JPH0258450B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動二輪車の熱交換装置に関するもの
である。

エンジンのピストンやクランク機構の潤滑は、
クランクケース下方に設けたオイルパン内のオイ
ルをオイルポンプよりクランク軸へ強制循環させ
ると共にクランクの遠心力により飛散させること
により行なうが、オイルはエンジンの加熱と共に
昇温するため、その強制循環路中にオイルクーラ
を設けて冷却してやる必要がある。このオイルク
ーラは、従来の自動二輪車の場合、水冷エンジン
車ではステアリングヘツド前のフロントフオーク
上部に設置され、また空冷エンジン車では多くは
ダウンチユーブ上方に設けられており、クランク
ケースから延長するように配管されるオイルパイ
プにより連結され、オイルが強制循環されるよう
に構成されている。

このような配置構成では、オイルクーラが車体
から張り出す部分が大きくなり、車体のコンパク
ト化を図る上での障害になつていた。また、無理
にコンパクト化しようとすると冷却風が十分に与
えられなくなり、そのためにオイルクーラ自体を
大型化せざるを得なくなるため、車体のコンパク
ト化を図る効果が低減するという問題があつた。

本発明の目的は、前傾気筒のエンジンを搭載し
た自動二輪車において、熱交換器を車体に対して
コンパクトに収納しながら高い冷却効率が得られ
るようにする熱交換装置を提供することにある。

上記目的を達成する本発明は、クランクケース
の前部に上方に向け立設した気筒部を斜め前方に
前傾させた自動二輪車において、前記クランクケ
ースの前方の位置に、該位置から前記気筒部にか
けて板状の熱交換器をほぼ垂直に配置して、該熱
交換器の背部に側面視で三角状の空間を形成する
と共に、該熱交換器後方の前記クランクケース前
部にオイルフイルタを設け、この熱交換器と前記
クランクケースとの間に熱交換用液体の配管を設
けたことを特徴とするものである。

以下、本発明を熱交換器としてオイルクーラを
装備した自動二輪車の場合の実施例について説明
する。

図において、１，２はそれぞれ自動二輪車の前
輪および後輪、３はハンドル、４は燃料タンク、
５はシートである。燃料タンク４の下方には前傾
した気筒部９０と後傾した気筒部９０’とを有
し、かつそれぞれの気筒部９０，９０’にシリン
ダヘツド９，９’を設けた水冷Ｖ型４気筒のエン
ジン６が搭載されている。７はエアクリーナーで
あり、このエアクリーナ７に前後のキヤブレター
８，８′が連結され、さらにエンジン６のシリン
ダヘツド９，９′から内部の燃焼室へ至るように
なつている。１０はクランクケース、１１はその
下方に設置されたオイルパンである。

前方の左右に位置する二つのシリンダヘツド
９，９からは、それぞれ排気管１２，１２が前方
へ突出し、さらに下方へ延長した後、後方へ向か
つて延長している。この排気管１２，１２の後端
は、さらに後方へ延長するマフラー１３，１３の
前端と連結されている。また、ダウンチユーブ１
４の前部にはラジエータ１５が設けられており、
エンジンの冷却水を冷却するようになつている。

エンジン６の前方には、クランクケース１０の
前部と前傾した気筒部９０とから形成された側面
視が三角状の空間を利用して、極端な出つ張りを
招からないようにコンパクトに収納されている。
しかも、オイルクーラ１６は板状のものが水平方
向の冷却風に対して受面積を最大にするようにほ
ぼ垂直に配置されている。このオイルクーラ１６
の後方にはクランクケース１０前部にオイルフイ
ルタ２０が設けられている。上記のように配置さ
れたオイルクーラ１６は、その後方に冷却風の通
り扱けを円滑にする側面視三角状の空間を形成す
ると共に、ほぼ垂直姿勢であることによつて冷却
風の受面積を最大にするから、冷却効率を向上す
ることができる。また、オイルフイルタ２０には
オイルクーラ１６を通り扱けた冷却風が当たるこ
とにななるが、その冷却風の温度はオイルフイル
タ２０内を通る加熱されたエンジンオイルよりも
温度が低いので、オイルフイルタ２０の冷却をも
促進することができる。

上記オイルクーラ１６は、上部後端をクランク
ケース１０から延長するフレーム１０ａに固定さ
れ、下端をオイルパン１１の前端に突出するアー
ム１１ａに支持されている。オイルクーラ１６に
はそれぞれオイルパイプ１７，１８が配管されて
おり、クランクケース１０の壁面から突出するオ
イルパイプ１７にはオイルクーラ１６の下端に連
結され、さらにオイルクーラ１６の上端に連結さ
れたオイルパイプ１８はクランクケース１０内の
クランク軸１９内の潤滑路中に連結されるように
なつている。そして、オイルポンプ（図示せず）
によりオイルパン１１から汲上げられたオイル
は、オイルフイルタ２０を経てオイルパイプ１７
に至り、オイルクーラ１６において放熱を行なつ
て冷却され、次いでオイルパイプ１８からクラン
クケース１０内のクランク軸１９へ送られる。ク
ランクケース１０内ではクランク機構やピストン
の循滑を行ない、下方のオイルパン１１へ戻され
る。

２１はクランク軸１９に巻掛けられたチエンで
あり、このチエン２１は中間軸２２を介し、別の
チエン２３，２３′によりシリンダヘツド９，
９′内のカム軸２４，２４′を駆動するようになつ
ている。

上述した装置によると、オイルクーラ１６は両
側を排気管１２，１２によつて囲まれる状態にな
つており、そのため車体が横転したとしてもオイ
ルクーラ１６は両側の排気管によつて保護され、
直接衝撃を受けて破損するようなことはない。ま
た、オイルクーラ１６はクランクケース１０の前
方に位置するため、クランクケース１０からオイ
ルクーラ１６へ配管されるオイルパイプ１７，１
８の長さは、ステアリングヘツド前のフロントフ
オーク上部とか、ダウンチユーブ上方にオイルク
ーラが設けられていた従来装置に比べて著しく短
縮されることになる。そのため、オイルパイプ１
７，１８の流動抵抗は低減し、オイルポンプに対
する負荷を小さくし、ひいてはエンジンの馬力損
失を少なくすることになる。また、オイルクーラ
１６を板状でかつほぼ垂直に立てたため冷却風受
面積を最大にし、さらに後方に三角状の空間を形
成して冷却風の通り抜けをよくするから、オイル
クーラの冷却効率を向上することができる。ま
た、通り抜けた冷却風によつて後方のオイルフイ
ルタ２０の冷却も促進する。

また、上記実施例のようにオイルクーラ１６を
クランクケース１０のフレーム１０ａとオイルパ
ン１１のアーム１１ａとにより固定する構成にし
ておくと、エンジンテストなどにおいてエンジン
を取外すときはエンジンと共に取外すことがで
き、かつ装着のときも、エンジンに取付状態のま
ま装着できるという特長がある。

上述したように本発明の熱交換装置は、クラン
クケースの前部に上方に向け立設した気筒部を斜
め前方に前傾させた自動二輪車において、クラン
クケースの前方の位置に、該位置から気筒部にか
けて板状の熱交換器をほぼ垂直に配置し、該熱交
換器の背部に側面視で三角状の空間を形成するよ
うにしたので、エンジン前部の側面視三角の空間
に熱交換器をコンパクトに収納すると共に、冷却
風受面積を最大にし、かつ冷却風の後方への通り
抜けを円滑にするため冷却効率を向上することが
できる。また、熱交換器後方のクランクケース前
部にオイルフイルタを設けたので、オイルフイル
タが熱交換器を通り抜けた後の冷却風によつて冷
却され、合わせてオイルフイルタの冷却効率も良
好にする。また、配管は熱交換器とクランクケー
スとの間に設けられて短くしているため送液ポン
プの負荷を軽減する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による熱交換装置を装備した自
動二輪車の側面図、第２図は同自動二輪車の要部
を示した正面図、第３図は同じくエンジン部分の
みを拡大した要部の側面図、第４図は同じく正面
図である。 ６…エンジン、９，９′…シリンダヘツド、１
０…クランクケース、１１…オイルパン、１２…
排気管、１６…オイルクーラ、１７，１８…オイ
ルパイプ、１９…クランク軸。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ クランクケースの前部に上方に向け立設した
   気筒部を斜め前方に前傾させた自動二輪車におい
   て、前記クランクケースの前方の位置に、該位置
   から前記気筒部にかけて板状の熱交換器をほぼ垂
   直に配置して、該熱交換器の背部に側面視で三角
   状の空間を形成すると共に、該熱交換器後方の前
   記クランクケース前部にオイルフイルタを設け、
   この熱交換器と前記クランクケースとの間に熱交
   換器用液体の配管を設けた自動二輪車の熱交換装
   置。