JPH0247703Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は化粧床材、特に合成樹脂シート状基材
に化粧単板を貼着してなる床材に関する。

従来、塩化ビニルのタイルに化粧単板を貼着し
て床材とすることが試みられたが、化粧単板の吸
湿乾燥に起因する応力の発生により、反りやあば
れが生じたり、また施工後においても、ハガレが
生じたりするので、使用に耐える製品にはならな
かつた。

本考案はこのような欠点を解決したものであ
り、以下本考案を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

本考案はシート状基材１に、これより小さい化
粧単板２がこのシート状基材１のいずれの端部３
にも接しないように貼着されると共に、残りの部
分４には端部材５が前記化粧単板２を取囲むよう
に貼着され、さらにこれらの上面に透明表面材６
が貼着されており、前記シート状基材１、端部材
５および透明表面材６がいずれも防水防湿性材料
よりなる化粧床材を主旨とするものであり、その
目的とするところは化粧単板の表裏および木口面
からの吸水吸湿を完全に防止し、吸湿乾燥に伴う
反りやあばれのない安定した化粧床材を提供する
ことにある。

本考案に用いるシート状基材１としては防水防
湿性のある合成樹脂材料、例えば塩化ビニル製タ
イルのような、適度の厚み、軟かさをもつものが
好ましい。材料、物性等は本考案品が施工される
場所、例えばビル、店舗、住宅等により適宜選択
される。材質には特に制限はないが、塩化ビニル
又はゴム製のものがいずれの場合についても使用
しやすい。物性についてはビル、店舗等の重歩行
用には主に発泡のないものが用いられ、住宅等軽
歩行用には主に発泡等により緩衝効果を賦与した
ものが好適に用いられる。この場合、表面にスキ
ン層を設けるとか、独立発泡として水分が下地か
らシート状基材を透して化粧単板に移動するのを
防止するよう配慮する必要がある。水分遮断層を
別に設けてもよい。

シート状基材１の重量としては、少なくとも面
密度500g／m²以上のものが用いられる。これは
使用する化粧単板は紙のように平らなものではな
く、寸法安定化処理したものであつてもある程度
の反りやあばれが残存する。従つて、シート状基
材が余りに軟かく、また薄いと、貼合せた時化粧
単板の反りやあばれがそのまま製品に出てしま
う。実験的には面密度1000〜5000g／m²のものが
好結果を得た。

尚シート状基材の裏面に網目状シートを貼着し
て寸法変化を防止するようにすることもある。

化粧単板２としては、通常の乾燥処理した化粧
単板でもよいが、乾燥時の反りやあばれが製品自
体に影響をおよぼすこともあるので、寸法安定化
処理したものを用いる方がよい。

寸法安定化処理としては種々の方法が提案され
ているが、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリエチレングリコールモノメ
タアクリレート等を化粧単板に対し、５〜25％含
浸させる方法が一般的であり、コストも安い。こ
の処理により化粧単板の収縮率は１〜３％程度減
少し、反りやあばれが抑えられると共に、しなや
かさも賦与される。

樹種としては、サクラ、ナラ、ケヤキ、シオジ
等の銘木をスライスまたはロータリー切削したも
のが好適に用いられる。その厚さは0.1〜3.0mmと
されるが特に発生応力が小さいという点で0.3〜
0.5mmのものが使いやすい。また必要により着色
して用いてもよい。

化粧単板２は単独でもよいが、裏面にバツカー
材７を貼着することが望ましい。これは化粧単板
取扱時の破れを防止すると共に、水分による膨潤
収縮を抑制する働きをもつ。バツカー材として
は、ビニロン、ポリエステル、ナイロン、レーヨ
ン、ガラス繊維等よりなる不織布、織布、紙、網
状物が使用される。

化粧単板２はシート状基材１より小さい寸法と
され、シート状基材１のいずれの端部３にも接し
ないように、即ち、若干内側に位置するように貼
着される。そして、残りの部分４には端部材５が
前記化粧単板２を取囲むように貼着される。この
時、化粧単板と端部材の間は出来るだけ隙間のな
いように気をつけるべきであるが、若干の隙間な
らば商品として特に支障はない。

端部材５としてはエポキシ、ポリウレタン、塩
化ビニル、ポリプロピレン等防水防湿性のある合
成樹脂より任意に選択される。また適宜着色し
て、施工したときそれ自身がデザインの一部にな
るようにすることが望ましい。

所定形状の端部材を得るには、化粧単板と略同
厚の合成樹脂シートから、化粧単板に相当する形
状を打抜けばよい。その他適宜形状のものを継ぎ
合せるようにしてもよい。或いは木材の周囲に合
成樹脂を流しこみ、固化させたのち木材と共にス
ライス切削して端部材を接着した化粧単板を得る
ようにしてもよい。

化粧単板および端部材の上面には、合成樹脂フ
イルム等の防水防湿性のある透明表面材６が貼着
される。その材質としては特に制限はないが、接
着性や他の材料とのバランスにより選択される。
具体的には、軟質塩化ビニル樹脂フイルムが好適
に使用される。

シート状基材、化粧単板および端部材、透明表
面材の接着には公知の接着剤、例えばウレタン
系、アクリル系、ビニル系、エチレンサクビ系等
の合成樹脂接着剤を必要に応じて用いればよい。
加熱する場合は使用する基材の軟化温度以下で行
い変形が生じないよう配慮する。

本考案品の全体の形状、化粧単板の配列やデザ
インおよびこれに伴う端部の形状は第３図のａ乃
至ｄに別の実施例として示すように任意に選択で
きる。

本考案は以上のように構成されているので、次
のような作用効果を有する。

化粧単板２は、端部材５により取囲まれ、上下
より、透明表面材６およびシート状基材１により
はさまれ、貼着一体化されており、さらにシート
状基材、端部材および透明表面材はいずれも防水
防湿性材料で構成されているので、化粧単板２は
外気より完全に遮断されている。従つて吸湿乾燥
により応力が発生し、反りやあばれが生じること
がなく安定したものとすることができる。かつ施
工したのちも、本考案品自体が反つたりしてハガ
レを生じるというおそれがない。

本考案品は以上のような作用効果を有するの
で、今までにない木質感を有する塩ビタイル状の
化粧床材となすことができ、従来の塩ビタイルを
施工するのと同じ要領でモルタル下地、合板下地
等に施工でき、極めて容易に木質感を有する床を
形成することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
本考案品の構成を示す一部切欠斜視図、第２図は
同断面図、第３図ａ乃至ｄは別の実施例を示す平
面図で、本考案品の平面形状、単板柄、端部材を
各種に変化させた状態を示すものである。 １……シート状基材、２……化粧単板、３……
端部、４……残りの部分、５……端部材、６……
透明表面材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シート状基材１に、これより小さい化粧単板
   ２がこのシート状基材１のいずれの端部３にも
   接しないように貼着されると共に、残りの部分
   ４には端部材５が前記化粧単板２を取囲むよう
   に貼着され、さらにこれらの上面に透明表面材
   ６が貼着されており、前記シート状基材１、端
   部材５および透明表面材６がいずれも防水防湿
   性材料よりなる化粧床材。 (2) シート状基材、端部材、透明表面材が合成樹
   脂製である実用新案登録請求の範囲第１項の化
   粧床材。 (3) シート状基材が面密度500g／m²以上の合成
   樹脂である実用新案登録請求の範囲第１項また
   は第２項の化粧床材。