JPH0257459B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、底付きインターナル歯形を鍛造によ
り成形する底付きインターナル歯形の成形方法に
関する。

（従来の技術） 本出願人は、本出願と同日出願（特願昭60−
109337号）をもつてカツプ状の素材のパンチによ
る押出成形時のパンチの摩耗を少なくすると共
に、ワークの歪を少なくするためカツプ状の素材
を、その開口端を下向きとしてダイ内にばねを介
してフローチング支持される下パンチにセツト
し、該素材の底板を上パンチと下パンチとで挾持
しつつカツプ開口端より押出し成形して、下パン
チの外周に設けた歯形に倣つてインターナル歯形
を成形するようにしたものを提案した。

（発明が解決しようとする問題点） しかしかかるものでもカツプ内周底附近には僅
かに肉ひけが残り、完全な歯形有効部を確保する
のに困難性を来たす問題点がある。即ちその肉ひ
けを埋めようとして更に上パンチを押し下げよう
とすると、それまでカツプ底板に密着して上パン
チと同期して下つていた下パンチとカツプ底との
間に材料が巻き込み隙間を生じ、このはみ出した
材料は、下死点で下パンチが下型に突当てられる
とカツプ底に押し込まれて傷となり、又下パンチ
を常にカツプ底に密着するように上方へ押し付け
ることは、フローチング支持するばねでは限界が
あるし、その弾発力を大きくすることは、それだ
け成形荷重の負荷が増すことにより得策でない等
の問題点があつた。

（問題点を解決するための手段） 本発明はかかる問題点を解決することを目的と
したもので、ダイ内にばねを介してフローチング
支持される下パンチの上面に、カツプ状の素材
を、その開口端を下向きとしてセツトし、該素材
の底板を上パンチと前記下パンチとで挾持しつつ
カツプ開口端より押出し成形して、前記下パンチ
の外周に設けた歯形に倣つてインターナル歯形を
形成するようにしたものにおいて、前記素材の穴
底コーナ部に逃げ溝を設けると共に、該逃げ溝に
嵌合する突出部を前記下パンチの上面周縁部に設
け、該突出部の外周に生ずる肉ひけ部分が肉で埋
まるように素材を上パンチで最終加圧することを
特徴とする。

（実施例） 以下本発明の方法を実施例につき説明すると、
第１図は本発明の方法を実施する装置の一例を示
すもので、該装置は、ダイホルダ１上のバツクプ
レート２に上下の固定リング３，３を介して取付
けられるダイ４と、該ダイ４内に出入自在に嵌挿
される上パンチ５と、該ダイ４内に装着される下
パンチ６とからなり、該下パンチ６の外周には歯
形７を形成すると共に、その上面の周縁部に内周
面に加え外周面に摩耗対策としての面取り８を施
した突出部９を設け、該パンチ６に開口端を下向
きとしてセツトされるカツプ状の素材１０にはそ
の穴底に、前記突出部９が嵌合する逃げ溝１１が
形成されている。

そして該下パンチ６は、これにセツトされた素
材１０の底板を上パンチ５と共に挾持した状態
で、素材１０の開口端が押出し成形される際に、
その素材の流出速度が上パンチ５の下動速度より
大きくなつて、その速度差によるフリクシヨンで
下パンチ６が下げられようとし、それによる上パ
ンチ５と下パンチ６とによる素材１０の底板の挾
持力が低下するのを防止するため成形中の始めか
ら終りまで下パンチ６はカツプ底に密着するよう
に、その受圧面積を大きくした受圧プレート１２
に支承し、該プレート１２は成形荷重の大きな負
荷とならないようにウレタンスばね１３を介して
ダイホルダ１内にフローチング支持されている。
なお成形中に上パンチ５と下パンチ６とによる素
材１０の底板の挾持力が低下することは、底板が
弧状に座屈して正確な歯形が形成されないので好
ましくない。

図中１４はノツクアウト、１５はウレタンばね
の位置決めピンを示す。

上述の装置を用いた加工方法を第２図について
説明すると、第２図ａに示すようにカツプ状の素
材１０を、その開口端を下向きとしてその穴底の
逃げ溝１１に、下パンチ６の突出部９が嵌合する
ように下パンチ６にセツトし、次いで第２図ｂに
示すように上パンチ５を下動させて素材１０の底
板を上パンチ５と下パンチ６とで挾持するとき下
パンチ６はばね１３の弾発力によりカツプ底面に
密着しつつ内面を拘束し、該下パンチ６による底
板の拘束状態において、更に第２図ｃに示すよう
に上パンチ５を下動させるときカツプ開口端はダ
イオリフイスを通過して押出し成形され、該素材
１０の内周には下パンチ６の外周の歯形に倣つた
インターナル歯形が形成される。この際、第３図
ａに示すようにカツプ内周底付近に生ずる肉ひけ
部分Ａが同図ｂに示すように突出部９の外周部分
に亘つて肉で埋められるように素材１０を上パン
チ５で最終加圧する。これによれば、カツプ内周
底まで正確に歯形が形成されると共に、下パンチ
６とカツプ底の間への、余剰肉の差し込みが突出
部９により阻止され、仮に突出部９の上面と逃げ
溝１１の上底面との間に余剰肉が差し込んでも、
この余剰肉は突出部９を越えてその内周側の逃げ
溝１１内に埋込まれ、余剰肉の食い込み欠陥は生
じない。次いで第２図ｄに示すように上パンチ５
を上昇させると共に下パンチ６をその設定位置ま
でワークと一緒に上昇させ、更に第２図ｅに示す
ようにノツクアウト１４によりワークを型から取
出すものである。

（発明の効果） このように本発明によるときは、ダイ４内にば
ね１３を介してフローチング支持される下パンチ
６に開口端を下向きとしてセツトされて、その底
板を上パンチ５と下パンチ６とで挾持されて、そ
の開口端より押出し成形されるカツプ状素材１０
は、その穴底コーナ部に逃げ溝１１を設けると共
に、該逃げ溝１１に嵌合する突出部９を下パンチ
６に設け、該突出部９の外周の肉ひげ部分が肉で
埋まるように最終加圧するものであるから、パン
チの成形荷重を高めることなくカツプ内周底まで
正確に歯形を形成でき、歯形有効長さの長い製品
を簡単に製造できる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法を実施する装置の一例を
示す縦断面図、第２図は加工工程を示す概略図、
第３図は最終加圧時の成形状態を示す要部の拡大
図である。 ４…ダイ、５…上パンチ、６…下パンチ、７…
歯形、９…突出部、１１…逃げ溝、１３…ばね。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ダイ内にばねを介してフローチング支持され
   る下パンチの上面に、カツプ状の素材を、その開
   口端を下向きとしてセツトし、該素材の底板を上
   パンチと前記下パンチとで挾持しつつカツプ開口
   端より押出し成形して、前記下パンチの外周に設
   けた歯形に倣つてインターナル歯形を形成するよ
   うにしたものにおいて、前記素材の穴底コーナ部
   に逃げ溝を設けると共に、該逃げ溝に嵌合する突
   出部を前記下パンチの上面周縁部に設け、該突出
   部の外周に生ずる肉ひけ部分が肉で埋まるように
   素材を上パンチで最終加圧することを特徴とする
   底付きインターナル歯形の成形方法。