JPS6221741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動二輪車におけるキツク式のエンジ
ン始動装置に関する。

キツク式エンジン始動装置においては−の回転
方向に付勢されるシヤフトを基準位置から所定範
囲内で回動してエンジンのクランクシヤフトに充
分な回転を与えてエンジンを始動するものであ
る。

従来例のキツク式エンジン始動装置において外
部から付与される回転トルクにより回動せしめら
れるキツクシヤフトにはキツクスタータスレツド
が設けられている。キツクスタータスレツドには
固定された第１アイドルギアとキツクシヤフトの
軸方向に移動可能な第２アイドルギアとが設けら
れている。第１アイドルギアは−の回転方向に付
勢され所定範囲内で回動する始動シヤフトに設け
られたキツクギアより回転が伝達され、第２アイ
ドルギアはクランクシヤフト側に回転を伝達する
ものである。

しかし乍ら、上記した如きキツク式始動装置に
おいて各構成部品の加工精度誤差等により、各部
品間にガタが存在するためエンジン回転による振
動に応動して各構成部品が振動し多少なりとも騒
音を発生していた。

そこで本考案の目的はエンジン運転中において
各構成部品の振動を防止して騒音の発生を抑制し
た自動二輪車のキツク式始動装置を提供すること
にある。

本考案による自動二輪車のキツク式始動装置は
キツクギア側面にストツパープレートを突設し、
アイドルギアをスラスト方向に剛性的に付勢して
各構成部品間をタイトにすることによりエンジン
稼動中における各構成部品の振動・騒音を抑える
ものである。

以下、本考案による自動二輪車のキツク式始動
装置の実施例を第１図ないし第３図を参照して詳
細に説明する。

第１図ないし第３図に示したキツク式始動装置
においてエンジンのクランクケース１には同一平
面上平行に配列された始動シヤフト２及びキツク
シヤフト３の各端部がクランクケース１，１′の
ボス部１ａにより支持されている。始動シヤフト
２にはほぼ扇形状の第１キツクギア５と第２キツ
クギア６とが固着されており、更に、回転開始位
置の方向へ付勢するキツクリターンスプリング７
が固着されている。また、第２キツクギア６は回
転開始位置と同終了位置との一定角度区間を回転
するものであり、クランクケース１に設けられた
キツクストツパー８により回転範囲を規制してい
る。第２キツクギア６の端部側面（第１図上方
向）には剛性の高い金属等の材料から形成された
ストツパープレート９が突設されている。ストツ
パープレート９は第２キツクギアの最終噛合部近
傍に設けられ、先端部は他のギア間に介入しやす
いようにテーパ部９ａを形成しその一側には、第
２キツクギア６の最終噛合歯間より内方へ突設し
てストツパー片９ｂが形成されている。キツクシ
ヤフト３には第１キツクギア５に常時噛合する始
動ギア１０が固着され、更に、回転自在に嵌装さ
れたキツクスタータスレツド１１が設けられてい
る。キツクスタータスレツド１１の端部には第２
キツクギア６と常時噛合する第１アイドルギア１
２が一体的に結合されている。また、キツクスタ
ータスレツド１１の外側面には螺線状凸（又は
凹）部が形成され、第２アイドルギア１３がキツ
クシヤフト３の軸方向に一定区間移動出来るよう
に設けられている。更に、キツクスタータスレツ
ド１１上を軸移動するための第２アイドルギア１
３にはキツクフリクシヨンスプリング１４が第２
アイドルギアの外周溝に係合されている。またキ
ツクシヤフト３においてクランクケース１外部に
突出した先端部にはキツクアーム１５が設けられ
ている。クランクシヤフト４には第２アイドルギ
ア１３が移動した際に噛合し得る位置にドリブン
ギア１６が固着されている。第３図に示したよう
に第１及び第２キツクギア５，６が回転終了位置
に到達した状態では第２アイドルギア１３とドリ
ブンギア１６との噛合が解除されるように第２ア
イドルギア１３の一部に欠歯部１７が形成されて
いる。

上記した本考案による自動二輪車のキツク式始
動装置は次のように動作する。第３図に示したキ
ツク式始動装置においてエンジン始動前は第２キ
ツクギア６はキツクリターンスプリング７の捩り
トルクによりその一端部６ａでキツクストツパー
８に当接している。また、第２キツクギア６の他
端部６ｂにはストツパープレート９が突設してお
り第１及び第２アイドルギア１２，１３を互いに
反対方向へ付勢している。この時第２アイドルギ
ア１３は非作動位置（実線位置）にあつてドリブ
ンギア１６から側方へ離隔している。エンジンを
始動すべくキツクアーム１５を踏み込みキツクシ
ヤフト３を介して始動ギア１０を矢印Ａ方向に回
転すると第１及び第２キツクギア５，６を回転さ
せ第１アイドルギア１２に回転を伝達する。同時
に第２キツクギア６の回転力はフリクシヨンスプ
リング１４の摩擦抵抗に抗してスタータスレツド
１１を回転させ、更に、第２アイドルギア１３を
も回転させる。第２アイドルギア１３は螺線状に
形成された凸（又は凹）部に沿つてキツクシヤフ
ト３の軸方向に移動しクランクシヤフト４に固着
されたドリブンギア１６に噛合するのである。そ
して第２キツクギア６の端部６ｂがキツクストツ
パー８に当接すると第２アイドルギア１３の欠歯
部１７がドリブンギア１６の対向位置に来るので
（鎖線示状態）第２アイドルギア１３とドリブン
ギア１６との噛合関係が完全に解除される。この
ためエンジンの自力回転に何等の抵抗も与えずに
エンジンは始動する。始動後キツクアーム１５を
解放すると、キツクリターンスプリング７の戻し
力により第２キツクギア６はＡ方向に回転されて
回転開始位置に戻り、同時にキツクリターンスプ
リング７の戻し力により、ストツパープレート９
は第１及び第２アイドルギア１２，１３間に介入
する。この時、第２キツクギア６の最終噛合歯間
から突設したストツパー片９ｂは第１アイドルギ
ア１２の側方に当接し、同第１アイドルギア１
２、キツクスタータスレツド１１、キツクシヤフ
ト３及び始動ギア１０をクランクケース１側に押
圧し、一方ストツパープレート９の他側は、第２
アイドルギア１３をクランクケース１′側に押圧
する。これにより各構成部品間がタイトとなり各
構成部品の振動は抑制されることとなる。

このように本考案による自動二輪車のキツク式
始動装置においては、キツクギアの側面若しくは
軸部材にストツパープレート９を設けることによ
りエンジン稼動中の各部品の振動による騒音を効
果的に抑えることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による自動二輪車のキツク式始
動装置の実施例の縦断平面図、第２図は第２キツ
クギアの横断側面図、第３図は第１図の横断側面
図である。 主要部分の符号の説明、１，１′……クランク
ケース、２……始動シヤフト、３……キツクシヤ
フト、４……クランクシヤフト、５……第１キツ
クギア、６……第２キツクギア、９……ストツパ
ープレート、１０……始動ギア、１１……キツク
スタータスレツド、１２……第１アイドルギア、
１３……第２アイドルギア。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) キツク手段と連結して基準位置から所定範囲
   内で回動し得るキツクギアの動力をアイドルギ
   アを介してドリブンギアに伝達するキツク式始
   動装置であつて、前記キツクギアが前記基準位
   置にあるとき前記キツクギアと前記アイドルギ
   アとの噛合部において前記アイドルギアをその
   支持軸のスラスト方向に押圧する剛性ストツパ
   ー手段を有することを特徴とする自動二輪車の
   キツク式始動装置。 (2) 前記ストツパー手段は前記キツクギアの終端
   噛合歯間より内方に突設前記基準位置において
   前記アイドルギアの側方に当接することにより
   前記アイドルギアを前記支持軸のスラスト方向
   に押圧するストツパー片を具備することを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の自
   動二輪車のキツク式始動装置。 (3) 前記アイドルギアは第１及び第２アイドルギ
   アからなり前記キツクギアが基準位置にあると
   き前記第１及び第２アイドルギア間に前記スト
   ツパー手段が介在することを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の自動二輪車のキ
   ツク式始動装置。 (4) 前記ストツパー片は前記第１及び第２アイド
   ルギア間への介入を助長するテーパ部を有する
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第２
   項または第３項記載の自動二輪車のキツク式始
   動装置。