JPH02582Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、換気枠体の換気孔を断熱遮蔽体によ
つて閉塞可能とし、かつ、該断熱遮蔽体の開閉動
作を操作杆を用いて行うこととすることにより、
屋内への外気流入を規制できて居住性を向上させ
うるとともに省エネルギ効果を発揮させることが
でき、しかも断熱遮蔽体の開閉操作が楽であり、
その上構造簡易にして廉価に製造されうる床下換
気装置に関する。

（考案の背景） 近年、第６図に示すごとく、全ての室ａ…が、
連通状態にある空気層部ｂによつて囲われるごと
くなされた空気循環式の建物が注目を集めてい
る。該建物は、概略的にいえば、室の壁面と外壁
面間、室の壁面相互間に空間ｃを形成し、該空間
ｃを小屋裏の空間ｄ及び床下の空間ｅと連通させ
るとともに、小屋裏あるいは布基礎等に換気孔ｆ
を設け、夏期においては換気孔ｆを開いた状態と
し、夜間において外の空気を取り入れそれを建物
の空間ｃ，ｄ，ｅ全体に流して冷熱を蓄えるとと
もに、昼間においては熱気を排出し夜間に蓄えら
れた冷熱で室ａを暑さから守る一方、冬期におい
ては換気孔ｆを閉じた状態とし、昼間において屋
根や壁で太陽熱を収集し暖かい空気で室ａを覆い
かつ収集された熱を建物全体に蓄えるとともに、
夜間においては蓄熱された熱の放散によつて室内
ａを暖房し、かつ静止状態にある空気層部ｂ（即
ち断熱層）が室ａの断熱性を確保するように構成
されている。このように、この種建物においては
換気孔ｆが重要な役割を果たしており、特に冬期
においては、換気孔ｆからの放熱を確実に防止す
ることが必要となる。

本考案は、換気孔からの放熱防止を確実とし
て、前記した空気循環式建物の特性を十分に発揮
せしめうることに加え、断熱遮蔽体の開閉操作を
楽に行なうことができ、しかも構造簡易にして廉
価に製造されうる床下換気装置の提供を目的とす
るものである。

（構成） 本考案の床下換気装置（以下装置という）１
は、換気枠主体２の換気孔３を、通風を確保しつ
つ小動物の侵入を防止する仕切部材５で覆つてな
る換気枠体６と、換気孔３を閉塞する断熱遮蔽体
７とを具える。該断熱遮蔽体７は、その上縁部分
４０において換気枠主体２の上縁部分４１に回動
自在に取付けられるとともに、それが換気孔３を
閉塞した状態で、断熱遮蔽体７と換気枠主体２の
内面部４７とに設けられた磁性体４５，４６の吸
着作用により換気枠主体２の内面部４７に固着さ
れる。又断熱遮蔽体７の上縁部分４０には突片３
３が突設せしめられるとともに、換気枠主体２の
上縁部分４１に設けられた案内部１７をその外側
から内側に挿通する操作杆９の内端部４９が、該
突片３３に回動自在に枢着され、該操作杆９を外
方に引くことによつて断熱遮蔽体７を開くことが
できるようになされ、しかも、断熱遮蔽体７を所
要の開き角度で保持せしめるため、該操作杆９に
は、案内部１７に設けられている係合部５２と係
合する係合片部５３を設けたことを特徴とする。

（作用） 然して第５〜６図に示すごとく、布基礎ｇに設
けられた切欠部と土台ｉとの間に形成される開口
部に本考案の装置１を嵌込み固定すると、操作杆
９を外方に引くことによつて断熱遮蔽体７を開く
ことができ、該断熱遮蔽体７は、係合部５２と係
合片部５３との係合によつて所要の開き角度で保
持される。一方換気孔３を閉じるに際しては、係
合部５２と係合片部５３との係合を解くことによ
つて、換気孔３を断熱遮蔽体７で閉塞することが
でき、該閉塞状態において、磁性体４５，４６の
吸着作用により断熱遮蔽体７の不用意な開きが防
止される。

（実施例） 次に本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１〜５図において本考案の床下換気装置１
は、換気枠主体２の換気孔３を仕切部材５で覆つ
てなる換気枠体６と、該換気孔３を閉塞しうる断
熱遮蔽体７とを具え、該断熱遮蔽体７は、操作杆
９によつて開閉せしめられる。

換気枠主体２は、額縁状をなす硬質合成樹脂成
形体であり、屋内側が開口した断面Ｕ字状をなす
矩形枠部１０の屋内側の外周縁に、段差面１１を
介して、後方に突出する鍔部１２を設け、その屋
外側の下縁には水切部１３を連設し、又該矩形枠
部１０の内周縁部には内方に突出する受片１５を
周設するとともに、矩形枠部１０の上縁部分１６
の両側には案内部１７，１７が設けられている。
該案内部１７は、上縁部分１６の底面部１９上面
に、該上猿部分１６の前面部１８に設けた開口２
１の両側に位置させて突条２２，２２を設けてな
り（第３図参照）、底面部１９の内端部には、突
条２２，２２の側方に位置させ、軸受孔２３，２
３を有する軸受片２５，２５が、内方に突出する
ごとく設けられている（第３図参照）。

仕切部材５は、通風を確保しつつ虫類、鼠、小
鳥等の小動物の侵入を防止する、例えば金網体と
して形成されており、該仕切部材５は、その周縁
部分５ａが、前記受片１５外面と矩形枠状をなす
押え部材２６とで挟着されて、換気枠主体２に固
定され、その結果、換気孔３が仕切部材５で覆わ
れた換気枠体６が形成されることとなる。

なお仕切部材５は、上記した網体の他、多数の
通気窓を有する板体、ガラリ等としても形成で
き、換気枠主体２と一体成形されることもある。

断熱遮蔽体７は、換気孔３を覆う基板２７の周
縁に壁片２９を周設してなる偏平な箱状をなす基
板３０の凹部３１に、合成樹脂発泡体等からなる
断熱材３２を添設することによつて構成されてい
る。又基板３０の上側壁片２９ａの両側には、
夫々、第２〜３図に示すごとく、前記軸受片２
５，２５間に納まるく字状をなす突片３３が突設
されており、該突片３３の基端部分には、前記軸
受孔２３，２３と孔芯が一致する透孔３５が設け
られている。そして、軸受孔２３，２３、透孔３
５に頭付ピン３６を連通しかつ該頭付ピン３６の
先端部に周設した凹溝３７にスナツプリング３９
を嵌め込むことによつて、断熱遮蔽体７は、その
上縁部分４０において換気枠主体２の上縁部分４
１に回動自在に取付けられ、その基板２７外面２
７Ｓの周縁部分が、前記受片１５の内面１５Ｓと
当接することにより、該断熱遮蔽体７は換気孔３
を閉塞する（第５図参照）。なお基板２７外面２
７Ｓの下縁部４２は下側段差面１１ａとも当接可
能とされ、該下縁部４２の略中央部分には切欠凹
部４３が設けられている。そして該切欠凹部４３
には、下側段差面１１ａに固着された磁性体（永
久磁石）４５と互いに吸着しあう磁性体（鉄片）
４６が固着されており、断熱遮蔽体７は、それが
換気孔３を閉塞した状態で、両磁性体４５，４６
の吸着作用により換気枠主体２の内面部４７に固
着され、風圧による不用意な開きが阻止される。

操作杆９，９は、ともに、第４図に示すごと
く、前記案内部１７をその外側から内側に挿通
し、その内端部４９は前記突片３３の先端部３４
に回動自在に枢着されるとともに、両操作杆９，
９の外端部５０，５０は把手５１に固着されてお
り、該把手５１を握持して両操作杆９，９を外方
に引くことによつて断熱遮蔽体７を開くことがで
きるように構成されている。又操作杆９の下側稍
外端部５０寄り部位には、案内部１７に設けられ
ている係合部（本実施例においては開口２１の下
縁部２１ａ）５２と係合しうる鉤状の係合片部５
３が突設されており、第５図に示すごとく、係合
部５２と係合片部５３との係合によつて断熱遮蔽
体７は開き状態で保持せしめられる。なお係合片
部５３は、両突条２２，２２間に形成される案内
路１７ａに案内されて前後動でき（第３〜４図参
照）、又開口２１は、操作杆９の前後動作に支障
を生じない極力小さいものとし、該開口２１から
の放熱を防止する。

なお本考案の装置１において、断熱遮蔽体７
は、その全体を合成樹脂発泡体を用いて構成する
ことができる他、空気層を内包した二重壁構造の
密閉体として構成することもできる。又案内部１
７に設けられる係合部５２及び操作杆９に設けら
れる係合片部５３は、両者の係合によつて断熱遮
蔽体７を所要の開き角度で保持せしめうる各種構
成のものを採用することができる。さらに、磁性
体４５，４６の形状、取付位置は、両磁性体４
５，４６の吸着作用によつて、断熱遮蔽体７をそ
の閉状態で換気枠主体２の内面部４７に固着させ
うるものでありさえすれば任意である。又断熱遮
蔽体７を複数段階の開き角度で保持せしめうるよ
うに、例えば係合部５２を、係合片部５２と係合
しうる複数段の係合面を具える鋸刃状に形成する
ことも可能である。

（考案の効果） 本考案の床下換気装置１は、換気枠体６の換
気孔３を断熱遮蔽体７によつて閉塞する構成と
しているため、その閉塞状態において、床下換
気孔部分における優れた断熱性を確保しうるこ
ととなり、寒冷地等における建物内の暖房効果
を高めうる。従つて本考案の装置１は、特に第
６図に示したごとき、空気循環式の建物に好適
に採用しうる。

断熱遮蔽体７を、その上縁部分４０において
換気枠主体２の上縁部分４１に回動自在に取付
け、かつ操作杆９を介して断熱遮蔽体７を開閉
するように構成しているため、該断熱遮蔽体７
の開閉機構は極めて簡単であり、開閉操作を楽
に行なうことができる。又本考案の装置１は全
体的に構造が簡素であることから、廉価に提供
されうる。

断熱遮蔽体７は、磁性体４５，４６の吸着作
用によつて換気枠主体３の内面部に固着される
ため、該断熱遮蔽体７は、その閉止状態で固定
されて風圧による不用意な開きが阻止される。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図は本考案の一実施例を示す斜視図、
第３図は断熱遮蔽体の取付け構造を説明する分解
斜視図、第４図は断熱遮蔽体の開閉構造を説明す
る斜視図、第５図は本考案の作用を説明する断面
図、第６図は床下換気装置が取付けられた空気循
環式の建物を説明する説明図である。 １……装置、２……換気枠主体、３……換気
孔、５……仕切部材、６……換気枠体、７……断
熱遮蔽体、９……操作杆、４５，４６……磁性
体、５２……係合部、５３……係合片部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 換気枠主体２の換気孔３を、通風を確保しつつ
   小動物の侵入を防止する仕切部材５で覆つてなる
   換気枠体６と、該換気孔３を閉塞する断熱遮蔽体
   ７とを具え、該断熱遮蔽体７は、その上縁部分４
   ０において換気枠主体２の上縁部分４１に回動自
   在に取付けられるとともに、それが換気孔３を閉
   塞した状態で、断熱遮蔽体７と換気枠主体２の内
   面部４７とに設けられた磁性体４５，４６の吸着
   作用により換気枠主体３の内面部４７に固着さ
   れ、又断熱遮蔽体７の上縁部分４０には突片３３
   が突設されるとともに、換気枠主体２の上縁部分
   ４１に設けられた案内部１７をその外側から内側
   に挿通する操作杆９の内端部４９が、該突片３３
   に回動自在に枢着され、該操作杆９を外方に引く
   ことによつて断熱遮蔽体７を開くことができるよ
   うになされ、しかも、該断熱遮蔽体７を所要の開
   き角度で保持せしめるため、該操作杆９には、案
   内部１７に設けられている係合部５２と係合する
   係合片部５３を設けたことを特徴とする床下換気
   装置。