JPH0258367B2 - - Google Patents

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JPH0258367B2
JPH0258367B2 JP57098349A JP9834982A JPH0258367B2 JP H0258367 B2 JPH0258367 B2 JP H0258367B2 JP 57098349 A JP57098349 A JP 57098349A JP 9834982 A JP9834982 A JP 9834982A JP H0258367 B2 JPH0258367 B2 JP H0258367B2
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carbon fiber
elongation
fiber
strength
fiber bundle
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JP57098349A
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Noriaki Takada
Tooru Hiramatsu
Shigeo Mitsui
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は高強伸度炭素繊維束に係り、さらに詳
しくは炭素繊維束を構成する単繊維の表層部が内
層部とは結晶構造を異にし、炭素繊維束としての
強伸度が著しく改良された炭素繊維束に関する。 [従来の技術] 従来、炭素繊維はその卓越した力学的、化学
的、電気的諸性質および軽量性などにより各種の
用途、たとえば、航空機やロケツトなどの航空・
宇宙用構造材料、テニスラケツト、ゴルフクラブ
シヤフト、釣竿などのスポーツ・レジヤー用品に
広く使用され、更に自動車、船舶などの運輸機械
用途等の分野にも使用されようとしている。 これらの用途において、炭素繊維は一般に該炭
素繊維と各種樹脂とからなる複合材料(コンポジ
ツト)の補強用として用いるが、このコンポジツ
トの強度的物性や軽量性は炭素繊維の力学的性
質、たとえば比強度に直接依存するために、より
高強度で軽量のコンポジツト用炭素繊維の製造法
について多くの提案が為されている。 [発明が解決しようとする問題点] しかしながら、これらの提案の多くは、炭素繊
維の内部欠陥、たとえばボイドの有無および単繊
維相互間の融着の有無などに関するものが殆どで
あり、コンポジツトの物性に及ぼす炭素繊維およ
びその集合体としての炭素繊維の本質的構造に関
するものではない。 本発明者らは、炭素繊維、特に樹脂をマトリツ
クスとする炭素繊維ストランドの機械的破壊機構
について鋭意検討の結果、アクリル系樹脂をプリ
カーサとする炭素繊維の引張破壊は、上記従来知
られている炭素繊維内部のボイド欠陥と同等以上
に、炭素繊維表層部の構造、欠陥あるいは官能基
量などと密接に関係していることを見出し、本発
明を為すに至つたのである。 すなわち、本発明の目的とするところは、炭素
繊維の強伸度物性が従来知られている炭素繊維の
水準をはるかに越えた新規な高強伸度炭素繊維を
提供するにあり、他の目的は炭素繊維を補強繊維
とするコンポジツトの軽量化ないし薄板化を図る
ことにある。 [問題点を解決するための手段] 上記本発明の目的は、(002)および(100)に
おける電子線回折強度が繊維の内層部にくらべて
繊維の外層部が小さく、該電子線回折による結晶
配向度が少なくとも75%で、かつX線光電子分光
法によつて求められる炭素繊維表面の酸素濃度
(O1S/C1S)が0.1〜0.4、適定法によつて求められ
るカルボキシル基量が1〜20μ・mol/gである
炭素繊維からなり、JIS−R−7601に記載のエポ
キシ樹脂“チツソノツクス”(CX)−221(登録商
標)を含浸させたストランド試験によつて求めら
れる引張強伸度がそれぞれ490Kg/mm2以上および
2.0%以上である高強伸度炭素繊維束によつて達
成することができる。 先ず、本発明における第一の特徴は、炭素繊維
束を構成する単繊維の外層部、特に繊維表面から
約1.5ミクロン(μ)以下の厚さ、好ましくは0.3
〜1μ範囲内の厚さの繊維外層部は内層部にくら
べて選択的に非晶化された結晶構造を有してお
り、かつ該繊維全体の結晶配向度が少なくとも75
%、好ましくは78〜85%の範囲内である点にあ
る。 すなわち、従来知られている炭素繊維の外層部
は本発明で規定する上記非晶化した結晶構造を有
しないか、あるいは非晶化した結晶構造を有する
としても繊維全体として75%以上の結晶配向度を
示さず、この結果本発明の炭素繊維のような極め
て大きい強伸度物性を有しないのである。 特に本発明の炭素繊維の外層部はその厚さが表
面から約1.5μ以下、好ましくは0.3〜1μの範囲内
であることが望ましい。この非晶化結晶構造を有
する外層部の厚さが約1.5μを越えると、強伸度物
性の向上効果が期待ほどに大きくない。ここで前
記外層部の厚さは、より厳密には炭素繊維の半径
の1/3以下で、かつ1.5μ以下の範囲がよく、炭
素繊維の直径が小さくなるにつれて、当然その外
層部の厚さも小さくなり、炭素繊維にはその半径
の少なくとも2/3の内層部が存在するのであ
る。 次に本発明における第二の特徴は、炭素繊維束
の強伸度がJIS−R−7601に記載のストランド試
験法において490Kg/mm2以上および2.0%以上であ
ることである。 このような高強伸度のストランド物性の発現に
は、前述した炭素繊維の内外層部の構造差および
結晶配向度と共に、X線光電子分光法(ESCA)
による炭素繊維表面の酸素濃度(O1S/C1S)およ
びカルボキシル基量を所定範囲に保つことが不可
欠となる。 このような炭素繊維束構成単繊維の特異な構
造、特に外層部構造は後述するように炭素繊維製
造工程での非晶化処理工程によつて形成される。 この非晶化処理で得られる炭素繊維束は、JIS
−R−7601に記載の平均単繊維強度が450Kg/mm2
以上であり、特にそのの繊維は、ESCAによつて
測定される酸素濃度(O1S/C1S)が0.1〜0.4、適
定法によつて求められるカルボキシル基量が1〜
20μ・mol/gの範囲内に改質されている。この
ような平均単繊維強度を有し、かつ表面改質され
た炭素繊維は特に繊維束としてコンポジツト物性
に直接対応すると言われるストランド強伸度を著
しく向上させることができるのである。 このように炭素繊維束としての高強伸度化に、
構成単繊維の平均単繊維強度が大きく影響するこ
とは誰でも予測できるが、前述した非晶化された
外層部を有し、かつ繊維表面の酸第素濃度と、繊
維全体のカルボキシル基量を所定範囲とすればス
トランド強伸度が格段に向上することは、全く驚
くべき事項と言えよう。 本発明における炭素繊維外層部の非晶化された
結晶構造および結晶配向度は次の電子線回折測定
法によつて検出・測定される値である。 電子線回折測定法: 炭素繊維試料をその繊維軸方向に引き揃えて常
温硬化型エポキシ樹脂に包埋し、硬化させる。 硬化した炭素繊維包囲ブロツクについて、その
中の炭素繊維の約2〜3本が露出するようにトリ
ミングした後、ダイヤモンドナイフを装備したミ
クロトームを用いて、第1図AおよびBに示した
ように該炭素繊維1から厚さが150〜200オングス
トローム(Å)の超薄切片2,2′を作成する。
ここで2は繊維軸方向の超薄切片、2′は繊維軸
と直交方向の超薄切片である。この超薄切片2,
2′を夫々金を蒸着したマイクログリツド上に載
置して、高分解能電子顕微鏡を用いて電子線回折
を行なう。この場合、炭素繊維の内外構造差を検
出するために、制限視野電子線回折法を用いて、
特定部分からの電子線回折像を調べる。 測定条件としては、日立(株)製電子顕微鏡H
−600型(透過型)を用い、加速電圧100KV、直
径約2500Åの制限視野絞りで、上記超薄切片のエ
ツジ(edge)からコア(core)までの電子線回
折写真を撮影する。第2図AおよびBにこのよう
にして撮影された電子線回折像の写真およびその
模式図の一例を示す。 次に、理学電気(株)製のデンシトメータを用
いて、第2図Aの電子線回折像の(002)および
(001)について、赤道線および子午線の2方向の
回折強度の走査プロフイルを作成する。 第3図は第2図Aの回折強度走査プロフイルの
一例を示す図である。 このようにして得られた走査プロフイルの最高
回折強度について繊維の内層部に対する外層部の
強度比(エツジ/コア)およびその半価巾を計測
する。 次に、(002)回折の最高強度を含む子午線方向
のプロフイルの拡がりの半価巾(H゜)から次式
を用いて結晶配向度を計算する。 結晶配向度(φ)=180゜−H゜/180゜×100 また、本発明におけるESCAによる酸素濃度
(O1S/C1S)および滴定法によるカルボキシル基
量は次の測定法によつて求められる値である。 ESCAによる酸素濃度測定法: 国際電気社製ES−200型X線光電子分光装置を
用いて励起X線としてAlKα1486.6を用い、X線
出力10Kv、20mA、温度40℃、真空度10-8torrに
て測定する。 なお、データ処理装置はDS−300型を用い、運
動エネルギー補正はC1Sの主ピークのK.Eを1202.
OeVに合せて行なう。 得られたスペクトルからC1Sに対するO1Sの相対
積分強度を計算し、炭素繊維表面の酸素含有官能
基量の指標とする。 滴定法によるカルボキシル基量測定法: 試料約5gを300ml共栓三角フラスコに秤量し、
水50ml、N/50NaOH20mlをホールピペツトで
正確に加え、さらに水30mlを加えて100mlとし、
ときどき振りまぜ20分放置後、超音波加振器に15
分間浸し、溶液50mlをホールピペツトでダルマフ
ラスコに採取し、N/50HClで滴定し、カルボキ
シル基量を求める。 滴定はメトローム電位差滴定装置を用いた。 次に、本発明の炭素繊維束の製造例について説
明する。 すなわち、先ず本発明炭素繊維束の原料繊磯
(プリカーサ)としては、単糸デニールが約0.1〜
1.5d、引張強度が5.5〜7.5g/d、同伸度が8〜
14%で、繊維表面が平滑で、断面形状が実質的に
円形であり、しかも単糸本数が1000〜30000本、
好ましくは1500〜15000本のアクリル系繊維を用
いる。 そして、このようなプリカーサに予めエアー処
理を施して充分開繊させた後、約200〜400℃の酸
化性雰囲気中、少なくとも0.1g/dの張力条件
下で耐炎化処理し、この耐炎化糸条に対してさら
にエアー処理を施した後、少なくとも1000℃の不
活性雰囲気中で炭化処理し、引張強度が300Kg/
mm2以下の単繊維含有率が20%以下で、平均単繊維
強度が320Kg/mm2以上、同伸度が1.3%以上、小角
X線回折による回折強度(1゜における)が1200カ
ウント/秒以下の炭素繊維を形成させる。 以上のような強伸度特性を有する炭素繊維をよ
り有利に製造するためには、さらにプリカーサ用
油剤として特開昭50−109368号公報、同54−
134123号公報に記載するシリコン系油剤や、特願
昭57−3085号明細書に記載する酸化防止剤を配合
した高級アルコール系または高級脂肪族系油剤を
用い、また炭化条件としては1000〜1200℃におけ
る昇温速度を100〜1000℃/分に設定するのが好
ましい。 次に、上記炭素繊維束は、硝酸含有酸化剤浴中
で表面処理を施し、水洗、乾燥(もしくは乾燥す
ることなく)の後、高温不活性雰囲気中で脱官能
基処理が施される。 この場合の酸化剤処理浴には、少なくとも20重
量%の硝酸を含有する浴が用いられ、この硝酸の
量が20重量%より少なくなると、前記した炭素繊
維表層部の効果的な非晶化が困難になる。 また該酸化剤浴には80重量%以下、好ましくは
20〜80重量%の範囲内で、リン酸、硫酸、塩酸な
どの無機酸や、各種の酸化促進能を有する金属化
合物を1種以上配合させることができる。 さらに該酸化剤浴の浴温は、約80℃以上、沸点
以下、好ましくは100℃以上沸点以下とし、また
処理時間は0.5〜150分間、好ましくは1〜60分間
以内とすべきである。すなわち、このような酸化
剤処理浴条件の範囲外では、前述した本発明の特
徴である内外層の結晶構造差および結晶配向度を
有する炭素繊維からなるストランド強伸度の大き
い繊維束を再現性よく、かつ工業的に製造するこ
とができない。 酸化処理剤を施した炭素繊維束は続いて水洗し
て付着した酸化剤を充分に除去した後、脱官能基
処理を施す。 この脱官能基処理としては、窒素、ヘリウム、
アルゴンなどの不活性雰囲気中、300℃以上、好
ましくは500〜1000℃の温度範囲内で加熱処理し、
炭素繊維の前記ESCA法による酸素濃度(O1S
C1S)が0.14〜0.4、および滴定法によるカルボキ
シル基量が1〜20μ・mol/gの範囲内になるよ
うに処理すべきである。 すなわち、これらの酸素濃度(O1S/C1S)およ
びカルボキシル基量は本発明に係る炭素繊維束の
JIS−R−7601に規定されているエポキシ樹脂
“チツソノツクス”(CX)221を含浸させたストラ
ンド試験法による強伸度値を満足する上で重要で
あるばかりか、各種の樹脂をマトリツクスとする
コンポジツトの機械的強度と密接な関連がある。
酸素濃度(O1S/C1S)、およびカルボキシル基量
が前記規定範囲外ではマトリツクスに対する接着
性の低下や、マトリツクス樹脂の硬化時の脆化な
どにより、該炭素繊維束の有する優れた強伸度的
特性がコンポジツト物性に充分反映されないので
ある。 [実施例] 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 なお、本例中、小角X線による回折強度は次の
方法で求めた値である。 X線小角散乱の測定は、先ず炭素繊維束を40mm
長に切断し、40mgを精秤採取する。試料繊維軸が
正確に平行になるようにそろえた後、試料調整用
治具を用いて巾2mmの厚さが均一な試料繊維束に
整える。薄いコロジオンを含浸させて形態がくず
れないように固定した後、該試料繊維束をX線小
角散乱強度測定試料台にセツトする。 次に、スリツト・コリメータを装着した小角X
線散乱装置を装着した理学電気社製D−8CX線発
生装置を用いて、出力40KV、20mAで赤道方向
に1゜の位置における散乱強度をシンチレーシヨ
ン・カウンターで測定する。同様にして空気散乱
を測定して、試料の散乱強度から差引いて試料の
小角X線散乱強度とする。 実施例 1 アクリロニトリル(AN)99.5モル%とイタコ
ン酸0.5モル%からなる固有粘度〔η〕が1.80の
アクリル系共重合体に、アンモニアガスをを吹き
込み、該共重合体のカルボキシル基末端水素をア
ンモニウム基で置換して変性ポリマを作製し、こ
の変性ポリマの濃度が20重量%のジメチルスルホ
キシド(DMSO)溶液を作製した。この溶液を
目びらき5μの焼結金属フイルターを用いて濾過
した後、温度60℃に調整し、温度60℃、濃度50%
のDMSO水溶液中に吐出した。この際、紡糸口
金として孔径0.05mmφ、ホール数4500のものを用
い、凝固引取り速度を18m/分とした。凝固糸条
を水洗後、熱水中で4倍に延伸した。続いてシリ
コーン系油剤処理を行なつた後、130〜160℃に加
熱されたローラ表面に接触させて乾燥緻密化し、
さらに4.0Kg/cm2の加圧スチーム中で3倍に延伸
して単糸繊度0.7d、トータル・デニール3150Dの
アクリル系繊維を得た。このとき、該アクリル系
繊維のシリコーン油剤付着量は1.2重量%とした。 次に、該アクリル系繊維にリング状ノズルを用
いて、圧力0.7Kg/cm2のエア開繊処理を施した後、
240〜260℃の空気中、延伸率1.00(糸張力;0.12
g/d)下で加熱して耐炎化度が水分率で4.2%
の酸化繊維に転換した。 該酸化繊維に前記同様のエア開繊処理を施した
後、最高温度が1300℃の窒素雰囲気中で、300〜
700℃、および100〜1200℃の温度域における昇温
速度を夫々約600℃/分に設定して炭化し、炭素
繊維を作製した。 得られた炭素繊維の平均引張強伸度をJIS−R
−7601の単繊維試験法に準じた方法で測定したと
ころ、引張強度は350Kg/mm2、引張り伸度が1.43
%、単糸強度300Kg/mm2以下の単糸の割合は19%
であつた。 また上記炭素繊維束のストランド強伸度(JIS
−R−7601に記載の樹脂含浸ストランド強伸度試
験法に準じ、樹脂処方としては“チツソノツク
ス”221(登録商標)/3フツ化ホウ素モノエチル
アミン/アセトン=100/3/4部をよく混合し
て用いた。樹脂含浸ストランドは、130℃×30分
間硬化させた。)は、強度427Kg/mm2、伸度が1.85
%であつた。 また上記炭素繊維につき1゜における小角X線散
乱強度を測定したところ、1150カウント/秒であ
つた。 上記した4500フイラメントからなる炭素繊維束
約20mをパイレツクスガラスフレームに巻き、68
%の濃硝酸にて120℃、45分の処理を行なつた。
処理後の炭素繊維束はイオン交換水にて約60分水
洗し、120℃のオーブンにて30分間乾燥を行なつ
た。この炭素繊維束は引続き窒素雰囲気下700℃
の電気炉で約1分間の加熱処理を行ない、繊維表
面に形成された酸素含有官能基量を第1表の値に
調整した。 このように濃硝酸処理〜不活性雰囲気中での熱
処理からなる表面処理を施した後の炭素繊維につ
いて、本分中に示した方法で単繊維縦断面の超薄
切片を作成し、制限視野電子線回折法によつて、
単繊維縦断面の各部分についての回折プロフイル
を得た。この回折プロフイルの中から繊維中心部
分(core)と繊維表層から0.5μ部分まで(edge)
のデータを解析してブランク(表面処理なし)の
炭素繊維と比較した。その結果を第1表に示し
た。 一方、上記表面処理後とブランク(表面処理な
し)の炭素繊維について、前記したと同様の方法
で平均単繊維強伸度およびストランド強伸度を測
定し、その結果を第2表に示した。 実施例 2 口金ホール数6000、凝固引取り速度10m/分と
した以外は、実施例1と同一の製糸方法で単繊維
繊度0.8d、トータルデニール4800Dのアクリル系
繊維を作製した。次に、該アクリル系繊維から得
た酸化繊維の炭化時の昇温速度を300℃/分とさ
らに緩やかにした他は実施例1とほぼ同一の焼成
方法で炭素繊維束を作製した。 該炭素繊維束の平均単繊維引張強伸度は、引張
強度380Kg/mm2、引張り伸度1.5%であり、単糸強
度300Kg/mm2以下の単糸の割合は15%であつた。 また1゜における小角X線散乱強度は1100カウン
ト/秒であつた。 さらに該炭素繊維束のストランド強伸度は、強
度455Kg/mm2、伸度が1.83%であつた。 次に、上記炭素繊維束を実施例1と全く同一の
条件下で、硝酸中での処理〜窒素中での加熱処理
からなる表面処理を行なつた。 得られた炭素繊維束について、実施例1と同様
に制限視野電子線回折その他による解析、および
単糸、ストランド物性を測定し、その結果をブラ
ンク(表面処理なし)の炭素繊維と併せて第1表
および第2表に示した。 比較例 1 実施例1における120℃、68%の濃硝酸中での
処理時間を6時間に変更した以外は、実施例1と
同様の表面処理を行なつた。得られた炭素繊維に
ついて、既述した方法により単繊維縦断面の各部
分についての回折プロフイルを求めた、その回折
プロフイルを解析したところ、繊維表層から約
1.8μ部分での結晶構造が第1表に示した値を示し
た。 またこの場合のストランド強伸度は、第2表に
示すとおり強度350Kg/mm2、伸度が1.51%と低水
準に止どまつた。 比較例 2 実施例2における表面処理工程で不活性雰囲気
中での熱処理を省略した以外は、実施例2と全く
同様の方法で炭素繊維束を作製した。 得られた炭素繊維について、実施例1と同様に
ESCAによる酸素濃度(O1S/C1S)、滴定法によ
るカルボキシル基量、および電子線回折による結
晶構造の比較を行なつた。その結果を第1表に示
した。 またこの場合のストランド強伸度は、第2表に
示すとおり強度310Kg/mm2、伸度が1.27%と低水
準に止どまつた。 比較例 3 口金ホール数3000、製糸工程油剤としてシリコ
ン系油剤の代わりに高級アルコール系油剤を2重
量%付着させた以外は、実施例1と同一の製糸方
法で単繊維繊度1.0d、トータルデニール3000Dの
アクリル系繊維を得た。 該アクリル系繊維束にエア開繊処理を施さずに
15ターン/mの加撚を施し、240〜260℃の空気中
で延伸率0.97(糸張力;0.07g/d)で加熱して、
耐炎化度が水分率で7.5%の酸化繊維に転換した。 次いで、該酸化繊維を最高温度が1300℃の窒素
雰囲気中で、300〜700℃および1000〜1200℃の温
度域における昇温速度を約1200℃/分、および約
1100℃/分に設定して炭化し、炭素繊維を作製し
た。 得られた炭素繊維の平均単繊維引張強伸度は、
引張強度300Kg/mm2、引張り伸度1.27%、単糸強
度300Kg/mm2以下の単糸の割合が35%であり、ま
た1゜における小角X線散乱度は1300カウント/秒
であつた。 このような炭素繊維束を実施例1と全く同様の
条件下に、硝酸中での処理、水洗、乾燥および窒
素中での加熱処理を行なつた。 得られた炭素繊維束について、上記実施例と同
様に、ESCAによる酸素濃度(O1S/C1S)、滴定
法によるカルボキシル基量、および電子線回折に
よる結晶構造の比較を行なつた。その結果を第1
表および第2表に示した。
【表】
【表】 [発明の効果] 本発明は、炭素繊維の外層部を内層部にくらべ
て選択的に非晶化させ、繊維の結晶配向度、繊維
表面の酸素濃度(O1S/C1S)、および繊維全体の
カルボキシル基量を限定すると共に、樹脂をマト
リツクスとする炭素繊維ストランドの強伸度値を
限定したものであり、この炭素繊維は従来公知の
炭素繊維と比較してストランド強伸度レベルが格
段に優れ、その結果該炭素繊維を補強繊維とする
コンポジツトの強伸度特性が大巾に向上し、もつ
てコンポジツトの軽量化や薄板化が達成できると
いう顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図AおよびBは炭素繊維束の超薄切片作製
方法の模式図、第2図AおよびBは炭素繊維の電
子線回折像の写真およびその模式図の一例を示す
図、第3図は第2図Aの電子線回折像の(002)
について、赤道方向の回折強度の走査プロフイル
を示す図である。 1:炭素繊維、2:超薄切片(繊維軸方向の切
片)、2′:超薄切片(繊維軸と直交方向の切片)。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (002)および(100)における電子線回折強
    度が繊維の内層部にくらべて繊維の外層部が小さ
    く、該電子線回折による結晶配向度が少なくとも
    75%で、かつX線光電子分光法によつて求められ
    る炭素繊維表面の酸素濃度(O1S/C1S)が0.1〜
    0.4、滴定法によつて求められるカルボキシル基
    量が1〜20μ・mol/gである炭素繊維からなり、
    JIS−R−7601に記載のエポキシ樹脂“チツソノ
    ツクス”(CX)−221(登録商標)を含浸させたス
    トランド試験によつて求められる引張強伸度がそ
    れぞれ490Kg/mm2以上および2.0%以上である高強
    伸度炭素繊維束。 2 特許請求の範囲第1項において、繊維の外層
    部の厚さが、1.5ミクロン(μ)以下である高強
    伸度炭素繊維束。 3 特許請求の範囲第1〜2項において、電子線
    回折による結晶配向度が繊維の内外層部で実質的
    に同一である高強伸度炭素繊維束。 4 特許請求の範囲第1〜3項において、(002)
    および(100)における電子線回折強度の繊維の
    内層部に対する繊維の外層部の比が0.90以下であ
    る高強伸度炭素繊維束。 5 特許請求の範囲第1項において、JIS−R−
    7601に記載の単繊維強度試験法によつて測定され
    る炭素繊維束構成単繊維の平均単繊維強度が少な
    くとも450Kg/mm2である高強伸度炭素繊維束。
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