JPH028964Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は吊杆部材用支持金具に係り、コンク
リートビル建築工事においてコンクリート床盤を
構築する際に用いられるＦデツキとと称される床
盤用プレートに、天井板や電設・空調・防災用の
各種部材を吊下支持する吊ボルトの如き吊杆部材
を吊持させるために使用され、床盤用プレート構
築後においてその下方から任位置で取付支持でき
るようにした吊杆部材用支持金具に関する。

従来から第６図に示すように、所定肉厚の延鋼
板を折曲することで三角形状の補強部Ｓが列設さ
れて成るＦデツキと称される床盤用プレートＰを
利用してコンクリートビル工事においてのコンク
リート床盤Ｃを構築する場合に、天井板や電設・
空調・防災用の各種部材Ｌを吊下支持する吊ボル
トの如き吊杆部材Ｂを吊持させるには、床盤用プ
レートＰの張設後にその上方からインサート具Ｉ
を予じめ仮止固定し、コンクリート材を打込み、
構築後に床盤用プレートＰ下方から所定手段によ
つてインサート具Ｉに連結している。ところが、
これによると、床盤用プレートＰにインサート具
Ｉ固定用の取付孔を閉穿する必要があり、また、
打込まれるコンクリート材の衝撃、振動に充分耐
え得るようにしつかり固定しなければならないば
かりでなく、非常に混雑している構築現場での作
業は非能率的であつた。

そこで、本考案者らは叙上の如き従来存した欠
点に鑑み、これらを解消すべく種々の観点から改
良を施したものであり、構築後において床盤用プ
レート下方に突出配置される前記補強部を利用す
ることに着目してこの考案の完成をみるに至つた
ものである。

以下、第１図乃至第５図を参照してこの考案を
説明すると次の通りである。

すなわち、その一実施例は、所定の床盤用プレ
ートＰにおいての底部が広く上部が狭くされて下
方へ突出形成された断面略三角形状の補強部Ｓに
取付ける支持金具であつて、平面略コ字形に折曲
形成した左右一対の挾持部材１をそれらの開口部
を互いに向き合せて開閉自在に軸着し、それらの
底側壁相互間に挾持部材１を閉鎖揺動させる締付
ボルト１１を貫挿、ナツト１２止めすると共に、
挾持部材１の開口部側縁には前記補強部Ｓ左右外
側面に当接する斜縁３と底外側面に当接する水平
縁４とを有する挾着口２を切欠形成し、所定の吊
杆部材Ｂを吊持する吊下部材１３を挾持部材１に
連結したものである。

しかして、挾持部材１は適宜肉厚の鈑材を平面
略コ字形に折曲すると共に、開口部側縁の上部が
わからＶ字形に切欠することで挾着口２を形成
し、また、開口部の下部がわに挾持部材１相互を
軸着させる軸ピン６を貫挿させる透孔５を穿設す
る。挾着口２における切欠大きさは、開閉自在に
軸着される一対の挾持部材１が充分に閉鎖された
状態での挾着口２が補強部Ｓにしつかりと外嵌挾
着させるに足りるものとしてある。

挾持部材１相互は、ボルトの如き軸ピン６によ
つて軸着連結されており、この軸ピン６は吊下部
材１３をも同時に連結させることで全体の組合せ
構造を簡素化できると共に、吊下部材１３の揺動
自在性を図ることで吊下角度の変更が可能とな
る。このとき、軸ピン６の抜脱防止はかしめられ
ることで、あるいはボルトであればナツトにて、
若しくは吊下部材１３に形成したタツプ孔にてね
じ止めされることで行なわれる。

なお、図示例にあつては、平面コ字形の挾持部
材１夫々が前記軸ピン６によつても軸着部分が変
形あるいは歪形しないようにスペーサー手段７，
８，９を備えている。第１図に示されるスペーサ
ー手段７は、一方の挾持部材１を他方のそれの左
右側壁間に挾着配置されるものとし、狭幅な挾持
部材１の底部に互いに先端縁が突き合せられる左
右の突片と成したものであり、第５図に示される
スペーサー手段８は、平面からみて互いの挾持部
材１がともに噛み合うように配置構成されるもの
とし、一方の挾持部材１の内側に配置される側壁
先端から他方の挾持部材１の内側に配置される側
壁内側面に突き当たる夫々の突片と成したもので
あり、第３図に示されるスペーサ手段９は、前記
軸ピン６に外嵌されるリングと成したものであ
る。更に、第４図に示すように、底部に吊杆部材
Ｂがねじ込まれるメネジ孔１８を有し、上部に軸
ピン６が貫挿される連結孔１４を有する鋳物製の
吊下部材１３とし、これを挾持部材１の左右側壁
間に挾着配置することで、スペーサー手段７，
８，９を省略することもできる。

軸着された挾持部材１相互を閉鎖揺動させる締
付ボルト１１は、夫々の底側壁に開穿した挿通孔
１０に貫挿されるもので、補強部Ｓに配置後、補
強部Ｓに挾着外嵌すべく閉鎖させるとき、締付ボ
ルト１１の貫挿位胆置における上下方向の調整を
図るため、前記挿通孔１形は上下方向に沿つた長
孔状とされる。この締付ボルト１１は、ねじ込ま
れるナツト１２によつて挾持部材１相互を閉鎖さ
せるもので、このとき、締付ボルト１１の空転を
阻止すべく、締付ボルト１１頭部がわを略コ字状
に折曲して挾持部材１の底側壁に係合させてお
き、ナツト１２止め作業を円滑化するとよい（第
３図参照）。

また、吊下部材１３は、公知の構造のものでよ
く、例えば、第１図に示すように、角Ｕ字形に鈑
材を折曲して、上部に連結孔１４を開穿し、底部
にナツト付吊杆部材Ｂを側方から挿通させ得る十
文字形吊下部１５を切欠形成したものとしたり、
第３図に示すように、Ｕ字形に鈑材を折曲して、
上部に連結孔１４を開穿し、内側面にＵ字状支持
盤１６が摺接する底部に長孔１７を設けたものと
したり、更には第４図に示すように、前述の如く
鋳物製のそれとしたりするものであり、いずれに
しても挾持部材１に連結され、かつ吊杆部材Ｂが
吊持される構造を備えていればよい。

次に、第２図を参照してこれが使用を説明する
と、所定の施工手順を経て構築されたコンクリー
ト床盤Ｃにおいて、そのＦデツキと称される床盤
用プレートＰの補強部Ｓの所定位置で、開放状態
にある挾持部材１を下方から持ち来たし、ナツト
１２を締付ボルト１１にねじ込むことで挾持部材
１相互を閉鎖揺動せしめ、挾着口２にて補強部Ｓ
に挾着外嵌させることによつて取付けが終了す
る。次いで、吊下部材１３に吊杆部材Ｂを吊持さ
せると共に、照明器具の如き各種部材Ｌを吊杆部
材Ｂを介して取付支持するものである。

したがつて従来と異なり、コンクリート床盤Ｃ
の構築完成終了後に、必要とする所定位置で吊杆
部材を吊持させることができ、床盤用プレートＰ
に予じめ開穿する必要がないから、そのための電
気ドリル用の配線が不要となり、煩雑な構築現場
にあつて互いに作業の邪魔にならず、作業能率を
大きく向上できると共に、従来は不可能であつた
補強部Ｓ近傍での吊持も可能となる。

左右一対の挾持部材１は、平面略コ字形に折曲
形成されているから、その底側壁相互間に貫挿し
た締付ボルト１１をナツト１２止めするも、その
強い締付力によつて歪形されることもなく、挾着
口２にてしつかりと補強部Ｓを挾着外嵌する。ま
た、挾持部材１の開口部を互いに向き合せて開閉
自在に軸着し、開口部側縁に挾着口２を切欠形成
してあるから、補強部Ｓに対してはその両側方か
ら計４辺の縁辺が締付ボルト１１、ナツト１２に
て得られる強い締付作用によつ圧止させるものと
なり、一層安定した取付状態と成すものである。

挾持部材１の開口部側縁に切欠形成した挾着口
２は、床盤用プレートＰにおいての底部が広く上
部が狭くされて下方へ突出形成された断面略三角
形状の補強部Ｓの左右外側面に当接する斜縁３と
底外側面に当接する水平縁４とを有するから、補
強部Ｓ外側にしつかりと挾着嵌合し、吊杆部材
Ｂ、吊下部材１３を介して負荷される各種部材Ｌ
の荷重によつても抜脱されず、補強部Ｓ左右外側
面の傾斜面へは挾着口２の斜縁３が密着すること
で一層の安定した支持力が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図はこの考案の実施例を示すも
ので、第１図は一部切欠分解斜視図、第２図は使
用状態における側面図、第３図及び第４図夫々は
他の実施例における分解斜視図、第５図は挾持部
材の他例における平面図であり、第６図は従来例
における断面図である。 Ｃ………コンクリート床盤、Ｐ……床盤用プレ
ート、Ｓ……補強部、Ｂ……吊杆部材、Ｌ……各
種部材、Ｉ……インサート具、１……挾持部材、
２……挾着口、３……斜縁、４……水平縁、５…
…透孔、６……軸ピン、７，８，９……スペーサ
ー手段、１０……挿通孔、１１……締付ボルト、
１２……ナツト、１３……吊下部材、１４……連
結孔、１５……吊下部、１６……支持盤、１７…
…長孔、１８……メネジ孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 所定の床盤用プレートにおいての底部が広く上
   部が狭くされて下方へ突出形成された断面略三角
   形状の補強部に取付ける支持金具であつて、平面
   略コ字形に折曲形成した左右一対の挾持部材をそ
   れらの開口部を互いに向き合せて開閉自在に軸着
   し、それらの底側壁相互間に挾持部材を閉鎖揺動
   させる締付ボルトを貫挿、ナツト止めすると共
   に、挾持部材の開口部側縁には前記補強部左右外
   側面に当接する斜縁と底外側面に当接する水平縁
   とを有する挾着口を切欠形成し、所定の吊杆部材
   を吊持する吊下部材を挾持部材に連結したことを
   特徴とする吊杆部材用支持金具。