JPH025093Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、汎用エンジン等に用いられるギア式
リコイルスタータ装置に関し、更に詳細には、ス
タータケース内に軸支されるスタータプーリにス
タータギアをヘリカルスプライン嵌合させ、該ス
タータギアに該ケースに固定のリテーナに係合す
るフリクシヨンスプリングを装着し、該スプリン
グによる回転制動力の作用で該スタータギアを該
スタータプーリの正逆転に伴い軸方向に進退させ
るようにしたギア式リコイルスタータ装置に関す
る。

従来この種装置として、リテーナに、正転時フ
リクシヨンスプリングが係合する軸方向に長手の
第１ガイド部と、逆転時該スプリングが係合する
軸方向に長手の第２ガイド部とを形成すると共
に、該第２ガイド部の後端から逆転方向に向つて
周方向に長手にのびるストツパ部を形成し、始動
後のスタータギアのがたによる前進を該スプリン
グの該ストツパ部への当接で阻止し得るようにし
たものは知られるが、このものでもスタータプー
リのがたを生ずると後記詳述する如く該スプリン
グが該ストツパ部から外れて第２ガイド部に係合
し、スタータギアが前進してしまうことがある。

本考案は、かかる不都合を解消した装置を提供
することをその目的とするもので、上記従来例の
ものにおいて、ストツパ部の第２ガイド部側の端
部を軸方向前方に少許傾斜させた傾斜縁に形成し
たことを特徴とする。

以下本考案を図示の実施例に付説明する。

図面で１はスタータケース、２は該ケース１に
固定の支軸を示し、該支軸２にロープ３を巻回し
たスタータプーリ４をその中心の筒軸部４ａにお
いて回転自在に軸支すと共に、該筒軸部４ａ上に
スタータギア５をヘリカルスプライン嵌合させ、
更に該スタータギア５のボス部外周の凹溝５ａに
該支軸２の先端に取付けたリテーナ６に係合する
フリクシヨンスプリング７を装着して、更スター
タギア５に該スプリング７による回転制動力が作
用されるようにし、かくて該スタータプーリ４を
該ロープ３により戻しばね８に抗して第１図で反
時計方向に正転させれば、該スタータギア５が該
筒軸部４ａに形成したヘリカルスプライン９を介
して作用されるスラストカにより軸方向に前進
（第２図で左方）され、該ギア５が図示しないク
ランクシヤフト側のギアに咬合してこれに始動回
転が与えられ、又該スタータプーリ４の戻じばね
８による逆転によれば、該スタータギア５が後退
され、クランクシヤフト側のギアとの咬合が解か
れるようにした。

該リテーナ６は、正転時該スプリング７が係合
する軸方向に長手の第１ガイド部１０と、逆転時
該スプリング７が係合する軸方向に長手の第２ガ
イド部１１と、該第２ガイド部１１の後端から逆
転方向に向つて周方向に長手にのびるストツパ部
１２とを備えるもので、これを更に詳述するに、
図示のものでは該スプリング７の中間部に前記凹
溝５ａの外方に突出する略コ字形の突起部７ａを
形成して、該リテーナ６に第２図及び第３図に明
示する如く該突起部７ａに挿入される舌片６ａを
突設し、該舌片６ａの時計方向側（第３図で左
側）の側縁に正転時該突起部７ａの時計方向側の
線部７ｂが係合する該第１ガイド部１０と、その
反時計方向側（第３図で右側）の側縁に逆転時該
突起部７ａの反時計方向側の線部７ｃが係合する
該第２ガイド部１１と該ストツパ部１２とを形成
するものとし、更に該スプリング７の一端にも該
凹溝５ａの外方に突出する突起部７ｄを形成し
て、該リテーナ６に第４図に示す如く該突起部７
ｄと協働する第２の舌片６ｂを突設し、該舌片６
ｂの反時計方向側（第４図で右側）の側縁に上記
と同様の第２ガイド部１１と周方向長さを比較的
短くしたストツパ部１２とを形成し、該突起部７
ｄの該ストツパ部１２の端縁への当接で該スプリ
ング７の逆転時における周方向の位置決めが成さ
れるようにした。

尚、該スプリング７は該凹溝５ａに軸方向に余
裕を持たせて装着されるもので、該ストツパ部１
２を該スプリング７の図示の逆転後退位置に対し
この余裕分だけ軸方向前方にオフセツトさせた。

ここで本考案によれば、該ストツパ部１２の該
第２ガイド部１１側の端部を第５図に明示する如
く軸方向前方に少許傾斜さた傾斜縁１２ａに形成
するもので、その傾斜角は該端部１２ａの法線の
軸方向に対する角度αが前記ヘリカルスプライン
９の傾斜角βよりも小さくなるように設定するこ
とが好ましい。

次いでその作動を前記第１舌片６ａにおけるリ
テーナ６とフリクシヨンスプリング７との係合関
係を例にして説明するに、スターターギア５はス
タータプーリ４に対しヘリカルスプライン９に沿
つて回転しつつ進退可能であり、スタータプーリ
４が始動後に所定の逆転停止位置から振動による
がた等でスタータギア５を伴つて正転方向に変位
し、フリクシヨンスプリング７の前記線部７ｃが
第５図で右方に変位した状態からスタータギア５
が該プーリ４に対するがたでヘリカルスプライン
９に沿つて逆転方向（第５図で左方）に回転しつ
つ前進すると、これに伴い該線部７ｃはヘリカル
スプライン９の傾斜角と平行の第５図に矢印ａで
示す方向に動き、この際該線部７ｃが第２ガイド
部１１に係合すると、ストツパ部１２による前進
阻止機能が得られなくなり、スタータギア５の不
必要な前進を生ずるおそれがある。

ここで本考案の如くストツパ部１２の端部を傾
斜縁１２ａに形成するときは、該線部７ｃが右方
に比較的大きく変位されて第５図にＡで示す位置
から矢印ａ方向に動いても、該線部７ｃは第２ガ
イド部１１に係合せず、該端部１２ａに当接して
スタータギア５の前進が阻止されるがこれに対し
端部を傾斜させない従来品の場合は、右方への変
位巾の比較的小さな第５図にＢで示す位置からの
該線部７ｃの動きによつても該線部７ｃは第２ガ
イド部１１に係合してしまい、スタータギア５の
不必要な前進を生じ易くなる。

尚、上記実施例では第１第２ガイド部１０，１
１を周方向に少許傾斜させたが、周方向の傾斜を
付けずに軸方向に真直に形成しても勿論良い。

この様に本考案によるときは、ストツパ部の第
２ガイド部側の端部を軸方向前方に少許傾斜させ
た傾斜縁に形成するもので、スタータプーリの比
較的大きながたを生じてもスタータギアのスター
タプーリに対する動きに際してフリクシヨンスプ
リングは第２ガイド部に係合せず、スタータギア
の不必要な前進が有効に防止される効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案装置の１例の正面図、第２図は第
１図の−線截断側面図、第３図及び第４図は
第１図の−線及び−線から見た要部の側
面図、第５図は本案装置の作動を説明する線図で
ある。 １……スタータケース、４……スタータプー
リ、５……スタータギア、６……リテーナ、７…
…フリクシヨンスプリング、１０……第１ガイド
部、１１……第２ガイド部、１２……ストツパ
部、１２ａ……傾斜縁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スタータケース内に軸支されるスタータプーリ
   にスタータギアをヘリカルスプライン嵌合させ、
   該スタータギアに該ケースに固定のリテーナに係
   合するフリクシヨンスプリングを装着し、該スプ
   リングによる回転制動力の作用で該スタータギア
   を該スタータプーリの正逆転に伴い軸方向に進退
   させるようにしたギア式リコイルスタータ装置で
   あつて、該リテーナに、正転時該スプリングが係
   合する軸方向に長手の第１ガイド部と、逆転時該
   スプリングが係合する軸方向に長手の第２ガイド
   部と、該第２ガイド部の後端から逆転方向に向つ
   て周方向に長手にのびるストツパ部とを形成して
   成るものにおいて、該ストツパ部の該第２ガイド
   部側の端部を軸方向前方に少許傾斜させた傾斜縁
   に形成して成るギア式リコイルスタータ装置。