JPH0248999Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案はカセツトテープレコーダ等の音響機器
のカセツト蓋体の開閉装置に係り、特にカセツト
蓋体の開きを緩やかにしてなるいわゆるソフトイ
ジエクト装置に好適するカセツト蓋体の開閉装置
に関する。

［考案の技術的背景］ 第１図に示すようなカセツトテープレコーダ１に
用いられるカセツト蓋体の開閉装置としては、キ
ヤビネツト２とデザイン的にマツチしたカセツト
蓋体３を、その基部付近を支点として上端縁が前
方すなわち使用者方向へ傾動するように構成され
ものが多く、近年、このカセツト蓋体３の損傷の
回避および快い操作感を得るめに、イジエクト釦
４の操作によつてカセツト蓋体３が緩やかに前方
に傾動するようにしたソフトイジエクト装置が多
用されている。

従来、このようなイジエクト装に用いられるカ
セツト蓋体の開閉装置としては、第２図に示すよ
うに、キヤビネツト２のカセツト収納凹部５内へ
収納されるカセツト蓋体３にカセツトホルダ６を
設け、このカセツトホルダ６の両側面下端からア
ーム７を延設し（図中片側を示す）、キヤビネツ
ト２の裏面に立設させた支持柱８側面から突出す
るピン９に両アーム７の先端を枢支し、さらに、
このピン９に板ばね１０を巻付け、この板ばね１
０の一端を、キヤビネツト２から突出するボス１
１にねじ１２でねじ止めされた固定金具１３の先
端に止着するとともに他端をアーム７に設けた係
止部１４に係止し、アーム７に一体的に設けられ
た歯車１５をオイルダンパユニツト（第２図にお
いては図示省略）のギア１６に噛み合わせた構造
を有している。

なお、オイルダンパユニツト１７は、第３図に
示すように、キヤビネツト２の裏面から突出する
ボス１８に支持された支持板１９に軸支されてお
り、オイルダンパユニツト１７のギア１６がカセ
ツトホルダ６のアームに形成されたギア１５と噛
み合つている。

このように構成されたカセツト蓋体の開閉装置
は、カセツト収納凹部５内に押込まれたカセツト
蓋体３が、キヤビネツト２内に収納されたメカニ
ズムから延びる係止部材２０によつて係止される
とともに、板ばね１０によつてピン９を支点とし
て前方に付勢力が与えられているので、第１図の
イジエクト釦４の操作によつて係止部材２０の係
止を外すと、第２図中破線で示すようにカセツト
蓋体３が前方に傾動する。

［背景技術の問題点］ しかしながら、このように構成された従来のカ
セツト蓋体の開閉装置にあつては、カセツト蓋体
３を開かせるめにカセツト蓋体３に与える付勢力
を、支持アーム７から突出するピン９に取付けら
れた板ばね１０によつて得ており、この板ばね１
０のほかにこれを固定する固定金具１３やボス１
１等が必要である。そのため部品点数が増加する
とともに構造が複雑となる欠点がある。

特にカセツト収納凹部５近傍は、カセツト蓋体
３に収納されたカセツトテープを駆動するための
駆動機構等の機械的メカニズムが配置されるの
で、板ばね１０や固定金具１３等を配置するスペ
ースが極めて限られることから、上述の構造では
組立が非常に面倒で組立能率が低下する難点があ
る。

［考案の目的］ 本考案はこのような欠点を解消するためになされ
たもので、カセツト蓋体に与える付勢力をダンパ
ユニツト自体から得られるようにした構造が簡単
で組立の容易なカセツト蓋体の開閉装置の提供を
目的とする。

［考案の概要］ この目的を達成するために本考案は、キヤビネ
ツトおよびカセツト蓋体の一方に第１のギアの設
けられたダンパユニツトを配置し、他方に前記第
１のギアと噛合う第２のギアを配置し、前記第１
のギアと第２のギアとを噛合わせて前記カセツト
蓋体を前キヤビネツトに開閉自在に支持してなる
カセツト蓋体の開閉装置において、前記ダンパユ
ニツトが、先端開放の中空軸孔を有し後端に前記
第１のギアを固設したダンパ軸を、内部のオイル
溜め部に通ずる軸受け部を有するダンパ基体に、
ダンパ軸の軸本体を前記内部のオイル溜め部に位
置ささせその軸基部を前記ダンパ基体の軸受け部
に液密にかつ回転自在に支承させて装着するとと
もに、前記ダンパ軸の中空軸孔にばね部材を挿入
し、このばね部材の両端を、前記蓋体に開放方向
の付勢力が付与されるように捻転させて、前記ダ
ンパ軸と前記基体に係止してなることを特徴とし
ている。

［考案の実施例］ 以下本考案の詳細を図面を参照しつつ説明す
る。なお従来例と共通する部分には同一の符号を
付す。

第４図および第５図は本考案のカセツト蓋体の
開閉装置の一実施例を示す断面図および斜視図で
ある。第４図においてキヤビネツト２は、第１図
に示す如きカセツトテープレコーダ１のフロント
側キヤビネツトを構成するとともに、前面および
下側面開放のカセツト収納凹部５を有しており、
このカセツト収納凹部５にはカセツト蓋体３が収
納されるようになつている。

カセツト蓋体３は、カセツトテープ（図示省
略）を挿入する袋状のカセツトホルダ６と、この
カセツトホルダ６の前面に取付けられたカバー２
１を有し、カセツトホルダ６の両下部側面からは
アーム７が一体的に形成され、カセツト収納凹部
５の下方に延びている（図中一方の下部側面を示
す）。

アーム７の先端側面にはピン２２が突設され、
キヤビネツト２の裏面に設けた支持柱８の孔２３
にピン２２を嵌め込み、カセツト蓋体３がこの支
持柱８に枢支されるとともにこのピン２２を支点
として前方に傾動可能になつている。

カセツトホルダ６の一方のアーム７には扇形の
ギア１５が一体的に形成されており、このギア１
５には後述するオイルダンパユニツト１７のギア
１６が噛み合つている。

なお、符号２４はカセツト蓋体３に収納された
カセツトテープを駆動するメカニズムであり、リ
ール軸２５やキヤプスタン２６および押込まれた
カセツト蓋体３の係止部２７に係止する係止部材
２０を備えている。

オイルダンパユニツト１７は、第５図に示すよ
うに、カセツト収納凹部５の側部に設けられたボ
ス１８の先端間に支持板１９等を介して取付けら
れており、ギア１６がカセツト収納凹部５方向に
向けて配置され、アーム７の扇形のギア１５に噛
み合うようになつている。

また、オイルダンパユニツト１７は、第６図お
よび第７図に示すように、先端開放の中空軸孔２
８を有しかつ一方の端縁にギア１６を備えるとと
もに他方の端縁およびその中間にそれぞれつば２
９を形成したダンパ軸３０と、高粘性オイルの充
填されたオイル溜め部３１とこのオイル溜め部３
１に通ずる軸受け部Ａの形成された基体としての
半割部材３２，３２とから構成されており、ダン
パ軸３０のつば２９の部分が基体のオイル溜め部
３１に位置するように、ダンパ軸３０の基部を基
体の軸受け部Ａに添わせて半割部材３２，３２を
合体させることにより、組み立てられている。

そして、組み立ての際には、ダンパ軸３０の中
空軸孔２８内にコイルばね３５が嵌め込まれ、こ
のコイルばね３５の先端は係止孔３３に係止さ
れ、他端が一方の半割部材３２の係止孔３４に係
止されるが、このときコイルばね３５は、カセツ
トホルダ６を前方に傾動させる付勢力が生ずるよ
うな回転力をギア１６に加えるように、予めねじ
り変形させた状態でダンパ軸３０と半割部材３２
間に係止される。なお、第５図中符号３６，３７
は、半割部材３２，３２に設けたダボおよびダボ
孔である。

このように構成されたカセツト蓋体の開閉装置
は、第４図に示すように、カセツト蓋体３をカセ
ツト収納凹部５に押込んだ状態で、係止部材２０
の先端をカセツトホルダ６の係止部２７に係止さ
せれば、カセツト蓋体３がカセツト収納凹部５内
に収納される。

そして、第１図に示すイジエクト釦４を操作し
て係止部材２０の係止を外すと、オイルダンパユ
ニツト１７のダンパ軸３０内に挿入されたコイル
ばね３５の復元力によつてダンパユニツトのギア
１６が制動を受けながら回転し、これに噛み合う
カセツトホルダ６のアーム７に設けたギア１５を
移動させるので、カセツト蓋体３はアーム７先端
のピン２２を支点として前方に緩かに傾動する。

カセツト蓋体３をカセツト収納凹部５内に押込
めば、係止部材２０によつてカセツトホルダ６の
係止部２７が係止されるとともに、ギア１５の移
動によつてダンパユニツトのギア１６が回転し
て、オイルダンパユニツト１７の中空軸孔２８内
のコイルばね３５が再びねじれるように変形す
る。

なお、上述の実施例においては、コイルばね３
５を用いて予めねじれ変形させた状態でギア１６
のダンパ軸３０と半割部材３２間に係止させた
が、コイルばね３５のほかリボンばねや渦巻板ば
ね等のばね部材をカセツト蓋体３が開放方向へ付
勢されるように変形させてダンパユニツト内に取
付けることも可能である。

また、上述の実施例にあつては、ダンパユニツ
トをキヤビネツト側に軸支する例について説明し
たが、カセツト蓋体側に基体を設けて軸支するこ
とも可能である。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案のカセツト蓋体の開
閉装置は、従来のようなカセツト蓋体に付勢力を
与える固定金具やこれを支持するボスやねじの省
略が可能となつて、装置の部品点数が大幅に減少
し構造も簡単で価格の低減を図ることができる。

しかも、カセツト蓋体に開放方向の付勢力を生
じるばね部材がダンパ軸の中空軸孔内に挿入され
ているので、カセツト蓋体に付勢力を与える板ば
ね等を配置するスペースが不要となつて音響機器
の組立が容易となり、他の機械的メカニズムの配
置も簡単となる。

また、ばね部材がダンパ軸の中空軸孔内に挿入
されているので、ばね部材材に対する防水、防湿
性が高く、さらにオイル溜め部の高粘性オイル
は、ばね部材の係止孔等から中空軸孔内にも漏出
してきてばね部材に付着するのでばね部材の耐久
性はより一層向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はカセツト蓋体の開閉装置を備えたカセ
ツトテープレコーダを示す斜視図、第２図および
第３図は従来のカセツト蓋体の開閉装置を示す断
面図および斜視図、第４図および第５図は本考案
のカセツト蓋体の開閉装置の一実施例を示す断面
図および斜視図、第６図および第７図は第５図に
示すダンパユニツトの分解斜視図および断面図で
ある。 １……カセツトテープレコーダ、２……キヤビ
ネツト、３……カセツト蓋体、５……カセツト収
納凹部、６……カセツトホルダ、７……アーム、
９……ピン、１０……板ばね、１１，１８……ボ
ス、１３……固定金具、１５，１６……ギア、１
７……ダンパユニツト、１９……基体、３０……
ダンパ軸、３２……基体（半割部材）、３５……
コイル部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 キヤビネツトおよびカセツト蓋体の一方に第１
   のギアの設けられたダンパユニツトを配置し、他
   方に前記第１のギアと噛合う第２のギアを配置
   し、前記第１のギアと第２のギアとを噛合わせて
   前記カセツト蓋体を前記キヤビネツトに開閉自在
   に支持してなるカセツト蓋体の開閉装置におい
   て、 前記ダンパユニツトが、先端開放の中空軸孔を
   有し後端に前記第１のギアを固設したダンパ軸
   を、内部のオイル溜め部に通ずる軸受け部を有す
   るダンパ基体に、ダンパ軸の軸本体を前記内部の
   オイル溜め部に位置させその軸基部を前記ダンパ
   基体の軸受け部に液密にかつ回転自在に支承させ
   て装着するとともに、前記ダンパ軸の中空軸孔に
   ばね部材を挿入し、このばね部材の両端を、前記
   蓋体に開放方向の付勢力が付与されるように捻転
   させて、前記ダンパ軸と前記基体に係止してなる
   ことを特徴とするカセツト蓋体の開閉装置。