JPH0262625B2

JPH0262625B2 -

Info

Publication number: JPH0262625B2
Application number: JP4266383A
Authority: JP
Inventors: Sumio Hishinuma; Katsuo Sugano
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 1983-03-15
Filing date: 1983-03-15
Publication date: 1990-12-26
Also published as: JPS59168169A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は新規な剪毛（毛羽とりを含む）方法に
関するものである。詳しくは剪毛する際に、硬質
な粗面に接触させ、液体中で揉みを加えて布帛の
剪毛を行なう。この方法により、高品位で均一な
剪毛を簡単に、効率よく得ようとするもので、か
つ抗ピル性にすぐれた布帛を提供するものであ
る。

周知のごとく、従来の代表的な剪毛方法は、シ
ヤーリングm/cによるもので、大気中で、布帛を
拡布状に走行させながら、鋭利な切羽を回転させ
て布帛の先端の毛羽を刈り込むものである。

かかる方法では、布帛と切羽とのクリアランス
の設定がとりわけ重要になるが、時として剪毛ム
ラや布帛の損傷を惹起するものである。切羽の研
磨の度合や、処理張力、処理布帛の厚さ、目付等
によつても剪毛性が大きく異なるもので、勘と経
験に依存しながら処理されており、剪毛の合理化
と、品質の安定化が求められているのが実状であ
る。

また、剪毛は布帛の毛玉（ピリング）の発生に
大きな係わりがある。一般にピリングは、ポリエ
ステルやポリアクリル等の繊維の強度が大きいも
のが、摩擦などにより、小さなからまりが核とな
り、これが内部繊維を引き出しながら毛玉が大き
く発達してゆくものと考えられ、布帛の品位や外
観を大きく損ねることになる。したがつて、毛玉
の発生を抑えるには、できるだけ毛羽を短く剪毛
することが必要になる。しかしながら、従来法で
は剪毛できる毛羽の長さに限界があることや、強
度の大きい合成繊維は剪毛されにくいこと、剪毛
後の染色や、実着用の摩擦により、容易に毛玉が
生じる等、いずれも問題が多いものである。

かかる現状に鑑み、本発明者らは鋭意検討した
結果、高品位で均一な剪毛を簡単に、効率よく、
かつ抗ピル性にすぐれた布帛を得る処理方法を見
い出し、本発明に至つたものである。

すなわち、本発明は、 (1) 立毛または毛羽を有する布帛を、液流染色機
のノズル部分に設けた該布帛よりも硬質な粒状
体からなる粗面に、接触させながら液体中で揉
んで剪毛することを特徴とする立毛または毛羽
を有する布帛の剪毛処理方法。

(2) 前記布帛が、ポリエステル系繊維からなる特
許請求の範囲第１項記載の立毛または毛羽を有
する布帛の剪毛処理方法。

(3) 前記液体が、アルカリを含有するものである
特許請求の範囲第１項記載の立毛または毛羽を
有する布帛の剪毛処理方法。

である。

以下本発明について詳述する。

本発明でいう立毛または毛羽を有する布帛と
は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、
ポリブチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン等の合成
繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キ
ユプラ等の再生繊維、ウール、木綿、麻、獣毛等
の天然繊維等からなる単一繊維、およびこれらの
混合繊維からなる織物、編物、皮革、毛皮、不織
布、モケツト、カーペツト等であり、立毛または
毛羽を有する布帛であれば、特に限定するもので
はない。このうち特に本発明の効果が顕著に発揮
できる具体例を挙げるならば、ポリエステルの短
繊維織物、および長繊維加工糸織物、極細不織シ
ートからなる人工皮革、極細繊維使いの織編物、
ポリアミドのトリコツト、ポリアクリルの丸編地
等で構成された立毛布帛である。なお、短繊維か
らなる布帛の場合は紡績糸で構成されている場合
が多く、必然的に毛羽を有する布帛となるが、長
繊維からなる布帛の場合は、回転ロールや針布を
用いて、通常のバフ加工や起毛加工を行い、一旦
毛羽出しされた布帛が本発明に適用される。かか
る布帛は染色加工の段階たとえば毛羽出し処理後
のものであるが、連続的に剪毛する場合は剪毛段
階に入る直前の立毛布帛が本発明の立毛または毛
羽を有する布帛（以下単に布帛という）に含まれ
る。

本発明でいう硬質な粗面とは次のように定義す
るものである。「布帛を構成している単繊維を切
断、損傷、破壊等のダメージを与えるほど強靭
で、鋭利な凹凸をもつ面体、粒体、立体等からな
る剛性体」をいう。具体例として、シヨア硬度50
以上の金属、あるいは新モース硬度５以上の鉱物
の粒状物研磨布（または研磨紙）などの粒状体か
らなる粗面であり、たとえば、研磨布紙等の粒状
粗面が好ましい。これら粗面の例をわかりやすく
説明するため、モデル図（側断面）を第１図と第
２図に示した。これらはサンドペーパー、床張り
材のごとき粒状粗面を有するものであり、要する
に処理布帛よりも硬質な粒状体からなる粗面でる
ことが重要であり、得ようとする剪毛度合に応じ
て硬さや粗さを選択する。

本発明でいう液体とは一般に使用される加工処
理液であり、水、油剤、有機溶剤などの単独物、
あるいはこれらの混合物である。好ましくは、平
滑剤、柔軟剤等の界面活性剤、シリコンやアルカ
リ、酸、染料、樹脂等を含んだ水溶液、分散液、
乳化液等である。あるいは必要に応じ、炭火水素
系等の有機溶剤中で処理することもなんら構わな
い。たとえば、水単独のみならず、処理布の毛羽
に対して溶解や脆化を惹起する処理液の併用も好
ましいことである。ポリエステルに対するカセイ
ソーダ、第４級アンモニウム塩、アミン、繊維膨
潤剤（キヤリヤー）ポリアミドに対するベンジル
アルコール、ギ酸、羊毛、木綿に対する酸、アル
カリ等である。目的とする剪毛度合に応じ、これ
らを適当に組み合わせて処理を行なえばよい。

本発明は液流染色機を用いて、その液体中で揉
みを与えながら剪毛処理する方法である。液流式
染色機は高温高圧処理ができ、アルカリ等の耐薬
品性がすぐれ、低張力で、かつ揉み作用の程度が
調節できるという特徴を有する。

本発明の効果を具体的に説明する。

(1) 均一な剪毛ができること。前記液流式染色機
は通常型で布速100〜300m／分、高速型は500
〜800m／分であり、通常の剪毛等にくらべて
粗面との接触回数は極めて大きくできる。さら
に、ノズルの径の大小により、布帛の絞りが調
節でき、接触圧が制御できること、および布帛
はロープ状で処理されるが、布帛の接触場所は
循環されるたびごとに、たえず変わり得るの
で、剪毛の均一性は前記粒状物のミクロ接触効
果と相まつて、驚くほど増大できることであ
る。

(2) 抗ピン性にすぐれた布帛が得られること。揉
み作用によつて潜在している毛羽や立毛が押し
出され、さらに液体による潤滑性との相乗効果
によつて極めて完全な剪毛が達成される。

(3) 剪毛処理と同時に他の処理が同時にでき、併
用できること。すなわち、本発明によれば、染
色併用のみならず、ポリエステルのアルカリ減
量による風合加工、毛羽の先鋭化加工や綿のマ
ーセル化、羊毛の縮充と同時に染色すること、
合繊で収縮発現させながら特徴ある剪毛を行な
うこと、柔軟、撥水、吸水加工を併用できるこ
となど、浴中で処理する方法のほとんどすべて
の加工に適用・組み合わせることを可能ならし
める広汎な加工技術である。

(4) 生産効率が高いこと。前述したとおり、高速
処理であるから、通常の大気中で剪毛する方法
（処理速度：10m／分程度）にくらべて、実用
レベルでも４〜10倍の高効率になる。

(5) 簡単に剪毛ができること。前記ノズルおよび
粗面の脱着は極めて簡単であり、かつ既存の液
流式染色機を用いることができ、シヤーリング
ｍ／ｃ等の特別な装置や大がかりな設備を必要と
しない。

(6) 多様性のある剪毛が得られること。液流ノズ
ルの調整等で布帛に揉み作用が変られ、かつ毛
羽の脆化剤や溶剤を併用することなどによつ
て、完全に毛羽をとりさることや、毛羽の根元
を残しながら、短い毛羽にすることも可能にす
る。

(7) 加工コストが低いこと、前記した染色加工工
程などの併用によるプロセス合理化によるコス
トダウンのほか、従来法の剪毛における静電気
除去装置、温調設備、浮遊毛羽の除塵装置など
一切不要である。粗面に用いるサンドペーパー
等その加工費も極めて微小である。

以上の説明のごとく、本発明は従来の剪毛技術
の常識からすると極めて独創的な方法であり、今
後、産業界に寄与するところ大であると確信する
ものである。

次に本発明の実施例を示すが、本発明はなんら
これらに限定されるものではない。

実施例１ 1.3デニール，44mm，40′Sのポリエステル短繊
維をタテおよびヨコ糸に用いて、毛羽を有するブ
ロード組織にタテ密度：105本／吋、ヨコ密度76
本／吋に製織した。次いで常法で精練、セツト
し、液流式染色機として“サーキユラー”RS型
（日阪製作所(株)製）を用い、第１図のごとき、サ
ンドペーパー：600メツシユ（岡本理研(株)製）を
ラツパ管に装着して、前記毛羽を有するブロード
織物を剪毛処理した（処理長：200ｍ）本発明法。
なお、ラツパ管は内径50mmφ、外径100mmφ、厚
み５mm、高さ120mmの寸法のものを用いた。処理
条件は昇温40分、100℃×20分、布速400m／分、
ノズル通過回数は120回、処理液はカセイソーダ
0.6％水溶液で、アルカリ減量（減量率：4.0％）
処理と併用しながら剪毛処理を行なつた。次いで
通常の分散染料で染色し、仕上げた。比較例１と
して、本発明に用いた前記ブロード織物（処理
長：200ｍ）を通常のシヤーリング剪毛（剪毛
機：SELLERS社（独国製））を布速7m／分で、
両面２回づつ行なつた後、粗面に接触させずに処
理し、この点を除いて、実施例１に準じ、アルカ
リ減量を行ない、染色し、仕上げた。

比較例１では毛羽が短く、かつ剪毛ムラが生
じ、毛羽質はもう一歩不満足なものであり、かつ
生産性はよくなかつた。生産時間は剪毛工程で
114分、減量工程で60分、トータル174分を要し
た。なお、このものの抗ピル性は２級で不合格で
あつた（抗ピル測定法：JIS−L1076（Ａ法））。

これに対し、本発明法は織物の両面に毛羽がほ
とんど見当らず、極めて均一に、完ぺきなほどき
れいに剪毛されているものが得られた。生産性は
剪毛処理と減処理が同時に行なわれるため、減量
処理時間：60分を要するのみで、比較例１の1/3
であり、極めて短時間に効率よくできた。なお、
本発明品の抗ピル性は、比較例１の方法に準じて
測定した結果、５級で合格しており、高品質のブ
ロード織物が得られた。

実施例２ 150デニール、48フイラメントと150デニール、
96フイラメントのポリエステルを混繊し、仮ヨリ
加工したものを、タテおよびヨコ糸に用い、ツイ
ルに製織した。次いで常法で精練、セツトし、通
常のバフ加工（粒度＃180の粒子からなるサンド
ペーパーロール、200mmφ径×1800mm幅、回転数
200r.p.m.で両面を各２回処理）を施して毛羽出
しをした。次いで、このツイル織物を、これより
も硬質である粗面に水中で接触させて剪毛処理を
した（処理長：200ｍ）。粗面は耐水性を有するサ
ンドペーパー、400メツシユ（岡本理研(株)製）を
用い、処理装置は液流式染色機の“ユニエース”
（日本染色機械(株)製）を用い、この装置のリール
とノズルの間のリングに耐水性サンドペーパーを
張り合わせ、装着した。処理は通常の分散染料を
用い、この染色工程と同時に剪毛処理を行なつ
た。処理条件は昇温40分、135℃×40分である。
比較例２として、本発明法に用いた前記ツイル織
物（処理長：200ｍ）を粗面に接触させずに処理
し、この点を除いて、本発明法に準じ染色し、比
較例１に準じたシヤーリングm/cで、該織物の両
面を各２回通常の剪毛処理を行なつた。次いで、
本発明法および比較例２を常法に従つて仕上げ
た。

比較例２では毛羽が長く、かつまばらに発生し
ており、不満足なものであつた。生産性は、染色
時間80分、剪毛時間114分、トータル194分を要
し、効率がよくなかつた。なお、このものの抗ピ
ル性は２級で不合格であつた（抗ピル性の測定は
実施例１に準じた）。

これに対し、本発明法では毛羽が極めて短く、
均一な毛羽に剪毛されており、優雅な毛羽質を有
し、かつ生産性は、先色時間80分を要するのみ
で、比較例２の1/2.4に短縮でき、極めて効率よ
く処理ができた。なお、このものの抗ピル性は４
級で合格であつた。粗面の耐水性サンドペーパー
はこの処理に十分耐えるものであり、剥離や処理
液への滲出もなく、円滑に処理できた。

【図面の簡単な説明】

本発明に適用する粗面（側断面）のモデル図の
一例を第１図と第２図に示す。

Claims

【特許請求の範囲】１立毛または毛羽を有する布帛を、液流染色機
のノズル部分に設けた該布帛よりも硬質な粒状体
からなる粗面に、接触させながら液体中で揉んで
剪毛することを特徴とする立毛または毛羽を有す
る布帛の剪毛処理方法。２前記布帛が、ポリエステル系繊維からなる特
許請求の範囲第１項記載の立毛または毛羽を有す
る布帛の剪毛処理方法。３前記液体が、アルカリを含有するものである
特許請求の範囲第１項記載の立毛または毛羽を有
する布帛の剪毛処理方法。