JPH0210308Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、オーバランニングクラツチ、特に
スタータモータの出力回転軸（ピニオン軸）上に
装着されるオーバランニングクラツチの改良に関
するものである。

従来、この種のものに実開昭49−133107号公報
に示すようなものがあつた。以下、その関係図を
第１図に図示し、要約して説明する。即ち第１図
において、１は電機子２の出力回転軸３上に装着
されたオーバランニングクラツチで、そのクラツ
チアウタ５のスプラインチユーブ５ａが上記出力
回転軸３上に形成されたヘリカルスプライン４上
にスプライン嵌合されている。６は上記スプライ
ンチユーブ５ａの外周面に揺動自在に遊嵌される
円筒状のクラツチリングであり、両端部に鍔部６
ａ及び６ｂが一体的に配設され、この鍔部によつ
てコの字断面を有する環状のカム係合溝Ａが形成
され、これにシフトレバー７がカム係合される。
８はスプラインチユーブ５ａの外周面に遊嵌され
クラツチアウタ５の端部とクラツチリング６の鍔
部６ｂとの間に張架されるコイルスプリング、９
はオーバランニングクラツチ１に一方向回転力係
合される如く装着されるピニオンであり、出力回
転軸（ピニオン軸）３上に揺動自在に遊嵌され
る。１０は出力回転軸３上に係着されるストツ
パ、１１は出力回転軸３の前端部を回転自在に軸
承するスリーブベアリングであり、前部機枠１２
に嵌着される。１３はエンジンのリングギヤであ
る。

次に上記構成の動作について説明する。シフト
レバー７が前方（図示右方向）に移動させること
により、クラツチリング６が前方に押圧され、コ
イルスプリング８を介してクラツチアウタ５にこ
の付勢力が伝達され、オーバランニングクラツチ
１が出力回転軸３上を前方に移送付勢され、ピニ
オン９がリングギヤ１３に噛込まれるとともにス
トツパ１０との当接位置まで前進する。しかる
後、電機子２の回転により、その回転力が出力回
転軸３，ヘリカルスプライン４、スプラインチユ
ーブ５ａ、クラツチアウタ５及びピニオン９を介
してリングギヤ１３に伝達され、図示しないエン
ジンが始動される。このときピニオン９がリング
ギヤ１３の端面で当接して正常に噛込まれない時
は、シフトレバー７がクラツチリング６を押圧し
てピニオン９とリングギヤ１３との当接力を高め
て後、電機子２が小回転角度回転し（補助回転動
作）、ピニオン９とリングギヤ１３との正常噛合
（噛込）が助長される。エンジン始動後、リング
ギヤ１３によつてピニオン９が高回転速度で過回
転付勢されるが、オーバランニングクラツチ１の
一方向回転力係合作用によつてピニオン９のみが
リングギヤ１３と共回転し、電機子２及び出力回
転軸は無負荷自由回転される。シフトレバー７が
後方に移動し、図示状態に復帰されると、ピニオ
ン９とリングギヤ１３との噛合係合が解除され、
装置が静止する。

従来装置は以上のように、シフトレバー７と係
合するクラツチリング６がスプラインチユーブ５
ａ上を揺動するよう構成されているが、この場
合、クラツチリング６とスプラインチユーブ５ａ
との接触面の摩擦力により、動作安定性が充分で
ない、つまり途中で引掛かるなどの現象を生じる
等の欠点があつた。

この考案は、以上の様な従来のものの欠点を解
消する為になされたもので、クラツチリングを減
摩構成とする事で円滑な摺動運動が行えるように
したものである。

以下、この考案の一実施例を図について説明す
る。第２図及び第３図において、１４はオーバラ
ンニングクラツチ、１５はそのクラツチアウタ、
１６はこのクラツチアウタ１５に一体的に固着さ
れるスプラインチユーブであり、第１図の従来装
置に説明すると同様の出力回転軸３上のヘリカル
スプライン４に前後摺動可能にスプライン嵌合さ
れる。１７はスプラインチユーブ１６の後端部に
設けられた段部１６ａに遊嵌され、止め輪１８に
よつて抜け止め係着がなされる平座金、１９は内
周面に複数個の凹溝１９ａが配設された円筒体
で、凹溝１９ａに嵌合されたボール２０を介して
スプラインチユーブ１６上に揺動自在に装着され
る。またこの円筒体１９の端部に鍔部１９ｂが一
体構成され、上記平座金１７との間で断面コの字
形の環状の凹溝Ｂを構成し、この凹溝Ｂにシフト
レバー２１のカム部２２が係合される。２３は上
記筒状体１９の端面に当接される平座金、２４は
この平座金２３とクラツチアウタ１５の側端面と
の間に張架される圧縮用のコイルスプリングであ
る。２５はクラツチインナであり、出力回転軸２
６を介してピニオン９が固着される。２７はクラ
ツチアウタ１５の筒部内周面に形成されたカム面
Ｃとクラツチインナ２５との間で構成される楔型
空間の狭小方向にくい込む如く図示しないバネで
押圧付勢される摩擦ローラ、２８はピニオン９及
びクラツチインナ２５の間に連通する貫通孔２９
に嵌着されるスリーブベアリングであり、出力回
転軸３上に揺動自在に遊嵌される。３０及び３１
はワツシヤ、３２はゴム製のパツキン、３３はカ
バーであり、上述の各構成部材を図示の如く組付
け、クラツチアウタ１５上にカシメ固着される。
３４はストツパ１０を出力回転軸３の凹溝３５に
係着するリングである。

次に上記構成の動作について説明する。シフト
レバー２１が図示しない電磁シフトスイツチ装置
によつて回動付勢され、その端部２２が２２ａ位
置まで移動し、筒状体１９が前方（図示右方）に
押圧され、この押圧力が座金２３及びコイルスプ
リング２４を介してクラツチアウタ１５に伝達さ
れる。そしてこのクラツチアウタ１５がヘリカル
スプライン４上を前方に移送付勢されることによ
り、オーバランニングクラツチ１４が前方移送さ
れ、ピニオン９がリングギヤ１３に噛込まれる。
なお、ピニオン９がリングギヤ１３の端面で当接
して噛込まれない時は、シフトレバー２１の押圧
力はコイルスプリング２４をたわませ、ピニオン
９の押圧力を高めた状態で、出力回転軸３が第１
図の従来装置に説明すると同様に回転付勢され、
ピニオン９がリングギヤ１３に噛込まれる。この
後、回転軸３が正規の回転力で回転し、第１図の
従来装置と同様にピニオン９が回転付勢され、リ
ングギヤ１３を介して図示しないエンジンが始動
される。エンジン始動後、リングギヤ１３によつ
てピニオン９が高回転速度で過回転付勢される
が、このとき摩擦ローラ２７の係合が外れ、ピニ
オン９（クラツチインナ２５を含む）がリングギ
ヤ１３と共回転し、クラツチアウタ１５以前の回
転部材は出力回転軸３と共に無負荷自由回転され
る。

ところで、上述のように筒状体１９がシフトレ
バー２１によつて押圧されたとき、スプラインチ
ユーブ１６上を揺動するが、球２０の低ころがり
摩擦係数のため、筒状体１９のスプラインチユー
ブ１６上の動作は常に安定したものとなる。

なお、上記球２０の構成部材としては、鋼球又
はセラミツク材或いは機械構造用合成樹脂材で構
成する事が望ましい。

以上の様にこの考案によれば、筒状体１９とク
ラツチアウタ１５との間に球２０を装着するだけ
の簡単な構成により、筒状体１９の揺動運動（軸
方向移動及び相対回転運動）が極めて円滑に行な
われる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の要部を示す一部断面図、第
２図はこの考案の一実施例を示す半部断面図、第
３図は第２図の主要構成部材の平面図である。 図中、３は出力回転軸、４はヘリカルスプライ
ン、９はクラツチアウタ、１３はリングギヤ、１
４はオーバランニングクラツチ、１５はクラツチ
アウタ、１６はスプラインチユーブ、１９は筒状
体、２０は球、２１はシフトレバー、２４はコイ
ルスプリングである。尚、図中同一符号は同一又
は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) オーバランニングクラツチの入力回転軸上に
   遊嵌されシフトレバーが係合する筒状体、この
   筒状体の内周面と上記入力回転軸との間に介装
   され上記筒状体が揺動自在に遊嵌される複数個
   の球を備え、上記筒状体と入力回転軸の前端部
   に固着されたクラツチアウタとの間にコイルバ
   ネが張架されていることを特徴とするオーバラ
   ンニングクラツチ。 (2) 筒状体の内周面に複数個の凹溝を設け、この
   凹溝内に球を嵌め込んでなる実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のオーバランニングクラツ
   チ。 (3) 筒状体の外周面にシフトレバーとカム係合さ
   れる凹溝を構成してなる実用新案登録請求の範
   囲第１項または第２項記載のオーバランニング
   クラツチ。