JPH03100141A - 溶接熱影響部靭性の優れた鋼材及びその製法 - Google Patents

溶接熱影響部靭性の優れた鋼材及びその製法

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JPH03100141A
JPH03100141A JP23783989A JP23783989A JPH03100141A JP H03100141 A JPH03100141 A JP H03100141A JP 23783989 A JP23783989 A JP 23783989A JP 23783989 A JP23783989 A JP 23783989A JP H03100141 A JPH03100141 A JP H03100141A
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steel
toughness
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less
weld heat
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JP23783989A
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Shuichi Suzuki
秀一 鈴木
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、溶接熱影響部靭性の優れた鋼材並びにその
製造方法に関するものである。
〈従来技術とその課題〉 近年、鉄鋼の製造や鋼構造物の施工に係る著しい技術革
新によって、合金元素の多量添加を要しなくても優れた
低温靭性を示す鋼材の実現が可能となり、これら低温用
鋼は海洋構造物、低温用各種貯蔵容器、氷海船、ライン
パイプ等の各種鋼構造物用として幅広い需要を誇ってい
る。
しかし、上述のような鋼材も、低温での素晴らしい靭性
を安定して確保できるのは一般に母材部だけであり、溶
接時に熱影響を受けて材質が変化する母材部分(溶接熱
影響部と呼ばれる部分)では安定した良好な低温靭性の
確保は非常に難しいと言わねばならなかった。例えば、
板厚の厚い海洋構造物用鋼板等では強度を確保するため
に炭素当量値を高くするのが普通であるが、このため溶
接熱影響部はベイナイト組織に変化し易く、従って該溶
接熱影響部の靭性が低下するのを免れ得なかった。
一方、最近の溶接施工の合理化によって溶接パス数の少
ない大入熱溶接施工が普及してきたが、この場合、溶接
熱影響部は長時間高温に留まることとなる上、非常にゆ
っくりとした速度で冷却されるために組織が粗大化し易
く、やはり靭性の低下をもたらす傾向があった。
このように、従来の低温用鋼材は母材の靭性は優れてい
るものの溶接熱影響部の靭性低下を免れることは難しく
、そのため溶接熱影響部から脆性破壊が発生する可能性
が高くて溶接組立構造物としては今一つ満足できるもの
ではなかった。
もっとも、溶接熱影響部の脆化が顕著となって問題とな
るのは、一般に厚肉鋼板の小人熱溶接の場合と極端な大
入熱溶接の場合とであるが、前者での脆化原因は、溶接
によって硬化した溶接金属近傍の溶接熱影響部が後続の
溶接熱により変質し、島状マルテンサイト又は”M −
A Con5tituent”と呼ばれるところの靭性
上好ましくない組織を生成するためと言われている。一
方、後者の場合は、前述したように溶接熱による“溶接
金属近傍の溶接熱影響部”でのオーステナイト結晶粒の
粗大化が脆化の主因であり、組織が粗くなって靭性が低
下する。
これらの事実からも明らかなように、制御圧延や加速冷
却のような製造プロセスの改善によって如何に高い靭性
値を有する鋼材が得られようとも、溶接熱影響部の靭性
特性は母材性能には関係しないで鋼材毎に特有の成る低
レベルにまで下がってしまうのが普通であった。
そこで、溶接熱影響部靭性を向上すべく、これまでに数
多くの鋼材処理方法が検討されてきた。
例えば、小人熱溶接での溶接熱影響部靭性劣化に対処す
るため、母材のSi含有量を低く抑えて島状マルテンサ
イトの生成を抑制しようとの提案がある(特開昭54−
43116号、特開昭54−43117号)。
これは、S″1がセメンタイト中に固溶しない元素であ
ることから「Si量が多(なるとセメンタイト生成が抑
制されてマルテンサイト化し易くなる」と言う性質に着
目し、逆に低SL化することによってマルテンサイト変
態の抑制を図ったものである。
しかし、大入熱溶接の場合にはこの低Si化はそれほど
効を奏するものではなかった。
また、これとは別に、鋼材中のN、O,P、S等の有害
元素を極力低下させることによって組織の地目体の靭性
を向上させようとの提案も見られる(特開昭52−54
611号、特開昭52−54612号、特開昭61−2
3714号等)。そして、この手段によると同時にマル
テンサイト化防止の効果も得られることから、このよう
な観点からも望ましいものであり、確かに溶接熱影響部
靭性の改善効果が認められるものではあったが、実際に
は靭性向上の程度はそれほど顕著なものとは言えなかっ
た。
ところで、大入熱溶接に着目した場合には、高温でも安
定な析出物を鋼中に微細に分散させておいて溶接金属近
傍の溶接熱影響部におけるオーステナイト粒粗大化を抑
制しようとの考え方が古くから見受けられたが、この思
想に従いZrN、 TiN等の安定な窒化物粒子を鋼中
に微細に分散させる方法や、REM(希土類元素)等の
酸化物、硫化物又は窒化物を鋼中に微細に分散させる方
法等も提案され(特公昭56−11742号、特開昭5
2−7319号。
特公昭60−10105号等)でいる、しかし、窒化物
については溶接熱影響部の最高到達温度が1350℃を
超える部分ではその殆んどが溶解してしまうために結晶
粒の粗大化を十分阻止することができず、またREMの
酸化物や硫化物の場合は、余りにも安定であるため鋼材
の溶製時にスラグとして抜けてしまうか、或いは残留し
たとしてもや\粗大な析出物となっているので、溶接時
のオーステナイト粒粗大化防止の効果を十分に引き出す
ことはできないと言う問題があった。
なお、前記特公昭56−11742号、特開昭52−7
319号及び特公昭60−10105号に係る提案は、
特に“溶融温度に近い高温域”或いは“溶融状態”にお
いて生成する安定な窒化物を溶接時のオーステナイト粒
粗大化抑制のために利用しようとしたものであるが、一
方で、同じ窒化物でも比較的低温域のオーステナイト中
に析出する粒子の適用を図った提案もなされている。例
えば、比較的低温域で析出するBN析出物の活用を図っ
た特公昭59−2733号、特公昭58−1184号、
特公昭59−45747号、特公昭60−30724号
、特公昭59−3537号或いは特開昭61−2703
54号等がそれである。
つまり、BNは1000〜1100℃の温度領域でオー
ステナイト中に微細析出するが、これらの析出物がフェ
ライト変態核となってフェライト変態を促進し、靭性に
有害なベーナイト組織の生成を抑制する。もっとも、冷
却速度の遅い場合にはBNは主にオーステナイト粒界に
析出してしまうが、溶接のように冷却速度が比較的速い
場合はオーステナイト粒内にも微細に析出してオーステ
ナイト粒内からのフェライト生成を促し、例え溶接熱に
よりオーステナイト粒径が粗大化したとしてもγ−α変
態時にオーステナイト粒内から多数の微細フェライトを
析出させて変態後の組織を細かくすると同時に、これに
よって硬化組織の量をも少なくし、溶接熱影響部の靭性
を改善する。しかし、上述のように、BN粒子の活用は
溶接熱影響部靭性改善のために効果があるが、B元素は
鋼中に固溶すると鋼の焼入れ性向上作用を発揮するので
硬化組織を生成し易い性質があり、このためB添加は逆
に鋼材の靭性を劣化させる危険性を孕んでいる。従って
、Bの利用を図る場合には、B量については勿論、これ
と同時に他の構成成分たるC,N、 Ti、 Ajt等
の添加元素についても最適な量を狭い範囲でコントロー
ルする必要があり、大量生産時にはかなり高度な製造管
理を余儀なくされるものであった。
このように、窒化物活用技術では、溶接時に窒化物の一
部乃至は全部が溶解して所望の作用が期待できなくなる
恐れがあるため、一般に窒化物形成元素以外の元素に対
しても細かな管理が必要となる。そこで、これらの点を
鑑みれば、溶接熱によっても溶解しない析出物を鋼中に
微細に分散させることができれば、溶接時のオーステナ
イト粒成長抑制及びγ−α変態後の組Va?lL細化・
軟質化のためには好都合と言うことになる。
窒化物より溶解し難い化合物は硫化物か酸化物であるが
、REM(希土類元素)の酸化物や硫化物で代表される
通り、一般にこれら化合物は熱的に非常に安定である。
そのため、前記化合物は溶鋼中でスラグとして抜けてし
まい易く、例え鋼中に残留したとしても大型の介在物と
なってしまう。
従って、所望の効果をこれら酸化物、硫化物で達成する
ことは非常に難しいと言わねばならない。
しかし、酸化物の中でもTieはその安定度が比較的低
いために鋼中に微細に分散させておける可能性があり、
最近、この点に着目してTiOを溶接熱影響部靭性の改
善に活用しようとの提案が幾つかなされた(特開昭59
−190313号、特開昭60−245768゜特開昭
61−79745号、特開昭63−210235号等)
これらの提案は、何れも溶鋼の脱酸時にTiを脱酸剤と
して使用し、これによってTi0粒子を鋼中に微細分散
させるものであるが、そのためMを殆んど使用しないか
、或いは使用したとしても予備脱酸程度に微量の添加が
なされるだけで、Ti脱酸後のAl含有量は0.007
%以下に規制されている。
従って、上記提案では確かにTiOが鋼中に分散して大
入熱溶接でも溶接熱影響部の靭性は改善されはするが、
鋼中にMが殆んど存在しないため鋼中に残留して固溶す
るO、Nの量が多くなり、その結果母材の靭性が一般の
へ2脱酸した鋼よりも低下してしまうばかりか、溶接金
属の靭性も低下すると言う問題があった。
上述したように、従来の溶接熱影響部靭性の改善対策は
、鋼材の製造に非常な困難を伴うばかりか、母材靭性、
溶接金属靭性を確保した状態で溶接熱影響部靭性を向上
させ得るようなバランスのとれた技術レベルまで達して
おらず、十分に完成された技術とは言い難かった。
このようなことから、本発明の目的は、母材部や溶接金
属部の靭性に優れることは勿論、大入熱溶接を施したと
しても母材に劣らない溶接熱影響部靭性を示す溶接用低
温使用鋼材を提供することに置かれた。
く課題を解決するための手段〉 本発明は、上記目的を達成すべく、特に、鋼材中にTi
酸化物を分散させて溶接熱影響部靭性を改善する手法に
着目すると共に、その欠点である母材靭性の低下、溶接
金属靭性の低下を防止するためMをTi脱酸の後に添加
すると言う工夫を加えつつ行われた本発明者による数多
くの実験結果等を基に完成されたものであり、 [溶接用鋼材を、 C: 0.03〜0.20%(以降、成分割合を表わす
%は重量%とする)。
Si : 0.05〜0.60%、    Mn : 
0.40〜2.00%。
Aj : 0.007超〜0.080%、  Ti :
 0.003〜0.030%。
Nb : 0.003〜0.030%、  O: 0.
0010〜0.0100%を含有するか、或いは更に Cu : 0.5%以下、    Ni : 1.0%
以下。
Cr : 0.5%以下、    Mo : 0.5%
以下。
V:0.10%以下、    Ca : 0.0050
%以下01種以上をも含み、残部がFe及び不可避的不
純物なる化学組成で、かつ粒径:0.5m以下の(Ti
、Nb)O複合結晶相又はこれとTie、Nb0z、N
bOの1種以上とを含む酸化物系介在物が0.001〜
0.100%含有されて成る構成とすることにより、母
材靭性や溶接金属靭性に優れることは勿論、秀でた溶接
熱影響部靭性を発揮し得るようにした点」に特徴を有し
、更には 「上記鋼材の最終成分を目指した所定の成分を含むと共
に、 溶鋼中残存酸素量: 0.020%以下。
不可避に混入するM量: 0.007%以下。
不可避に混入するSi量: 0.05%以下である溶鋼
中にTiとNbを複合添加して脱酸した後、必要量のS
i及びMを添加し、次いで鋳造又は鋳造とそれに続く加
工を施すことにより、前記母材靭性、溶接金属靭性並び
に溶接熱影響部靭性の優れた鋼材を安定して製造し得る
ようにした点」をも特徴とするものである。
以下、本発明に係る鋼材の成分組成並びに製造条件の限
定理由について説明する。
旦ユ及堕ハ C,Mnには、鋼材の強度を高めると共にHAZ組織の
硬化を促す好ましい作用があるが、C含有量が0.03
%を、そしてMn含有量が0.40%をそれぞれ下回る
とHAZの軟化を促すと同時に、溶接金属に希釈して溶
接金属の焼入れ性を低下させ、アシキュラーフェライト
の生成を抑えて溶接金属の靭性を劣化させてしまう。一
方、C含有量が0.20%を、そしてMn含有量が2.
00%をそれぞれ上回ると溶接性が悪くなって溶接割れ
を起こし易くなる。
従って、C含有量は0.03〜0.20%と、そしてM
n含有量は0.40〜2.00%とそれぞれ定めた。
M!、 Si、 Ti、 Nb、  び0Air Si
l Ti+ Nb並びに0は、本発明に係る鋼材の溶接
熱影響部組織を特徴付ける重要な元素である。
ここで、鋼の溶製段階ではM或いはSiが多いと溶接熱
影響部の組織制御に必要な(Ti、 Nb)O複合析出
物主体の酸化物形成が困難になるため、この段階ではM
含有量は0.007%以下、Si含有量は0.05%以
下のレベルにそれぞれ抑える必要がある。そして、この
状態の溶鋼にTiとNbを複合添加すれば溶接熱影響部
組織の制御に有用なTi及びNbの酸化物たる(Ti、
Nb)O,Tie、 Nb0g、 NbO等(以降、T
i−Nb系酸化物と総称する)のみが形成されることと
なる。しかし、この場合、Tiと0の量が多すぎると酸
化物が粗大化して0.5篩を超える粒径となり、溶接熱
影響部の組織制御効果が低下し実用上の有用性を失って
しまう。
そこで、所望のTi酸化物形成に必要な最低量とTi酸
化物の粗大化(溶接熱影響部組織制御効果の低下を招<
 0.5gml超への粗大化)防止の限度量を考慮し、
Ti含有量については0.003〜0.030%、 N
b含有量については0.003〜0.030%、0含有
量についてはo、ooio〜0.0100%とそれぞれ
限定し、更にTi−Nb系酸化物の総量を0.001〜
0.100%と定めた。
しかるに、鋼中のAi!、Siがこのレベルで低いまま
だと母材の靭性1強度及び溶接金属の靭性が低下するの
で、Ti −Nb複合脱酸後溶鋼の鋳造直前に適量のA
ffi、Siを添加する必要がある。ここで、Mの含有
量が0.007%以下であったり、si含有量が0.0
5%未満であると所望の母材並びに溶接金属特性が確保
できない。一方、0.080%を超えてMを含有させる
と既に形成されたTi−Nb系酸化物がMで還元され易
くなってTi−Nb系酸化物の効果が低下してしまい、
また0、60%を超えてSiを含有させると、CやMn
の場合と同様に溶接性の低下を招く。
従って、鋼材のM含有量は0.007%を超え0.08
0%以下と、そしてSi含有量は0.05〜0.60%
とそれぞれ限定した。
なお、八!については、その再添加時期が早すぎるとT
i−Nb系酸化物の還元作用が働いてしまうので、鋳造
直前に添加することが望ましい。
そして、このような条件を採用すると通常の鋳造工程に
て凝固した鋳片内に粒径が0.5gm以下のTi−Nb
系酸化物が形成される。これらの酸化物は、良く知られ
ているように、鋼のオーステナイトがらの冷却過程でオ
ーステナイトの粒界とは独立して粒内からのフェライト
生成を促進し、溶接熱影響部組織が粗大ベーナイトのみ
となるのを防止して溶接熱影響部の靭性向上に資する。
Cur Ni+ Cr+ Mo+  V+   びCa
これらの成分には、母材の強度、靭性等の特性を改善す
る作用があるので、必要に応じて何れか1種又は2種以
上を選択的に添加するのが好ましいが、以下、各成分の
適量範囲を説明する。
Cu、 Niは、鋼材の強度と靭性を同時に高める上、
溶接熱影響部の低温靭性にも害が少ない添加成分である
が、Cu含有量が0.5%を超えると鋳造圧延したスラ
ブ表面に割れが発生し易くなり、一方、1.0%を超え
てNiを添加すると鋼材製造コストの上昇を招くことか
ら、Cu含有量は0.5%以下、Ni含有量は1.0%
以下とそれぞれ定めた。
Cr、 Moは、鋼材の焼入れ性増加による母材の強度
上昇に有効であるが、何れも0.5%を超えて含有させ
ると高温での強度低下を招いたり、溶接低温割れを起こ
し易くなることから、Cr含有量もM。
含有量も0.5%以下と定めた。
■は、鋼材圧延時にオーステナイト中に炭窒化物を形成
して制御圧延の効果を促進し、・母材の強度、靭性を向
上させる作用が大きい成分であるが、0.1θ%を超え
て含有させると溶接熱影響部の靭性劣化を引き起こすこ
とから、■含有量は0.10%以下と限定した。
Caは、MnSの形状をコントロールして靭性を改善す
る作用を有しているが、0.0050%を超えて含有さ
せるとTi−Nb系酸化物を還元して溶接熱影響部靭性
改善の効果を損なわしめるようになることから、Ca含
有量は0.0050%以下と定めた。
なお、本発明に係る鋼材は前記所定条件で処理された溶
鋼を鋳造するだけでも得られるが、鋳造に次いで鍛造、
圧延等の通常の加工を施して製品化されてもその特性に
実質的な変化はない。
く作用〉 さて、本発明が最大の狙いとするところは、溶接熱影響
部の粗粒化域においてその冷却時γ−α変態を制御して
粒内フェライトを生成させるため、鋼材中にT1Nb系
酸化物を微細分散させておく点にある。そして、そのた
めに鋼中の溶存酸素量が0.020%以下で、更に不可
避的に混入するAR及びSiの量をそれぞれ0.007
%以下、 0.05%以下に調整した溶鋼中にTiを添
加して脱酸するのであるが、このままでは鋼板となった
段階で鋼中の固溶N量が高くなってしまい、母材の靭性
が劣化し易い。
また、母材中のMが少ないと、溶接時に溶接金属の靭性
も劣化し易い。そこで、Ti −Nb複合脱酸後鋳込み
直前に改めてMを添加することによってこの問題を解決
した訳である。なお、TiとNbの両方で脱酸するのは
、Ti単独添加にて脱酸する場合に生成するTi酸化物
に比べて(Ti、Nb)O複合酸化物の方が介在物の大
きさが小さくなり、酸化物の微細分散化が促進されるか
らである。
ここで、まず溶接熱影響部靭性向上の機構について説明
する。
溶接金属近傍の溶接熱影響部は溶接熱によって鋼の融点
直下まで加熱されるため、一般の鋼ではオーステナイト
が極端に粗大化してしまう。一方、この部分では、その
後の冷却速度が非常に速い。
このように、溶接熱影響部ではオーステナイト粒が大き
いために焼入れ性が上昇すると同時に冷却速度も速いこ
とから、この部分ではマルテンサイト変態或いはベーナ
イト変態が支配し、一般に硬く粗い組織が生成して靭性
が低下する。
本発明においては、母地中に溶接熱によっても溶解しな
い微細Ti−Nb系酸化物を分散させておき、これらの
酸化物が次の2つの作用を通して溶接熱影響部組織を変
化させている。
(a)  微細酸化物がオーステナイト粒の成長を抑制
してオーステナイト粒の粗大化を助止し、ベーナイト変
態、マルテンサイト変態を妨害して組織を若干微細化し
軟化する。
(b)  γ−α変態変態骨散した酸化物が核となって
フェライト生成を促進し、溶接金属に近接した溶接熱影
響部の組織をフェライトサイドプレートを主体にしたウ
ィドマンステッテン状、或いはフェライト・パーライト
主体の組織に変化させる。
上記(81項で示した作用のためには、析出物径が0.
02JEIl以下であればその効果が大きいと一般に言
われているが、酸化物の場合にはこのように小さいもの
を鋼中に残存させることは難しい0例えば、Tiのみで
脱酸する場合にはTi!0.乃至はTiO酸化物のみ形
成されるが、これらの酸化物径は大きいものでは1〜3
趨にも達するため(81項の作用はそれほど顕著なもの
とはならない。ところが、TiとNbを複合して添加す
ると、TiとNbとが0を奪い合って酸化物径としては
0.01〜0.5μm程度の微細な(Ti、 Nb)O
複合酸化物を形成し、オーステナイト粒成長抑制効果も
や−大きくなる。
一方、山)項で示した作用のためには、析出物径が0.
05−から0.5μsのものが特に高いフェライト核生
成能を有するので好ましい。そして、本発明では鋼中の
酸化物径を0.5M以下としてこの効果を主に利用した
。その上、酸化物径が3jolを超えた場合に顕著とな
る母材靭性への悪影響は、粒径:0.5J!+1以下の
酸化物では全く見られない。また、これら酸化物の数量
密度はそれなりに高くないと生成するフェライト核の数
が少なく効果がないので、約5 X IO3ケ/nv+
3以上の数量密度が必要である。
Ti−Nb系酸化物粒子の数が増加するに従って得られ
るフェライトは微細化して溶接熱影響部靭性が向上する
が、余りに多くなって108ケ/ll113を超えるよ
うになると、母材の靭性及び延性は低下する傾向を見せ
る。但し、限界粒子数は酸化物の径と対応し、Ti単独
脱酸の場合には酸化物径かや−大きくなるので107ケ
/ll+13を超えると靭性に悪影響が見られる。そし
て、上記良好性能が得られる範囲の数量密度は、0.5
趨以下のTi−Nb系酸化物量で約o、ooi〜0.1
00%に相当する。
このような粒径及び数量密度のTi−Nb系酸化物を得
るために、Ti−Nb複合脱酸時のSi、 M、 Ti
Nb、 O量を前記のようにコントロールし、RH。
DH,VAD等の密閉容器内で処理したり、或いは鋼浴
面を^rガス等の不活性ガスによって被覆することによ
り、Ti−Nb複合添加後の溶鋼の攪拌過程で雰囲気か
らの酸化が起きないような処置をしておくことが必要で
ある。また、Ti−Nb複合脱酸の時期が早かったり鋼
浴の温度が高すぎたりするとTi−Nb系酸化物が粗大
化してしまうので、Ti −Nb複合脱酸は鋳造間近な
るべく遅い時期に実施するのが良いが、Ti−Nb系酸
化物の微細分散を効率良く行うためにTi−Nb複合脱
酸を2回に分けて実施し、Ti−Nb複合添加による予
備脱酸の後、鋳造直前に再度TiとNbによる2次脱酸
を実施しても良い。
次に、母材及び溶接金属靭性改善の機構について説明す
る。
本発明は、Ti−Nb系酸化物によって溶接熱影響部靭
性を向上させる点を大きな特徴としているが、先にも述
べたように、Ti−Nb系酸化物を多くすることは鋼の
清浄度を低下させることにもつながって母材靭性にとり
余り好ましくない。また、鋳造した鋼片中のAl量が少
ないままだと、鋼中の固溶N量が高くなってしまい母材
の靭性は劣化する傾向を示す、更に、溶接を行う場合で
も、母材中のMが少ないと溶接時の希釈によって溶接金
属中のM量も減少してしまうため、溶接金属の脱酸が不
十分となって溶接金属の靭性を低下させてしまう。
そこで、この対策として、本発明ではTi−Nb複合脱
酸後にMの添加を実施することとした。
ただ、AffiはTi、 Nbよりも脱酸作用が強<、
Ti−Nb複合脱酸後にMを添加して保持するとTi−
Nb系酸化物がMによって還元されてしまう、そこで、
MはTi−Nb複合脱酸後鋳造直前に添加することが重
要である。そして、適時に適量のMが添加されれば、T
i、 Nbで捕獲し切れなかった酸素がMによって除去
されると同時に、鋳造後は母材靭性を向上させる上で必
要なMを鋼中に固溶させておくことができる。
即ち、本発明では、Ti、 NbはTi−Nb系酸化物
を適量に微細分散させておくために添加されるので、窒
素まで十分に固定する程の量のTi、 Nbを添加する
ことは逆に有害な径及び数量密度のTi−Nb系酸化物
を生成してしまう、その結果、鋼中の窒素はTi−Nb
処理だけでは十分に固定できない、また、Ti、 Nb
は原子半径が母地のFe元素よりも大分大きく、そのた
め固溶したTi、 Nbは弾性的に固溶窒素を排斥する
応力場を有することとなる。従って、TiN、NbNは
オーステナイトの高温域でのみ生成し易く、室温まで温
度が低下した鋼中にはなにがしかの量の固溶窒素がどう
しても残存してしまう。
しかるに、固溶した窒素が母材の靭性に顕著な悪影響を
及ぼすことは良く知られたことであり、この悪影響を除
去するためには鋼中にMを固溶させておくことが非常に
効果的である。MはTll Nbはど窒素との親和力が
強くないが、Ti、 Nbのように鉄中でNとの物理的
反力が作用せず、比較的低温でもNを捕獲してAJNを
生成し易い。そして、へl添加を行うと、上記作用によ
ってTi−Nb複合脱酸した鋼の母材靭性低下を防止す
ることができる。
なお、以上の作用はその後の鋼材の処理手段に左右され
ることなく所定の効果を発揮し、圧延のまま、制御冷却
、焼入れ・焼戻し、焼ならし等のどの処理法においても
有効となる。
次に、本発明の効果を実施例によって更に具体的に説明
する。
〈実施例〉 まず、溶鋼中残存酸素量:0.020%以下、不可避的
に混入したM量:0.007%以下、不可避に混入する
Si量: 0.05%以下の溶鋼にTis或いはTiと
Nbを添加して脱酸した後、更にSi及びAlを添加し
てから鋳造を行い、第1表に示される化学組成のスラブ
を得た。次いで、これを熱間圧延して15鶴の鋼板を製
造した。なお、熱延後の鋼板の一部には、制御冷却、焼
ならし或いは焼入れ・焼戻しの処理を施した。
そして、これら各鋼板について酸化物系介在物の平均粒
径と粒子数量密度を調査したが、その結果を第1表に併
せて示した。
次に、得られた各鋼板について、それぞれV開先による
片面−層溶接を行った。溶接材料は全て同一の低温鋼用
材料を使用し、2電極サブマージアーク溶接を適用した
。ここで、先行溶接は電流:850A、電圧:35■で
、後行溶接は電流:600A、電圧:38■で実施した
が、溶接入熱は80kJ/nであった。
続いて、この溶接材から、切欠位置をそれぞれ“溶接金
属中央”、“溶接ボンド部”並びに“溶接ボンド部から
I(Al側へ1鶴入ったところ”としたシャルピー衝撃
試験片を採取して各位置での靭性レベルを調査し、その
結果を母材性能の調査結果と共に第2表に示した。
この第2表に示される結果からも、本発明に係る鋼板は
何れも母材靭性、溶接金属部靭性並びに溶接熱影響部靭
性の全てにわたって良好な性能を有しており、性能的に
バランスのとれた低温用鋼の特性を備えていることが分
かる。
これに対して、比較例11−13では過剰のTi或いは
Nbにて脱酸されたために生成酸化物が大きくなると共
に、母材中に固溶したTi或いはNbが多く、溶接金属
靭性、熱影響部靭性が却って悪化する結果となっている
また、比較例14〜22においてはNbが添加されてい
ないか、Nbの添加量が適正でないため最適なTi。
Nb複合添加材はどの十分な靭性が確保されていない。
更に、比較例23ではA1含有量が低くて母材靭性が見
劣りすると同時に、溶接金属靭性が非常に低下している
比較例24では、A1が添加されていないばかりかTi
、 Nb脱酸も不十分であり、更にこの影響で溶接熱影
響部靭性もや\低下している。
比較例25では、Mが添加されていない上にSi量も非
常に低く、従って母材靭性がや\低くなっていることに
加え、溶接金属靭性も劣化している。
比較例26では、Mの適量添加はなされているもののT
i、 Nb脱酸が不十分で、このため溶接金属部靭性改
善に必要な酸化物系析出物が不足して粒子密度が4.2
 X 10”/am’ Lかな(、溶接熱影響部靭性の
向上効果が認められない。
比較例27では、過剰のCaが添加されたため酸化物が
Caで還元されてしまい、やはり酸化物系析出物が不足
して十分な溶接熱影響部靭性が得られていない。
比較例28は、過剰のNbとVが添加された例であり、
このため溶接金属及び溶接熱影響部の靭性が低くなって
いることが確認できる。
なお、これらとは別に、適正な成分の添加を実施はした
がNbの投入をTi脱酸後に実施した鋼板についてその
性能を検討したところ、(Ti、 Nb)O複合酸化物
が析出しておらず、Nbは単独で鋼中に固溶してしまっ
て大入熱溶接熱影響部靭性向上に対して却って悪影響の
出てくることが確認された。
(効果の総括〉 以上に説明した如く、この発明によれば、良好な母材靭
性及び溶接金属靭性を有することは勿論、同時に極めて
優れた溶接熱影響部靭性を示す低温用鋼材をコスト安(
安定提供できるなど、産業上極めて有用な効果がもたら
される。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)重量割合にて C:0.03〜0.20%、Si:0.05〜0.60
    %、Mn:0.40〜2.00%、Al:0.007超
    〜0.080%、Ti:0.003〜0.030%、N
    b:0.003〜0.030%、O:0.0010〜0
    .0100% を含み、残部がFe及び不可避的不純物なる化学組成で
    、かつ粒径:0.5μm以下の(Ti、Nb)O複合結
    晶相又はこれとTiO、NbO_2、NbOの1種以上
    とを含む酸化物系介在物が0.001〜0.100%含
    有されて成ることを特徴とする、溶接熱影響部靭性の優
    れた鋼材。
  2. (2)重量割合にて C:0.03〜0.20%、Si:0.05〜0.60
    %、Mn:0.40〜2.00%、Al:0.007超
    〜0.080%、Ti:0.003〜0.030%、N
    b:0.003〜0.030%、0:0.0010〜0
    .0100% を含有すると共に、更に Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.
    5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.10%以下、
    Ca:0.0050%以下の1種以上をも含み、残部が
    Fe及び不可避的不純物なる化学組成で、かつ粒径:0
    .5μm以下の(Ti、Nb)O複合結晶相又はこれと
    TiO、NbO_2、NbOの1種以上とを含む酸化物
    系介在物が0.001〜0.100%含有されて成るこ
    とを特徴とする、溶接熱影響部靭性の優れた鋼材。
  3. (3)所定成分を含むと共に、重量割合にて溶鋼中残存
    酸素量:0.020%以下、 不可避に混入するAl量:0.007%以下、不可避に
    混入するSi量:0.05%以下 である溶鋼中にTiとNbを複合添加して脱酸した後、
    必要量のSi及びMを添加し、次いで鋳造又は鋳造とそ
    れに続く加工を施すことを特徴とする、請求項1又は2
    記載の溶接熱影響部靭性の優れた鋼材の製造方法。
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Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5254611A (en) * 1975-10-31 1977-05-04 Nippon Kokan Kk <Nkk> Steel for lrge heat input welding
JPS5751243A (en) * 1980-09-12 1982-03-26 Nippon Steel Corp Steel products for welding
JPS58204117A (ja) * 1982-05-22 1983-11-28 Kawasaki Steel Corp 微細介在物が均一に分散した鋼材の製造方法
JPS59185760A (ja) * 1983-04-07 1984-10-22 Nippon Steel Corp 溶接用高靭性鋼

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