JPH027984Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は給水管側に負圧が生じたときに管末部
からの逆流を防止する水抜栓に関するものであ
る。

従来、水抜栓の下流に設けられる給湯器具から
の温熱水などが、断水時に給水管内が負圧になつ
たときに逆流して器具を破損したり、或いは水抜
栓の下流側配管の末端に設けられる蛇口にホース
を継いで洗浄中に、前述のように給水管内が負圧
になつて汚水が逆流して汚染問題が生じたりする
ことを防止するために配管の途中に逆流防止弁が
使用されてきた。しかし逆流防止弁を単体で水抜
栓の下流に設けると水を抜いて凍結を防止すると
いう水抜栓本来の機能が消失してしまうために、
寒冷地においては単体としての逆流防止弁は水抜
栓の上流側に設けられているが、これは地中に埋
設することになるので施工およびその后の維持管
理の上で問題があつた。そこで出願人は水抜栓の
中に逆流防止弁を組み込んだ装置を提案して課題
を解決してきた。しかし例えば同一出願人による
実公昭58−42533、実公昭58−42534、実公昭58−
42536、実公昭58−42537等で提案した水抜栓にお
いては、いづれも弁箱中を移動する弁体に逆流防
止弁が附属するものであり、そのために工作、組
立、修理などの点で手間が要り、簡便さという点
で今ひとつの改善が望まれていた。本考案はこの
問題を解決することを目的に、即ち簡便な水抜栓
の逆流防止装置を実現することを目的としてい
る。そのための技術的手段は次の通りである。原
理的には、ピストン状弁体に作用する非人為的な
力をｆ、水圧力をPo、大気圧をPa、ピストン状
弁体の直径をｄとすると次の式で表わされるｆに
よつてピストン状弁体の動き方が定まる。ｆ＝
π／４d²（Po−Pa）。通常は給水圧力Poが大気圧Pa より大きくなければ水道の役目をしないのでｆは
正の値をとり、ピストン状弁体は流入口と流出口
間の流路を拡げる方向に動く力を受けるような弁
の構造を定めることにより、給水管側が断水など
で負圧になり、Po＜Paになつたときにはｆの値
が負となり自動的に流入口と流出口間の流路を閉
じる方向に動いて逆流防止弁としての役目をする
ものである。即ち弁箱に形成するシリンダー内を
往復動するピストン状弁体が、前記シリンダー側
面に開口する流入口、流出口よび排水口の、流入
口と流出口間および流出口と排水口間を開通遮断
するように配置され、前記ピストン状弁体には流
入口側から底部に至る連通孔を設けて圧力水が作
用するようにするとともに、他端においては、前
記ピストン状弁体を往復動させるべき動力の伝達
部材と適当な量だけ自由に摺動できるように遊嵌
結合させることによつて、水抜栓の開栓状態で給
水管側に負圧が生じたときに前記ピストン状弁体
自体が自動的に動いて前記流入口と流出口間の流
路を遮断するものである。以下図面に示す実施例
によつて説明する。

第１図は本考案のひとつの例であり、第２図、
および第３図はそれぞれ状態のちがつていること
を示すものである。弁箱１にシリンダーを形成
し、その側面に流入口１〜１、流出口１〜２、排
水口１〜３をそれぞれ上から段違いに設けてあ
り、前記シリンダー内にピストン状弁体２を配置
する。ピストン状弁体２には各シリンダー内面１
〜４，１〜５，１〜６，１〜７に摺接して水封す
るリング状のパツキング２〜１，２〜２，２〜
３，２〜４を設け、底部に至る連通孔２〜５をパ
ツキング２〜１とパツキング２〜２間の側面から
設けてある。ピストン状弁体２の他端はピン３に
より離脱することのないように動力の伝達部材４
と軸方向に適当な遊び量ｂを有して遊嵌結合して
いる。図示しないが伝達部材４の上方では弁箱１
に固定するパイプ５の上方と接続される適当な操
作手段が附属している。第１図の開栓状態では水
は流入口１〜１から流出口１〜２へ流れており、
このとき弁箱１とピストン状弁体２の底面に囲ま
れた圧力室ａに圧力水が導入されてピストン状弁
体２を上方に押し上げている。通常はこの状態で
使用されるが、このときパツキング２〜１がシリ
ンダー内面１〜５に接しており排水口１〜３に流
出することはない。いま給水管側で断水などで負
圧が生じると流入口１〜１から圧力室ａ連通孔２
〜５が通じているので結果として圧力室ａ内は負
圧になりピストン状弁体２はその断面積で受ける
大気圧による力によつて自動的に遊び量ｂだけ移
動して第２図示の状態になる。この状態ではパツ
キング２〜２がシリンダー内面１〜６に接して水
封し流出口１〜２側に設ける配管を通して管末部
からの逆流する水を止めている。即ち本考案の課
題とした逆流防止を行うことができるのである。
この状態でもパツキング２〜１がシリンダー内面
１〜５に接して水封しているために排水口１〜３
側からの逆流も生じない。第１図示の開栓状態か
ら伝達部材４が接続しているハンドル（図面省
略）をまわして伝達部材４を上方に移動させると
ピストン状弁体２に上昇して第３図に示す排水の
状態になる。ピストン状弁体２の最下端パツキン
グ２〜４がシリンダー内面１〜７から離脱して流
出口１〜２側と連通孔２〜５を導通し、パツキン
グ２〜１がシリンダー内面１〜４に接しパツキン
グ２〜２がシリンダー内面１〜５に接するように
なつて、その中間に位置する連通孔２〜５と排水
口が導通するので流出口１〜２と排水口１〜３間
の流路が開通し、また流入口１〜１と流出口１〜
２間の流路はパツキング２〜３がシリンダー内面
１〜６に接して水封するので遮断される。冬期間
の夜など寒ときにはこの状態にして水抜きをして
水抜栓下流側の配管内の水を無くして水道の凍結
を防止している。本実施例においてはピストン状
弁体２が水圧だけで動くものを示したが、これは
バネなどで付勢して弁体の動作を敏感にする等の
ことは当然考えられ、また伝達部材４とピストン
状弁体２の接続のしかたなどの設計変更は自由で
ある。

第４図には他の実施例を水抜栓の開栓状態で示
してある。第１図示のものと同じ機能を有する部
分には同一の番号を附してある。第１図示のもの
とは異なり弁箱１設けるシリンダーの側面に開口
する流入口１〜１と流出口１〜２との位置を逆転
して下側に流入口１〜１、中間部に流出口１〜
２、上側に排水口１〜３を設けたものであり、シ
リンダー内を往復動するピストン状弁体２設ける
パツキング２〜２とパツキング２〜３間の側面よ
り底面に貫通する連通孔２〜５を形成し圧力室ａ
を水抜栓の底部に形成することは第１図示のもの
と同様である。この状態で流入口１〜１側が負圧
になると圧力室ａ内の圧力が大気圧以下となり、
やはりピストン状弁体２はその断面積に作用する
大気圧によつて降下しパツキング２〜２がシリン
ダー内面１〜６に接して、流出口１〜２側に設け
る配管内の水の流入口１〜１側への逆流を防止す
る。冬期間に排水の状態にするときには第４図示
の状態から第１図に示した実施例と同様に上方に
ピストン状弁体を移動させる。

第５図には他の実施例として第４図示のものの
ピストン状弁体をバネ６で付勢して給水管側が負
圧になつたときに、より速くより確実に逆流防止
ができるようにしたものであり、この場合弁箱１
内がいづれ大気圧になつたとしてもバネによつて
ピストン状弁体２が下方に押されてパツキング２
〜２がシリンダー内面１〜６にして水封している
のでより安定したものとなる。本考案は図示した
パイプ５、伝達部材４を無くした水抜きバルブと
して用いることももちろん可能である。

以上説明したように本考案によるとき、技術的
課題とした簡便な水抜栓の逆防防止装置を実現す
るということを、ピストン状弁体を単体で使用
し、給水管側が負圧になつたときにピストン状弁
体全体を逆流防止弁とする構造で具体化したもの
で、極めて製作上、使用上の作業性が向上される
とい優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す給水状態の縦
断面図であり、第２図は同実施例の逆流時の縦断
面図、第３図は同実施例の排水状態を示す縦断面
であり、第４図は他の実施例の縦断面図、第５図
は更に他の実施例の縦断面図である。 １……弁箱、１〜１……流入口、１〜２……流
出口、１〜３……排水口、１〜４，１〜５，１〜
６，１〜７……シリンダー内面、２……ピストン
状弁体、２〜５……連通孔、３……ピン、４……
伝達部材、５……パイプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弁箱に形成するシリンダー内を往復動するピス
   トン状弁体が、前記シリンダー側面に開口する流
   入口、流出口および排水口の流入口と流出口間お
   よび流出口と排水口間の流路を開通遮断して給水
   状態と排水状態の二つの状態を選別する水抜栓に
   おいて、少なくとも給水状態にあつては流入口か
   らの圧力水が、前記ピストン状弁体の底部に作用
   して上昇力が生じるように前記ピストン状弁体に
   は底部に至る連通孔を設けるとともに、その他端
   においては動力の伝達部材と適当な量だけ自由に
   摺動できるように遊嵌結合をすることにより、給
   水管側の圧力が大気圧より低くなつたときに、前
   記ピストン状弁体自体が自動的に移動して流入口
   と流出口間の流路を遮断することを特徴とする水
   抜栓の逆流防止機構。