JPS6339424Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、遊星ギアスタータの動力伝達機構
の改良に関するもので、特に動力系統の衝撃力吸
収装置に係るものである。

従来この種のものに第１図に示すものがあつ
た。図において、１はスタータ、２はスタータの
原動機軸、３は原動機軸の機枠、４は中間ブラケ
ツトであり、中央内周面にボールベアリング５が
嵌着され、原動機軸２の前端部を軸支している。
６はこの回転軸前端部に形成された平歯車であ
り、この平歯車に遊星歯車７が噛合係合される。
８は遊星歯車７が内接噛合されるリングギヤ（内
歯々車）であつて、前部機枠９のインロー部９ａ
に補助プレート１０と共に嵌着される。なお、リ
ングギヤ８は後端部の一部が中間ブラケツト４に
嵌合され、軸中心に対する嵌合精度を確保してい
る。１１は出力回転軸であつて、後端部にフラン
ジ１２が固着され、このフランジに支持ピン１３
が嵌着される。またこの支持ピン１３には遊星歯
車７がスリーブベアリング１４を介して軸支さ
れ、遊星歯車の回転運動が支持ピン１３を介して
出力回転軸１１に伝達される。１５は補助プレー
ト１０の中央内周面に嵌着されたスリーブベアリ
ングであつて、出力回転軸１１を枢着軸支してい
る。１６は出力回転軸１１上に形成されたヘリカ
ルスプラインであり、オーバランニングクラツチ
１７のクラツチアウタ１８が前後に摺動する如く
スプライン係合される。１９はローラ、２０はク
ラツチインナ、２１はこのクラツチインナに固着
されるピニオンであり、内周面にスリーブベアリ
ング２２が嵌着され、出力回転軸１１に滑嵌支承
される。２３はローラ１９及びクラツチインナを
係着するプレート、２４はこのプレートの係着力
を受圧する如くクラツチアウタ１８にカシメ固着
されるカバーである。２５はオーバランニングク
ラツチ１７のクラツチアウタ１８にカム係合さ
れ、オーバランニングクラツチを前方移送するシ
フトレバー、２６はこのシフトレバーの支点２５
ａを支持するホルダ、２７はこのホルダ２６を前
部機枠９の内壁面に向つて押圧付勢するレバース
プリング、２８はこのレバースプリングの付勢反
力を受圧するグロメツトであり、前部機枠９の開
口部を封止する機能も有している。

次に、上記構成の動作について説明する。シフ
トレバー２５が支点部２５ａを中心に図示反時計
方向に回動付勢されると、オーバランニングクラ
ツチ１７が出力回転軸１１上を前方に移送付勢さ
れ、ピニオン２１が図示しない内燃機関のリング
ギヤ（図示せず）に噛合係合される。次いで原動
機が回転付勢され、この回転力が原動機軸２に伝
達され、平歯車６を介して遊星歯車７が回転付勢
される。この遊星歯車７の遊星運動によつて原動
機軸２の回転速度が減速されて出力回転軸１１に
伝達される。そしてこの回転力はオーバランニン
グクラツチ１７を介してピニオン２１に伝達さ
れ、上記図示しない内燃機関が始動付勢される。
機関始動後、リングギヤ（図示せず）によつてピ
ニオン２１が逆付勢されるが、オーバランニング
クラツチ１７の一方向回転力係合作用によつて動
力の伝達が遮断され、スタータ１が無負荷回転さ
れる。なお、上記装置において、特に遊星歯車減
速装置は、原動機の回転速度を下げ、回転力（ト
ルク）を高め内燃機関の始動を容易にする機能を
有している。

従来装置は以上のように構成されているが、こ
の場合減速装置が高負荷を受け、特に装置起動時
に発生する衝撃荷重を吸収する機構がなく、装置
の強度上の信頼性が良くないなどの欠点があつ
た。この考案は、上述の様な従来装置の欠点を除
去する為になされたもので、装置に発生する衝撃
荷重を緩和するようにしたものである。

以下、この考案の一実施例を図について説明す
る。第２図において、２９は遊星ギアスタータ、
３０は図示しない直流原動機に駆動される原動機
軸、３１は出力回転軸（ピニオン軸）であつて、
後部外周面にヘリカルスプライン３２が形成さ
れ、これにオーバランニングクラツチ１７のクラ
ツチアウタ１８がスプライン係合されるととも
に、遊星歯車７を軸支するピン１３を固着るフラ
ンジ３３がスプライン係合されている。３４は補
助プレートであつて、中央内周面にスリーブベア
リング３５が嵌着され、フランジ３３の突設部３
３ａを枢着軸支している。３６はスラストワツシ
ヤ、３７は上記スプライン軸３２上に嵌着されか
つ上記フランジ３３の後部に当接して配置された
弾性体リングであつて、フランジ３３の螺進力を
弾性的に受圧している。３８はこの受圧力を出力
回転軸３１に伝達するストツパ、３９はこのスト
ツパ３８を出力回転軸３２に係着するリング、４
０は原動機軸３０の前端部に形成された凹溝３０
ａと出力回転軸３１の後端部に形成された凹溝３
１ａとの間に介装された剛球であり、両回転軸間
のスラスト荷重が互いに受圧される。４１はフロ
ントブラケツトであつて、前端部内周面にスリー
ブベアリング４２が嵌着され、出力回転軸３１の
前端部が枢着軸支される。４３はキヤツプであ
る。なおその他の構成は第１図の従来装置と同様
であるので同一符号を付してその説明は省略す
る。次に、上記実施例の動作について説明する。
オーバランニングクラツチ１７が前方移送され、
ピニオン２１が図示しない内燃機関のリングギヤ
に噛合係合されると、次に原動機軸３０が図示し
ない直流電動機によつて回動され、この回転力が
平歯車６及び遊星歯車７を介して支持ピン１３に
伝達され、フランジ３３が回転付勢される。そし
てこの回転に伴い、フランジ３３はヘリカルスプ
ライン３２上を後方（図示左方向）に螺進するよ
うになり、弾性リング３７を押圧する。そしてこ
の押圧力の平衡力が発生する点でオーバランニン
グクラツチ１７を介してピニオン２１が上記リン
グギヤ（図示せず）を回動付勢し、図示しない内
燃機関が始動される。すなわち、フランジ３３の
回転力は弾性リング３７の弾性力を介してピニオ
ン２１に伝達されることになり、初期の緩衝機能
が得られる。

さらに本考案の上記実施例においてはオーバラ
ンニングクラツチ１７と回転フランジ３３は同一
のヘリカルスプライン３２上に嵌合するように構
成しているので、従来装置に比較しても全長が増
加することがなく、また加工工程が複雑になら
ず、かつ同軸度の優れた構造で緩衝作用が行える
ことになる。

また、回転フランジ３３の突設部３３ａ外周部
は、補助プレート３４及びスリーブベアリング３
５により枢着軸支されているので、フランジ３３
の回転力の伝達機能が安定的に行われる。さら
に、回転フランジ３３の内周凹部に、該回転フラ
ンジ３３の螺進力を受圧する弾性リング３７とス
トツパ３８を配設することにより、コンパクトな
構成で緩衝機構を果す装置が得られる。

以上の様にこの考案によれば、出力回転軸（ピ
ニオン軸）上に形成された同一のヘリカルスプラ
イン上にオーバランニングクラツチ及び遊星歯車
減速装置の腕機能を有した回転フランジをスプラ
イン係合し、かつ上記フランジの外周部を軸受で
支持するとともに、その内周凹部には該フランジ
の軸方向の螺進力を受圧する弾性体及びストツパ
を配設したので、加工工程が少なくかつ同軸度の
優れたコンパクトな構造で、安定した緩衝機能を
有する遊星ギアスタータが安価に得られる効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の遊星ギアスタータを示す要部断
面図、第２図はこの考案の一実施例を示す要部断
面図である。 図中、３０は原動機軸、６は平歯車、７は遊星
歯車、１３は支持ピン、１７はオーバランニング
クラツチ、３１は出力回転軸、３２はヘリカルス
プライン、３３はフランジ、３７は弾性体リン
グ、３８はストツパである。尚、図中同一符号は
同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 遊星歯車減速装置を有するスタータにおいて、
   ピニオン軸上に形成されたヘリカルスプライン上
   に、オーバランニングクラツチをスプライン係合
   するとともに、上記遊星歯車減速装置の遊星歯車
   を軸支する支持ピンが固着された回転フランジを
   も独自にスプライン係合させ、上記回転フランジ
   及びオーバランニングクラツチが各々独立して同
   一ヘリカルスプライン上を前後摺動可能とし、か
   つ上記回転フランジの外周部は軸受で支持され、
   又その内周凹部には回転フランジの軸方向の螺進
   力を受圧する弾性体と、この弾性体をピニオン軸
   上に係止するストツパとを配設したことを特徴と
   する遊星ギアスタータ。