JPH0447821Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は磁気テープを収納するテープカセツト
に係り、特にガイド挿入部及びリール軸挿入孔を
スライダにより開閉するようにしたテープカセツ
トに関する。

〔考案の概要〕

本考案は前面部に開口部及びガイド挿入部が設
けられ、下面側にリール軸挿入孔が設けて内部に
磁気テープを巻装した一対のリールハブを収納す
るカセツト匣体と、開口部を開閉する回動自在な
前面蓋と、ガイド挿入部及びリール軸挿入孔を開
閉する前後方向に摺動自在なスライダを備えて成
るテープカセツトにおいて、スライダをカセツト
匣体に対して一方向に摺動偏倚させるトーシヨン
スプリングがスライダに軸支され、その一端側を
軸支部に並設されるフツク部に係合させると共に
フツク部と対向する側を突起部に係合させること
によりトーシヨンスプリングをスライダに仮止め
状態となし、カセツト匣体に対してスライダを簡
易に組付けることができるようにしたものであ
る。

〔従来の技術〕

近年、音響信号等のアナログ信号をデジタル信
号例えばPCM信号に変換して磁気テープに記録
（又は再生）するPCM記録再生装置が提案されて
いる。このPCM記録再生装置として回転ヘツド
を使用して比較的高い記録密度が得られるように
したものがある。この回転ヘツドを使用した
PCM記録再生装置においては、再生（又は記録）
時に磁気テープが回転ヘツドが設けられた回転ド
ラムにローデイングされた状態で再生（又は記
録）がなされる。

ところで、この磁気テープを装填するテープカ
セツトにおいては、磁気テープに指が触れて油脂
成分が付着したり、塵埃がついたりすると再生信
号にドロツプアウトを生じるので、磁気テープに
指が触れたり塵埃がつくことがないように磁気テ
ープをできるだけ密封する必要がある。又、再生
（又は記録）時にテープカセツトから磁気テープ
をローデイングできるようにガイド係を挿入する
ための空間が必要である。

このため、第４図及び第５図に示す如きテープ
カセツトが提案されている（実願昭58−174094
号）。即ち第４図及び第５図において、１はカセ
ツト匣体を示し、このカセツト匣体１はねじ止め
により合体された一対の上ハーフ２及び下ハーフ
３より構成されている。２ａは上ハーフ２の上面
部に設けられた透明な窓板である。４ａ及び４ｂ
はカセツト匣体１内に収納され下ハーフ３の所定
位置に設けられた一対のリール軸挿入孔５ａ及び
５ｂに回転できるように遊嵌された一対のリール
ハブであり、この一対のリールハブ４ａ，４ｂに
磁気テープ６が巻回される。７ａ及び７ｂは夫々
前面部に面して左右の側壁部寄りに設けられたテ
ープガイド柱であり、磁気テープ６がこのテープ
ガイド柱７ａおよび７ｂ間に架張されることによ
り前面部の所定位置を走行できるようになされ
る。３ａはテープガイド柱７ａ及び７ｂ間に架張
された磁気テープ６の背面側の下ハーフ３が所定
幅に亘つて略長方形状に形成された凹部であり、
記録又は再生時にこの凹部３ａ内に記録再生装置
からローデイング用のガイド系が挿入される。

８は左右両側部に設けたアーム部８ａ及び８ｂ
にてカセツト匣体１の前面部側に回動できるよう
に軸支された前面蓋であり、この前面蓋８により
カセツト匣体１の前面部が開閉される。

９は下ハーフ３の左右の側壁部において前後方
向に摺動可能に係合され下面部に対面するように
なされた略コ字状のスライダである。又、９ａ及
び９ｂは夫々スライダ９が凹部３ａを開くように
後方に摺動された状態においてリール軸挿入孔５
ａ及び５ｂに対応してスライダ９に穿設されたリ
ール軸挿入対応孔である。

また、このスライダ９の内面略中央部には引張
コイルバネ係着部９ｃを突設し、一方下ハーフ３
の中央部にバネ案内溝３ｂを穿設すると共にその
前方に引張コイルバネ係止柱３ｃを立設し、引張
コイルバネ１１をバネ案内溝３ｂに収納して係止
柱３ｃとスライダ９の係着部９ｃとの間に張架し
て常にスライダ９が凹部３ａ及びリール軸挿入孔
５ａ，５ｂを閉塞するようにカセツト匣体１の前
面開口部寄りに偏倚されるようになされている。

尚、７ｃ及び７ｄは夫々テープガイド柱７ａ及
び７ｂに対応して下面部側に設けられた位置決め
穴である。

この様にテープカセツトは保存時において第４
図に示す如くカセツト匣体１の前面部が前面蓋８
により閉じられると共にスライダ９が前方に摺動
され凹部３ａ、リール軸挿入孔５ａ，５ｂ及び位
置決め穴１２ａ，１２ｂがスライダ９により閉じ
られ、磁気テープ６がカセツト匣体１内に密封さ
れる。

又、使用時においては第５図に示す如くスライ
ダ９が後方に摺動され凹部３ａ、リール軸挿入孔
５ａ，５ｂ及び位置決め穴１２ａ，１２ｂが開か
れると共に前面蓋８が上方向に回動され、カセツ
ト匣体１の前面部に磁気テープ６が露呈され、凹
部３ａ、リール軸挿入孔５ａ，５ｂ及び位置決め
穴７ｃ，７ｄ内に夫々ガイド系、リール軸及び位
置決めピンが挿入され、ガイド系により磁気テー
プ６がカセツト匣体１の前面部から回転ドラムに
ローデイングされて所定の再生（又は記録）が行
われる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このように構成されるテープカセツトはスライ
ダ９が下ハーフ３に対して左右両側面において摺
動可能に係合されるのでその組付けにおいては摺
動方向と同じ方向、即ち下ハーフ３の前方から挿
入し、そして下ハーフ３のバネ案内溝３ｂに引張
コイルバネ１１を収納してその前端フツク部を係
止柱３ｃに引掛け、次いで後端フツク部をスライ
ダ９の係着部９ｃに引掛けるのでこのスライダ９
の下ハーフ３に対する組付け作業が煩雑で手数を
要し、そのため組付けの自動化が困難であつた。

本考案はかかる点に鑑みカセツト匣体へのスラ
イダの組付けが簡易に行え生産性の向上を図つた
テープカセツトを提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題を解決するために本考案は、前面部
に開口部及びガイド挿入部が設けられ、下面部に
リール軸挿入孔が設けられて内部に磁気テープを
巻装した一対のリールハブを収納するカセツト匣
体と、開口部を開閉する回動自在な前面蓋と、ガ
イド挿入部及びリール軸挿入孔を開閉する前後方
向に摺動自在なスライダを備えて成るテープカセ
ツトにおいて、スライダをカセツト匣体に対して
一方向に摺動偏倚させるトーシヨンスプリングが
スライダに突設された軸ピンにその中央コイル部
において軸支され、このトーシヨンスプリングの
一端側が軸ピンと並設されるフツク部に係合され
ると共にフツク部の近傍に位置して穿設される突
起部にフツク部と対向する側から係合され、トー
シヨンスプリングの他端側をカセツト匣体側に係
合して構成したものである。

〔作用〕

このようにトーシヨンスプリングはその中央コ
イル部がスライダの軸ピンに軸支されると共に一
端側がフツク部と突起部とにより両側から挟まれ
るように支持されるのでトーシヨンスプリングは
スライダに対して中央部から一端側が固定された
状態となつて不要に搖動したり外れるおそれがな
く、従つてスライダを下ハーフに対して摺動方向
に係合するだけで組付けることができる。

〔実施例〕

以下、本考案によるテープカセツトの実施例を
第１図乃至第３図を参照して説明するも、前述し
た第４図及び第５図と対応する部分に同一符号を
付してその詳細な説明は省略する。

第１図及び第２図において、２及び３は夫々上
ハーフ及び下ハーフを示し、これら上ハーフ２及
び下ハーフ３を合成樹脂例えばABC樹脂にて形
成し、その所定位置に前面蓋８スライダ９及びリ
ールハブのブレーキ体１０を配合することにより
テープカセツトを得る。

ここでスライダ９について第２図及び第３図を
参照しながら説明する。

このスライダ９は、リール軸挿入対応孔９ａ及
び９ｂが設けられる略長方形状の平板部と、下ハ
ーフ３の左右側壁部に前後方向に摺動可能に係合
される左右の側面部とから構成される。このスラ
イダ９の平板部の前端部中央部に軸ピン２１が植
立され、この軸ピン２１に所要間隔を置いて後方
へ開放するフツク部２２が突設されており、この
フツク部２２の近傍でやや後方寄りに小突起部２
３が突設されている。なお、このスライダ９の平
板部の前半両側部にはスライダが前方へ摺動され
た状態と、後方へ摺動された状態において下ハー
フ３の平板部に弾性的に設けられたストツパー３
ｄ，３ｅに係合される係止孔９ｃ，９ｄ，９ｅ，
９ｆが前後に所要間隔で設けられている。

そして、このスライダ９の軸ピン２１にトーシ
ヨンスプリング２４の中央コイル部２４ａを嵌装
し、一端側２４ｂをフツク部２２に後方側から小
突起部２３を乗り越えて係合させることにより、
この一端側２４ｂはフツク部２２と小突起部２３
により挟持されてトーシヨンスプリング２４はス
ライダ９に対して仮固定状態となる。

なお、この場合小突起部２３を軸ピン２１とフ
ツク部２２との間に位置して突設しても前述の場
合と同一トーシヨンスプリング２４の一端側２４
ｂをフツク部２２と対向して挟持することができ
る。

また、このスライダ９が係合される下ハーフ３
はリール軸挿入孔５ａ，５ｂが設けられる略長方
形状の下面部と、前面蓋８は配される前面部を除
く左右の側壁部及び背面壁部からなるフレーム部
とより構成する。この場合、スライダ９の摺動範
囲以外の左右の側壁部及び下面部をスライダ９の
板厚分だけ厚くし、スライダ９の摺動範囲に対応
する左右の側壁部及び下面部に対して段差を設け
てスライダ９をこの下ハーフ３に配したときに下
ハーフ３とスライダ９との間に段差を生じないよ
うになす。この左右の側壁部の前面部寄りを夫々
前面蓋８のアーム部８ａ，８ｂの厚さ分だけ内側
に段差を持たせて支持壁１３を設け、また前面側
の凹部３ａの背面部側には隔壁１４が、左右両側
にはテープガイド７ａ，７ｂが夫々設けられてい
る。そして隔壁１４の略中央部にはスライダ９が
後方へ摺動された際、軸ピン２１が挿入される挿
入部１４ａが形成されている。

このように構成される下ハーフ３に前述したト
ーシヨンスプリング２４を仮固定したスライダ９
を前側から摺動係合することによりトーシヨンス
プリング２４の他端側２４ａが隔壁１４の前面に
当接され、従つてスライダ９はトーシヨンスプリ
ング２４の偏倚力によつて常時前方へ偏倚される
ことになり、下ハーフ３の凹部３ａ及びリール軸
挿入孔５ａ，５ｂを閉塞し、またトーシヨンスプ
リング２４の偏倚力に抗して後方へ軸ピン２１が
隔壁１４の挿入部１４ａに挿入されるまでは摺動
されることにより凹部３ａ及びリール軸挿入孔５
ａ，５ｂが開放されることになる。

以上のように本例によればスライダ９を下ハー
フ３、即ちカセツト匣体１に対して前方へ摺動偏
倚させるトーシヨンスプリング２４はスライダ９
に対して仮固定状態で保持されるので、下ハーフ
３に対するスライダ９の組付けはスライダ９を下
ハーフ３に単に係合挿入するだけの簡易な作業に
よつて行うことができる。

なお、本考案は前述した実施例に限らず、本考
案の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得
ることは勿論である。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によればカセツト匣体に対
して前後方向に摺動されるスライダを一方向に摺
動偏倚させるトーシヨンスプリングがスライダに
仮固定状態に保持されるので、テープカセツトの
組立てにおいてスライダをカセツト匣体、即ち下
ハーフに対して単に係合挿入するだけで組付ける
ことができて、組立作業が著しく簡易化され、組
立ての自動化が可能となり、量産に適するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるテープカセツトの一例の
下面側斜視図、第２図は同、分解斜視図、第３図
はスライダの要部の断面図、第４図は従来のテー
プカセツトの斜視図、第５図は第４図のテープカ
セツトにおいて下ハーフとスライダの分解斜視図
である。 図中１はカセツト匣体、２は上ハーフ、３は下
ハーフ、３ａは凹部、５ａ，５ｂはリール軸挿入
孔、６は磁気テープ、８は前面蓋、９はスライ
ダ、２１は軸ピン、２２はフツク部、２３は突起
部、２４はトーシヨンスプリングである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 前面部に開口部及びガイド挿入部が設けられ、
   下面側にリール軸挿入孔が設けられて内部に磁気
   テープを巻装した一対のリールハブを収納するカ
   セツト匣体と、上記開口部を開閉する回動自在な
   前面蓋と、上記ガイド挿入部及び上記リール軸挿
   入孔を開閉する前後方向に摺動自在なスライダを
   備えて成るテープカセツトにおいて、 上記スライダを上記カセツト匣体に対して一方
   向に摺動偏倚させるトーシヨンスプリングが上記
   スライダに突設された軸ピンに軸支され、 該トーシヨンスプリングの一端側が上記軸ピン
   と並設されるフツク部に係合されると共に該フツ
   ク部の近傍に位置して突設される突起部に上記フ
   ツク部と対向する側から係合され、 上記トーシヨンスプリングの他端側を上記カセ
   ツト匣体側に係合したことを特徴とするテープカ
   セツト。