JPH02508Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車輛用デイスクブレーキにおけるパ
ツドに関する。

車輛用デイスクブレーキは、第１図に示すよう
に、キヤリパー１に内蔵されたピストン２により
インナーパツト裏板３と対をなすインナーパツド
４をローター５の一方側に押しつけ、同時にその
反力でキヤリパー１が移動し、その突出壁部８で
アウターパツド裏板６を押し、このアウターパツ
ド裏板６と対をなすアウターパツド７をローター
５の他方側に押圧し、回転するローター５をイン
ナーパツド４とアウターパツド７で挟接して制動
するように構成されている。この対をなして作動
するインナーパツド裏板３とインナーパツド４お
よびアウターパツド裏板６とアウターパツド７
は、第２図に示すように、ほぼ同形に形成され、
摩擦材としてのインナーパツド４およびアウター
パツド７に、場所により摩擦面圧の差異があるこ
とに基づく影響を少くするため、それぞれインナ
ーパツド裏板３とアウターパツド裏板６との接触
面にわずかな肉厚を残して一条若しくは二条の切
溝９，１０を設けて形成されている。従来例にお
けるこの二条の切溝９，１０は適当な隔接間隔を
設けて相互に平行するように形成されている。従
つて、ローター５の外径寸法とほぼ同一寸法を有
する円弧状の外周縁をもつ扇形状のパツド表面は
切溝縁上に鋭角と鈍角を対をなして有する三の部
分に区分される。この三つに区分されたパツド表
面はそれぞれ制動時に、摩擦力の反力と、同時に
周速差による外周縁部が内周縁部を引きずろうと
する力および急制動時のインナーパツド裏板３や
アウターパツド裏板６の変形による力の影響を受
ける。そのため切溝９，１０の鋭角を有する部分
の溝底部に割れを生ずる欠点を有している。この
考案はこの欠点を解決したデイスクブレーキにお
けるパツドを提供することを目的とするものであ
る。

この考案を図示の実施例に基づいて詳細に説明
する。

第３図は、この考案に係るデイスクブレーキに
おけるパツドを説明するためのローターおよびピ
ストンを重ねた正面説明図。図中１１は従来例
（第２図）におけるインナーパツド３およびアウ
ターパツド７を含めたパツド、１２はその裏板、
１３，１４はパツド１１に設けた切溝、１５はロ
ーター、１６，１７は複列に設けられたピストン
である。パツド１１は石綿材料又は石綿材に金属
粉を含侵して成形し、鋼板製又は鋳鉄制の裏板１
２とほぼ同形に形成する。裏板１２はローター１
５の外周縁とほぼ同一径を有する外縁１８と、こ
の外縁１８と同心に形成した内縁１９を有する扇
形形状に形成し、両端部にキヤリパーに係合する
案内部２０，２１を設けて形成する。また切溝１
３，１４はローター１５の中心と、ピストン１
６，１７の中心を通る半径線上に設けて形成す
る。つまり切溝１３，１４と裏板１２の外縁１８
および内縁１９と一致するパツト１１の外周縁お
よび内周縁はそれぞれ直交するように形成し、外
周縁となす角および内周縁とのなす角に差異を生
じないように形成し、バット１１内の任意の半径
線上に作用する摩擦反力をすべて切溝１３，１４
に直交して作用するように形成し、同時に押圧面
圧が安定しているピストン１６，１７の押圧部分
に設けて急制動時における裏板１２の変形の影響
を最少にするように形成する。この切溝１３，１
４は、第４図に示すように、ローター１５と直接
接触する摩擦面に開口させ裏板１２との接触部に
２ミリメートル乃至３ミリメートルの肉厚を残し
て形成し、開溝巾も、パツド１１の厚さや、許容
摩耗代に関係なく、2.5ミリメートル乃至３ミリ
メートルに形成した平行溝に形成することが望ま
しい。

次に他の実施例について説明する。第１の実施
例においては、パツド１１の表面に設ける切溝１
３，１４をピストン１６，１７の中心を通る半径
線上に設けて形成し、摩擦反力や、周速度の差異
によつて生ずるパツド１１内部の応力を切溝１
３，１４に直交する作用線上に働くようにし、局
所的な応力の集中による割れの発生を防止するよ
うに形成した。

第２の実施例では、さらに周速の差異による影
響や、接触面圧の差異による影響を少くするた
め、第５図に示すように、第１の実施例における
と同様にピストン１６，１７の中心を通るロータ
ー１５の半径線上に切溝１３，１４を形成し、さ
らに摩擦面圧の低い裏板１２の案内部２０，２１
に重合する部分を削除し、同時に周速度の遅い裏
板１２の内縁１９に沿う円弧状の帯状部を削除し
たパツド２２に形成する。すなわち裏板１２の外
縁１８と案内部２０の連接点とローター１５の中
心を結ぶ半径線と、外縁１８と案内部２１との連
接点とローター１５の中心を結ぶ半径線ではさま
れる扇形形状にパツド２２を形成し、同時に最大
限裏板１２の板巾（内縁１９と外縁１８の鉛直距
離）の1/3に相当する巾長の帯状部を削除したパ
ツド巾を有するパツド２２に形成する。このもの
では特に裏板１２とパツド２２を第１図に示すア
ウターパツド裏板６とアウターパツド７として使
用した場合に、摩擦面圧が外径方向にいくほど高
くなり、また両側部で低くなることによる影響を
少くし得る実利を併有する。

この考案は上述の実施例に基づいて実用新案登
録請求の範囲のように構成したので切溝とパツド
の外周縁並びに内周縁は直角に交ることになり、
またパツドの任意の半径上に作用する摩擦反力は
切溝と直交して作用するので、鋭角部に集中して
生ずる割れの発生をなくすことが可能となる。ま
たインナーパツドとして使用する場合も、アウタ
ーパツドとして使用する場合にもピストン押圧部
分の軸心を通るように形成したので制動時の裏板
の変形や、他部の押圧面圧の差による影響が少
く、切溝底部の割れの発生をなくすることが可能
となる。また切溝により分割された中央扇形は両
側縁（切溝縁）を平等に押圧されるので偏摩耗が
少くなる実利を保有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はデイスクブレーキの断面説明図、第２
図は従来例におけるパツドの正面説明図、第３図
はこの考案に係るパツドのピストンとローターを
鉛線で重合させた正面説明図、第４図はその平面
図、第５図は他の実施例におけるパツドの正面説
明図である。 符号の説明、１１，２２……パツド、１２……
裏板、１３，１４……切溝、１５……ローター、
１６，１７……ピストン、１８……外縁、１９…
…内縁、２０，２１……案内部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２個のピストンを内蔵するデイスクブレーキの
   パツドにおいて、ローター５の外径寸法とほぼ同
   一寸法の円弧状の外周縁と当該外周縁と同心に隔
   接した内周縁を有する扇形状のパツドと、当該パ
   ツトのローターと直接接触する摩擦面に開口し、
   ピストンの中心線を通ると共に外周縁および内周
   縁にそれぞれ直交しパツド内の任意の半径上に作
   用する摩擦反力をすべて直交して作用させるよう
   にした２条の有底切溝を設けたことを特徴とする
   デイスクブレーキにおけるパツド。