JPH0249418B2 - Yuatsukanshoki - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車輛の懸架装置などに用いられる油圧
緩衝器に関する。

油圧緩衝器には種々のタイプがあり、そのうち
の１つにフリーピストンを備えたものがある。こ
れは例えば第１図に示されるように、オイルを充
填したシリンダ１に、ピストン２を備えたロツド
３を摺動自在に挿入するとともに、ピストン２に
オリフイス４を設け、更にフリーピストン５によ
つてシリンダ内をオイル室７とガス室８に仕切つ
たものである。また、同じくフリーピストンを備
えたタイプとして、第２図のように蓄圧室６をシ
リンダ１とは別体に設けてこの蓄圧室６の内部に
フリーピストン５を設けたもの、あるいは第３図
のようにロツド３の内部をフリーピストン５でガ
ス室８とオイル室７に仕切るようにしたものもあ
る。

これらの実施例においては、まずガス室８に高
圧ガスを充填したのちオイル室７にオイルを注入
するようにしている。各図において９はガスの注
入口、また１０はオイルの出入口を示している。

ところで上記ガス室８とオイル室７との間をシ
ールするためにフリーピストン５の外周面にはシ
ール材が設けられるが、上記したようにオイル注
入前に高圧ガスを封入するには、ガス室８内の高
圧ガスがオイル室７側に漏れないようにするため
に密着力の強いシール材を用いる必要がでてくる
が、このように密着力を強めるとフリーピストン
５の摺動抵抗が大となつてフリーピストン５が動
きにくくなり、緩衝器としての特性に悪影響を与
えることがある。

本発明は上記事情にもとづきなされたものでそ
の目的とするところは、高圧ガス封入時にはフリ
ーピストンの気密を充分に確保できガス漏れを防
止できるとともに、オイル注入後はフリーピスト
ンの摺動抵抗を増大させるようなことがなく、フ
リーピストンが円滑に動作できる油圧緩衝器を提
供することにある。

すなわち本発明は、フリーピストンのオイル室
側の面またはこの面と対向する相手側の面に、高
圧ガス封入時に上記フリーピストンが相手側の面
に押し付けられた状態において互いの対向面に圧
着するガス漏れ防止パツキンを設けたことを特徴
とする油圧緩衝器である。

従つて上記構成によれば、ガス封入時において
は上記パツキンがフリーピストンと相手側の面に
圧着してフリーピストンの気密を保持するため、
高圧ガスがオイル室側に漏れることを防止でき
る。また、オイル注入後はオイル圧力によつてフ
リーピストンが中間位置まで移動してオイルとガ
スの圧力がバランスするため、フリーピストン摺
動部のシール力は比較的小さくてよい。つまり摺
動低抗の小さなシールをフリーピストン摺動部に
用いることができるから、フリーピストンの動き
が円滑なものとなり、緩衝器としての性能を向上
させることができる。

以下に本発明の一実施例について図面を参照し
て説明する。第４図は本発明を具体化した油圧緩
衝器の一例であつて、この油圧緩衝器の構造の概
略は、第３図に示したものと同様に、オイルを収
容するシリンダ１と、このシリンダ１に摺動自在
に挿入されかつオリフイス４を有するピストン２
を取付けたロツド３と、上記ロツド３内に形成さ
れかつフリーピストン５によつて仕切られたオイ
ル室７とガス室８とを備えて構成されている。

同第４図において、９はガスの注入口、１０は
オイルの出入口を示している。また、上記ピスト
ン２にはオリフイス４の位置に、オイルの流通抵
抗を増加させるためのプレート弁１１が設けられ
ている。

一方、フリーピストン５の外周面にはリング状
のシール材１２が設けられている。

そしてフリーピストン５とピストン２との間に
シールワツシヤ１３が設けられている。そして上
記シールワツシヤ１３の図示上面側、つまりフリ
ーピストン５と対向する面に、第６図に例示した
ような環状のガス漏れ防止パツキン１５が取着さ
れている。このパツキン１５は、ロツド内面３ａ
とフリーピストン５の下面にそれぞれ圧着できる
ような寸法、形状としてある。

以上のように構成された本実施例にガスとオイ
ルを注入するには、まずガス注入口９に図示しな
い高圧ガス供給源を接続し、ガス室８に窒素等の
高圧ガスを例えば数十気圧程度で送り込む。この
場合フリーピストン５は第４図のようにシールワ
ツシヤ１３に押圧され、ガス漏れ防止パツキン１
５がフリーピストン５とロツド内面３ａに強く密
着するため、ガス室８内の高圧ガスがオイル室７
側に漏れることを防止できる。

そして所定のガス圧にしたのち、今度は第５図
に示すようにオイル出入口１０からオイルを注入
する。注入されたオイルはオリフイス４を通つて
オイル室７に流入するとともに、フリーピストン
５を押し上げるため、フリーピストン５はシール
ワツシヤ１３から離れて同第５図に示すような中
間位置で止まり、ガスとオイルの圧力がバランス
する。

従つて、フリーピストン５のシール材１２とし
て比較的密着力の弱い摺動抵抗の小さいものを使
用しても、オイル注入後はガス室８とオイル室７
の圧力差は実質的に無いので両者を仕切るに足る
充分なシール機能を発揮することができ、場合に
よつてはシール材１２を省略することも可能であ
る。

上記油圧緩衝器は例えば車輛の懸架装置に使用
される。すなわちシリンダ１に対しロツド３が伸
縮すると、オリフイス４を通じてオイルが出入り
し、オイルの粘性抵抗によつて減衰力を発揮する
とともに、オイル室７内の油量の変動に応じてフ
リーピストン５が上下動する。以上の動作は従来
のフリーピストン式のものと同様である。

しかして本実施例によれば、前記したようにガ
ス充填時（オイル注入前）にはシールワツシヤ１
３のガス漏れ防止パツキン１５がシール機能を発
揮しガス漏れを防ぐことによつて、フリーピスト
ンのシール材１２自体は摺動抵抗の小さなものを
使用できるから、オイル室７の油量の変動に応じ
てフリーピストン５が円滑に摺動でき、応答性の
優れた性能の良い油圧緩衝器を提供することがで
きるものである。

なお上記実施例ではピストン２側のシールワツ
シヤ１３にガス漏れ防止パツキン１５を設けるよ
うにしたが、、本発明は例えば第７図に示したよ
うにフリーピストン５の下面（オイル室側の面）
にガス漏れ防止パツキン１５を取付けるようにし
てもよい。あるいは第８図に示したようにフリー
ピストン５の下面と側面に一部が突出するような
形状のガス漏れ防止パツキン１５を用いることに
よつて、このパツキン１５がオイル室７とガス室
８を仕切るシール材１２を兼用するようにしても
よい。要するに本発明は、フリーピストンのオイ
ル室側の面またはこの面と対向する面の少なくと
もいずれか一方に、高圧ガス封入時にフリーピス
トンが相手側の面に押し付けられた状態において
互いの対向面に圧着するようなガス漏れ防止パツ
キンを備えていればよい。

また本発明は、第１図のようにシリンダ１にフ
リーピストン５を設けたもの、あるいは第２図の
ように蓄圧室６をシリンダ１とは別体に設け、こ
の蓄圧室６にフリーピストン５を設けたものにお
いても同様に適用できることは言うまでもない。

本発明は前記したように、ガス封入時における
フリーピストンの気密性を高めることができ、ガ
ス漏れを確実に防止できるとともに、オイル注入
後はフリーピストンの摺動抵抗を軽減でき、油圧
緩衝器の性能を向上させる上で大きな効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はそれぞれフリーピストン
を有する油圧緩衝器の概略図、第４図は本発明の
一実施例を示す油圧緩衝器のオイル注入前の状態
の縦断面図、第５図は同油圧緩衝器においてオイ
ル注入後の状態を示す縦断面図、第６図は同油圧
緩衝器に用いたシールワツシヤの斜視図、第７図
および第８図はそれぞれガス漏れ防止パツキンの
変形例を示すフリーピストンの縦断面図である。 １…シリンダ、２…ピストン、３…ロツド、４
…オリフイス、５…フリーピストン、７…オイル
室、８…ガス室、１５…ガス漏れ防止パツキン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ オイルを収容したシリンダと、このシリンダ
   に摺動自在に挿入されかつオリフイスを有するピ
   ストンを備えたロツドと、フリーピストンによつ
   て仕切られたオイル室とガス室とを備えた油圧緩
   衝器において、上記フリーピストンの上記オイル
   室側の面またはこの面と対向する相手側の面に、
   高圧ガス封入時に上記フリーピストンが相手側の
   面に押し付けられた状態において互いの対向面に
   圧着するガス漏れ防止パツキンを取付けたことを
   特徴とする油圧緩衝器。