JPH0256337B2 - - Google Patents

Description

請求の範囲 １ 酸化亜鉛とグリセロールを120〜300℃で反応
させて得られる亜鉛グリセロレート錯体から成
り、比較的薄く、潤滑性が高いほぼ六角形結晶の
板状形態を有する、人および動物の治療、予防お
よび化粧特性を備えた薬用化合物。

２ 酸化亜鉛50gに対してグリセロール500gの割
合で酸化亜鉛とグリセロールを反応させ、この混
合物の温度を260℃まで上昇させ、反応が終了す
るまでこの温度を保持し、かくして得られた混合
物を冷却し、水中に注ぎ、過し、洗浄し、乾燥
して亜鉛グリセロレート錯体を単離する方法によ
つて得られる請求の範囲第１項記載の薬用化合
物。

３ 酢酸亜鉛50gに対してグリセロール500gの割
合で酢酸亜鉛とグリセロールを反応させ、酢酸亜
鉛を加え、温度を260℃まで上昇させ、反応が終
了するまで保持し、かくして得られた混合物を冷
却し、水中に注ぎ、過し、洗浄し、乾燥して亜
鉛グリセロレート錯体を単離する方法によつて得
られる請求の範囲第１項記載の薬用化合物。

４ まずグリセロールを120℃まで加熱し、次い
で酸化亜鉛または酸化亜鉛形成性物質を撹拌しな
がら加えた後、温度を260℃まで上昇させる請求
の範囲第２項または第３項記載の薬用化合物。

５ まずグリセロールを220℃に加熱し、次いで
酸化亜鉛を撹拌しながら加えた後、温度を260℃
まで上昇させる請求の範囲第２項または第３項記
載の薬用化合物。

６ 加熱する前に酸化亜鉛とグリセロールを混合
し、次いでこの混合物の温度を120℃〜220℃に上
昇させる請求の範囲第２項または第３項記載の薬
用化合物。

７ 温度を260℃に上昇させることによつて酸化
亜鉛とグリセロールを反応させ、反応が終了する
までこの温度を保持し、反応混合物を冷却し、か
くして得られる亜鉛グリセロレートスラリーを水
中に注ぎ、該スラリーに治療特性を有する金属を
加え、振とうして亜鉛の一部を前記金属で置換せ
しめ、残渣を過し、洗浄し、乾燥して修飾亜鉛
グリセロレート錯体を得る方法によつてつくられ
る請求の範囲第１項記載の薬用化合物。

８ 添加金属が、銅塩の水溶液として加えられる
銅である請求の範囲第７項記載の薬用化合物。

９ 酸化亜鉛とグリセロールを混合する前に酸化
亜鉛に着色染料を加え、この混合物の温度を260
℃に上昇させ、反応が終了するまでこの温度を保
持し、反応混合物を冷却し、かくして得られたス
ラリーを水中に注ぎ、残渣を過し、洗浄し、乾
燥して、着色亜鉛グリセロレート錯体を得る方法
によつてつくられる請求の範囲第１項記載の薬用
化合物。

１０ 染料が、黄褐色亜鉛グリセロレートを生成
するセルトレーク・エリスロシンとセルトレー
ク・タートラジンの混合物である請求の範囲第９
項記載の薬用化合物。

１１ 温度を260℃まで上昇させることにより酸
化亜鉛とグリセロールを反応させ、反応が終了す
るまでこの温度を保持し、反応混合物を冷却し、
かくして得られたスラリーを水中に注ぎ、過
し、洗浄し、乾燥して亜鉛グリセロレートを単離
し、この亜鉛グリセロレートに、油性物質をブレ
ンドして、治療、予防または化粧用物質として皮
膚にこのブレンドを適用するようにする方法によ
つて得られる請求の範囲第１項記載の薬用化合
物。

１２ 油性物質が、シエービングクリーム製造用
の、グリセロールモノステアレート、パラフイン
油、ラノリン、グリセロールおよびステアリン酸
の混合物であり、この混合物をさらに水酸化カリ
ウムおよび水と混合し、亜鉛グリセロレート錯体
とブレンドする請求の範囲第１１項記載の薬用化
合物。

１３ 油性物質が、オレイン酸、ピーナツ油およ
びラノリンを混合溶融したものであり、亜鉛グリ
セロレートに適用され、水酸化カルシウム溶液に
ブレンドして日焼けどめをつくる請求の範囲第１
１項記載の薬用化合物。

１４ 酸化亜鉛とグリセロールを温度120℃〜260
℃で反応させて得られる亜鉛グリセロレート錯体
であり、比較的薄く、潤滑性が高いほぼ六角形結
晶の板状形態を有し、最初の温度をコントロール
することにより粒子の大きさが10〜100ミクロン
の結晶を生成させ、それによつて小さな粒子と大
きな粒子をまじり合わせ、皮膚面に適用する際
に、適用部分全体が比較的不透過性のスクリーン
を形成するようにした亜鉛グリセロレート錯体で
ある、請求の範囲第１項記載の人および動物用の
治療および予防特性を備えた薬用化合物。

１５ キヤリヤーがブレンドされている請求の範
囲第１４項記載の薬用化合物。

序 本発明は、薬用化合物ならびに、その人体の治
療および予防処置への応用、獣医目的への応用に
関するものである。

更に詳細には本発明は、或る種の皮膚病や皮膚
の痛みの予防および治療処置用の基剤として、金
属グリセロレート化合物を使用すること、これを
内用および外用として使用することに関するもの
である。この化合物の使用は化粧品の基剤として
の使用にもおよぶものである。

細胞分裂、組織修復およびその他の身体作用に
は、少なくとも数種類の微量元素が必要であるこ
とはよく知られている。しかし、このような微量
元素を、使用できる形態で必要な場所に、また同
時に身体に対する毒性が無視できるような態様で
適用ないし供給する方法を見い出すという難問が
常に存在している。

特に金属亜鉛は、細胞分裂や組織修復のために
微量元素の形で必要であり、種々の化合物におい
て、皮膚の上のバクテリアや真菌類に対するわず
かな殺菌作用を有することが知られているが、必
要な場所に使用できる形態でこの金属を適用する
ことが難問である。

結晶性グリセラトー金属錯体は、ジ・オースト
ラリアン・ジヤーナル・オブ・ケミストリー
（the Australian Journal of Chemistry）第23
巻（1970）、1963頁の論文に初めて記載され、こ
の論文には、これらの化合物の製造法およびいく
つかの物理的性質が記載されている。これらの化
合物は、特定の金属酸化物、水酸化物または塩を
グリセロールと共に約120゜以上に加熱すると生成
する。

得られるキレート化合物の物理的な構造は一般
に板状形態を呈し、したがつて、タルク状すなわ
ちつるつるすべる触感を呈する。

発明の背景 本出願人は、グリセラトー金属錯体の使用が、
種々の病気の治療に有効であること、さらにその
使用が、薬剤として許容されるキヤリヤーまたは
エキステンダーを含む修飾した亜鉛グリセロレー
ト錯体を病気にかかつた皮膚に適用することを特
徴とする皮膚病の治療法に拡大されること、この
化合物は皮膚に適用されると、バリヤー物質すな
わち日焼けどめ（sun Screen）として、あるい
は高度に潤滑な保護面として使用できることを見
い出した。

本発明によれば、亜鉛グリセロレート錯体の有
利な特性を製造の際にコントロールして所望の特
性を備えた化合物が得られ、次いでこの化合物を
特定の試薬で化学的に変換すると組成物が得られ
る。この組成物はその有利な物理的性質を保持し
たままで、治療のためまたは化粧のために、特定
の上記の皮膚に適用して特に有効であるが故にそ
の使用がすすめられる。

約120〜300℃に加熱すると分解してZnOとなる
ようないかなる亜鉛塩、亜鉛化合物も、この化合
物を生成する。この方法の一例をあげると、酢酸
亜鉛とグリセロールを加熱すると溶液相を経て亜
鉛グリセロレート錯体が生成する。

発明の実施 研究の結果、次のことが明らかとなつた。酸化
亜鉛とグリセロールが反応して得られる反応生成
物は、それ自身が、あるいは他の物質と併用する
と、特に高い潤滑性が要求されるような薬用化合
物として極めて好適であること；電子顕微鏡検査
によると、この化合物は、いろいろな大きさを有
する結晶から成り、適当な調製により、その大き
さは大きな六角形結晶から連続的に、比較的小さ
な六角形結晶にまでわたるようにすることができ
ること；好ましい処方による結晶は、比較的薄い
血小板状であり、その板状物の間の摩擦は低いこ
と；したがつて板状物は互いに容易にすべり、被
処理面に薄いが効果的な被膜を与えること。結晶
が潤滑性であるために、結晶は相互に自由に動い
て所望の被膜を与える。このことは、比較的薄い
板状物の大きさの変動が大きいことによつて促進
され、小さな結晶は大きな結晶の間の隙間に入り
込み、極めて有効な保護スクリーンを与える。

図面において： 第１図は、亜鉛グリセロレート結晶の9000倍拡
大写真からつくられた図面であり、 第２図は、板状を示す結晶の１個を示すもので
あり、18000倍に拡大した結晶写真である。

第１図には、大きな結晶１、中ぐらいの結晶
２、小さな結晶３が示されているが、これらはす
べて、その特徴である比較的薄い細長い六角形状
を保持している。

これらの結晶は、酸化亜鉛または酢酸亜鉛をグ
リセロールと反応させることによりつくることが
できる。酸化亜鉛はそこで使用されるメジウム
（medium）であることが好ましく、酸化亜鉛は
例示された板状物を生成する。一方、酢酸亜鉛の
加熱グリセロール溶液相から沈殿してくる生成物
は更に別の粒子を示し、その形状および大きさ
は、全体の潤滑性を低くする。

亜鉛グリセロレートは、一般式C₃H₆O₃Znに一
致すると思われる。この錯体は、酸化亜鉛をグリ
セロール中で激しく撹拌しながら高温に加熱して
生成させるのが最も適切である。

グリセロールを反応させてCH₂−Ｏ−Zn型の
結合を生成させる際に、水が発生し、この水は系
外に除去する必要がある。この反応中に、このサ
スペンシヨンは極めて粘稠になる。

グリセロール1000g中、微細コロイド状酸化亜
鉛80〜100gを用い、基剤錯体生成後、過剰のグ
リセロールを回収するのが好ましいことがわかつ
た。

代りに、酢酸亜鉛を用いることができる。酢酸
亜鉛は加熱グリセロールに溶解し、生成する沈殿
は所望の生成物である。しかしいずれの場合にも
結晶の大きさに適切な変動があり、タルク状の触
感であるがグリース状の触感ではない、小さい一
般的な粒子の大きさをもつ生成物を得るには、激
しく撹拌することが必要である。

この混合物を約260℃に約１時間保持して反応
を完結させる。

温度195〜220℃において粘度の上昇が顕著であ
る。

酸化亜鉛が残つている場合には、最高温度で１
時間以上加熱することができる。

サスペンヨンを50℃以下に放冷し、水で希釈し
て吸引過する。96％エタノールで洗浄し、最後
にアセトンで洗浄して、空気吸引乾燥するか50〜
60℃のオーブン中で乾燥する。

商業スケールの生産においては、過剰グリセロ
ール中の錯体のサスペンヨンをエタノールで希釈
することができる。エタノールを次のプロセスで
留去してから、酸化亜鉛を更に加え、このプロセ
スを繰り返すことができる。

乾燥生成物中の亜鉛の理論含有量は42.06％で
ある。

実施例 以下の例は本発明の実施を示すものである。

実施例 １ メカニカル・スターラー、温度計、揮発性副生
成物の出口を備えた１の３口丸底フラスコにグ
リセロール（500g、5.43モル）を入れた。撹拌し
ながら、外部マントルで反応容器を220℃に均一
に加熱し、この温度で激しく撹拌しながら酸化亜
鉛（50g、0.6145モル）を少量ずつ加えた。添加
が終了したら温度を260℃まで注意深く上昇させ、
この温度で１時間激しく撹拌した。次に反応混合
物を室温まで放冷し、スラリーを水（２）中に
注入した。この混合物をブフナロートで過（ホ
ワツトマン紙No.１）し、残渣をアルコール（96
％、300ml）、アセトン（200ml）で洗浄し、適当
なオーブン（60゜）で４時間乾燥した。特徴のあ
るつるつるすべる触感をもつた、白色、微細、無
色、無臭の固形物が得られた。六角形板状晶から
なるこの粒子の大きさは10〜20ミクロンであつ
た。収率90％（86g）（理論値：95.45g）。I.R.は
文献値に一致した。Zn含量43.56％（理論値：
42.06％）。

実施例 ２ 温度計と強力メカニカル・スターラーを取りつ
けた大きなビーカーにグリセロール（500g、5.43
モル）を入れた。ビーカーの底すれすれに羽根が
回転して極めて有効な撹拌が得られるように撹拌
羽根を設計した。

撹拌しながら、グリセロールを120℃まで加熱
した。この温度で酸化亜鉛（50g、0.614モル）を
加えて、よく分散したサスペンシヨンをつくつ
た。次にこの混合物を激しく撹拌しながら260℃
までゆつくり加熱した。この加熱プロセスにおい
て、２回の粘度変化があつた。始めのものは反応
混合物をほとんどペースト濃度まで濃厚にするも
のであり、さらに加熱すると反応混合物の粘度は
低くなつた。

反応混合物を激しく撹拌しながら260℃で１時
間加熱し、次いで室温まで放冷し、水（３）中
に注ぎ、ブフナロートで過した。残渣をエタノ
ール中に懸濁し、過し、アセトンで洗浄し、適
当なオーブンで乾燥した。収率93％（89g）（理
論値95.45g）。

こうして得られた結晶は、小さな六角形板状晶
（〜10ミクロン）と細長い結晶の混合物であつた。

実施例 ３ 酸化亜鉛の代りに酢酸亜鉛（50g、0.23モル）
を用いたほかは実施例１にしたがつた。亜鉛グリ
セロレート生成物を上記の如く単離した。収率85
％。粒子の大きさは10〜70ミクロンであつた。結
晶は、細長いフイラメントクラスターと板状構造
との混合物であつた。

実施例 ４ グリセロールを加熱する前に酢酸亜鉛（50g、
0.23モル）を加えたほかは実施例２にしたがつ
た。次に反応混合物を250℃まで加熱し、この温
度で１時間激しく撹拌し、次いで実施例１と同様
に処理した。収率85％。粒子の大きさは10〜100
ミクロンであつた。結晶は細長いフイラメントと
板状構造の混合物であつた。

このプロセスを実施する際、酸化亜鉛とグリセ
ロールとの反応は、210℃以下ではゆつくり進み、
220℃では極めて速く進むことがわかつた。酸化
亜鉛とグリセロールの比は、これに限定されるも
のではないが、１：10が最も好ましいことがわか
つた。

亜鉛グリセロレートが水および有機溶媒に対し
て極めて溶解性が低いということは、結晶が溶液
から成長して得られるものではないことを意味し
ている。

しかしながら、亜鉛グリセロレートのユニーク
な性質は、その小さいけれども変動する結晶の大
きさおよび結晶の形に幾分関連がある。酢酸亜鉛
とグリセロールの反応によつて得られる生成物
は、酸化亜鉛とグリセロールの反応によつて得ら
れる生成物より結晶が大きい。

治療処置あるいは予防処置の変動する条件に適
合させるために、混合物としてあるいはさらに別
の反応生成物をつくる手段として他の物質を添加
してもよい。たとえば亜鉛グリセロレートに銅塩
の水溶液を加えると、錯体中の少量の亜鉛が銅に
よつて置換され、色変化を生じ、軟膏として使用
する際、微量の銅を皮膚に接触させることができ
るようになる。

実施例 ５ 塩化第二銅の希中性溶液を少量の亜鉛グリセロ
レートと振とうし、混合物をブフナロートで過
し、残渣を順にアルコール、アセトンで洗浄し
た。このようにして得られた生成物は青色であつ
た。

亜鉛グリセロレートに適当な染料を化学吸着さ
せることによつて別の例が得られる。このもの
は、皮膚に適用すると、特定の用途に有用な元の
亜鉛化合物が備えている潤滑性、触感を失うこと
なく、明瞭なあるいは不明瞭な着色を与える。

実施例 ６ 酸化亜鉛（40g）にセルトレーク・エリスロシ
ン（certolake erythrosine）（0.1g）とセルトレ
ーク・タートラジン（certolake tartrazine）
（0.4g）を加えてから、実施例１に記載されてい
るようにグリセロールと反応させると、黄褐色の
亜鉛グリセロレートが得られた。

目的の用途に亜鉛グリセロレートを使用するの
は、上記実施例に記載された金属陽イオンあるい
は染料との組み合せの場合に限られるものではな
く、亜鉛グリセロレートの基本的な構造と好まし
い特徴を維持し、これと反応し結合するような、
好ましくは化粧品用のあらゆる錯体、あるいは皮
膚病用の特定の作用を備えているあらゆる錯体も
含んでいる。

本出願人はさらに、亜鉛グリセロレート（）
錯体に油や石けんを混合すると、新規かつ有効な
シエービングクリームになることを見い出した。

実施例 ７ シエービングクリーム 以下のものを混合して60℃に加熱する。

(A) グリセロールモノステアレート 10g パラフイン油 3g ラノリン 5g グリセロール 3g ステアリン酸 2g 次の比率の水酸化カリウムと水を混合して60℃
に加熱する。

(B) 水酸化カリウム 0.1g 水 71.9g (A)と(B)を混合して45℃になるまで撹拌し、亜鉛
グリセロレート5gを加えて、室温になるまで撹
拌する。

皮膚面に対する被覆力、接着性、ならびにその
重金属含量のために、ある波長域の紫外線の透過
を低減させる。かくしてこの化合物は、日焼けに
よる各種の皮膚病の影響を少なくすることができ
るとともに、目に見えない局処適用の効能を提供
するものと考えられる。

実施例 ８ 日焼けどめ 次のものを混合し、加熱して溶融する。

(A) オレイン酸 0.5g ピーナツ油 21.5g ラノリン 17.5g 亜鉛グリセロレート32gを加え、撹拌し、水酸
化カルシウム溶液B.F.28.5gを徐々に加え、濃厚
クリームができるまで撹拌を続ける。

本発明に包含される適用の利点は、これらの化
合物、特に亜鉛グリセロレートが顕著な六角板状
形態であり、板状粒子の直径で測つた粒子の大き
さが６ミクロン以上である場合に得られる。この
ような形態と粒子の大きさが、皮膚面に対する被
覆力を大きくし、適用を容易にする。しかしなが
ら本発明は、粒子の大きさや形態にかかわらず、
上記目的に対してこれらの化合物を使用すること
を含むものである。この板状形態のために、針状
微細粉末物質の吸入によつて時々起こる呼吸系に
対する刺激の傾向は少なくなる。

本発明に含まれるこれらの化合物、特に亜鉛グ
リセロレートの適用による効果は、粒子のこの板
状形態、その皮膚被覆力および接着性、水や一般
的な有機溶媒に対する相対的な不溶解性、皮膚の
水分を保持させると考えられる疎水性の発現、真
菌類、かび、バクテリアの作用を低下させる明白
な能力、種々の有機および無機の亜鉛塩が示す性
質によつて生じる。

本発明の亜鉛グリセロレート錯体は、アンモニ
ア性皮膚炎（尿の分解の際に遊離するアンモニア
による赤んぼうのお尻部分の炎症……おむつかぶ
れ）の治療および予防、特に寝たきりの人や動け
ない人の掻痒症の治療、乾癬の軽減、真菌やバク
テリアによる組織の分解ならびに白癬足のような
病気による悪臭の治療および予防、特殊な環境に
よる産業的な皮膚炎の予防に有効であることがわ
かつた。この化合物の性質から、魚鱗癬の治療に
もこれが有効であることが予想される。

本発明は、上記治療および予防用に亜鉛グリセ
ロレートを使用する場合に限定されるものではな
く、他の治療用物質と反応もしくはブレンドした
この化合物の、その他のあらゆる使用をも包含す
るものである。