JPS6039491Y2 - 内部減速型始動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は内部に減速ギヤーを内蔵する内部減速型始動
装置の改良に関する。

この種従来例を第１図に示し説明する。

図に於て、１はアマチュアコア２に嵌着されたアマチュ
アシャフト３を有する電動機本体、３ａはアマチュアシ
ャフト３の先端部に形成された小径の駆動ギヤー ４は
ボールベアリング５を介してアマチュアシャフト３を回
転自在に支承する中間ブラケット、６はこの中間ブラケ
ット４に固定されたフロントブラケット、７はヘリカル
スプライン７ａが形成されてなる出力軸で、一端は軸受
メタル８を介して中間ブラケット４に支承されている。

９はこの出力軸７に嵌着され駆動ギヤー３ａと噛合する
大径の減速ギヤー、１０は出力軸７の他端部に軸受メタ
ル１１を介して回転自在で軸方向に摺動可能に支承され
たピニオンシャフトで、これに連なって筒状のクラッチ
インナ１０ａが形成されている。

１２はこのピニオンシャフト１０と出力軸７とを連結し
得るオーバランニングクラッチで、出力軸７のヘリカル
スプライン７ａと噛合スるヘリカルスプライン１３ａを
有する筒状のスプラインボス１３と、このスプラインボ
ス１３に連なって形成され、その外周部に凹部１４ａを
有するクラッチアウタ１４と、このクラッチアウタ１４
とにより複数の連結室を形成するクラッチインナ１０ａ
と、更には上述の複数の連結室それぞれに装着さた複数
のローラ１５と、これらローラ１５それぞれをクラッチ
インナ１０ａとクラッチアウタ１４とを連結させる方向
に押圧する複数のスプリング（図示せず）とにより構成
されている。

１６は一端がこのオーバランニングクラッチ１２の凹部
１４ａに係合され、他端は電磁スイッチ（図示せず）の
プランジャに係合された操作レバー １７は出力軸７の
他端をピニオンシャフト１０と共にこのピニオンシャフ
ト１０に嵌入された軸受メタル１９を介してフロントブ
ラケット６に回転自在に支承するベアリング、２０は出
力軸７の一端部に嵌入され軸方向への移動を阻止する止
め輪、２１は出力軸７の他端側のピニオンシャフト１０
に嵌着されたピニオン、２２はこのピニオン２１と噛合
し得る機関のリングギヤである。

この従来例の動作は先ず電磁スイッチにより操作レバー
１６の一端をピニオン２１側に回動させオーバランニン
グクラッチ１２を介してピニオンシャフト１０を右方向
に螺動させれば図中の一点鎖線の下部を示す通りピニオ
ン２１はリングギヤ２２に完全に噛合する。

而して、電磁スイッチ内に設けられた電気接点（図示せ
ず）が閉成されると電動機本体１のアマチュアシャフト
３が高速回転されるので駆動ギヤー３ａの回転は減速ギ
ヤー９に伝達されこの回転は更にオーバランニングクラ
ッチ１２のクラッチアウタ１４からローラ１５を介して
クラッチインナ１０ａに伝達されるためピニオンシャフ
ト１０は回転される。

これによりピニオン２１はリングギヤ２２の端面に圧接
した状態で回転転されるので機関は始動され始める。

然る後、機関の始動が完了し、ピニオン２１の回転が出
力軸７の回転よりも大きくなればオーバランニングクラ
ッチ１２の周知の作用によりピニオン２１は全回転し、
電動機本体１はオーバラーンすることはない。

ところで、電動機本体１の回転を大小のギヤー３ａ、９
により減速して出力軸７からピニオンシャフト１０に伝
達する所謂、内部減速方式に於てハアマチュアシャフト
３から出力軸７及びピニオンシャフト１０への伝達トル
クが非常に大きくなる特徴を有する。

従って、アマチュアシャフト３の回転トルク及びその慣
性モーメントは直接リジットにピニオン２１に伝達され
、このときピニオンシャフト１０からみたアマチュアシ
ャフト３側の慣性モーメントはその内部減速比の２乗に
比例するためピニオン２１とリングギヤ２２の噛合衝撃
力の増大をきたし、しかも各部の係合部、即ち、出力軸
７とスプラインボス１３とのスプライン嵌合部及びクラ
ッチインナ１０ａとクラッチアウタ１４とのローラ１５
を介しての連結部、並びにピニオンシャフト１０とピニ
オン２１との嵌着部等に大なる衝撃力が作用することに
より各部の異常摩耗を来たしたり、嵌着部が毀れること
になるためスムーズな噛合が行なえず回転トルクの伝達
ができない不都合を引き起すことがあった。

この考案はこのような不都合を除去するべくなされたも
ので、アマチュアシャフトからピニオンに至る回転トル
クの伝達径路に弾性体を仲介する緩衝カップリング機構
をオーバランニングクラッチと共に出力軸に対して直列
的に直接配置することにより各部に作用する衝撃応力を
減じてスムーズな噛合、トルク伝達並びに信頼性の向上
を計ることを目的とする内部減速型始動装置に関する。

以下、第２図に示す実施例を参照して詳述する。

図に於て、２３はアマチュアシャフト３の駆動ギヤー３
ａと出力軸７の連結部にオーバランニングクラッチ１２
と直列的に直接配置された弾性体を仲介する緩衝カップ
リング機構で、下記に述べる部品により構成される。

即ち、２４は直線状スプラインを介して出力軸７に嵌着
された一方のフランジで、その一端面に出力軸方向に突
出する筒状部２４ａとこの筒状部２４ａと同一面側に形
成された凹凸状の嵌合部２４ｂが形成されている。

２５は出力軸７に遊嵌支持された他方のフランジである
大径の減速ギヤーで、一端側は椀状２５ａに、フランジ
２４と対向する他端側は上述のフランジ２４の嵌合部２
４ｂと同形状の凹凸状の嵌合部２５ｂがそれぞれ形成さ
れている。

２６はこれらの減速ギヤ２５とフランジ２４それぞれの
凸部間の凹部に嵌合される係止部を備えた弾性体である
ゴムで、中心部開口をフランジ２４の筒状部２４ａ外周
上に嵌合することによって装着される。

２７はこのゴム２６、減速ギヤー２５及びフランジ２４
を含めてその外周を覆うカバーである。

この実施例の動作は第１図の従来例と概略同様であるの
で相違点のみについて詳述する。

即ち、機関の始動に際しピニオンシャフト１０が右方向
に螺動して図中の一点鎖線の下部に示す通りピニオン２
１がリングギヤー２２に噛合した後電動機本体１のアマ
チュアシャフト３が回転されると、その回転は駆動ギヤ
ー３ａから減速ギヤー２５に減速して伝達され、而して
ゴム２６を介してフランジ２４に、更に出力軸７に伝達
されるためピニオン２１は回転してリングギヤ２２を回
転させて機関を始動させる。

従って、この実施例のように緩衝カップリング機構２３
をアマチュアシャフト３と出力軸７の最も近い連結部に
設けることによりアマチュアシャフト３の回転トルクの
立上り時に於ける停止している出力軸７に対する大なる
回転トルクは完全に立上るまでゴム２６の弾性力に抗し
ながら除々に立上る、所謂緩衝起動により出力軸７に伝
達されるためこの出力軸７に連なる各部の係合部は勿論
のこと、ピニオン２１とリングギヤー２２との噛合衝撃
等の全ての衝撃応力が速やかに吸収して減少でき、しか
も機関の始動過程に於ける機関の角速度変化による衝撃
応力を吸収して減少できるものである。

更に、この緩衝カップリング機構２３は１つのフランジ
を減速ギヤー２５と兼用しているので軸方向寸法は若干
長くなるが機構自体は簡単安価に構成てき、その衝撃応
力の減少効果は最大限に得られる。

尚、緩衝カップリング機構２３を配置する位置は実施例
以外に例えばクラッチアウタ１４部とか出力軸７とピニ
オンシャフト１０との問答アマチュアシャフト３からピ
ニオン２１に至る回転トルクの伝達径路であれば如何な
る位置でもよい。

また、緩衛カップリング機構を実施例に限定されるもの
ではない。

更に、回転トルクの減速手段として外歯噛合機構のみな
らず、その他内歯噛合機構、アイドルギヤー付減速機構
及び遊星ギヤー付減速機構等を内蔵した装置にも容易に
転用できる。

以上のように、この考案は緩衝カップリング機構をアマ
チュアシャフトからピニオンに至る回転トルクの伝達径
路に、減速ギヤーおよびフランジの相対向面に嵌合部を
、少なくとも一方の対向面に筒状部を形成するとともに
それぞれの嵌合部と係合する係止部を有し、筒状部に嵌
合される弾性体を配置するという手段により設けること
により、ピニオンとリングギヤーとの衝撃応力を確実に
減することができ、以ってスムーズな噛合トルク伝達が
行なえて信頼性の向上が計れ、しかも装置が大型化する
ことなく組付けが容易化する等の実用的な効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す部分断面図、第２図はこの考案の
一実施例を示す部分断面図、第３図は緩衝カップリング
の分解斜視図である。 図に於いて、１は電動機本体、３はアマチュアシャフト
、３ａは駆動ギヤー、４は中間ブラケット、６はフロン
トブラケット、７は出力軸、７ａｖ１３ａはヘリカルス
プライン、９．２５は減速ギヤー １０はピニオンシャ
フト、１０ａはクラッチインナ、１２はオーバランニン
グクラッチ、１３はスプラインボス、１４は、クラッチ
アウタ、１５はローラ、１６は操作レバー、２１はピニ
オン、２２はリングギヤー、２３は緩衝カップリング機
構、２４はフランジ、２４ａは筒状部、２４ｂ、２５ｂ
は嵌合部、２６はゴム、２７はカバーである。 尚、各図中同一符号は同一部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電動機のアマチュアシャフトに形成された小径の駆動ギ
   ヤー、この駆動ギヤーと噛合して減速する大径の減速ギ
   ヤー、この減速ギヤーを遊嵌支持する出力軸、上記減速
   ギヤーと出力軸方向に直列的に配置され、上記出力軸に
   嵌着されたフランジ、上記出力軸に嵌合されオーバラン
   ニングクラッチを介して回転されるピニオンシャフト、
   及び上記ピニオンシャフトに嵌着され機関のりングギャ
   ーと噛合し得るピニオンを備え、上記減速ギヤーおよび
   フランジはそれぞれ相対向する面に凹凸状の嵌合部を有
   するとともに少なくとも一方の対向面に出力軸方向に突
   出する筒状部を有してなり、上記減速ギヤーおよびフラ
   ンジ間に嵌入されてそれぞれの嵌合部に係止される係止
   部を有し、上記筒状部の外周上に嵌合された弾性体を設
   け、上記減速ギヤーの回転を上記弾性体を介して上記ピ
   ニオンに伝達するようにしたことを特徴とする内部減速
   型始動装置。