JPS6117254Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動２輪車のキツクペダルストツパー
装置に関するもので、キツクペダル軸上にスプラ
イン嵌合した摺動ラチエツトをキツクペダル軸上
で回転自在の伝動ラチエツトと対向させ、キツク
ペダル踏込時に摺動ラチエツトを伝動ラチエツト
に噛み合わせるようにしたキツクペダル式始動装
置における、前記摺動ラチエツトの構造の簡素化
とコストダウンを目的としている。

まず実施例を説明する。略水平断面を示す第１
図において、キツクペダル軸１は自動２輪車の進
行方向（矢印Ｆ）と直角かつ水平な姿勢で、左端
はミツシヨンケース２の支持穴３に、又中央部は
カバー４の孔５に回動自在に支持され、カバー４
より右方へ突出した先端部にキツクペダル６が固
定されている。キツクペダル軸１上のミツシヨン
ケース２側端部には伝動ラチエツト８を一体に有
するギヤー９が回転自在に支持され、このギヤー
９は始動回転力を受けるアイドルギヤー１０と常
時噛み合つている。ギヤー９の右側のスプライン
１１上に伝動ラチエツト８に対向する鍛造製の摺
動ラチエツト１２がスプライン嵌合し、キツクペ
ダル軸１上のカラー１３と摺動ラチエツト１２の
間に縮設されたコイルばね１４の弾力により通常
伝動ラチエツト８側（左方）へ付勢されている。
摺動ラチエツト１２の中央の筒状ボス部には板金
製ストツパーレバー１６の環状ボス部１７が嵌合
し、接合部全周に溶接が施してある。このボス部
１７から略半径方向外方に向いガイド部１８（第
３図）が一体に突出し、ガイド部１８の先端から
屈曲部１９が円周方向に突出している。屈曲部１
９の突出方向はキツクペダル踏込時におけるスト
ツパーレバー１６の回動方向（矢印Ａ）と逆方向
である。レバー１６に逆Ａ方向の戻し力を与える
べく、レバー１６とカバー４の間に捩りコイルば
ね２０が配置され、ばね２０の一端部２１は軸１
の半径方向内方へ屈曲し、カラー１３に設けた半
径方向に延びる切欠２２に嵌合し、更にその先端
がキツクペダル軸１に設けた穴２３内に嵌合し、
他端部２４（第４図）はミツシヨンケース２に設
けた軸方向の穴２５に嵌合し、キツクペダル軸１
に逆Ａ方向のモーメントを与えている。

キツクペダルの非踏込時に摺動レバー１６（第
１図）を伝動ラチエツト８から離れる矢印Ｂ方向
（右方）へ積極的に戻すために、ケース２にはビ
ス２７を用いてカム板２８が固定されている。カ
ム板２８は第４図、第５図のようにミツシヨンケ
ース２への固定部からキツクペダル軸１の半径方
向内方へ突出し、途中からキツク時のキツクペダ
ル軸回転方向（矢印Ａ）へ屈曲した斜面２９（カ
ム面）が形成され、斜面２９の基端部外側（キツ
クペダル軸１と反対側）にストツパー部３０が形
成されている。そして摺動レバー１６は戻し用捩
りコイルばね２０の弾力によりそのガイド部１８
がカム面２９に通常乗り上がり、屈曲部１９の先
端がストツパー部３０に第４図の如く衝合し、従
つてレバー１６は第４図でカム板２８より手前側
（第１図では右側）に向う推力を受け、レバー１
６と一体の摺動ラチエツト１２は伝動ラチエツト
８から離れた位置を占める。

第１図、第４図は前述の如くキツクペダル非踏
込時の状態（待機姿勢）を示しており、次にエン
ジンを始動させるべくキツクペダルを踏み込み、
キツクペダル軸１をばね２０の捩り方向の弾力に
抗して矢印Ａ方向に回動させると、レバー１６の
ガイド部１８はカム板２８の斜面２９を滑りお
り、従つて摺動ラチエツト１２はばね１４の弾力
により伝動ラチエツト８側へ摺動して両ラチエツ
ト１２，８が噛み合い、伝動ラチエツト８と一体
のギヤー９からアイドルギヤー１０を介してクラ
ンク軸に始動用の回転力が伝えられる。エンジン
が始動すると摺動ラチエツト１２は伝動ラチエツ
ト８から逆Ａ方向の回転力を受けて伝動ラチエツ
ト８から離れる方向に押され、同時にキツクペダ
ルが解放されるためレバー１６はばね２０の弾力
により逆Ａ方向に回動し、ガイド部１８がカム面
２９に案内されて摺動ラチエツト１２は第１図の
右方へ後退し、前述の待機姿勢に復帰する。

従来は第１図の摺動ラチエツト１２に相当する
摺動ラチエツトの外周上２箇所に半径方向外方へ
突出した突起を設けて第１図のガイド部１８と屈
曲部１９の機能を与えており、全体が鍛造で形成
されている。ところがその場合は外周に２箇所の
突起が一体に設けてあるため、ラチエツト歯を精
密鍛造で造ることができず、機械加工に手間が掛
かり、コストが増加する不具合が避けられない。

これに対し本考案においては摺動ラチエツト１
２を伝動ラチエツト８に向けて付勢するばね１４
は摺動ラチエツト１２の背後に配置され、又キツ
クペダル軸１に係合される戻し用の捩りコイルば
ね２０を摺動ラチエツト１２の背後に配置されて
いるので、両ばね１４，２０を摺動ラチエツト１
２の背後の空間内に内外二重に置くことができ、
装置の軸方向寸法が短縮し、コンパクトになる。
又本考案においては摺動ラチエツト１２を鍛造
品、ストツパーレバー１６を板金製とし、摺動ラ
チエツト１２のラチエツト歯と反対側のボス筒に
板金製ストツパーレバー１６の環状ボス部１７を
嵌合固着するようにしたので、摺動ラチエツト１
２の精密鍛造が可能となり、機械加工が不要とな
る。しかもストツパーレバー１６の環状ボス部１
７の作用によりストツパーレバー１６の摺動ラチ
エツト１２に対する位置形状が正確に定まり、又
溶接等による固着時にラチエツト歯への歪みの伝
達量を最小にとどめることができる。即ち両者の
嵌合部及び溶接部がラチエツト歯の反対側に離れ
るため、嵌合固着による影響がラチエツト歯に及
ばない。更に本考案においては、カム面２９がカ
ム板２８にプレス成形可能であるため、正確なカ
ム面２９を簡単に（切削研磨等の機械加工を必要
とせずに）設けることができ、製造コストが低減
する。しかもカム板２８にはストツパー部３０が
一体に設けられているため、大形部品であるミツ
シヨンケース２の内面等にストツパーレバー１６
のストツパー部を設ける必要がなく、構造が大幅
に簡素化する。板金製のストツパーレバー１６に
設けてガイド部１８とカム板２８に設けたカム面
２９がストツパーレバー１６の円周方向の移動に
より係合することになるため、カム面２９上にお
けるガイド部１８の摺動時にクツシヨン効果が得
られ、カム面２９の局部的な摩耗や引掛りが防止
され、作動が長期間円滑になる。しかもストツパ
ーレバー１６の屈曲部１９はガイド部１８の先端
（キツクペダル軸１の中心から最も離れた位置）
に設けてあるため、ストツパー部３０との衝合に
よる停止時の位置が正確に定まる利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用した自動２輪車のキツク
ペダルストツパー装置部分を示す水平断面図、第
２図は第１図中の部品の断面図、第３図は第２図
の−矢視図、第４図は第１図の−矢視
図、第５図は第４図中の部品の側面図、第６図は
第５図の−矢視図である。 １……キツクペダル軸、２……ミツシヨンケー
ス、８……伝動ラチエツト、１２……摺動ラチエ
ツト、１４……ばね、１６……ストツパーレバ
ー、１７……ボス部、１８……ガイド部、１９…
…屈曲部、２０……戻し用捩りコイルばね、２８
……カム板、２９……カム面、３０……ストツパ
ー部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. キツクペダル軸１上にスプライン嵌合した鍛造
   品の摺動ラチエツト１２をキツクペダル軸１上で
   回転自在の伝動ラチエツト８に向けて摺動ラチエ
   ツト１２の背後よりばね１４で付勢し、摺動ラチ
   エツト１２のラチエツト歯と反対側のボス筒に板
   金製ストツパーレバー１６の環状ボス部１７を嵌
   合固着し、ストツパーレバー１６にはボス部１７
   より半径方向外方へ突出するガイド部１８と、ガ
   イド部１８の先端からキツク時キツクペダル軸回
   転方向と逆の円周方向に突出する屈曲部１９を設
   け、キツクペダル軸１の支持ケースに先端がキツ
   クペダル軸に近付くようにキツクペダル軸半径方
   向に延びるカム板２８の本体を片持体に固定し、
   カム板本体の先端よりキツク時キクペダル軸回転
   方向に突出し、かつガイド部１８と対向し円周方
   向に対し傾斜したカム面２９とキツクペダル非踏
   込時に屈曲部１９の当るストツパー部３０を設
   け、摺動ラチエツト１２の背後においてキツクペ
   ダル軸１に戻し用の捩りコイルばね２０を係合し
   てキツクペダルの非踏込時にガイド部１８とカム
   面２９の係合により両ラチエツト８，１２を離す
   ようにしたことを特徴とする自動２輪車のキツク
   ペダルストツパー装置。