成するのに好適な繊維である。 また、製造方法においては、特殊なポリマ、装
置、処理方法を駆使せずとも簡便な方法で達成で
きるものである。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 なお、本発明における発色性の評価は次のよう
に行なつた。 評価すべき繊維サンプルからなる織物を常法に
より0.2%の非イオン活性剤〔サンデツトG−900
(三洋化成(株)製)〕と0.2%のソーダ灰を含む沸騰
水中で5分間煮沸精練し、次いで水洗、乾燥し染
色に供した。 染色条件は分散染料Sumikaron Black S−
3B10%owf、酢酸0.5c.c./、酢酸ソーダ0.2g/
からなる浴比1:30の130℃の水溶液中で60分
間染色するものとし、染色後は常法に従いハイド
ロサルフアイト2g/、苛性ソーダ2g/、
非イオン活性剤(サンデツトG−900)2g/
からなる80℃の水溶液中で20分間還元洗浄を行な
い、水洗、乾燥した。 発色性の評価は、デジタル測定色差計算機〔ス
ガ試験機(株)製〕で織物を5枚以上重ね、照射光が
透過しない状態で測定されるL値で行なつた。 L値は濃色ほど値が小さく、淡色ほど値が大き
くなる。 実施例 1 易溶解性ポリマとして5−ソジユームスルホイ
ソフタレート(2モル%)/エチレンテレフタレ
ート(98モル%)共重合ポリエステル(25℃オル
トクロロフエノール中の固有粘度0.55)、難溶解
性ポリマとしてポリエチレンテレフタレート(固
有粘度0.66、酸化チタン0.05%含有)を用い紡糸
温度295℃、紡糸速度1100m/min、易溶解性ポ
リマ:難溶解性ポリマを10:90として複合紡糸
し、引続き延伸速度350m/min、熱ピン温度125
℃、延伸倍率3.4倍で延伸を行ない、第7図の横
断面形状を有する75デニール48フイラメントの延
伸糸を得た。延伸糸の撚数は10T/mで、延伸糸
を構成する単繊糸の短軸Yに対する長軸Xの比は
1.6、易溶解性ポリマの繊維表面に占る長さは
1.2μであり、深さは約3μであつた。 なお、易溶解性ポリマの難溶解性ポリマに対す
る溶解速度比は後に述べる溶解処理条件下で4倍
である。 次いでこの延伸糸を、経糸としては150T/M
の撚を施し、緯糸としては撚を加えることなく織
密度108本/インチ、緯92本/インチとしてタフ
タを製織した。 得られた織物を精練後180℃で中間セツトしア
ルカリ水溶液処理をNaOH30g/、100℃で処
理時間を変更して表1に示す深さを有する表面に
溝を有する繊維とした。いずれのサンプルも溝の
入口幅は1.4〜1.6μの範囲であり、TUの入口幅に
対する比は70〜80%の範囲であつた。 織物中における各単繊糸の配列状態は実質的に
長軸に沿つた表面が織物表面に平行方向に並んだ
配列となつており、織物の発色性評価は表1に示
すように、本発明で規定する溝の深さの範囲を満
足するサンプルNo.2〜6に効果が認められ、特に
No.3〜5が良好であつた。キシミ感は比較例1の
サンプルに比較し、サンプルNo.2では若干強く感
じられ、No.3では効果が明瞭であり、溝が深くな
る程大きくなる。光沢はいずれのサンプルとも比
較例1のサンプルとほぼ同等の優雅な光沢を示し
た。
【表】 比較実施例 1 実施例1で使用した難溶解性ポリマのみを用い
て製糸し、実施例1の複合繊維の外周と同等の横
断面を有する75デニール48フイラメントの延伸糸
を実施例1に準じ、製織、アルカリ水溶液処理
(減量率20%)を行ない発色性を評価したところ、
L値は15.6と発色性は低いレベルであり、キシミ
感も乏しかつた。 実施例 2 実施例1の複合繊維の横断面における易溶解性
ポリマを長軸に沿つた表面の一方の中央部に1個
配置させたもの(サンプルNo.8、比較例)、長軸
に沿つた両表面の中央部に1個ずつ配置させたも
の(サンプルNo.9)とした延伸糸を実施例1に準
じて製糸、製織、アルカリ水溶液処理し、入口幅
1.4μ、深さ1.2μの表面に溝のある繊維で構成され
る織物とした。サンプルNo.8はL値は15.3と発色
性は低いレベルで、キシミ感も乏しかつた。サン
プルNo.9のL値は14.6と発色性の効果が認めら
れ、キシミ感の効果も明瞭であつた。 実施例 3 実施例1に準じ75デニール48フイラメントの延
伸糸を製糸した。 ただし、易溶解性ポリマの繊維表面に占る長さ
は表2の入口幅が得られるよう両成分の吐出比率
は適宜変更してある。実施例1に準じ製織、アル
カリ水溶液処理し、溝深さ1.0μの表面に溝を有す
る繊維で構成された織物とした。織物中における
各単繊維の配列状態は実質的に長軸に沿つた表面
が織物表面に平行方向に並んだ配列となつてお
り、TUの入口幅に対する比は、70〜80%の範囲
内であつた。 発色性評価結果を表2に示した。
【表】 織物の発色性は表2に示すように本発明で規定
する入口幅の範囲を満足するサンプルNo.11〜17に
効果が認められ、No.12〜16が良好であり、No.13〜
15が一層良好であつた。 No.11〜17のサンプルについては良好なキシミ感
と比較実施例1のサンプルと同様の優雅な光沢を
呈した。 実施例 4 易溶解性ポリマを5−ソジユームスルホイソフ
タレート(5モル%)/エチレンテレフタレート
(95モル%)共重合ポリエステル(固有粘度0.54)
とした以外は実施例1に準じ、製糸、製織、アル
カリ水溶液処理し、入口幅1.2μ、深さ1.4μ、TU
の入口幅に対する比が70〜75%の表面に溝を有す
る繊維から構成される織物を得た。 なお、易溶解性ポリマの難溶解性ポリマの溶解
速度の比は36倍である。発色性を評価したとこ
ろ、L値は14.2と絶対値は良好のレベルであつた
が、実施例1のサンプルNo.4に比較すると低いレ
ベルであつた。前記サンプルNo.4はアルカリ水溶
液処理の際に易溶解性ポリマが9%、難溶解性ポ
リマが12%減量されており、溝を有する繊維の溝
以外の側面には幅0.1〜1μ、長さ5μ以下の凹みが
10μ当り約18個存在しているのに対し、本実施例
のサンプルはアルカリ水溶液処理の際に易溶解性
ポリマが7%、難溶解性ポリマが1%減量されて
おり、溝のある繊維の溝以外の側面には幅0.1〜
1μ、長さ5μ以下の凹みが10μ当り3個しか存在し
ておらず発色性の差は溝以外の側面の形状に基づ
いていることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の表面に溝を有する繊維におい
て溝がないと仮想した横断面形状を説明するため
の模式図を、第2〜4図は本発明の表面に溝を有
する繊維の代表的な横断面を、第5図は前記溝の
形状を説明するための横断面の部分拡大図を、第
6,7図は本発明の表面に溝を有する繊維を得る
ための複合繊維の横断面の例を、それぞれ示すも
のである。 X……長軸、Y……短軸、G……重心、A……
難溶解性ポリマ、B……易溶解性ポリマ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 熱可塑性ポリマからなり繊維軸方向に連続し
    た溝を有する繊維であつて、溝がない場合を仮想
    した横断面が偏平型形状であり、かつ該偏平型横
    断面の外周における長軸に沿つた側の両表面に入
    口幅0.2〜4μ、深さ0.1〜1.8μで、かつ繊維内部方
    向に先細り状の溝を少なくとも1個有することを
    特徴とする表面に溝を有する繊維。 2 溶解性の異なる2種の熱可塑性ポリマからな
    り繊維軸方向に連続した溝を有し、かつ偏平型横
    断面形状を有する複合繊維であつて、その横断面
    外周における長軸に沿つた側の両表面に易溶解性
    ポリマが少なくとも1箇所以上で0.2〜4μの部分
    を占める複合繊維から、該易溶解性ポリマの少な
    くとも一部を溶解除去し、入口幅0.2〜4μ、深さ
    0.1〜1.8μで、かつ繊維内部方向に先細り状の溝
    を形成することを特徴とする表面に溝を有する繊
    維の製造法。
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