JPH028645Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、減速装置等に用いられる向斜面擺歯
車機構（Syncline Face Cycloid Gears、以下、
シンクルギアと略称する。）用の円錐揺動斜軸の
加工装置に関する。

〈従来の技術〉 シンクルギアは、第３図にその構成例を示す如
く、対向して設けた面歯車N₁とN₄の間に、これ
ら面歯車N₁，NDの回転軸心−に対して点Ｏ
において向斜角Σで交叉する斜軸部Ｉを備えたS₁
を支承し、その斜軸部Ｉに、一体的に形成された
面歯車N₂，N₃を回動自在に支承して、それぞれ
面歯N₁，N₄に噛み合わせる。この構成におい
て、例えば軸S₁に回転を与えると、斜軸部Ｉは点
Ｏを中心として円錐揺動し、これにより、面歯車
N₂，N₃はN₁，N₄と噛合しつつ面擺運動を行う。

このとき、各面歯車N₁〜N₄の歯数をそれぞれ
N₁〜N₄（ただし、N₁＜N₂，N₃＞N₄），軸S₁の回
転数をS₁とすると、歯車N₄に連結された軸S₂は、 S₂＝S₁×（１−N₁，N₃／N₂，N₄） なる回転数で回転する。すなわち、各面歯車の
歯数を適宜に設定することにより、数十乃至数千
分の一の減速比を得ることができる。

以上の構成において、互いに噛合するN₁とN₂
およびN₃とN₄とが常にそれぞれのピツチ円錐で
正しく噛み合つて面擺運動を行う為には、軸心
−に対する斜軸部Ｉのなす角度が正しく設計上
の向斜角Σに一致し、かつ点Ｏで交叉していなけ
ればならない。実用に供して許容し得る公差は極
めて厳しい値が要求される。

〈考案が解決しようとする問題点〉 以上のような軸S₁の斜軸部Ｉ（以下、円錐揺動
斜軸Ｉと称する）を上述の公差内に収めること
は、従来、極めて困難であつて、例えば特殊な専
用治具を用いて研削を行うにしても、修正しつつ
の加工を余儀なくされ、その歩留りも悪く、高価
となつてしまうという問題があつた。

本考案の目的は、上述のような円錐揺動斜軸Ｉ
を、容易に高精度加工することのできる装置を提
供することにある。

〈問題点を解決する為の手段〉 上記の目的を達成する為の構成を、その実施例
図面である第１図を参照しつつ説明すると、本考
案は、互いに同軸上に対向して２本の軸１，２を
け設、これらを同方向に同期する回転を与え得る
よう構成する。また、軸１，２のうち少なくとも
一方を、その軸方向に摺動自在に配設する。そし
て、一方の軸１の軸端部に、軸１の軸心に対して
偏心および傾斜調節自在にチヤツク装置（例えば
コレツトチヤツク３）を装着する。また、他方の
軸２の軸端部には、軸２の軸心に対して偏心およ
び傾斜調節自在のセンタ４を装着する。そして、
軸１，２に対して平行および垂直方向に変位し得
る工具台５を設ける。

〈作用〉 あらかじめ棒状に前加工を施すとともに、その
一端面にセンタ孔Ｃを加工した素材Ｗを、チヤツ
ク装置およびセンタ４間に支持する。そして、素
材Ｗの軸心Ａが、軸１および２の軸心Ｂ−Ｂに対
して、点Ｏにおいて角度Σで交わるよう、チヤツ
ク装置およびセンタ４を軸心Ｂ−Ｂに対して偏心
および傾斜させる。その状態で、工具台５に例え
ばミーリングカツタあるいは砥石を装着して、切
込みを与えつつ軸心Ｂ−Ｂに平行に送りをかけれ
ば、素材Ｗにはその軸心Ａに対して点Ｏで交叉す
る斜軸部が形成されることになる。

〈実施例〉 本考案の実施例を、以下、図面に基づいて説明
する。

第１図は本考案実施例の要部平面断面図であ
る。基台（図示せず）の上面に、軸１および２が
それぞれハウジング１ａおよび２ｂ内に回動自在
に、互いに同軸（軸線Ｂ−Ｂ）上に対向して配設
されている。軸２は、そのハウジング２ａが図示
しないスライドユニツト上に固着されており、そ
の軸方向に変位し得るよう構成されている。

各軸１及び２の互いに向き合う端面には、それ
ぞれ外径面に歯車６ａ及び７ａが一体的に形成さ
れてなる面板６及び７が固着されている。各面板
６及び７には、第２図にその端面から見た図を示
す如く、その端面に互いに平行なＴ溝６ｂ，６
ｃ、及び７ｂ，７ｃが形成されている。そして面
板６の端面には、コレツトチヤツク保持具８がＴ
溝６ｂ，６ｃに沿つて変位調節自在にねじ止めさ
れている。又、面板７の端面には、センタ保持具
７がＴ溝７ｂ，７ｃに沿つて変位調節自在にねじ
止めされている。

コレツトチヤツク保持具８には、球面軸受１０
を介してコレツトチヤツク３が支承されており、
調節ねじ１１の回動によつて軸線Ｂ−Ｂに対して
コレツトチヤツク３の軸心を所望の角度だけ傾斜
させることができる。また、センタ保持具９に
は、球面軸受１２ａ，１２ｂを介してセンタ４が
支承されており、調節ねじ１３の回動によつて軸
線Ｂ−Ｂに対してセンタ４の軸心を所望の角度だ
け傾斜させることができる。

軸１および２と平行に、図示しないモータによ
つて回転が与えられる駆動軸１４が配設されてお
り、この駆動軸１４には、それぞれ面板６および
７に形成された歯車６ａおよび７ａに噛合する歯
車１５および１６が固着されている。従つて、駆
動軸１４の回動により、軸１および２はそれぞれ
同方向に同期して回転することになる。

基台上には、また図示しないクロススライドユ
ニツトを介して工具台５が配設されており、軸心
Ｂ−Ｂと平行に送りを、またＢ−Ｂに直交する方
向に切込みを与えることができる。

次に、本考案実施例の作用を、その使用方法と
ともに述べる。

加工すべき素材Ｗは、あらかじめ旋盤等によつ
て棒状に前加工し、一端面にはセンタ孔Ｃを加工
しておく、その素材Ｗを、コレクトチヤツク３で
把持するとともに、軸２を摺動させてセンタ４を
センタ孔Ｃに挿入する。面板６および７に装着さ
れているコレツトチヤツク保持具８およびセンタ
保持具９の締結を解き、調節ねじ１１および１３
の回動等によつて、コレツトチヤツク３およびセ
ンタ４を軸線Ｂ−Ｂに対して適宜に偏心、傾斜さ
せ、素材Ｗの軸心Ａが軸線Ｂ−Ｂに対して、シン
クルギア組立時における揺動中心となる点Ｏにお
いて向斜角Σで交叉するようセツトする。その状
態で駆動軸１４に回転を与え、工具台５に例えば
ミーリングカツタ２１を装着したミーリングヘツ
ド２０を固着して、軸線Ｂ−Ｂに直交する方向に
切込みを与えつつ、Ｂ−Ｂに平行な送りを与えれ
ば、素材Ｗには、その軸心Ａに対して点Ｏにおい
て角度Σで交わる軸心を有する斜軸部が形成され
ることになる。

ここで、コレツトチヤツク３およびセンタ４の
軸心Ｂ−Ｂに対する偏心および傾斜の調節は、一
度設定すれば以降その必要がない。また、工具台
５に砥石を装着したホイールヘツドを固着すれ
ば、斜軸部を研削仕上げすることもできる。更
に、工具台５を軸線Ｂ−Ｂを対称軸としてもう一
台対向して配設し、ミーリングカツタ等によつて
同時に切込みおよび送りを与えると、素材Ｗの加
工時におけるたわみが解消され、加工精度が向上
する。

〈効果〉 以上説明したように、本考案によれば、同方向
に同期する回転が与えられる２本の軸を、互いに
同軸上（軸線Ｂ−Ｂ）に対向して設け、それぞれ
の軸の端面には、チヤツク装置およびセンタを軸
線Ｂ−Ｂに対して偏心、傾斜調節自在に装着し、
棒状の素材をチヤツク装置とセンタ間に支持して
その軸心を軸線Ｂ−Ｂに対して任意の角度で任意
の点で交叉し得るよう構成したから、軸線Ｂ−Ｂ
に平行に送りをかけて切込みが与えられる工具に
より、素材には、その軸心に対して任意の点にお
いて任意の角度で傾斜する斜軸部を、特殊な専用
治具等を用いることなく容易に加工することがで
き、シンクルギア用の円錐揺動斜軸を、安価に、
しかも高精度に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の要部平面断面図、第２
図はその面板６又は７の端面図、第３図はシンク
ルギアの構成例を示す図である。 １，２……軸、３……コレクトチヤツク、４…
…センタ、５……工具台、６，７……面板、６
ａ，７ａ，１５，１６……歯車、１０，１２ａ，
１２ｂ……球面軸受、１４……駆動軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに同軸上に対向して、かつ、少なくとも一
   方がその軸方向に摺動自在に配設され、同方向に
   同期する回転が与えられる２本の軸と、その一方
   の軸の軸端部に、その軸心に対して偏心および傾
   斜調節自在に装着されたチヤツク装置と、他方の
   軸の軸端部に、その軸心に対して偏心および傾斜
   調節自在に装着されたセンタと、上記２本の軸に
   対して平行および垂直方向に変位し得る工具台と
   を備えた、円錐揺動斜軸の加工装置。